チューブレスタイヤおすすめ5選|高い耐パンク性能&乗り心地の良さを享受せよ!
チューブが入っていないタイヤ「チューブレス」。比較的新しいタイヤだがパンクのしにくさ、乗り味の良さで病みつきになるという愛用者の声も聞かれる。MTBやシクロクロスでは主流になりつつあるが、その真の魅力は何なのか。
クリンチャータイヤとの構造の違いから、メリット・デメリット、タイヤの着脱のコツまで、おすすめモデルを含めてチューブレスタイヤのイロハを解説していこう。
目次
チューブレスタイヤとは?
チューブレスタイヤは、名の通りチューブを必要としないタイヤのことである。
構造はクリンチャーと似ているが、リムにスポーク穴のない専用ホイールに装着することで空気をタイヤ内に充填する仕組みだ。
リムの内側にはチューブに相当するブチルゴムの層があり、ビード部分は空気が漏れないように密閉性がより高い形状となっている。
チューブレスのメリット
最大のメリットは耐パンク性能の高さ。チューブがない構造のため、クリンチャーのような「リム打ちパンク」がない。異物が突き刺さってパンクした際にも、大きな穴や裂け目が開きにくく急激な減圧が起こらないので、数kmはそのまま走行することができる。またシーラント剤を使用することで、パンクリスクは大方低減できる。
タイヤの内側はチューブと同じ素材を使用しているため、パンク部分に直接パッチを貼って修理も可能。出先などでの突発的なリカバリーには、暫定的にチューブを入れてクリンンチャー化することで難を逃れるという手もある。
転がりが軽く、乗り心地の良さもメリットのひとつ。チューブがないのでタイヤとの摩擦が起こらず、走行抵抗が低いという点も挙げられる。また「リム打ちパンク」がないという点から、クリンチャーでは難しかった低圧での走行が可能となり、そのメリットを活かせるMTB競技においては主流となっている。
チューブレスのデメリット
デメリットは、まず装着時に大きく2つ。
- タイヤのリムへの装着が、ビードが硬くてやりにくい
クリンチャーでもモノによってビードが硬くてハマらない場合があるが、第一命題として空気を逃さないためにビード〜リム間の隙間をなくすために堅牢に作られているチューブレスはもっと硬い。専用のタイヤレバー(チャンバー)が必須である。 - ビード上げでなかなか空気が入らない
リムへ装着した後に空気を入れ、ビードをリムにフィットさせる作業(ビード上げ)において、なかなか空気が入らなくて苦労することも多い。
また2000年代初頭に登場した第3の自転車タイヤのため、ホイールとともに選択肢の幅も狭い。それでも最近では、後述するマヴィックのUST規格などが登場し、チューブレスへの移行もスムーズに行なえるようになってきた。
しかし対応ホイールは高価。鞍替えするには、ちょっと躊躇しなくてはならない。
チューブレスホイールはクリンチャータイヤも使用できる
基本的にチューブレス対応ホイールは、クリンチャータイヤの装着が可能。チューブレスタイヤもクリンチャータイヤも両方使いたい、というライダーにはおすすめできる。
シマノのアルテグラグレードのホイールなどもチューブレス/クリンチャータイヤの両刀使いが可能だが、ここでは2WAY-FITホイール(カンパニョーロ)と、チューブレスレディについて触れておこう。
2WAY-FITホイール
「2WAY-FIT」はカンパニョーロとフルクラム両社の商標となっており、ゾンダなどのラインナップで商品化されている。リムのスポーク穴は塞がっており、ライダーは目的に応じてチューブレスタイヤとクリンチャータイヤの使い分けが可能。
2-WAY FITのリムは、通常のクリンチャータイヤとチューブにも完全に対応するよう設計されている。
チューブレスレディ
チューブレスレディとは、ホイールにリムテープを貼ったりシーラント剤を注入することを前提に、チューブレスとして使用できるシステムのこと。前述した通り、チューブレスはタイヤ内側に厚いエア保持層を設けて空気の漏れを防いでいる。一方、チューブレスレディタイヤはエア保持層が薄くなっており、その部分から空気が漏れないようシーラント剤で補っているものだ。シーラント剤がなければ使えない。
チューブレスの寿命
乗り方にもよるが、クリンチャーおよびチューブラー同様、3000kmから5000kmが目安となる。なおシーラント剤にも寿命があり、およそ1年で硬化してしまうので定期的なメンテナンスが必要。パンク予防3年を謳う、長期的な効果を発揮するシーラント剤もあるが、おそらくタイヤのほうがその前に寿命を迎えるはずだ。
チューブレスタイヤの取り付け
チューブレスタイヤの装着手順を紹介する。最後にIRCタイヤの井上ゴム工業による着脱動画を載せておくので、あわせて参考にしてほしい。
- 下準備
取り付けの方法はクリンチャーとほぼ同様だが、まずチューブレス用のバルブを装着することから始まる。次にフォールドされていたタイヤをよくほぐし、汚れを取り除く。ホイールのリムも同様にきれいにしておく。
そしてフィッティングローション、または石鹸水か中性洗剤水をリムとタイヤのビードにまんべんなく塗る。そうすることで空気漏れの箇所がすぐわかり、ビードも上がりやすくなる。 - タイヤをリムにセット
