ブルベライダーが装備のお悩み解決!|藤本親子「1,200km走る間にサドルバッグが落ちる。どうしたらいい?」
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超長距離を走るブルベライダーは装備術に長けている
皆さんは「ブルベ」をご存知でしょうか? 制限時間内で定められたルートを通っての完走が認定される長距離(日本では200km以上)の自転車イベントです。詳しくはこちらの記事でも解説しています。距離には200km・300km・400km・600kmがあり、600kmという超長距離でも、たった40時間で走破せねばなりません。
仮眠の時間も入れて平均時速15km/hというから「ものすごく速くなくてもいいけれど、長時間を安全に機材トラブルなくスムーズに走ることが必要」なわけで。したがってブルベライダー(=男性はランドヌール、女性はランドヌーズと呼びます)たちの装備は各自の工夫と経験が凝縮された「知恵の宝庫」のようなのです。少しの違和感でも600kmとなると大きな負担となりますから、皆さん機材や装備の最新情報の収集にも熱心です。
そんなブルベライダーの中でもひときわ尊敬を集めているのが「シュペールランドヌール(ズ)」と呼ばれる「1年で200、300、400、600kmのブルベを全部完走」したライダーたち。今回の企画はそんなシュペールランドヌールに自転車装備の悩みを相談をしてみようというものです。さてさて、どんな解決法が出てくるのでしょうか?
今回は千葉福岡1200km走破・藤本親子の「サドルバッグの悩み」
今回相談を寄せてくれたのは、あの藤本親子の藤本父さん。
▲2017年夏、中学1年生の息子レイ君と8日間かけて1200kmを走破、その様子を毎日ツイッターでレポート。頑張る姿が感動を呼び起こしたのも記憶に新しいですね
子連れで1200kmも走る熟練ライダーですが、普段はロードレースをメインに活動しており、周囲もレース関係者が多いため、実はロングライド向けの装備に四苦八苦していたそうです。
解答者はシュペールランドヌールの高橋幸雄さんです。
▲ブルベ歴6年にして5年連続シュペールランドヌールの高橋SR(C)Yukio Takahashi
藤本父の悩み「サドルバッグが脱落して後輪がロックしてしまう」
初めまして藤本と申します。実は2018年も千葉~福岡1200kmの旅に出ようと考えておりまして、これまでの旅で起きた問題を早めに解決したいと思いご相談させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
2017年の旅の際に、トラブルは色々ありましたが、一番時間をとられたのが積み込み過ぎによるサドルバックの脱落です。ORTLIEB(オルトリーブ)を使用しておりましが、それが走行中落ちるということが何度もあったのです(ちなみに親子2人ともトレックのエアロバイクに乗っています)。
こんにちは、SR(シュペールランドヌール)の高橋です。脱落とはサドルレールに取り付けたアタッチメントからカバンが外れてしまう状況でしょうか?
そうです。サドルバッグとシートポストの固定部分がプラスチックで出来ていたためか、重みと振動に耐え切れず・・・なのでチューブでいつも縛り上げておりました。ちなみに使用していたサドルバッグはこちらです。
▲ONOMICHI U2前にて記念撮影した息子レイくん
写真を見ただけで原因究明!?ブルベライダー凄すぎる
使っていると思われるオルトリーブのサドルバック、4〜5年前に黒一色からカラフルにモデルチェンジされたものですよね? ロールアップタイプで容量の融通が効きしかも当時から他メーカーと違って完全防水、私も黒一色の前モデルをブルべで使っていました。3,000㎞以上使いましたが、脱落経験はありません。
藤本さんがお使いのモデルは、ブルベライダーの中でも発売された当初はとても人気があって、私も含め使っている人が多かったのです。が、その後、容量や取り付け方法が改良された新型が発売され、今では旧型を使っている人は少なくなりました。旧型はサドル裏のアタッチメント取り付け調整とシートポストへの固定をキッチリとやる必要があったのと、一番大きなLサイズでも容量が2.7Lしかなく、荷物を削り込むのが大変でした。僕自身は固定が確実に出来、荷物が少ない場合はダンシングしても左右の振れが少ないので今でも使っています。しかし、こんな大きな物が脱落って危ないですね。
高橋さん、おっしゃる通りです!これが外れるとリアタイヤに挟まる時があり、フルロックします・・・息子のレイともどもエアロバイクに乗っていてシートポストの形状が特殊で。バッグはシートポスト付近で固定しなくてはいけないのですが、形状の関係からかそれができず・・・
あーそれはダメですね。オルトリーブをかっちり付けるためにはアタッチメントの位置を前後に調整する必要があるのですが、それが適当だと外れやすくなるかもしれませんね。
そこも調整したのですが、バッグとシートポストとの隙間がありすぎて固定できませんでした。だからいつもグラグラ状態でした。なので、消しゴムを買ってきて、ビニールテープでぐるぐる巻きつけて無理くり隙間を埋めていた感じです。
