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シマノ・105はなぜ人気? 『いぶし銀コンポ』ってどういうこと? 5分でわかるカンタン解説

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ロードバイクのグレードを決める要素のひとつ、コンポーネント。

フレームを骨とするならば、コンポーネントは内臓です。主要なパーツ群を指してコンポーネントと呼ばれますが、具体的にはどんなパーツを指すのでしょう?

世界トップシェアを誇るシマノ製品を例にとり、ここではミドルグレードの「105」をピックアップ。幅広いライダーに愛される人気コンポーネントの最新情報をお届けします。

ロードバイクの「コンポーネント」ってなに?

ロードバイクを買おうとカタログやHPを見比べていると、「このモデルとあのモデルは同じ形にしか見えないのに、値段がぜんぜん違うな?」と思ったことはないでしょうか。

さらに調べると「同じフレームなのに値段が違うのは、どうやら部品が違うから」ということが判明。でも部品とは何を指していて、何がどう変わるのかまではよくわからない……。

この部品群こそが「コンポーネント(英語でComponent:構成要素)」と呼ばれるもので、自転車乗りのあいだでは「コンポ」の略称で定着しています。

どこまでがコンポ?

シマノのカタログ上の「コンポーネント」は、変速システム、クランクセット・ボトムブラケット(BB)、カセットスプロケット、チェーン、ブレーキシステム、ペダル、ケーブル類、ホイールとなっています。

わたしたちがふだんバイクメーカーのスペックや各種コンテンツなどで目にする「コンポーネント」になると、何をどこまで指しているかは定義や文脈によって異なります。

多くは変速機やブレーキ、駆動部分のドライブトレインなど、回転したり、前後左右に動く主要なパーツ(変速機やブレーキ、シフター、BB、カセットスプロケット、クランクセットなど)を指しますが、ときにはホイール、チェーン、ワイヤー類など、自転車を構成するすべての部品をコンポと称する場合も。

上級コンポながらお手頃。それが105

最新コンポのシマノ・105Di2 Image: SHIMANO

今回ピックアップするのはシマノ社製のコンポーネント。

シマノは、ロードバイクコンポーネントで世界トップシェアを誇るビッグブランド。ロードバイク好きなら知らない人はいないほど有名です。

そんなシマノコンポのうち、中堅レースグレードに位置する105(イチマルゴ)を深掘りしていきましょう。

シマノコンポーネントのグレード

105がどんなシリーズなのか知るために、シマノが出しているすべてのロードバイク向けコンポーネントを確認します。

一番上のデュラエースがもっともグレードの高いハイパフォーマンスシリーズ。対して、エントリーグレードとしてもっとも手の届きやすいのがクラリスです。

今回の105は上から3番目の「中・上級コンポーネント」という位置づけ。

ロードレースのプロ選手や実業団によく使われるのは、最上位のデュラエースやセカンドグレードのアルテグラですが、105も「レースに対応できるコンポ」として開発されています。

ミドルグレードながらレースを想定したコンポであるため、市民レースに参加したい人や、長距離を走るイベントに出場したい人にはぴったりのシリーズといえます。

価格と性能のバランスよし

105の優れているポイントとして、「価格と性能のバランス」がよく挙げられます。

まずは下の価格表を見てみましょう。シマノ上位3シリーズのグループセットをそれぞれまとめて買うと、このような値段になります。

DURA-ACE Di2 コンポセット45万3866円ワイズロードで見る
ULTEGRA Di2 コンポセット28万4720円ワイズロードで見る
105 Di2 コンポセット21万2947円ワイズロードで見る
※2023年6月ワイズロードキット価格

最上位のデュラエースと比べてみると、105はその半額以下の価格設定になっています。自転車を買いたいときに、45万円と20万円の違いはあまりに大きいですよね。

性能は上位譲り

「デュラエースの半額ということは、性能も半分なの?」と思った人もいるのではないでしょうか。

ここで知っておきたいのは、

  1. シマノは上位グレードから順に新製品を開発&発売する
  2. あとから開発された下位グレードは、上位グレードの機能の一部を受け継ぐ

ということです。

そして現在の105は、昨年6月にシマノが出した最新のコンポーネントのため、

  1. いまは105が、最新デュラエースの機能を継承した一番安いグレード

ということになります。

変速の段数を例にとってみましょう。

デュラエースから105までが12速(つまり後ろのギアが12枚ある)、それよりひとつ下のティアグラになると、10速に。ソラ・クラリスと順に枚数が少なくなっていますね。

一般的にギアの枚数は多ければ多いほど細かく負荷を調整できるので、脚が疲れにくいと言われています。

12速の変速段数である105は、上位グレードと同等ということ。ここだけ切り取ってみても、半額=半分の性能ではないということです。

トップグレードを踏襲した性能で、シリーズ全体で見てもとても優秀なグレードといえるでしょう。

105はライトユーザーを支えてきた “いぶし銀”

歴代の105は、1つ上のアルテグラとよく似た姿をしつつも、よりカジュアルなサイクリストの味方でした。

さかのぼること5世代前の105(5600系)の例をあげてみます。

いままでデュラエースなどのギア比でこぐには重すぎて困っていたユーザーのために、歯数の少ないコンパクトクランク(アウター50T × インナー34T)と、ローギアの歯数が多いスプロケット(27T)の選択肢が追加されました。

