ロードバイク初心者が自分でできるようになりたいのは、バーテープ交換、チューブ交換、リアディレイラー調整、それにブレーキ調整でしょうか。出先で不具合があっても、ちょっとしたことなら自分でできると楽ですね。
本記事では走行前のチェック方法から、ブレーキシュー交換、センター出しなど、画像と動画でわかりやすく解説します。
目次
キャリパーブレーキとは?
キャリパーブレーキは、ホイールのリムをパッドで挟んで制動するリムブレーキのひとつです。制動力が高いVブレーキや、キュッと止まるディスクブレーキに比べ、キャリパーブレーキは細かなスピードコントロールがしやすいという側面を持ち合わせています。タイヤクリアランスは狭く、ブレーキ自体がコンパクトで軽量で、主にロードバイクに見られるブレーキです。
現在は左右のブレーキアーチの作動軸が独立している「デュアルピボット式」が主流になっています。
キャリパーブレーキの構成パーツ
キャリパーブレーキの簡単なメンテナンスでよく使うパーツは以下のものがあります。
- ケーブル調整ナット:ケーブルの引きしろを調整してシュークリアランスを微調整するためのナット
- クイックレリーズレバー:ホイールを外すときなど、一時的にリムとブレーキシューの隙間を広げたいときに使うレバー
- ブレーキシュー:ホイールのリムを挟んで制動するゴム製のパッド部分
- センタリング調整ボルト*:片効きのときなど、シュークリアランスを調整するためのボルト
*コンポーネントによってセンタリング調整ボルトの位置は異なります。
キャリパーブレーキ 走る前はここをチェック
ブレーキは自転車に安全に乗るための重要ポイントです。走行前には必ずチェックしましょう。
- ブレーキシューは減っていないか
- ホイールのリムとブレーキの間隔が一定か、片効きしていないか
- ブレーキレバーを握ったときにブレーキがゆるくないか、異音がしないか
ブレーキシューの交換や簡単な調整は初心者でもできますが、ワイヤー交換などコツがいるようなメンテナンスはショップにお願いした方がよいでしょう。ブレーキの不具合は重大な事故につながりますので、自分で調整がうまく行かない場合は無理せずプロに対応してもらうのが大切です。
ここからは3つのチェックポイントをくわしく解説していきます。
①ブレーキシューは減ってないか
ブレーキシューの溝の深さを見て、1mm程になったら交換しましょう。目安は半年に1度程度ですが走行距離にもよるので、期間や距離ではなくあくまで溝の深さで判断しましょう。
また雨の中での走行はブレーキシューの減りが特に早くなります。雨天での長距離走行が考えられる場合は、まだ使えそうと思っても早めに交換しておくのが吉。
いざライドを始めてブレーキをかけたときに、何かが擦れるような異音がする場合は要注意。ブレーキシューに異物が刺さっている可能性が高いです。そのままにしておくとリムを傷つけてしまうので、気が付いたら先の尖ったもので除去しましょう。
②片効きしていないか
ブレーキアーチが微妙にずれている状態を「片効き」といいます。リムの片側だけにブレーキパッドが接触して、走りが重たくなったり、異音の原因になったりします。左右のブレーキシューがリムに対して均等に当たっているか確認しましょう。
片効きしている場合は、ブレーキアーチのセンタリング調整が必要です。手で無理にブレーキアーチを動かすのはやめましょう。
③ブレーキがゆるくないか
ブレーキシューが減ってきたり、ワイヤーがゆるんできたりすると、引きしろが増えてブレーキがゆるく感じることがあります。ブレーキレバーの引きしろをチェックし、違和感を感じるようならワイヤーケーブルのテンションを調整しましょう。
ブレーキシューを交換する
ブレーキシューは消耗品です。摩耗して溝が1mm程度になったら交換どき。
ブレーキシューは、アルミリムとカーボンリムで異なります。ブレーキシューを選ぶときや、ホイールを交換する際などもリムの種類やリム幅に合わせて、適切なブレーキシューに交換しましょう。
- アルミリム推奨
- カーボンリム推奨
シマノの105以上のキャリパーブレーキでは、カートリッジ式を採用しています。パッド部分を抜き取って交換するだけなので、台座ごと付け替える手間がありません。アーレンキー(105はプラスドライバー)があれば、初心者にも簡単に交換できます。
なお、ティアグラ以下のグレードの場合、取り付け部とシューが一体型になっています。そのため、ブレーキシューのホルダー部も含めて交換する必要があります(購入時にブレーキキャリパーとの互換性をご確認ください)。
※ブレーキシューは左右1セットで販売されているので、前後のブレーキシューを交換する場合は2セット必要です。
カートリッジ式:ブレーキパッドだけ交換する
フロントは、フォークとリムの間というとても狭い空間での作業になります。バイクによってはシューがフロントフォークに当たって抜き差し出来ない場合もありますので、フロントのシュー交換は前輪を外して行った方が作業しやすいです。
- クイックレリーズレバーを使って、ブレーキシューをリムから離します。
- ブレーキシュー台座のシュー固定ボルトを外します。
- シューホルダーからブレーキシューを溝に沿って抜き取ります。
- 左右や進行方向の指定に気を付けながら、ブレーキシューをホルダーに差し込みます。
- シュー固定ボルトを締めつけて固定します。このボルトは六角穴が小さいため、強すぎる力で何度もしめると穴がなめてしまうため注意!
