現在日本に世界遺産は17ヶ所あり、その中でも自転車で走ることができるのは、紀伊半島にある「紀伊山地の霊場と参詣道」のみです。
これは「熊野三山」として古代より信仰の対象となっていた、熊野本宮大社(くまのほんぐうたいしゃ)、熊野速玉大社(くまのはやたまたいしゃ)、熊野那智大社(くまのなちたいしゃ)という3社と「那智山青岸渡寺」の1寺への参詣道を指しています。
参詣の道である熊野古道には様々なルートがありますが、世界遺産に指定されているのは、和歌山県田辺市から本宮、那智、速玉と三社を結ぶ「中辺路」、高野山と熊野本宮大社を結ぶ「小辺路」、田辺市から海沿いを行く「大辺路」になります。
外国人にも熊野古道や高野山は人気の観光スポットで、サイクリングしている方もよく見かけます。
また、スタート地点に設定している田辺市は、パンダで有名な白浜町のすぐ横にあり、空港があるため首都圏からもアクセスもバッチリです。
今回はそのなかでも、海岸線を走る「大辺路」と山間を走る「中辺路」という対照的な景観のルートと、ヒルクライムを満喫できる「熊野那智大社」の3ルートをご紹介します。
目次
熊野古道へのアクセス
スタート地点はJR紀伊田辺駅が便利
山を貫く「中辺路ルート」、海沿いを走る「大辺路ルート」。どちらを選ぶとしても、起点に便利なのが、紀伊半島西側の和歌山県田辺市で、最寄駅はJR紀伊田辺駅になります。車載の場合は阪和自動車道の南紀田辺ICから車で10分ほどです。駅周辺にコインパーキングがあります。
また「熊野那智大社」からのヒルクライムのみ走行という場合は、紀伊半島の東側にあるJR那智駅からのスタートになります。
飛行機を使えば、東京からもアクセス良好
羽田から飛行機を使えば、フライト1時間15分と東京からもアクセスしやすいです。
1日3本の便があり、始発は羽田発7:25→南紀白浜8:40着ですので、午前中に走り出すことも可能(2018年8月31日までのダイヤ)。南紀白浜空港から、スタート地点の田辺駅まで12.3km。各ルートへも合流可能です。
リンク:南紀白浜空港
大辺路ルート詳細
田辺市から国道42号を南へ走るルート。ほとんどが現在は整備された国道になっていますが、景色は昔と変わらないはず。本来の大辺路は田辺市から熊野那智大社までですが、足を延ばして熊野速玉大社までのルートを紹介します。
景色がよくアップダウンが楽しい。最大標高差が541mなのに、獲得標高は1,466mあるので思う存分アップダウンを味わえます。
距離:127.3km
最大標高差:541m
平均斜度:0%
獲得標高:1,466m
冒頭にある通り、すさみ町付近は景色がとてもいいのですが、アップダウンの連続で結構足を使います。また、同じような海岸線のカーブが続く区間でもあるので、サイコンで距離を確認してないと、ループしている感覚に陥ります。ブルベのコースでもよく使われていて、この辺りを走るのはきついという評判です。
道の駅などの休憩スポットも多いので、これからの暑い季節、そこを目指してこまめに休憩するのがいいですね。
すさみ町から串本町に入ると、アップダウンは収まりますが、本州最南端の潮岬へは登りになります。
ここまでのアップダウンへのご褒美とも言えるのが、潮岬と橋杭岩。
潮岬は本州最南端の地で、景色も抜群。橋杭岩は波の侵食によって削られた、大小約40の岩が南西一列におよそ850mもの長きにわたって連続してそそり立っているフォトジェニックポイント。
どちらも日本夕日百選に指定されている絶景です。
一部写真で紹介してますが、他にも絶景ポイントが各所にあります。
CMの撮影でも使われている「串本大橋」や、古座川町の「一枚岩」もこのルートの近くにあります。
冒頭にも書きましたが、海岸線をアップダウンしながら走ります。途中同じような風景の所があり心が折れそうになりますが、惰性をうまく使えばそれほど苦ではないかと思います。
