3,000m級の山岳が複数ある北アルプス。ヒルクライマー御用達、乗鞍もこのエリアにあります。
環境省は、この魅力的なエリア一帯をブランド化するためのプロジェクトを進めています。今回は、松本と高山を横断する観光ルートと、その楽しみ方を紹介します。
松本と高山、約80kmを繋ぐプロジェクト
約2年前、松本市(長野県)と高山市(岐阜県)を繋ぐプロジェクトが、環境省主体でスタートしました。プロジェクト名は、二つの都市に大きな橋を架けるという思いを込めて「松本高山ビッグブリッジ構想」。周辺には、3,000m級の山々や温泉、歴史的な街並みなど、見どころが詰まっています。
松本ー高山は、直線距離で80kmほどしか離れていません。しかし、松本と高山では文化が大きく異なるといいます。それは、山によって隔てられているという物理的な問題もありますが、松本は東日本的な文化、高山は西日本的な文化の入口になっていることが大きいです。
全く異なる文化を持つ松本と高山を結ぶことで、観光者は二つの文化がどんなに違うのかを一度の旅行で体感できます。
横断ルートの名は
プロジェクトでは、東西(松本ー高山)を横断する観光ルートが設定されました。このルートを訪れる人に覚えてもらったり、愛着を持ってもらえるよう、ルート名称を一般公募。
2月25日、そのルート名称がついに発表されました。名称は「 北アルプス・トラバースルート」。
トラバースってどんな意味?
「北アルプス・トラバースルート」にはどのような想いが込められているのでしょう?
松本高山Big Bridge構想実現プロジェクトPR大使の山村咲稀さんは、こう説明しました。
「国内では確立した北アルプスという固有名詞が、世界に広がっていってほしいなと思っています。 そして、山岳を横断するという意味の”トラバース”というワードから、3,000m級の山岳と80km圏内にある2つの都市圏を訪問するという特別感と特異性を感じてほしいです」
MTBに乗るだけ……じゃない!
北アルプス・トラバースルートの概要が分かったところで、ルートの楽しみ方を探してみましょう。北アルプス・トラバースルートの楽しみ方はたくさんありますが、ここでは自転車でどう楽しむかをお伝えしていきます。
まずは乗鞍高原でのマウンテンバイク。
ヒルクライムのイメージが強い乗鞍ですが、マウンテンバイクという選択肢もあります。大自然を感じられる高原で汗を流し、夜にビールを飲むのは最高。
乗鞍高原でのマウンテンバイク体験は、ただ乗り回すだけではないのが興味深いです。ここではトレイル整備を体験できるプログラムもあります。例えば午前はトレイルを整備して、午後に自ら整備した道を走り回ることで、走りやすくなったことを実感できます。
自然を使うだけでなく、継続的に使えるよう整備する、ちょっと大人なマウンテンバイク体験が乗鞍高原では楽しめます。
一日で通過してはもったいない!
松本ー高山の距離は、直線距離で約80km。「よし、一日で走り切ってしまおう」と思えば一気に走れてしまう距離ですが、少しもったいないかもしれません。自然も文化も充実している地なので、ゆっくり移動しながら味わい尽くしませんか?
例えば、
- 一日目は、松本城などを訪れ歴史に触れる
- 二日目は、ロードバイクで乗鞍ヒルクライムに挑戦
- 三日目は、マウンテンバイクで乗鞍高原を走り、大自然を感じる
- 四日目は、疲れた足に癒しを求め温泉へ
やや欲張りですが、松本の文化、高山の文化、日本最大級のヒルクライム、マウンテンバイクを一回の旅に凝縮してみると、充実した自転車旅になりそうです。
北アルプス・トラバースルートにわざわざ行く意味
北アルプス・トラバースルートは雄大な自然が魅力ですが、全国を見渡せば他にも自然を売りにしている観光地があります。
わざわざ北アルプス・トラバースを訪れる意味は何で、ここにしかない魅力は何なのでしょう?
北アルプス・トラバースルートにしかない強みは「自然だけでなく、まったく異なる文化をもつ街が近くに2つもあること」です。素晴らしい自然を持つ観光地は日本には多くありますが、さらに複数の文化的体験も併せて楽しめる観光地はほとんどありません。ほとんどが一度の旅行で自然だけ、または文化だけしか体験できないのです。
松本の文化を体験し、北アルプスの自然を楽しみ、高山の文化を体験するといったように、一度の旅行で2つの文化+自然に触れられるのは、北アルプス・トラバースルートにしかない強みです。百聞は一見に如かず、ということでぜひ実際に訪れてみてはいかがでしょうか。
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