全体的に軽いギヤ比でこげるようになり、脚力に自信がない人でも十分にロードバイクを楽しめるようになった歴史があります。

>> 油圧ディスクブレーキやコンパクトなレバーが登場したのは先代の105(R7000系)でした

さらに最新の105では、上位シリーズにはない短いクランク(160mm、165mm)を選ぶことができるようになりました。一般的な170mmでは長すぎて上手く回せない小柄な方や女性ユーザーなどにとても嬉しい仕様です。

105は一部のアスリートだけでなく、幅広い層の細かい要望に応えてきた “いぶし銀”コンポなのです。

エントリーモデルと比べるとわかる、やっぱりすごい105

筆者は105だけでなくティアグラ、ソラ、クラリスまでの下位コンポのロードバイクをそれぞれ所有し、使い分けています。

そのなかで1グレードずつ比較してみたときに、「105の性能だけ飛び抜けて高い」と感じることが多々あります。

一番の違いは「ギアチェンジの安心感」で、指でシフター(変速バー)を軽く押してあげると、すぐさま“カコーン!”という心地よい音とともにチェーンが隣のギアに嚙み合ってくれます。

これが下位グレードになるにしたがって、指に余分に力を加えないといけなかったり、変速も“……スチャ”という軽い音に変わり、若干のタイムラグを感じやすくなる印象です。

105のような中・上級コンポはむしろロードバイク初心者にこそおすすめで、慣れない長時間のライドでも疲れが溜まりにくいコンポだと私は考えています。

今が旬! 大幅にアップデートした新型105Di2

そんな105は、昨年、新型にフルモデルチェンジしたばかり! いままでの旧モデルも素晴らしい製品でしたが、今回はさらに磨きがかかりました。

新型105の特長を3つ簡単にまとめると、

① 12速にパワーアップ! 105だけのギア比も

スプロケットの枚数が1枚増えて、12速になりました。

これにより、傾斜とスピードに合わせたより細やかなシフティングができるようになったため疲れにくくなるのはもちろんのこと、上位モデルのデュラエース、アルテグラと同じ規格になったことで、使いまわせるパーツが増えたりホイールの互換性が生まれました。

加えて、デュラエースやアルテグラにはない105だけのギヤ比も進化ポイントです。ローギヤが36Tというスプロケット(11/36T)がラインナップされていて、このスプロケットは105にしかない選択肢。デュラエースやアルテグラではこのスプロケットを使うことは出来ません。

つまり、上位グレードより軽いローギヤを使える=坂道をよりラクに上ることが可能になりました。

② セミワイヤレス電動変速に

Image: SHIMANO

新型105では、これまでのワイヤーを引いて変速する機構から、電動システムを使った変速に進化しました。

指の力で変速をするのではなく、指先でボタンをクリックするような感覚なので、どんなに疲れていても&どんなに急な上り坂でも、思い通りにギアチェンジができます。

③ シフターが握りやすく小型化

Image: SHIMANO

ライド中ほとんどの時間握っているシフター。このシフターの形状が小さくなり、小さな手の人でも握り込みやすくなりました。

よりエルゴノミックな形状になったことで指や手が疲れにくくもなっていることから、ロングライドの終盤でもブレーキを引く筋力を残しておきやすく、間接的に安全性も高まったといえるでしょう。

実際に試乗してみると、握りやすいSTIレバー・変速スイッチの押しやすさ・進化したブレーキキャリパーを体感することができました。

▼メカニカル変速の新型105が待望のリリース!

▼Di2とメカニカル変速、どっちを選ぶべき? 徹底比較

>> ガジェット系YouTuberはクリック感とテクスチャに感動!

>> 中の人に聞く!新型105(Di2)の詳しい解説はこちら

105搭載のロードバイクが欲しい!

各社から新型105Di2を搭載したロードバイクがぞくぞくと登場しています。12速でDi2と機械式が選べるのは105グレードだけ!

105 12速 Di2搭載モデル

105 12速 メカニカル搭載モデル

>> 特集記事で一気にチェック!

>> 前世代(R7000)だってまだまだ使える!

105には魅力がいっぱい!

「コンポーネントってなんだろう?」という疑問からスタートして、105コンポーネントを中心にいろいろなトピックスを見てきました。

いままでただの黒い歯車にしか見えなかったロードバイクのカタログに映るコンポも、上位シリーズとの違い、ミドルグレードならではの強み、新型105の新機能など、さまざまな情報を知ったうえで見るとまた違ったストーリーが浮かんでくるかもしれませんよ。

監修:大場 忠徳

愛知県の自転車店「サイクルアシストオオバ」の店長。 自転車関連会社で営業、企画職を経て、サイクルアシストオオバを開業。他にもメカニックとしてのイベント参加、講習会講師などその活躍は多岐にわたる。

「ツール・ド・おきなわ」のオフィシャルメカニックを10年以上勤めた後、現在は出張専門のメンテナンスショップとして活動中。

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