※ブレーキシューの適正位置はこちら - クイックレリーズレバーでブレーキアーチを閉めます。
- ブレーキシューを交換するとパッドの厚みが変わるため、ブレーキレバーの引きしろが変わる場合があります。ケーブル調整ナットで調整しましょう。
一体型:ブレーキシューセットを変える場合
- クイックレリーズレバーを使って、ブレーキシューをリムから離します。
- シューホルダーの取り付けボルトをアーレンキーで外します。
注意!
ボルトやワッシャー、スペーサーの向きや順序がわかるように並べておきましょう。また、取り付けの際に元の順番通りにできるよう注意して外しましょう。 - 新しいブレーキシューにスペーサー等を元通りの順番にはめ、ブレーキシューをだいたいの位置にボルトでゆるめに仮止めします。
ブレーキシューの適正位置
ブレーキシューは、基本的にリムに平行に真っすぐ合わせます。ブレーキレバーを握って、リムの上端から1~2mmほどの高さにパッドの上端が当たるようセット。 - ブレーキシューが正しくあたるかチェックします。
ブレーキレバーを握って、シューがリムに左右均等に当たっているか確認しましょう。 - 固定ボルトで本締めをします。
ブレーキシューの位置が決まったら、シューが動かないよう抑えながら固定ボルトを本締めします。 - クイックレリーズレバーでブレーキアーチを閉めます。
- ブレーキの引きしろが問題ないかなど最終チェック。
→「ワイヤーを調整する」
ブレーキの片効きを調整する
ホイールがセンターに入っているにもかかわらず、ブレーキシューの片方がリムに当たっているときは、センタリングの調整をします。
色々な方法がありますが、ブレーキ本体の取り付けボルト/センタリング調整ボルトの2つを使ったやり方を紹介します。
- どちらのシューもリムに触れていない
→センタリング調整ボルトだけで調整(3.からスタート) - 片側のシューがリムにくっついている
→ブレーキ本体の取り付けボルトで位置の再調整して、センタリング調整ボルトで微調整をする(1.からスタート)
- ブレーキ本体が取り付けてあるボルトを若干ゆるめます。
- おおまかにセンターを出します。
ブレーキレバーを強く握りながら、両方のシューが同時にリムに当たるように調整します。ブレーキ本体は規定トルクで締め付けましょう。 - 「センタリング調整ボルト」を回して微調整していきます。
センタリング調整ボルトを回し、左右の幅が均等になるように調整します。 ※ブレーキによって調整ボルトの位置は異なります
▼動画でもチェック!
片効き調整についてはこちらもどうぞ!
ワイヤーを調整する
ブレーキワイヤーのケーブル調整ナットを回して、シュークリアランス(ブレーキレバーの引きしろ)を微調整することができます。
ケーブル調整ナットを上から見て反時計回りに回せばストロークが狭くなり、時計回りに回せばストロークが広がります。一度に多く回さず、半回転位ずつ回して調整します。 ※反時計回りに回しすぎるとナットが外れる可能性があるので注意しましょう。
ナットがこれ以上回らないという場合には、ワイヤーの固定を解除して長さを調節しましょう。
▼動画でチェック!
おわりに
安全に走行するには、ブレーキがいつも適切に効くことが大事ですね。簡単なメンテナンスができるようになれば、出先でのちょっとした不具合にも対応できるようになります。調整方法を覚えて自転車ライフを楽しんでください。
監修
サイクルアシスト オオバ 大場忠徳
Viking the Maintenance 石橋