こんにちは、FRAME編集部のナベケンです。突然ですが、皆さんは「ブルベ」というサイクリングイベントをご存じでしょうか? 簡単に言えば、「200km以上の決められたコースを制限時間以内に完走するイベント」です。
歴史は古く、フランスで最初に200kmのブルべが開催されたのは1921年9月11日。2021年に100周年を迎えました。それを記念するブルべが日本でも数多く開催される予定でしたが、残念ながら新型コロナウイルス感染症の影響で延期・中止になってしまいました。私がエントリーした「BRM911千葉200kmクラシック」も延期となってしまいましたが、101周年となった今年に無事開催されました。
そんな100周年記念ブルべに参加(なんとブルべ初挑戦!)してきましたので、その模様をお伝えしていきます。
目次
走行レポート
早速、今回のブルベの様子をお伝えします。コースは以下の通りです。
木更津を出発し、富津のあたりからは山間部を走って房総半島の南端へ。鴨川まで海沿いを走ったあと、亀山や養老渓谷、高滝を通り、木更津に戻ってくるコースです。
スタート(0.0km)~PC1(38.1km)
今回のスタート地点は木更津市の金田さざなみ公園。車であればアクアラインを使って都内から1時間程度と好アクセスですが、輪行で向かう場合は2時間程度かかります。私は初めてのブルべ挑戦ということもあり、周辺のホテルに前泊しました。
当日はスタート30分前に到着。公園に反射ベストを着た人たちが集まっている光景は圧巻でした(残念ながら写真は撮り忘れてしまいました……)。
まずは「ブリーフィング」と「車検」から
受付を済ませ、ブルべカードに必要事項を記入しているとブリーフィングが始まりました。
ブリーフィングではルートの概要や注意点などについての説明があります。間違えやすいポイントについても触れられていたので、できる限り参加した方がよいでしょう。
ブリーフィングの後には車検が行われます。ここではフロントライトやリアライトなど、公道走行に必要な装備が整っているかをスタッフが確認します。主催のクラブによって必要とされる装備品が異なるので、ここで引っ掛からないように準備しておきましょう。
スタート前に思わぬトラブルが!
スタートに向けて準備をしているところで、ルートがサイコンに入らないというトラブルが発生。200kmのルートを1つのファイルにしたためか、何度試しても入りませんでした。キューシートやコマ図の印刷もしていなかったため、結果的にはスマホでキューシートやマップを見ながら進むことに。事前にコースの予習をしておいて良かったです。
気を取り直して出発!
気を取り直し、いよいよスタートです。今回のブルべはウェーブ制を採用しており、各々のブルベカードに記載されている時間になったら出発するという形式でした。
私も時間通り出発、まずはPC1(38.1km地点)を目指します。この日は追い風が強く吹いていたことに加え、道が走りやすかったのもあり、PC1には1時間40分(なんと23km/hのペース!)で到着。
▲出発のツイートをしていなかったことに気づき慌ててツイート
前半のうちは短めの休憩にしたかったので、簡単に食べられるお菓子を調達し、到着から10分後に出発しました。
PC1(38.1km)~PC2(87.6km)
PC1までは平坦が中心の道でしたが、ここからはいよいよアップダウンのある「もみじロード」を走っていきます。とはいえ10kmで110mアップと、非常にゆるい分類に入ります。
ヒルクライムが苦手な私はこの区間をゆっくり(平均20km程度で)通過しました。ブルべでは少なくとも200kmを走破するので、なるべく体力を消耗せずに自分のペースで走るのが肝です。
さて、もみじロードを抜け、長狭街道から県道88号線に入るとまた登りに差し掛かります。こちらも獲得標高は100m程度ですが、もみじロードよりも勾配が急なこともあり途中で休憩を入れながら進みました。
下りに差し掛かるも脚が動かない……
ゆっくり進んだため、ここまでの20kmは休憩を入れて1時間30分かかりました。ここまでの遅れを取り戻すべく、下りでは少しスピードを出して進みたいところ。しかし、なかなか力が出ませんでした。幸いにもしばらく下り基調だったため、漕がずともゆっくり進むことができました。
PC2で昼食
館山のコンビニで休憩を挟み、ちょっとした丘を越えるといよいよ房総半島の先端です。PC2(野島崎付近のコンビニ)には13:00ごろ到着。どこか食堂に寄っても良かったのですが、先を急ぎたかったためコンビニで昼食を摂ることにしました。
PC2(87.6km)~PC3(157.3km)
ご飯を食べ、PC3に向けて出発。目論見通り停車時間を20分程度に抑えることができました。
海沿いは強い向かい風!
