こんにちは、自転車ブログ「つむりの悠々自適ライフ」を管理・運営している神楽坂つむりです。
さて、前回に引き続きカヤックと自転車、登山の3つのアクティビティを駆使して海から山頂までを目指す究極のネイチャー体験型の環境スポーツイベント、モンベルが特別協賛を務める「SEA TO SUMMIT」の参加レポートの後半です!
前編はこちらをご覧ください。
目次
JR北海道の特別列車で移動
バイクスタート地点までは列車で移動します。
網走駅に到着すると待ち構えていました!今回のSEA TO SUMMITのために用意されたスペシャルなやつ。
ここ網走駅から浜小清水駅を乗り換えも停車もなしに直通で繋いでくれる特別列車です。
JR北海道さん全面協力のもとで成り立った今回の企画。
普段は観光列車としての車両だそうです。外装も内装もオホーツク海のような淡い水色にハマナス等の美しいイラストがあしらわれていて一見の価値あり。
民間企業だけではなく地元自治体や公共交通機関までもが一体となるイベントは、すごいのひとこと。乗車まで時間はあるので車内外からまじまじとじっくりと見させてもらいましたよ。
しかもただ移動するだけではなく、浜小清水駅までの間、観光ボランティアさんが観光ガイドをして下さいました。その様子はさながら観光バスのよう。
「いや、ここまでするか!?」って参加者みんなびっくりしていました。
しかもその内容が北海道地元愛に溢れていて、普通に乗車しているだけではまず気付かないような小話をたくさん入れてくれて・・・。
お金払わせて!と思わずにはいられないクオリティ。
でも確かにこうして案内を聞きながら走っていると、この区間の見どころの多さがすごい。左手にはオホーツク海を有し、車窓から水平線丸見えの広大な海を眺めることができます。この海の向こうはロシアと思うとなんだか不思議な気持ちになりますね。
さらに右手にはオホーツク地方の地理的特徴の一つである汽水湖(湖水に海水が混入している湖)が広がります。その代表格でもある濤沸湖(とうふつこ)の湖畔では様々な種類の野鳥だけではなく、放牧されている馬も見ることができました。
道中の小清水原生花園を抜ける際には、車窓から常に多種多様な植物とこれまた野鳥が観察できて、それらの観光ガイドと目の前の景色が相まって、下車するまで一切飽きることのない列車旅となりました。
ありがとうJR北海道さん!
赤字路線で存続が危ぶまれているというこちらの路線。
うーん、これだけ良い場所がたくさんあるのだから、もっと訪れる人が増えることを祈るばかり。
いよいよバイク区間スタート!
浜小清水駅を降りるといよいよ私のターン!
ロードバイクに乗ってのバイク区間スタートです。
今回のバイク区間をおさらいすると、ここ浜小清水駅をスタートして南方面へと走行。
15kmほどの田園区間を抜けて小清水町役場で中間チェックポイントを通過。
その後はいよいよ本格的な登り・山岳地帯に入り、最後のヒルクライムセクションでは距離8km、標高差600mを走り抜けてバイクゴール地点兼ハイクスタート地点である「ハイランド小清水725」までを目指すコースレイアウト。
ペース配分としては前半の田園区間で北海道らしい道が続くだろうからそこそこペースで走り抜けて貯金を作る。
中間チェックポイント以降はギアを上げて得意の登りセクションで一気にペースを上げる予定。
そのために前日から自転車に装備したフレームバッグの中にたっぷりと補給食を入れていました。
今回、SEA TO SUMMITに初参加するにあたり、私は事前シミュレーションでこの「補給」が大事だと予測しました。
カヤック、自転車、登山と瞬発力は必要としないものの、持久力、有酸素運動が求められるアクティビティの連続なので、かなりのカロリーを消費します。
- カヤックで失ったカロリーの補填
- 自転車で使うエネルギーのチャージ
- 登山に備えた栄養補給
この3つの補給をバイク区間でまとめて行うというの今回の私の作戦です。
他の二種目に比べて得意分野なので精神的にも肉体的にも余裕がありますし、補給のタイミングや補給に適した食べ物についての知識や経験も一日の長があると自負しています。
というわけで、やや戦略的な感じでバイク区間をこなしていきます。
北海道らしい絶景が続く
このバイク区間がとにかく美しいコースでした。
北海道らしい田園が広がる丘陵地帯を貫くように伸びる真っ直ぐな道を駆け抜けて行きます。 また朝から続いていた晴天も相まって、このバイク区間が個人的には一番気持ち良かった!