次にタイヤをリムにセットする。繰り返すがチューブレスの新品は非常に硬い。手で作業するのが理想的だが、無理ならば専用レバーを使おう。取り付けの「とっかかり」ができたら、手で揉むようにしながらビードをリムにはめ込んでいく。このとき、ビードをリム中央の溝に落とすようにするのがポイントだ。 - シーラント剤を注入する
うまく全体がはめ込むことができたら、シーラント剤の注入。バルブからコアを外して液剤を注ぎ込む。使用量の目安はロードバイクで約30ml。注入が終わったら、外していたバルブコアを取り付ける。その後バルブを締めてから、タイヤ内周全体にシーラントが行き渡るよう、ホイールを水平にして左右にゆっくり上下させて馴染ませよう。 - 空気を入れる
あとは空気を入れ、パキッという音とともにビードがきちんとリムにはめ込まれたの確認し、およそ1日程度放置することが推奨されている。
※3と4を逆に行う方法も
先に空気を入れてからシーラントを注入する方法もある。こうすると、ホイールを水平にして上下左右に馴染ませる際、シーラントがこぼれることがない。
おすすめチューブレスタイヤ5選
最後にチューブレスタイヤのおすすめを5つ厳選して紹介しよう。
ハッチンソン FUSION 5 PERFORMANCE 11STORM
早い時期からチューブレスの開発に取り組んできたハッチンソンによるモデル。軽量性とケブラー耐パンク層の適切なバランスにより、HDF>5.2コンパウンドが高いグリップ性能と耐久性を兼ね備えている。より速く、より遠くに行きたいすべてのサイクリストのために設計された、フュージョン5シリーズのベンチマークだ。
- 参考価格:8,800円(チューブレスレディ/税抜)
9,600円(チューブレス/税抜) - サイズ: 700×25C、28C(チューブレスレディ)
700×23C、25C(チューブレス) - カラー:ブラック
- 重量:245〜270g(チューブレスレディ)、295〜315g(チューブレス)
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IRC フォーミュラーPROチューブレス・ライト
軽量化はもちろん、断面形状の最適化やトレッドのワイド化により、スムーズな走りに磨きがかかり、扱いやすさと耐パンク性が向上。欧州プロレースの実戦に投入し、選手の要望をすべて具現化している。さらなるグリップ向上のリクエストに対し、トレッドには新しい「RBCC」配合を開発。転がり抵抗の軽減も果たしている。
- 価格:7,600円(税抜)
- サイズ:700×23C、25C、28C
- カラー:ブラック
- 重量:255g(23C)、275g(25C)、310g(28C)
シュワルベ PRO ONE
新開発マイクロスキンとチューブレスイージーの採用により、驚きの軽さと転がり抵抗の低減を実現。耐圧性と耐パンク性がさらに向上し、加えて「ワンスタートリプルコンパウンド」により、快速性とスムーズなライドフィールを味わえる。
- 価格:11,000円(税抜)
- サイズ:700×23C、25C、28C
- カラー:ブラック
- 重量:235g(23C)、255g(25C)、275g(28C)
マヴィック YKSION PRO UST Ⅱ
ホイールと共にチューブレスの新規格として開発されたUST(ユニバーサル・システム・チューブレス)によるモデル。キーワードは「イージー/セーフ/ファスト」で、タイヤのはめやすさと安全性、そして速さを押し出している。コンパウンドはハッチンソン製のイレブンストームを採用。UST対応型のホイールを購入しなければならないが、その恩恵は確実なものがある。
- 価格:6,673円(税抜:Amazon価格2021/02時点:700×25c)
- サイズ:700×25C、28C
- カラー:ブラック×ホワイトラベル
- 重量:260g(25C)、290g(28C)
ピレリ CINTURATO VELO
パフォーマンスを一切妥協せず、よりプロテクションと快適性を追求したチューブレスレディ。同社開発のコンパウンド「スマートネット・シリカ」により、信頼性と耐パンク性を高いレベルで昇華している。またナイロン・ケーシングの上に、内側から外側に向けて様々な構成要素を重ねる「ARMOUR TECH」技術を採用。
- 価格:8,200円〜8,700円(税抜)
- サイズ:700×26C、28C、32C、35C
- カラー:ブラック
- 重量:290g(26C)、320g(28C)、350g(32C)、380g(35C)
まとめると
チューブラーやクリンチャーと比べると、まだ「若い」チューブレス。統一された規格もなく、各社それぞれ独自にモデルをラインナップしているのが現状だ。対応ホイールの絶対的な少なさも要因のひとつ。それでも、一時期に比べれば増えてきたほうだ。
また、その特性である脱着の硬さから、いまひとつ普及の足取りが悪い。しかし、慣れてしまえばチューブレス一択というユーザーも増えてきた。マヴィックのUSTのように、ホイールとタイヤの相互規格を整えたシステムを導入するメーカーが出てくれば、もっと浸透するだろう。
チューブレスのポテンシャルは高い。タイヤ選びの際、第一にチューブレスを視野に入れる日も近いはず……と思いたい。