いよいよ、5月20日より日本最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン(UCIアジアツアー2.1)」が始まる。今年の大きな話題は、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)の出場だ。迎え撃つは、我らが新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)。果たして、勝つのはどちらか? それとも、意外な伏兵が現れるのか?
8日間8ステージの過酷なレース、鍵となるのは富士山のヒルクライム
今年のツアー・オブ・ジャパンは、以下の8ステージで行われる。休息日や移動日はなく、8日間ぶっ続けという過酷な日程だ。
5月20日(日) 第1ステージ堺 2.6km(個人タイムトライアル)
5月21日(月) 第2ステージ京都 105km
5月22日(火) 第3ステージいなべ 127km
5月23日(水) 第4ステージ美濃 139.4km
5月24日(木) 第5ステージ南信州 123.6km
5月25日(金) 第6ステージ富士山 32.9km(ヒルクライム)
5月26日(土) 第7ステージ伊豆 120.8km
5月27日(日) 第8ステージ東京 112.7km
この中で鍵となるのは、やはり第6ステージの富士山ヒルクライムだろう。激坂のヒルクライムは実力差がそのままタイム差となり、過去このステージで上位だった選手が総合優勝を果たしている。今年も総合優勝を狙うならば、ここで上位に食い込むことが絶対条件だ。
そのほか、第5ステージ南信州や第7ステージ伊豆も展開次第では単独あるいは少人数の集団での逃げが決まりやすく、場合によっては総合優勝を分けるステージになり得る。特に富士山のヒルクライムで上位に食い込むのが難しいルーラーたちにとっては、ここで勝負を決めたいという思惑があるだろう。要注目だ。
豪華16チームが参戦
今年のツアー・オブ・ジャパンの出場チームは16チーム。ワールドツアーチームとしては、新城幸也が所属するバーレーン・メリダ、プロコンチネンタルチームとしては、ダミアーノ・クネゴ率いるNIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニとイスラエルサイクリングアカデミーが参加する。これらのチームが軸となってレースが展開されることは間違いない。
またコンチネンタルチームとしては、海外からイギリスのJLTコンドル、アメリカのチームイルミネート、オーストラリアのベネロング・スイスウェルネス、香港のHKSIプロサイクリング、韓国からLXサイクリングの計5チームがやってくる。
迎え撃つ日本勢は、チーム右京、宇都宮ブリッツェン、マトリックスパワータグ、愛三工業レーシングチーム、キナンサイクリングチーム、シマノレーシングチーム、チームブリヂストンサイクリング、そして日本ナショナルチームの計8チームだ。
クネゴの総合優勝はあるのか?
さて、今年最大の話題は、何といってもダミアーノ・クネゴ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)の参戦だ。2004年のジロ・ディ・イタリア、2004、2007、2008年のジロ・ディ・ロンバルディア、2008年のアムステル・ゴールドレース、2004、2006、2007年のジロ・デル・トレンティーノ、2005、2008年のジャパンカップなど、ステージレース、ワンデーレースどちらとも輝かしい実績を残してきたスーパースター中のスーパースターだ。全盛期であれば、間違いなく総合優勝を果たしたであろう。
しかし、クネゴももう36歳。年齢による力の衰えは、もはや努力だけではカバーできない時期に来ている。もう現役を続けていくモチベーションもかなり低下し、事実今年限りでの引退を発表している。そのモチベーションのままでは、いくらクネゴといえども、勝つことは難しいのではないだろうか。
しかし、今回はちょっと違うという見方もできる。何といっても、日本での最後のレースだ。過去、ジャパンカップでは2勝しており、相性の良い日本のレースで有終の美を飾りたいという気持ちは強いという情報も伝わってきている。チームには、最近成長著しいマルコ・カノラ(イタリア、NIPPOヴィーニファンティーニ・エウロパオヴィーニ)もおり、チームが一丸となってクネゴをアシストすれば、もしやということがあるかもしれない。
いや、多くのファンがそれを望んでいるのではないだろうか。日本であまり名前の知られていない外国人選手が勝つのであれば、クネゴが勝った方がずっと大会に華が加わる。ぜひとも、期待通りの熱い走りを見せて欲しいものだ。
ユキヤの活躍に期待
我らが新城幸也(日本、バーレーン・メリダ)といえば、2016年のツアー・オブ・ジャパン伊豆ステージで優勝し、大腿骨骨折からの復活をアピールしたことが記憶に新しい。それ以来、2年ぶりの参戦となる。
もちろん、ユキヤのモチベーションはかなり高い。ヨーロッパでは、「自国のレースで活躍する」というのは、当たり前のこと。現在行われているジロ・ディ・イタリアではイタリアの選手が活躍しているし、ツアー・オブ・ノルウェーではノルウェーの選手が連日大活躍している。地元日本でのレースということで、ユキヤの「俺がやらなければ誰がやる」という意識も相当高いはずだ。
ステージ優勝はかなり期待できるユキヤだが、総合優勝はどうだろうか。不安材料は、やはり富士山ステージだ。ここで、どのくらいタイムロスを少なくするかが鍵となるだろう。明るい材料としては、富士山ステージで圧倒的な強さをみせていたイラン勢が今年は参戦しないということ。ユキヤとしても最小限のタイム差にとどめておきたいところだ。
大会の20回の歴史の中で日本人の総合優勝は、2004年の福島晋一(ブリヂストンアンカー、当時、現 NIPPOヴィーニファンティーニ監督)のただ1回のみだ。日本のファンとしては、兄と慕う福島晋一に続いて、新城幸也の総合優勝を見たいものである。
3連覇がかかっていたプジョルは不出場
2016、2017年と大会2連覇していたオスカル・プジョル(スペイン、チーム右京)だが、現在総合優勝を狙えるほど調子が上がっておらず、今年の参戦を見送る旨がチームから発表されている。
また、ユキヤ以外の日本勢にも、増田成幸(日本、宇都宮ブリッツェン)、入部正太郎(日本、シマノレーシングチーム)、窪木一茂(日本、チームブリヂストンサイクリング)、畑中勇介(日本、チーム右京)など活躍が期待できる選手が目白押し。
さらに、日本チームに籍を置く外国人選手の中にも、ホセビセンテ・トリビオ(スペイン、マトリックスパワータグ)やダミアン・モニエ(フランス、愛三工業レーシングチーム)など、強い選手が何人かおり、侮れない存在だ。
いよいよ始まるツアー・オブ・ジャパン、選手たちの熱い走りに期待しよう。また、日本で見られる数少ない国際レースを間近で見られるチャンス。ぜひ、近くで開催されるステージに足を運んでみよう。
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