PC2から鴨川までは海沿いを走るコース。この日は風速7m程度の北風が吹いており、ここからの約40kmは15〜20km/h程度でじっくりと進みました。速度こそ出せませんでしたが、信号がほぼないため太平洋を望みながら快適に走ることができました。
休憩を長めに取ってしまったため、野島崎~鴨川までの42kmは3時間かかってしまいました。時速14kmということで、ここまでの貯金を消費している状態です。時間内にゴールするためには、ここからの70kmを約5時間で走破する必要があります。途中での休憩も最小限にし、先を急ぎました。
ここからは鴨川スカイラインを通り、三石山を登ります。頂上の標高は約250mと、ここまでで一番高いところまで登っていくルートでした。
何とか登頂したものの、このあともアップダウンが続きました。疲れも相まって大変でしたが、なんとかクローズ5分前にPC3へ到着。
PC3(157.3km)~ゴール(204.7km)
ここからはとにかく時間との勝負でした。PC3でポテトチップスを買い、食べ終わった時の時間は18:50。時間内にゴールするためには、ここからの約47kmを3時間弱で走破しなければなりません。しかし辺りは真っ暗、街灯の少ない道を走るので細心の注意を払いながら進みました。
しばらくは下り基調だと思っていましたが、まだ少しアップダウンがありました。固形物を食べたからか、少し力が出てきました。ここまで来たので、なんとかゴールすべく頑張って進みます。
最後の登りに差し掛かる前、高滝ダム付近のコンビニにて最後の休憩を取りました。ここからゴールまでは30km、残り時間は約2時間です。なんとか時間内にゴールできそうで安心ですが、まだまだ気は抜けません。
ついにゴール!
最後のコンビニからは、登りが1箇所あるものの下り基調でした。ラスト30kmを2時間程度で走破し、ついにゴール。
タイムは13時間20分、制限時間ギリギリ&最後のゴールでした。遅くまで待ってくださったスタッフの方、ありがとうございました!
ゴールでは100周年記念のメダルを購入しました。今回限定のメダルなので、手に入れることができて良かったです。
持って行ったもの
ここからは、ブルベに必要な持ち物をご紹介します。長距離を走り切るために事前の準備を怠らないようにしましょう。
輪行などの移動があるといろいろ忘れがちなので、一つ一つ確認するのがおすすめです!
※ここで挙げた持ち物は一例であり、レギュレーションにより必要な物が異なる場合があります。
必須の持ち物
まずはルール上必要な持ち物や、絶対に欲しいアイテムをご紹介します。
フロントライト
コースによっては暗い中、街灯のない道を走ることもあります。そんな時でも安全に走行するための視界を確保するため、できるだけ明るいライトを使いましょう。
※2個必要な場合があるので、ルールをご確認ください!
リアライト
こちらも必須アイテム。反射材では代用できません。
※こちらも2個必要な場合があるので、ルールをご確認ください!
ヘルメット尾灯
ヘルメットに取り付けるリアライト。距離によっては必須の装備ですが、暗い道での視認性が上がるので任意の場合でも付けておくと良いでしょう。
反射ベスト
ブルべでは、昼夜問わず反射ベストの着用が義務付けられています。反射たすきで代用することも可能ですが、裏返る可能性などから不可の場合もあるので注意しましょう。
また、反射ベストは一番外側に着る必要があります。ウィンドブレーカーを羽織ったり、バックパックを背負ったりする場合でもきつくならないよう、大きめのサイズを選ぶのがおすすめです。
ポケットがあると、スマホなどをさっと取り出すことができるので便利です。ただし、前傾姿勢を取るとポケットの中の物が重くて邪魔になるので、ポケットのないタイプを選んでもOKです。そこは便利さと身体への負担とのトレードオフですね。
ヘルメット
輪行の時に忘れがちなのがヘルメット。もちろん着用が義務付けられています。
▼ヘルメットについてはこちら!
ベル
軽視されがちなベルですが、れっきとした必須アイテムです。車検の時にちゃんと鳴るか確認されるので、忘れないようにしましょう。
※法律で義務付けられているので、普段から装着して走りましょう!
カギ
カギも忘れがちなアイテムの一つ。長時間停めておく場面はそれほど多くないので、コンパクトな物を選ぶのがよいでしょう。
サイクルウェア
直接向かう場合は着ていけば問題ありませんが、泊まりがけだと意外と忘れてしまうもの。ジャージ(上)、ショーツ、グローブ、冬であればアンダーウェア、ソックス、ハンカチがあれば問題ないでしょう。
ショーツは高性能なものを買っておくのがおすすめです。ロングライドにおいて、お尻の痛さを軽減するのは大事なポイントですよ。
▼サイクルウェアについてはこちら!
アイウェア
眩しさを抑えたり、風などから眼を守ったりするアイウェア。夜でも着用できるよう、紫外線調光のものを選ぶのが良いでしょう。
▼アイウェアについてはこちら!
ビンディングシューズ
こちらも最初に移動が入ると忘れがち。カバンに入れていくか、履いていくかはお任せです。
休憩時に緩めやすいベルクロやダイヤルのシューズがおすすめです。
▼ビンディングシューズについてはこちら!
ウィンドブレーカー
日没後やダウンヒルでは、夏でも意外と寒さを感じます。少しでも寒さを感じたらウィンドブレーカーを着るようにしましょう。
▼ウィンドブレーカーについてはこちら!
