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楕円チェーンリングの効果をデータで検証!メリット・デメリットから交換費用まで完全ガイド

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楕円チェーンリング、見た目からしてツウっぽくてカッコイイ。そのコンセプトは「理想的なペダリング」。踏みこみに集中してリズム良く脚を使えるので、効率の良いペダリングにつながります。
一般的な真円のチェーンリングと楕円は具体的にどう違う?変速の感覚や実際のパワーメーターでの数値、ペダリングのコツやおすすめリングまで、愛用者があらゆる疑問に答えます。徹底的なユーザー目線でお送りする「楕円リング入門手引き」をどうぞ。

楕円チェーンリングとは

楕円リングとは名前の通り楕円の形をしたチェーンリングのこと。普段よく見かけるチェーンリングの形は丸い真円ですが、楕円リングは卵のような形をしています。

プロロードレースにおける楕円チェーンリングの愛用者といえば、クリストファー・フルーム選手(チームIneos)が有名ですね。フルーム選手はロードレース・クリテリウム・タイムトライアル(TT)全て楕円チェーンリングを使用しています。

UCIのレースを見ていると、ロードレース系は真円、TTは楕円と使い分けている選手もいます。

楕円リングのメリット・デメリット

Image:DIATEC

楕円という形状は具体的にどんなメリットをもたらすのか。コスト面や変速性能の違いは?デメリットも余さず紹介していきます。

  • メリット
    • まず、カッコいい!
      楕円チェーンリングが初期装備されているロードバイクはほとんどありません。そのため装着しているだけでも「うわぁ~あの人こだわっているなぁ」と思われます。個人的には、楕円チェーンリングを装着するだけで3倍は速くなった気に(笑)所有欲を満たすのもロードバイクを楽しむ1つの醍醐味ですよね。
    • 理想的なペダリングに近づける
    • 引き足が楽になる
      この2点は後ほど詳しく説明しますが、楕円チェーンリングのコンセプトは「理想的なペダリング」。必要な部分にだけ力を使う、メリハリのある効率の良いペダリングへと導いてくれます。
  • デメリット
    • それなりのコストがかかる
      チェーンリング本体だけでも8,000円~30,000円ほどと結構なお値段です。加えて別途チェーン購入の必要もあり、取り付け工賃まで考えるとある程度の出費は覚悟しておかないといけません。
    • 変速調整がシビア
      真円と比べて変速調整が難しいです。自分で調整できない場合はプロショップへの持ち込みが必要です。
    • 変速にコツがいる
      楕円チェーンリングは、クランクにトルクがかかっていると、インナーからアウター側へ変速しない事が多かったです。普段使いでは特に気にはなりませんが、コンマ1秒が勝敗を左右するレースでは懸念点になるかもしれません。
    • チェーン落ちのリスク
      楕円率の変動とともにチェーンテンションも変動するため、チェーン落ちのリスクは上がります。特にフロントアウターからインナーへ落とすときは要注意。チェーンテンションが張っているときは良いですが、テンションが緩む際はチェーン落ちのリスクが上がります。
      ただ私はチェーン落ちをほとんど経験した事がなく、使用するメーカーやコンポーネントとの相性があるかもしれません。またチェーン落ちを防ぐ「チェーンウォッチャー」を使うという手もあります。

      ROTOR ローター CHAIN CATCHER RED

楕円リングが叶える「理想的なペダリング」とは

ペダリング1回転は、大きく2つに分けられます。「トルクをかけて踏み込む部分」と、踏み終わって「力を抜きながら足を引き上げる部分」の2つです。楕円チェーンリングにおいては、踏み込む部分の半径が大きい=歯数が多いためにトルクがかけやすい。逆に引き足の部分は半径が小さい=歯数が少ないために、スッと楽な力で足を引き上げることができます。

▲ トルクをかけて踏み込む部分(左図)、力を抜きながら足を引き上げる部分(右図)

トルクをかけて踏む部分と、力を抜きながら引き上げる部分、メリハリのある効率の良いペダリング=理想的なペダリングというわけです。もっと言えば引き足は考えず、踏むことだけに集中したペダリングが可能です。
より大きなトルクを、より長く伝えやすいというメリットもありますね。

楕円の効果が発揮されるシチュエーション

Image:DIATEC

違いを実感した「緩斜面」と「ローラー走行」

大きな効果を実感できたのは、「緩斜面でのパワーの伝えやすさ」と「ローラー走行時のケイデンス向上」。

緩斜面でのパワー伝導の良さ

ひとつめは緩斜面でのパワー伝導です。緩斜面ではトルクをかけやすいため、楕円リング本来の踏み込める感覚と、踏み込んだ後の抜けの良さを実感しました。実際に、普段走っているコースでデータを計測してみましたが、ペダリング効率が42%から48%と普段より6%アップしている事が分かりました。

ローラー走行でのケイデンスUP!