本州ではなかなか体験することができないスケール感、どこまでも続くのではと錯覚させるような快走路はロードバイクで走るには最高のシチュエーションです。
この時ばかりはやっぱり愛車で来て良かったと思えます。
身体に完璧にフィットした自転車で、何の憂いもなくこのような道を走る喜びは何物にも代えられません。
ちなみに本イベントでは希望者にはレンタルバイクが貸し出されるようです。今回、たまたま一緒に走ることになったフォロワーさんもレンタルバイクを使用していました。
通常、こういったイベントで借りるスポーツバイクはあまり期待してはいけません。
経験上、良く整備されたクロスバイクが借りられればラッキーでしょうか・・・・
また他にも台数限定でYAMAHAのEスポーツバイクである「YPJシリーズ」もレンタルされていたようです。
実際に乗っている参加者と一緒に走るタイミングもありましたが、自転車未経験にも関わらずものすごい速度で坂道を駆け上がっていました。
Eスポーツバイクのすごさについては今まで何度か書いてきましたが、やはりこうして実際にフィールドで使ってその効果を体験できている様子を見ると、そのすごさはやっぱり間違いないんだと確信できます。
終始向かい風の中進む
今回のバイク区間は登り基調でさらにそこそこ経験ある自転車乗りでも満足できる程度のヒルクライムがあったため、結構ハードルが高かったと思います。
それに加えて参加者を苦しめたのが
風向き
です。
浜小清水駅からフィニッシュ地点まで、終始向かい風でした。体感では常に風速3〜6m/sは吹いていたと思います。
「自転車は風との戦い」と言われるほど風の影響を受けやすいスポーツです。
同じコースでも追い風と向かい風では時速にして5~10km/hは少なくとも速度差が生じます。
例えば風速5m/sの追い風だと、私の乗り方でも35~40km/hは出ます。それも軽く漕いで、です。
逆に同じ風速で向かい風だと、25~30km/h程度には落ち込みます。それなりに体力を使いながら漕いで、です。
例えば今回のコースだと距離38kmの残り10kmで獲得標高800mですから、私で平地巡航32km/hと想定しておおよそ1時間30分程度で走りきる計算です。
が、結構な向かい風だったので結局2時間弱かかりました。
こう書くとなんだか経験者ぶっているように思われるかもしれませんが、参加者の中には初心者の方も結構いらっしゃったので、ここが苦しかったと思います。
それでもみなさん完走されていたのは、やはり地の体力が相当あると言うこと・・・。
さすがアウトドア好きの集まりです。タフネス!
ちなみにこの風のおかげでカヤック区間と帰りは楽ができたので、文句は言えません(笑)
標高725mまでの「絶景」ヒルクライム
ラスト10kmから藻琴山登山口まで徐々に本格的なヒルクライムです。
えー、正直ここまでとは思っていませんでした。
斜度や道路状況、交通量を鑑みるとめちゃくちゃ良いコースレイアウトです。
程よく一定のリズムで登ることができますし、道路幅は広く、見通しも良いので走り易い。交通量も少なく、ストレスなく走りに集中することができます。
きっと真面目に踏んで登れば気持ちの良いヒルクライムができるでしょう。
ですが、真面目に登るなんてできませんでした。
景色が良過ぎるのです。
これは誤算でした。と言うかそんな情報どこにもなかった!