レインウェア
長いものだと数日に渡って開催されるブルベでは、途中から雨が降ってくることが多々あります。少しでも降りそうな場合はレインウェアを持っておくのをおすすめします。
▼レインウェアについてはこちら!
ボトル
水分補給は体調管理の基本です。コンビニや自販機が多くあるコースの場合は1本でも大丈夫ですが、補給場所が少ない場合や真夏には2本持っておくと良いでしょう。
輪行袋
自宅⇄スタート・ゴールへの移動はもちろん、DNF(途中棄権)する際にも必要です。万が一自走できなくなってしまった場合に備え、必ず持っていくようにしましょう。
▼輪行袋についてはこちら!
チューブ
突然のパンクに備えるため、最低1本、できれば2本持っておきましょう。事前にちゃんと膨らむか確認しておくのがおすすめです。
▼パンク修理を復習しておきましょう!
タイヤレバー
タイヤレバーもパンク修理に必須のアイテムです。
携帯ポンプ・CO2ボンベ
携帯ポンプとCO2ボンベ、どちらを選ぶかはお好みです。時間や体力をセーブしたいのであれば断然CO2ボンベでしょう。
工具(六角レンチ・ドライバー)
長距離を走っていると、どこかのネジやボルトが緩んだりということも十分に考えられます。パンク修理セットと一緒に持っておきましょう。
サイクルコンピュータ
ログを取ったり、ルートを確認したりするために必要です。キューシートやコマ図を見ながら走るのも良いですが、地図の方が見やすいでしょう。
▼サイクルコンピュータについてはこちら!
モバイルバッテリー・ケーブル
途中でスマホやサイコン、ライトの充電が切れてしまうと、最悪の場合DNFしなければならなくなることも。そんな事態を避けるために、必ずモバイルバッテリーを持っておきましょう。
充電の時間を短縮するために、急速充電対応のバッテリーを選ぶのがおすすめです。
財布
ブルベ中は時間短縮のため、タッチ決済を使うのが望ましいです。私は交通系ICをスマホに入れています。他には現金(千円札や小銭)、身分証明書、保険証を入れておくと良いでしょう。
権利放棄書
クラブによっては、権利放棄書の提出を求められる場合があります。もし必要な場合には、事前に印刷・サインしてから持っていきましょう。
ボールペン
ブルべカードの記入に必要です。主催者の方も持っていますが、自分でも持っていくことをおすすめします。
あるといい持ち物
ツールボトル
持ち物をボトルケージに収納し、コンパクトに持ち運ぶことができます。私はいつもチューブやCO2ボンベ、工具などを入れています。
▼ツールボトルについてはこちら!
サドルバッグ
今回は使いませんでしたが、頻繁には取り出さないような物を入れておくと便利です。
▼サドルバッグについてはこちら!
サイクルキャップ
ヘルメットの下に被るサイクルキャップ。夏は吸汗、冬は防寒の効果があり、季節を問わず役立つアイテムです。
▼サイクルキャップについてはこちら!
ウエストポーチ
細々とした荷物を入れるのに役立ちます。補給食を入れても良いでしょう。
日焼け止め
過度な日焼けは疲労につながってしまいます。半袖を着る夏の時期には、特にしっかりと対策をしましょう。
参加にあたっての注意点
ブルべ参加にあたっては、何点か注意や確認すべき点があります。
「エントリー峠」を越える
ブルベに参加するためには、当然ながらエントリーをする必要があります。今回参加したブルベは100周年記念のブルベ、しかも参加者が特に多い200kmということで、ものの数分で満枠になってしまいました。スムーズにエントリーするために、事前に申し込みサイトを触っておくのもよいでしょう。
自転車保険を確認する
2022年9月現在、ブルべの参加にあたっては賠償責任保険金額が1億円以上の保険に加入しておく必要があります。エントリー時に証券番号の確認があるため、保険金額に不足がないか、ブルベでの走行がカバーされるかなどを確認しておきましょう。
デバイスを充電しておく
途中でモバイルバッテリーを使うのもいいですが、充電しておくのに越したことはありません。スマホ、ライト、サイクルコンピュータはフル充電にしておきましょう。
無理をしない
長時間に及ぶブルベ。時にはDNF(途中棄権)するという判断も重要です。「もう動けない!」となってからではなく、帰るための体力が残っているうちにDNFすることが重要です。途中から帰るための手段も事前に確認しておきましょう。
おわりに
初めてのブルべ、後半は向かい風とアップダウンという苦手な要素が入ってしまいましたが、なんとか走り切ることができました。
今回参加して一番楽しかったのは、非日常感を感じられたことです。普段のライドで200km走ることはまずないため、100kmを超えた辺りからはずっと新鮮な気分を味わうことができました。
200kmという距離は果てしないように感じますが、終わってみればちょうど良い距離のように思います(コースのプロファイルにもよりますが)。走りきった直後は「もう走りたくない」と思っていましたが、今は「次はどれにエントリーしよう?」と考えるぐらいにはまた走りたい気持ちになっています。
最後になりますが、今回のブルべを運営してくださったAJ千葉の皆さんに改めて感謝を申し上げます。ありがとうございました!