ふたつめはローラー走行時にケイデンスが向上した事。2時~4時以降は楕円率が低くなるため、ペダリングの抜けが良くなります。イメージとしては、踏み込んだ脚がスコンと後ろに抜ける感覚です。結果、普段より踏み過ぎることがなく、乳酸が溜まらずに楽に走れると感じました。
普段ケイデンスが低くて困っている方や踏みすぎだと感じている方は、楕円チェーンリングで問題が解消されるかもしれません。

変速の感覚もほぼ違和感ナシ

私が普段使用している「RIDEA」というメーカーのチェーンリングは、真円と比べ、変速の感覚はフロント・リア共にほとんど違和感がありません。ただし、フロントをインナーからアウターへ変速する際には、若干ですがコツが必要だと実感しました。楕円率が一番大きくなるポイント(重い歯)以外だと、変速しにくいです。さらにダンシングやスプリント時など、クランクに力を加えた状態で変速する場合も、変速はしにくいですね。

パワーメーターで実証!楕円チェーンリングの効果

ここからは実際のパワーデータの数値を元に、楕円リングと真円リングでの差をお伝えしていきます。

※使用パワーメーター:Pioneer
※平地シッティングのデータ
※ギア数は真円・楕円ともに同じ歯数

ローラー台にて、時速40km/hのパワーデータを計測しました。ケイデンスも88rpmと同じ条件で1分間のデータを取得。

  • 真円チェーンリング使用のペダリング

    赤い矢印が「ペダルを踏む強さと時間」になります。矢印が長い程、踏んでいる時間が長いということ。真円チェーンリングだと、12時~6時まで同じような力で踏んでいますね。
  • 楕円チェーンリング使用のペダリング

    楕円チェーンリングのペダリングは、3時~6時の赤い矢印が短くなっていることが分かります。ペダリング効率も46%→52%と、6%向上する結果となりました。

楕円リングでのペダリングのコツ

真円でも楕円でも同じですが、12時~3時の間にパワーを伝えるように意識するのがポイント。メーカーやチェーンリングの楕円率にもよりますが、パワーを効率的に伝えやすい2時~4時にかけて楕円率は大きくなります。楕円率が大きくなるときにしっかりペダルを踏めるように、あらかじめ12時くらいからパワーを伝えるイメージを持つと良いと思います。

ペダリングには引き足(6時~9時)も大切だと言われておりますが、楕円チェーンリングはむしろ引き足は使わないという発想です。下死点はただの通過点という考え方であり、踏み込むことだけに集中してリズムよく脚を使うことができ、効率が上がります。

楕円リングが活きるレースとは?


楕円チェーンリング最大のメリットは効率的なペダリングであることが分かってもらえたと思います。それをふまえて、楕円リングのメリットが十分に活かせるレースの種別について考えてみます。

おすすめはTTやヒルクライム

楕円リングはパワーを伝えにくい16時~18時あたりの歯数が少ないため、真円チェーンリングのような「踏む」ペダリングから「回す」ペダリングとなります。無駄な出力が減り、レース終盤まで体力温存が期待できます。
このことから、楕円チェーンリングはタイムトライアルやヒルクライムで効果が発揮するのではないかと思っています。
TTもヒルクライムも、基本的にはパワーの上げ下げが少なく、一定負荷でタイムを競う競技です。楕円リングによる理想的なペダリングへの矯正で、ムダの少ない省エネ状態を保ちレースを展開できると考えます。

逆に、ロードレースやクリテリウム等、フロントの変速回数が多いレースでは、ペダリング効率が向上する楕円よりも、メカトラが少ない真円チェーンリングの方がオススメです。

ズバリ、楕円リングいくらかかる?

