自転車のカゴに「あとちょっと」がいつも載せられない。スポーツサイクル以外に日常使いの自転車が欲しいけどママチャリはちょっと…。子どもと一緒に自転車に乗るには子乗せ電動自転車しかない?はたまた、業務用にクルマより手軽で積載量十分な手段がないものか……。
「カーゴバイク」がアンサーになるかもしれない。たくさんの荷物を運びたい、だけど見た目にもこだわりたい人へ、カーゴバイクの魅力と厳選アイテムを紹介しよう。
目次
カーゴバイクとは?
大きな荷物などを運ぶことができる運搬用自転車をカーゴバイクと呼ぶ。リヤカーのように後ろに荷物を積載するものや、フロントに荷物を載せるスペース、あるいは箱がついているものなど、二輪車・三輪車問わず用途に応じたさまざまなモデルがある。
自転車が環境や健康にもたらす効果を重視し、自転車利用が盛んなヨーロッパでは多くの家庭や企業で利用されている。近年では軽量化し、電動化したカーゴバイクも開発されるようになり、メッセンジャー会社や宅配業者など、いままで自転車では不可能であった大型の荷物の素早い運搬が可能となっている。
カーゴバイクのある暮らし
とにかく荷物が多いがクルマを使えない場合など、キャリアにカゴや箱を取り付けて荷物を載せられるのが大きな利点だ。カーゴバイクにも荷物の多さによって各種タイプがあり、キャンプ道具のようにかさばるモノの運搬から日常の細々とした買い物まで、目的に応じて選べるようになっている。
日本の都会の住宅地でも、カーゴバイクに荷物を積んだ宅配便を見かけるようになった。駐車問題が一因だが、トラックよりも小回りが利いて経費も抑えられ、環境にも配慮していることから導入する業者が増えている。
日本でのカーゴバイク事情「あくまで軽車両」
日本の道路交通法では、歩道通行が許されるのは全長1900mm、全幅600mm以下の普通自転車のみで徐行が前提だ。それ以上のサイズとなるカーゴバイクは「軽車両」として車道左側を走らなくてはならない。
もちろん普通自転車も軽車両であることに変わりはないのだが、同じ軽車両扱いでもカーゴバイクは道交法上で普通自転車とはみなされない。道交法で言う普通自転車の定義はいくつかあるが、カーゴバイクは前述した「サイズ規定」と、モノによっては「リアカーの有無」で外れることとなる。
つまり、例外的に歩道走行が認められる普通自転車と違い、カーゴバイクは車道の左端を走るのが絶対ルールなのである。
また積載量の規定が都道府県ごとに異なるなど、法整備の面でまだまだ追いついていない現状もある。日本の現状とカーゴバイクの未来を概括したこちらの記事も是非ご一読いただきたい。
「大きな可能性を秘めたカーゴバイク、普及に向け改訂すべき法律と認識とは」
日本にも本格的なカーゴバイクの時代が来る気配がある。曖昧な法規制を一本化させ、安心して乗れる土壌を即刻作ってもらいたいものだ。
おすすめカーゴバイク5選 +α
今回はカーゴバイクの実用性をしっかりと備え、なおかつ見た目にも美しい自転車を厳選した。ライフスタイルに合わせてピッタリのカーゴバイクを見つけてほしい。
LGS-S8(ルイガノ)
ホイールベースが長めで車体後部に丈夫なキャリアが取り付けられた、荷物を運びやすい実用的なバイク。安定性に優れた両立スタンドにより重い荷物を積んでも倒れにくく、フレーム一体型のリアキャリアは耐荷重27kgまで対応する(チャイルドシートの取り付けは不可)。ベル、前後フェンダー、フロントバスケットを標準装備。
価格:65,000円(税抜)
コンポーネント:シマノ・ターニー
サイズ:410mm(適正身長155〜180cm)
カラー:LGホワイト、LGブラック、マットオリーブ
画像出典&LINK:LGS-S8|LOUIS GARNEAU
330-N Roadyacht(ドッペルギャンガー)
フレーム中央に荷室スペースを設けたミッド・キャビン構造の20インチ・ミニベロ。従来の自転車にはない、約16リットル(耐荷重10kg)の大容量荷物スペースを股下に確保している。ペダルを漕ぐ姿勢を考え、キャビン後方が内側にシェイプする形状に設計されているので、膝やくるぶしがフレームに接触することはない。前カゴも取り付けられ、買い物や趣味のカメラを携えたポタリングなどに最適だ。
価格:オープン(アマゾン参考価格26,300円)
コンポーネント:シマノ(7段変速)
サイズ:約1480mm(全長)
カラー:シャ・ノワール、サントリーニ、ロッソ・ヴィーノ、アマルフィ、リスボア、クレーヴェン
画像出典&LINK:330-N RoadYacht|DOPPELGANGER
88CYCLE(サイクルベースあさひ)
コンセプトは「ママチャリ」ではなく「パパチャリ」。雑誌『デイトナ』の企画から始まり、所ジョージ氏の自転車作りで知られるショップ「チムチムレーシング」とサイクルベースあさひのコラボレーションから生まれたモデルだ。
