ベストバイとの呼び声も高い!? 20万で手に入るコスパ抜群の本格カーボンロード「GIANT TCR ADVANCED 2」をインプレッション
台湾のジャイアントは、世界のバイクシーンをリードする巨大ブランド。全カテゴリーにおいて、価格とパフォーマンスのバランスに優れたバイクを取り揃えている。今回試乗したのは、上位グレード「アドバンスド プロ」と同フレームを採用し、エントリーライダー向けカーボンロードへとアッセンブルを変更した「TCR ADVANCED 2」。ハイレベルな運動性能とユースフルなパッケージはメーカーが“ベスト”と謳うのも納得だ。
GIANT TCR ADVANCED 2
商品名 | 「GIANT TCR ADVANCED 2」 ジャイアント TCR アドバンスド 2 |
価格 | 200,000円(完成車、税抜) |
サイズ | 425(XS)、445(S)、470(M)、500(ML) |
カラー | ブルー,マットブラック |
問い合わせ先:ジャイアント
フレーム | Advanced-Grade Composite,VARIANT Composite Seat Pillar |
フォーク | Advanced-Grade Composite,Aluminum OverDrive Column |
変速機 | シマノ・105(F)&(R) |
ギヤ | シマノ・105 50×34T、 シマノ・105 11-30T(11s) |
ホイール | GIANT P-R2 DBL ホイールセット |
重量 | 8.0kg(Mサイズ完成車実測値) |
ハイレベルなセカンドグレードのカーボンフレーム
自社カーボン工場で製造するジャイアントには2つのカーボンコンポジットフレームがあり、プロライダーからホビーサイクリストまで多彩なニーズに応えます。「TCR ADVANCED 2」のフレームは、セカンドグレードに当たる「アドバンスドグレード コンポジット」を採用していますが、軽量性と剛性の高い、チューブ形状を極限まで削ぎ落としたシェイプの最新設計のカーボンフレームとなっています。
このクラスのシートポストにはノーマルな丸断面のものが採用されることが多いものですが、「TCR ADVANCED 2」は「VARIANT COMPOSITE」と呼ばれる振動吸収性とエアロ性能を併せ持つ形状のシートポストを採用しています。専用のため、気軽なパーツ替えができないという面もありますが、フレームとマッチした性能とルックスという面では良さを存分に享受できます。
カーボンフレームとシマノ・105の組み合わせといえば、他社も充実の車種を揃えていますが、このジャイアントにあってはライバルは兄弟車種かもしれません。というのも、シマノ・アルテグラを装備して用途を細分化した「TCR ADVANCED 1 KOM」、「TCR ADVANCED 1 SE」、アルミフレームの「TCR SLR 1」、「TCR SLR 2」など、近い価格帯で選ぶがいのあるラインナップとなっているのです。その中でサイクリングにも、レースに興味を持つ人にもオススメできるバランスの良いパッケージとして、「TCR ADVANCED 2」はオススメな一台です。
テスター・岡選手「苦手のない好バランスな一台」
「一言でまとめると、すべてにおいて普通です。こう言うと、良さはどこなのかと思うかもしれませんが、バランスが取れていて苦手がない。そして変なクセがあるよりはこの普通が良いと思います。
レースに出れるレベルの性能を有していますし、ハイエンドに比べると程よい剛性となりますが、本気でレースをやっている人が乗ってもあまり不満に思うこともなく、この価格でこの性能かと驚かされると思います。シマノ・105をほぼフルで装備して20万円というのは、まず魅力です。
一つ特徴を挙げれば、直進安定性が優れていますし、ほかの面についてもとにかくバランスよく良いレベルです。感性に訴えかけてくるようなタイプではありませんので、機材好きな人よりは、乗ること、走ること自体を重視する人に最適だと思います。
学生レーサーにはとくにオススメですね。機材を理由にできない、バランスの取れた良いバイクです」
軽量性と走行性能を仕上げるアッセンブリー
試乗車実測値で8.0kgという軽量性を備えた「TCR ADVANCED 2」。フレームによるものも大きいが、アッセンブルに注目してみると、ドライブ系はほぼシマノ・105で揃え、ハンドル周りとホイール&タイヤはやはりジャイアントオリジナルを採用しています。大手メーカーでは自社ブランドの商品でまとめるのはよくありますが、無難にはなりつつも車重の足かせにならず、チューブレス対応のホイールなど、一定以上の良さを感じます。
レースに十分対応する仕様ですが、エントリー向けのパッケージなので、クランクはコンパクトドライブ、リヤも11-30Tとワイドなセッティングです。これならヒルクライムレースにもチャレンジできますし、アップダウンのある島一周サイクリングなどにも良きパートナーとなります。
テスター・岡選手の「機材を理由にできない」というコメントが現役レーサーらしいですが、クセのないバランスの良い走りに集中できる機材であるとのこと。これからロードレースを始める人には打って付けかもしれません。
(テスタープロフィール)
岡やすまさ
イナーメ信濃山形所属。身長174cm。2018年ニセコクラシック優勝、UCIグランフォンドの国内チャンピオン。ライダーの身体的な特徴からバイクフィッティング、自転車のコーチングを行うCOSMOSバイクフィット(茨城県つくば市)を主幹するほか、身体のメンテナンスの専門家とコラボしたバイクフィッティングも手がける。