Image:DIATEC

楕円チェーンリングの購入にあたり、概ねの相場を紹介します。各メーカーによる価格設定の違いや、インナーやアウターのチェーンリングのみ単品販売しているメーカーもあるため、あくまで目安の価格となります。

  • インナーのみ:7,000 ~ 15,000円
  • アウターのみ:14,000 ~ 30,000円

基本的にはインナーとアウターセットで25,000~30,000円あたりが、チェーンリングの相場です。
リング購入費用以外にチェーンリングの交換費用がかかりますが、工賃は各ショップでの設定価格があるため、事前に確認する事をオススメします。私が交換した際の載せ替え工賃は、約3,000円ほどでした。

楕円リングの取り付け方法

現在装着されているチェーンリングを外し、新たに楕円チェーンリングを取り付けるわけですが、下記6つのステップが必要となります。

  1. 現在ついているチェーンを外す
  2. 現在ついている真円のチェーンリングを外す
  3. 新たに楕円のチェーンリングを取り付ける
  4. フロントディレイラーの調整位置を変更(歯数の増減による)
  5. 新たにチェーンを張る
  6. フロント・リアディレイラーの変速調整

交換はショップにお願いしよう

初めての楕円化なら、ショップで取り付けてもらうことをオススメします。特にパワーメーターを装着していると、交換の際に誤ってケーブルを断線してしまうリスクも……!チェーンリングの交換費用よりもパワーメーターの修理費用の方が高額になるかもしれません。
取り付けに不安がある方や初心者は、プロショップでの交換が鉄則です!

楕円リングにまつわるQ&A

  1. クランクはそのまま使用できる?
    Shimano、SRAM、Campagnoloなどの主要メーカーであれば、基本的にはそのまま使用が可能です。
    あえてROTOR等のクランクへ変更する場合は、BBを交換しないと装着できない場合があります。自身のロードバイクのBB規格を把握しておくと良いでしょう。
  2. リング以外に必要なパーツは?
    基本的にはありません。ただしチェーンリングの歯数を変更する場合には、新たにチェーンを購入する必要があります。またチェーンリングとクランクを止めるボルトが必要になるケースも。チェーンリングを購入する前に、ショップへ確認する事をオススメします。
  3. あとから真円リングに戻せる?その際のコストは?
    もちろん可能です。楕円を使用しているユーザーが真円に戻しても、さほど違和感はないです。
    戻す際のコスト面は、「真円リングを所持」「チェーンもそのまま使用できる」「自分で戻せる」ならゼロ円ですね(笑)
    プロショップに頼む場合は、パーツ代金の他に載せ替え工賃がかかります。私の場合は工賃3,000円ほどでしたが、ショップ毎の設定価格があるため、こちらも事前に問い合わせを。
  4. 真円リングと組み合わせることは可能?
    可能です。組み合わせは下記の2パターンがあります。
    • パターンA:インナー真円 × アウター楕円
    • パターンB:インナー楕円 × アウター真円

    ※メーカーによっては組み合わせの使用を推奨しておらず、自己責任で取り扱う場合もあり

    パターンAの組み合わせはあまり見かけたことがありませんが、パターンBはよく見かけます。特にヒルクライム用のインナーギアを効率よく踏みたい方が多く使用している印象です。有名なメーカーだと「Baroque-Gear(バロックギア)」のインナーチェーンリングと真円のアウターチェーンリングの組み合わせは良いですね。バロックギア自体、真円のアウターチェーンリング×インナー楕円のチェーンリングを想定して設計していますから。

    私は以前、インナーROTORの楕円チェーンリング×アウターShimano真円チェーンリングの組み合わせを使用した事があります。リアの変速に関しては違和感なく使用できましたが、フロントをアウターに上げる際には一瞬ペダルから抜重するというコツが必要でした。

  5. 電動コンポとの相性は?
    Shimano Di2や、カンパニョーロのEPS等、電気信号で変速を行う「電動コンポ」。使っている人は楕円チェーンリングとの相性が気になりますよね。リアの変速については、通常の機械式コンポと電動コンポに大きな違いは無いように感じました。フロント変速に関しては電動コンポの方がやっぱりスムーズ。電動は変速がワンクリックで済むため、レバー操作の力加減を気にする必要がありません。楕円リングの変速操作においてもメリットのある電動コンポは、相性が良いと言えるでしょう。