パパチャリの定義は、お父さんが格好良く乗れること。チャイルドシートがマウントできること。利便性と乗りやすさを両立していること。子供も乗りたがるデザインであること。お父さんがカスタムを楽しめること。たくさん荷物が積めること。随所にこだわりを持った一台だ。
価格:69,980円(税込)
コンポーネント:シマノ・RD-M310(8段変速)
適正サイズ:身長160cm~
カラー:マットブラック、サンドベージュ、マットカーキ
Photos (C)ASAHI
LINK:ママチャリならぬ、パパチャリって何だ?リターンズ | サイクルベースあさひ
BULLITT(ラリーvsハリー)
デンマーク・コペンハーゲンで誕生したブリッツは、従来のカーゴバイクとは一線を画すデザインにより最速・最軽量を実現。2輪ならではの機動力と商業用に耐えうるヘビーデューティーを兼ね備え、都会の雑踏を鋭く駆け抜けられる。オプションでプラスティックボックス、アルミボックス、子供を乗せられるフォールディングレザーシート、キャノピーモジュールなどを用意。積載量は60kgとなっていて国内軽車両積載規定をクリア。
価格:393,000円
コンポーネント:シマノ・アルフィネ(内装8段変速)
タイヤサイズ:前輪20インチ/後輪26インチ
カラー:クロックワーク、ミルクプラス、サブマリン、ペッパー、ブルーバード、クラシック、ロウ、リザードキング、レース
画像出典&LINK:BULLITT|ユーロバイク
colot(ヴァクセン)
小回りが利きやすく、男女問わず乗りやすい、毎日の生活で活用のしがいがある20インチ・ミニベロ。名の通り「ころっ」としたデザインだが、前と後ろに荷物を置くことができ、しっかりと運ぶことも考えた一台だ。キャリアはフレームに一体化しているかのように丈夫。重い荷物を載せてもフラフラすることなくスムーズに走行できるよう、タイヤは太目を採用している。ホリゾンタルデザインで見た目も良し。
参考価格: 32,800円(税抜)
コンポーネント:シマノ(6段変速)
サイズ:400mm
画像出典&LINK:WACHSEN colot|株式会社阪和
現在開発中!STROKE CARGO-TRIKE(Daga)
日本の工業製品会社「Daga」が2016年から開発を始め、2019年に製品化を目指している電動アシスト+3輪のカーゴバイク。特徴はアラウンドフレームに強度な固定用ベースプレートが数箇所付き、メインコンセプトのひとつである「吊り下げ」を可能とすること。実現すれば、荷物を置くだけでなく懸垂方式でも運べるようになる。現段階での目標積載量は100kg。制動は三輪共ディスクブレーキを用いる。変速は内装8段の予定だ。
画像出典&LINK:STROKE cargo trike|Daga
カーゴバイク化&サイクルトレーラーという手段
最後に、自分の自転車をカーゴバイク化させる商品や、カーゴトレーラーという選択肢を紹介しておこう。
ARGO CARGO KIT
いま手元にある一般的な自転車をカーゴバイク化させるキット。ハンドルと前輪の間に荷物カゴを取り付けることが可能で、しかも数分でセットできるというアイデア品だ。
取り付け方法は、まず自転車の前輪を取り外す。そしてフロントフォークをキットに設置する。しっかり固定させたら前輪用のブレーキワイヤーを繋ぐ。それで終了だ。
取り付けられる自転車は、ファットバイクやフルサスペンションなど一部のバイクを除いて、ロードバイクからMTB、軽快車までOK。価格は$899.00で、購入は下記公式ホームページから行える。
TRAVOY(バーレー)
ロードバイクでキャンプもこなせるバーレーのサイクルトレーラー「トラボーイ」。キャリアを付ける必要がないため、ダボ穴がいらないスグレモノだ。
自転車に取り付ける以外に、キャリーカートとして旅行やショッピングにも。
参考価格39,800円(税抜)
カラー:グレー イエロー
耐荷重量:27kg、全装備重量:4kg
荷室長:80cm、荷台幅:39.4cm、荷室高:20.3cm
ホイールサイズ:32cm(12.5インチ)
バーレー(Burley) キャリア トラボーイをAmazonで見る
トラボーイの魅力がたっぷり詰まった記事はこちらから
→「ロードバイクのキャンプには、ガンガン積める「バーレー・トラボーイ」が最強なんです!」
まとめると
カーゴバイクと一口に言っても、色々な車種があるのがわかっていただけただろうか。例えば子どもを乗せる場合、日本で一般的な子乗せ自転車はもちろん2輪で、バランスを崩せば転倒の恐れがある。前2輪+後1輪のチャイルドトレーラー・タイプならば転倒の心配もなく、安全に走行することが可能だ。また、ミッドキャビン型のタイプは手軽に荷物を運ぶことができ、必要となればすぐに取り出せるのが便利。
大荷物を抱えてフーフー息が上がるのを避けるために、スマートにカーゴバイクを利用してみよう。
Top photo (C)ASAHI