スペシャライズド新型ターマックSL8がデビューしたけど、そもそもターマックって何? SL8って何がスゴイの? 初心者のギモンにお答え
こんにちは。神楽坂つむり(つむりの悠々自適ライフ)です。
この度、世界的な自転車ブランド「スペシャライズド」から一大ニュースが飛び込んできました! スペシャライズドが誇るトップクラスの車種、TARMAC(ターマック)SL7がアップデートし新型TARMAC(ターマック)SL8として生まれ変わります。
“エアロロードのヴェンジよりエアロになった軽量オールラウンダー” とはなかなか衝撃的ですが、つまりどういうことなのか? ターマックのキャラクター、オールラウンダーとは何なのか、SL8の進化ポイントなど、初心者の方にもわかりやすく解説します。
販売開始しています!
スペシャライズドのTARMAC(ターマック)ってどんなバイク?
プロからビギナーまで世界中のサイクリストに愛されている世界的自転車メーカー「スペシャライズド」。総合自転車メーカーとしてさまざまな車種がラインナップされています。ツールドフランスなどの世界最高峰のレースを走るロードバイクから、街乗り用のクロスバイク、さらには未舗装路を走るために作られたグラベルロードやマウンテンバイクなど、そのラインナップに一切の妥協はありません。
そんなスペシャライズドを象徴するのが「TARMAC(ターマック)」シリーズ。一言で言えば「軽量オールラウンダーロードバイク」です。
スポーツ自転車は奥が深く、一言でロードバイクと言ってもさまざまな種類が存在します。
例えばスピードに特化したエアロロードバイクや乗り心地を重視したエンデュランスロードバイク、あるいはとことん軽さを追求したヒルクライムにフォーカスした軽量クライミングバイクなど。
ターマックシリーズはその中でも「オールラウンダー」に位置付けられています。オールラウンダー=一台で何でもこなせるということ。何でもこなせるということはどっちつかずで中途半端じゃ……?と思われるかもしれませんが、ターマックについては「一切妥協をしない」という注意書きが必要です。
空気抵抗と戦い1秒でも速く進むためのエアロ性能や、1gでも軽くして加速性能や登坂性能を追求する軽量性、さらにはペダルを踏んだ際の力を余すことなく推進力に変えるための剛性やジオメトリ(=フレーム設計)これらの要素を全て妥協することなく追い求めて、長い歳月をかけて研究と開発を繰り返し形にしたのがターマックシリーズです。
ターマックシリーズは2004年にスペシャライズドのシリーズに加わって以来、数年おきにアップデートを繰り返しています。ここ数年では2017年に「SL6」、2020年には「SL7」がリリースされていました。
新型が登場する度にニュースになるのですがその理由は明白。世界最高峰のレースで幾多もの勝利を演出してきた名実共にトップレベルの性能を誇っているからです。ヴィンチェント・ニバリ、ペテル・サガン、ジュリアン・アラフィリップ、レムコ・エヴェネプール、ファビオ・ヤコブセン、サム・ベネット……ロードレース好きであれば誰しもが耳にしたことのあるトッププロ選手達がターマックを駆っていくつもの勝利を挙げてきました。
ターマックはまさにスペシャライズドの旗艦モデルと言っても差し支えありません。
SL7からSL8へ。何がスゴイ?
2020年にリリースされた「SL7」から3年。ターマックは「SL8」へと進化します。「すべてを征す一台」という表現と共にリリースされた文章は以下の通りです。
Tarmac SL8は、空力性能、軽さ、ライドクオリティーをこれまで不可能とされてきたレベルで達成し、先例のないスピードを実現。20年以上の開発を重ね第8世代となったSL8 は、Tarmac史上最速なだけでなく、世界最速のレースバイクです。あなたもぜひ、最新世代を体感してください。
スペシャライズドエンジニアの自信の程が伺える文章ですね! 期待が高まります。
SL7との違い
注目すべきは先述した文章冒頭に示された以下の三点です。
- 空力性能
- 軽量性
- ライドクオリティー
空力性能
元々、スペシャライズドには「Venge(ヴェンジ)」という空力性能=エアロ性能に特化したエアロロードバイクがラインナップにありました。リリース当時は世界最速のロードバイクとして大きな注目を集めていましたが、ターマックを開発する中で、スペシャライズドは自社製品であるヴェンジを過去のものとする決断をしました。
「空力、もしくは軽さの一方だけを重視したバイクは時代遅れ」とスペシャライズドのエンジニアは語ります。重要なのは「速いかどうか」であり、エアロ効果が抜群でも軽さや乗り心地が悪ければトータルでは遅くなってしまいます。
スペシャライズドは自社風洞実験施設「Win Tunnel」での試行錯誤を10年重ねてきました。「見た目のためではなく、効果の得られる部位に空力性能を」という考えのもと、今回手を加えられたヘッドチューブ、ステム一体型ハンドル、シートチューブはSL7と比べて大きく変更された点の一つ。
結果として距離40kmの走行でSL7と比べて16.6秒も速く走行できるように。200km近いレースで数秒を争う世界ではこの数字はあまりに衝撃的です。
かつて最新であり最速であったエアロロードのヴェンジを上回る空力性能を獲得したターマックSL8は、速さを求めるサイクリストにとってこの上なく魅力的に見えるに違いありません。
▼ラピッド コックピットって?