おすすめ楕円チェーンリング6選

ここからは私が個人的に選んだ楕円チェーンリングをランキング形式で紹介。各メーカーの特徴をつかんでもらえると思います。

1位:RIDEA(リディア)

初めて楕円リングを使用するのであれば、私は「RIDEA」が良いと思います。理由は変速がスムーズであったから。違和感なく変速できるので、変速重視で楕円チェーンリングを使用したい方にはRIDEAをオススメします。


(RIDEA/リデア)ROAD POWER RING FULL PLATE 110 /5アーム 52/36T(Amazon)
LINK:RIDIA| Mizutani Bicycle

2位:ROTOR(ローター)

楕円リングの先駆けメーカーであるROTOR、特徴はなんと言ってもバリエーションの多さ!ダイレクトマウント用や、写真のようなアルミ合金リングをカーボンシートで強化したスペシャルモデル等、豊富なバリエーションで、ユーザーの好みに合わせることが可能です。また、チェーンリングの取り付け位置を変えられるようになっており、踏めるポイントに変化がつけられるなどユーザビリティも高いです。

Image: DIATEC

LINK:ROTOR|DIATEC

3位:Wolf Tooth(ウルフトゥース)

MTBやシクロクロス界隈でユーザーが増えている「Wolf Tooth」を3位に。特徴は「チェーン落ちが少ない」こと。
ナローワイドというリング形状は、薄い歯と厚い歯が交互に構成され、歯を上から見ると「プラスとマイナス」になっています。チェーンとの噛みあわせ位置(順序)が決められているため、チェーン落ちの防止につながります。
Wolf Toothを使用=フロントシングルでの運用になります。シクロクロスで楕円チェーンリングを使用してみたい方や、ヒルクライムで楕円シングル化を検討されている方にはオススメですね。


Wolf Tooth Components drop-stop Elliptical Chainring(Amazon)
LINK:Wolf Tooth|Alternative Bicycles

4位:Baroque-Gear(バロックギア)

ヒルクライマーが取り付けているイメージが強い「Baroque-Gear」を4位に挙げました。機能も良いですが、まずは真紅のチェーンリングが強烈なインパクトを与えます。付けているだけで3倍速くなりそうですね(笑)また、3位の「Wolf Tooth」と同じくインナーのみのラインナップとなりますが、「Baroque-Gear」はアウターチェーンリングとの組み合わせを前提に作られているところがGoodポイント。また、Pioneerのパワーメーターが装着できるので、Pioneerユーザーであれば、新たに買い足す必要がありません。急勾配はインナーの楕円で踏み、平地は真円のチェーンリングで回すといった使い分けが可能となります。楕円と真円の両方を楽しみたい方にはオススメです。

Image:SMITH


Baroque Gear 34T(Amazon)
LINK:Baroque-Gear|SMITH

5位:absoluteBLACK(アブソリュートブラック)

他メーカーよりもリーズナブルな価格帯の商品が目立つ「absoluteBLACK」を4位に挙げました。リーズナブルな価格と相反して「AL7075」という高強度のアルミニウムを削りだして作成しているため、価格と剛性を兼ね備えたチェーンリングです。カラーラインナップもブラック・グレー・ゴールド・レッドと豊富で、車体カラーと合わせることも可能です。


Absolute Black ROV50/5BK(Amazon)
LINK:absoluteBLACK|FUTABA SHOTEN

6位:O.SYMETRIC(オーシンメトリック)

最後に「O.SYMETRIC」のチェーンリングを。冒頭でも説明したクリストファー・フルーム選手が使用していることでも有名な楕円リングです。特徴はなんと言っても楕円率!!他メーカーとは比べ物にならないくらい扁平しています。真円チェーンリングを使用しているユーザーからすると、O.SYMETRICのチェーンリングが回転している姿は違和感すら覚えるかもしれませんね(笑)一定のトルクで踏み続けるTTやトライアスロン選手にオススメです。

Image:Zeta Trading

LINK:O.SYMETRIC|Zeta Trading

まとめ

楕円チェーンリングのについてあらゆる角度からご紹介してきました。これから初めて楕円チェーンリングを使用してみたい方は、この記事を参考にしてみてください。それでは楽しいサイクリングライフ楽しみましょう!

TOP画像提供:DIATEC

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