ご褒美の絶景ポイントを楽しみに走れますので、和歌山県内でもおススメのルートです。
大辺路ルート立ち寄りグルメスポット
海沿いをのこのルートのおススメはもちろん海の幸。新鮮な魚を美味しくいただける2店舗を紹介します。
道の駅すさみ
国道42号線沿いすさみ町にある道の駅すさみでは、海の幸はもちろん特産のイノブタも味わえます。初夏にはケンケン鰹という、引き縄釣り漁によりカツオを1本ずつ釣りあげ、船上で活け締め・氷温保存した、モチモチとした食感のお刺身もあり旬の魚を楽しめます。
水門まつり
串本町の国道42号線から潮岬への入り口にある水門まつりは、マグロで有名な勝浦や串本で水揚げされる魚を中心に使ったお造りをリーズナブルな価格で提供しています。
熊野那智大社ヒルクライムルート詳細
本来の大辺路ルートの終着点である熊野那智大社。この世界遺産を背にして、ヒルクライムできるルートがあります。ガツンと登らないと走った気にならない坂バカの方は是非このルートを追加して登ってください。
距離:29.4km
最大標高差:567m
上り平均斜度:5.1%
獲得標高:590m
序盤の那智大社までは斜度は緩め。5%くらいのつづら折りが続きます。車や人も多いので、観光を楽しみながらゆっくり登るのがおすすめ。
見晴台からは水平線が見渡せ、地球の丸さがわかる景色。那智勝浦漁港も一望できます。山手に大きな観音像もあったのですが写真撮るの忘れてました。
熊野那智大社を過ぎると徐々に斜度が上がり、今回のルートでは上の卍あたりがいちばん斜度がキツかった(おそらく10%くらい)ような気がします。
登り足りない方はここで開催されているヒルクライムレースのゴールの大雲取山頂(獲得標高960m)まで行ってみてはいかがでしょうか。
中辺路ルート詳細
田辺市から国道311号を東の山あいへ進むルート。本来は熊野三社を巡りますが、今回は自転車で走りやすい熊野本宮大社までのルートを紹介します。
距離:58.6km
最大標高差:487m
上り平均斜度:4.1%
獲得標高:836m
全体的に上り基調の中辺路ルート。
「道の駅近露」あたりで少し北側に入ると一部自転車で走ることができる熊野古道があります。
下の写真2枚はその逸れたルートにある熊野古道にある名所です。
本宮手前で下り基調になり、熊野川沿いを走ります。
世界遺産を目一杯楽しめる中辺路ルートは、道も綺麗で大辺路に比べると車が少なく走りやすい。山あいですが道の駅もいくつかあるのでトイレや補給も安心です。
中辺路ルート立ち寄りグルメスポット
熊野本宮大社で心を浄化した後は、本宮町にあるヘルシーなグルメスポットで体も浄化できるかも?
カフェボヌール
自家栽培のお米を使った精進料理が自慢のカフェ。店主さんがサイクリストを応援しており、空気入れや工具も設置されています。
茶色い揚げ物は高野豆腐の唐揚げ。鶏から好きの僕でも物足りなさが全然なく大満足。
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山伏そば拝庵
手打ちし石臼で丁寧に挽いた蕎麦粉で作った十割蕎麦は絶品。蕎麦だけでなくきのこや野菜も自家栽培しています。中々の激坂の上にあるので、坂バカで蕎麦好きの方におすすめ。
リンク:山伏そば拝庵 ogamian
おわりに
熊野古道の中辺路と大辺路、ヒルクライムの3コースを紹介しましたが、いかがでしたか?
いずれも全く違う景色と楽しみ方でで、両方行きたくなります。
以前、中辺路と大辺路を1泊2日で旅行(田辺市→本宮→新宮→海岸線から田辺市)しようと、グルメライド専門の妻に提案しましたが、うっかり総獲得標高を見せてしまい却下されました。
日本で唯一世界遺産を走れるという特別感ももちろんですが、走りごたえや景観グルメなど、本当にどちらもおすすめのルートですのでぜひ走ってみてください!