「ペダルに正しくパワーを伝えられていますか?」~教えて!ハシケン先生#03 上りのペダリング~

十分にペダルに力が加わる効率的な踏み込み

「もっとラクに走れるようになりたい」、「もっと速く走れるようになりたい」。スポーツバイクを楽しんでいる多くのサイクリストは、そんな思いを持っていることでしょう。この企画は、サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。

ペダルに正しくパワーを伝えられていますか?

ペダルを踏めば自然にクランクは回り、バイクはスイスイ進みます。普段走っているとき、特に気にもとめず自然にペダルを踏んでいる人がほとんどでしょう。でも、ちょっと意識を変えるだけで、もっと気持ちよくスピードを上げて走れるようになるかもしれません。

今回のテーマは「ペダルへの力の伝え方」です。実は、平地では無意識でも正しくパワーを伝えられることができても、坂道になると上手く力を伝えられていないケースが多いのです。

なぜでしょうか?

だれでも円形の軌道を描きながらクランクを回していますが、このとき速く走れる人は効率的に力を加えられています。
だれでも円形の軌道を描きながらクランクを回していますが、このとき速く走れる人は効率的に力を加えられています。

同じように見えても速い人と遅い人では、効率が違うのです!
ポイントは、クランクが回転する方向へパワーを伝えることです。どういうことでしょうか。下の図解で説明しましょう。

赤線が効率的なパワーの伝え方で、青線が非効率な伝え方
▲赤線が効率的なパワーの伝え方で、青線が非効率な伝え方

クランクを回すためには、ペダルが真上を通過した直後の時計でいう1〜4時のタイミングでペダルに力を伝えることで、効率的に力強く踏むことができます。

このとき、どこに向かって力を加えているのでしょうか。効率的な人は、赤線のようにクランクの回転方向にしっかりと力を伝えられています。いっぽうで、青線方向に伝えている人は、力の多くを外側へ伝えてしまっています。これがヒルクライムで頑張っているのに結果があまり出ない人ほどその傾向があります。頑張っているのにもったいない!

ポイントは足首の角度です。踏み込みの時、カカトが下がっていると、力は外側へ向かいやすくなってしまいます。母指球を中心に、ペダルの上から踏めていると力は真下方向へ伝わります※空き缶踏みを思い出してください。同じペダリングでも、足首の角度次第でペダリングの効率が変わってしまいます。

カカトが下がった非効率な踏み込み
▲カカトが下がった非効率な踏み込み

十分にペダルに力が加わる効率的な踏み込み
▲十分にペダルに力が加わる効率的な踏み込み

今回のポイントは、平地の走りにも共通するテーマです。ただ、特にヒルクライムでは苦し紛れに踏みつけようとして、前へ押し出すようなペダリングになってしまいがちです。ヒルクライムのペダリングは、ペダルの真上から力を伝えてクランクを回す意識を大切にしましょう。苦しい時こそ丁寧に踏むことを心がけましょう!

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WRITTEN BY橋本 謙司

自転車を専門にするフリーランスのスポーツジャーナリスト。自転車専門誌の編集部時代から、ライディングスキルなどのノウハウ企画を数多く手がけ、プロ選手やコーチ、週末サイクリストなど幅広い層のサイクリストたちと交流を深めてきた。自身も強豪ヒルクライマーとして、国内外のヒルクライムやロードレースに積極的に参加。「ツールド八ヶ岳」のチャンピオンクラス優勝、国内最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」の一般の部で総合優勝など、国内ヒルクライムレースで優勝・入賞多数。http://www.hashikenbase.com

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