事前に配られた資料やブリーフィングでもバイク区間の説明は「38km、標高725mまで」というデータ的なアナウンスしかありませんでした。
なので私は「まあそこそこハードだな」程度にしか思ってなかったのです。
前半の平坦区間は素晴らしかった。
でも後半の山岳区間はもっと素晴らしかった!
それあれさんと一緒にひたすら感動しながら登りました。
「これは予想外」
「本州で言うと美ヶ原レベルかな?」
「いやそれ以上かも」
「北海道でこんな景色が見られるなんて完全に予想外」
「良い意味で裏切られた!」
私も彼も日本全国をあちこち旅回った経験があります。
そんな二人が同じように感動していたので、結構間違っていないんじゃないかと思います。
藻琴山ヒルクライムはいいぞ!
最後に待ち構えるハイク
藻琴山登山口に到着し、ここで最後の登山に切り替えます。
朝の受付時に予め預けていた登山靴やジャケットをここで受け取り、装備を着替えての出発です。
やろうと思えばカヤック、自転車、登山全部同じ靴でできないことはないですが、やっぱり専用の靴の方がずっと楽だし気持ちが良い。
用意するのはちょっと面倒だけれど、それでもやっぱりストレスなく集中してかつ安全に楽しむためには靴だけは惜しまない!のが私の考えでした。
(スニーカー、ビンディングシューズ、登山靴の3足を持ってくるのは大変でしたが・・・)
と言ってもハイク区間はそこまで厳しいものではありません。
距離にして2km、標高差は275mと登山単体としてみたら小さな子供でも登ることができる初心者向けの山です。
一応3,000m級の登山や低山ハイキングを嗜む私です。30分もあれば走破できる予定なので、荷物は最小限にしてサコッシュだけで登り始めました。
序盤は階段状の岩場が続き高低差を感じますがが中盤からは斜度がなだらかになり歩きやすくなります。
もうすぐフィニッシュだと思うとなんだか寂しくもあり楽しみでもありますね。
思えば朝からものすごくエキサイティングなことをしている確かな実感。
非日常体験がようやく終わろうとしていました。
ふと樹木がなくなり遮るものがなくなった瞬間に左手に広がる景色がこちら
モンベルの登山靴「ラップランドストライダー」は、軽量で柔らかい履き心地で低山のハイクやキャンプ、音楽フェスやトレイル探索など幅広いフィールドで活躍してくれる全天候型シューズです。個人的にはアッパーに使用されているゴアテックスファブリクスと、トレールグリッパーというめちゃくちゃグリップの良いソールがお気に入りです。
そしていよいよ・・・
道中、写真を撮りながら参加者と談笑しながらで登山口から登ること35分、無事にフィニッシュ!
オホーツク SEA TO SUMMIT 2019、完走、感想
いやあ、これ、参加してみるとめっちゃ楽しいやん!ってなりました。
正直最初は不安半分戸惑い四分の一楽しみ四分の一くらいだったんですが、実際にこうして振り返ってみると参加して良かったとしか思えません。
単純に「体験内容が面白かった」と言うよくある感想に加えて、アウトドアを趣味にする者の端くれとして基礎スキルがレベルアップしたような感覚です。
これはきっと海から(今回は海水と湖の狭間を漕いだので、あえて海と記します)スタートして水の偉大さを体感し、自転車で大地の広さを感じ取り、山で自然の厳しさと美しさを体感する・・・
自然と自分の距離感と関係性を再認識し、ただただ美しいと言う感想を持つだけではなく、その中でどう考え判断し行動するのか。そんなことを改めて問われたような気がします。
SEA TO SUMMIT。
海、里、山と友達になれるようなネイチャー体験型環境スポーツイベント。
興味のある方は是非参加してみてください。
本気でおすすめできるイベントでした!
取材協力:mont-bell
公式HP:SEA TO SUMMIT