脱落するのは、シートポストの部分を固定していないからですね。シートポストへ固定しないとバッグが振動してアタッチメントから外れてしまいます。最近の他商品は大丈夫ですよ。異形シートポストを意識してか固定バンドが幅広で長くなっていますし、サドル裏のアタッチメントも使わないものが増えているので脱落はしないでしょう。
ブルベライダーの解決策その1:新型サドルバッグを導入すべし
いま、一番人気があるのは、アピデュラのサドルバッグかな。あと、息子さんの場合、シートポストの突き出し量がどのくらいか分かりませんが、それが少ないと、取り付けに問題が出るかもしれませんので確認したほうが良いですね。
エアロシートポストに使っている人は見た事ありませんが、アピデュラのサドルバッグは頑丈かつ安定しています。私は14Lを使用していますが、息子さんのバイクのシートポスト突出し次第では9Lが適当かも知れません。
ブルベライダーの解決策その2:荷物は分散すべし
藤本さん、もしサドルバッグだけに荷物が集中しているのでしたら、他にもバッグを使って分散されたほうがいいかもしれません。フロントバッグがあると何かと便利なので、我々ブルベライダーは使ってます。が、ハンドリングは悪くなるのでレース志向の方だと向かないかも・・・
トップチューブにモバイルバッテリー、サングラスの交換レンズ、携帯など入れてますが、もう少し大きいのがあるといいですね。
キャンプ用にはアピデュラのトップチューブ下のフレームバッグ使っています。出し入れしやすく大変便利ですが、フレームがホリゾンタル530以上ないとボトルの出し入れが難しくなります。大きいフレームには風の前面抵抗も増えないのでお勧めです。
▲アピデュラのフレームバッグ。後ろにはオルトリーブのパニエ2つ(C)Yukiko Takahashi
とても興味深いです・・・いろいろじっくり見てしまいますね。SCOTTでもこんなに積み込めるようになるんですね。クランク付近についているのはツール缶ですか?
そうです、Topeak(トピーク)の後付けボトルホルダーでツール缶を付けています。重心低くていいです。
ちなみに下は友人のシュペールランドヌールの装備ですが、フロントがモンベルのフロントバッグをリクセン化(=リクセン&カウル社のワンタッチで着脱できる便利なシステムを使えるよう改造すること)したもの、後ろがsuewのサドルバックです。このサドルバッグもとてもいいですよ。
尚、リクセン化についてですが、リクセン化したいバッグにこのプレートをねじ止めしてください。ドリルとドライバーで出来ます。
▲BASIL(バジル) バスケット クリックフィックス アダプタープレート
で、ハンドルバーにこのアタッチメントつければリクセン化できます。ガッチリ固定出来て取り外しもボタン一つで便利です。
▲RIXEN&KAUL(リクセン&カウル) フロントアタッチメント KF810
宗谷600の時の装備はこんな感じでした。フロントバッグはリクセン化したモンベルフロントバック、ハンドルバーにsuewのシャリポケット、サドルバッグはApidura Dryの14Lです。容量は充分でした。完全防水ではありませんが結構な雨の中連続9時間程走っても浸水はしてません。心配なら同じデザインで防水モデルがあります。ツール缶はやはりボトムチューブ下に吊り下げてます。
▲これが600kmを走るための装備(C)Yukio Takahashi
なるほど!!すごいですね!勉強になります(^-^)ツール缶の収納場所に悩んでいたので!これは良いですね!トップチューブのあたりにある赤いバッグ?は何ですか?
トップチューブの上の赤いのはカメラのアームホルダーです。「あっ」と思う景色に出会えた時、カメラの早撃ちならぬ早抜きが出来るのでお勧めです。
▲Panasonic デジタルカメラケース LUMIX アーム用ソフトケース
ただし、これを付けるとトップチューブバッグがつけられないので、モバイルバッテリーや補給食はフロントバッグかsuewのシャリポケットに入れています。シャリポケットはバケツ状なので上から手を突っ込み易く、丁度手が届く場所にあるので走りながら色々食べるのに便利です。ジャージの背中ポケットに補給食を入れることもありますが、雨で合羽を着ちゃうとアクセス出来ずひもじい思いをするので、雨予報のブルべに使うことが多いです。
▲シャリポケットはこんなに入る
これ、つけます(笑)デジカメ持っていくので、ぴったりです。すごい情報量です・・・!高橋さんありがとうございましたm(_ _)m
皆様のお悩みもお待ちしております
1200km走る間にサドルバッグが脱落するという悩みが無事スッキリ解決した藤本さん。他にもいろんなヒントが満載でしたね。
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Top photo by Hisanori Tanaka, others except (C) by Ryo Fujimoto