軽量性
ロードバイクの性能を語る上で最も分かりやすい指標の一つがこの軽量性です。新型ターマックSL8のフレーム重量は脅威の「685g」。かつてのターマックSL7と比べて15%も軽くなっています。
スペシャライズドのラインナップ中、もっとも軽いエートスの585gには及びませんが、先述したエアロ性能や剛性、ライドクオリティーなど総合的に見ればやはりこのターマックSL8は非常にバランスが良く文字通り「オールラウンダーバイク」であることが分かります。
レースを強く意識しているだけあって、スペシャライズドが今回掲げた目標は以下の二つです。非常に実践的です。
- 空力性能を過去最高のレベルにまで高めること
- パワーメーターやペダルなど、実際のレース に必要なコンポーネントをすべて備えたときに、UCI規則ギリギリの重量で組み立てられるようにすること
特に2.に着目した時にはこの「685g」というフレーム重量は非常に大きなアドバンテージとなり得ます。
レースシーンで有利に働くのはもちろんですが、ヒルクライムやロングライドと言った日常的なロードバイクの楽しみにおいても軽さはやはり正義。ターマックSL8でいつものサイクリングコースを走ってその違いを実感したい!と思ってしまいますね。
ライドクオリティー
「過去最高のライドクオリティーとハンドリング性能」を有する今回のターマックSL8。重量剛性比は33%、スムーズさが6%向上、とのことですがもう少し分かりやすくいうなれば「乗っていてとても気持ちの良いバイク」に仕上がっている、ということです。
例えば重量剛性比が上がる、とはつまりペダルを踏んだ時に気持ち良く加速してくれるということ。気持ち良く加速するためにはフレームの設計や素材が優れていないといけません。スムーズさはしなやかさ、バランスの取れた乗り心地とも言い換えることができます。
実はこのライドクオリティー、他の性能を突き詰めながらも提供してくれるバイクはそう多くありません。「軽いけどピーキー過ぎる」「エアロ性能はすごいけどもっさりしてる……」といった特化型のバイクも多い中、新型ターマックSL8は欲張りにもすべての要素を追求しているようです。
「すべてを征す一台」とはまさにこのことなのでしょう。
万人のためのバイク
スペシャライズドには「Rider-First Engineered™︎」という考え方が根付いています。ライダーファースト・エンジニアードとは、すべてのバイクで一貫した性能を確実に発揮させるスペシャライズドのデザインアプローチのこと。登坂性能、スプリント、コーナリングなどの性能が、すべてのサイズで、すべてのライダーに、最適な形でもたらされるように設計されています。
「すべてのサイズで意図通りのパフォーマンスを確実に発揮させること」文章にすると簡単ですが、実現するには想像以上の手間とコストがかかるもの。新型ターマックSL8は44cm、49cm、52cm、54cm、56cm、58cm、61cmの7 種類が用意されています。 (2023年8月現在、61cmは日本未展開)
欧米のサイクリストに比べて身長や体格、骨格が異なる日本人サイクリストでも、自分に合ったベストなサイズのフレームに乗ることができるのはとてもありがたい話。どんなに優れたバイクでもフィッティングに失敗すれば台無しです。
万人のために用意される新型ターマックSL8は非常に懐の深いバイクとなりそうです。
ユーザーフレンドリーなターマック
BB規格は前作ターマックSL7と同様のシェル幅68mmのスレッド式(BSA)が採用されており、メンテナンス性が向上。シマノクランクを使う際にもアダプターが不要になり軽量化にもつながります。
また最大タイヤ幅は4mmのクリアランスを残した状態で32mm幅のタイヤを装着可能。昨今主流となりつつある30mm前後のタイヤを許容してくれるのは嬉しいポイントです。
エンドの規格はフロントが100×12mm、リアが142mm×12mmのスルーアクスル仕様。ディスクブレーキの規格はフロントが160mmローター、リアが140mmまたは160mmのローター対応(いずれもシマノフラットマウント)となっています。
55/42tまでのチェーンリングに適合し、パワーメーターポッドを左右のクランクアームに取り付けることが可能です。また、フロントディレイラーハンガーは着脱式であり、フロントシングルで運用することも可能です。
専用設計や独自規格を採用するバイクが多い中、総じてユーザーフレンドリーな設計だといえるでしょう。一般サイクリストにとっては嬉しいポイントです!
ラインナップ
期待の高まる新型ターマックSL8、日本での販売開始は8月18日(金)予定とのこと。
スペシャライズドいわく、“ライド中の胸の高鳴りを表現したバイクカラー”にも注目です。
※ターマックSL8は電動ドライブトレインと油圧ディスクブレーキ専用設計
S-Works Tarmac SL8 – Shimano Dura-Ace Di2
価格 | ¥1,793,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58 |
カラー | 2色展開 |
S-Works Tarmac SL8 – SRAM Red eTap AXS
価格 | ¥1,738,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56 |
カラー | 2色展開(SATIN FOG TINT / GREEN GHOST PEARL / RED GHOST PEARL FADEはDi2モデルと同色) |
S-Works Tarmac SL8 Frameset
価格 | ¥737,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58 |
カラー | 5色展開(SATIN FOG TINT / GREEN GHOST PEARL / RED GHOST PEARL FADEはDi2モデルと同色) |
S-Works Tarmac SL8 Ready to Paint Frameset
価格 | ¥737,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58 |
カラー | 1色展開 |
【限定】プロジェクトブラックLTD
Tarmac SL8 Pro – Ultegra Di2
価格 | ¥1,100,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58(GLOSS PINE GREEN METALLIC / WHITEのみ) |
カラー | 2色展開 |
Tarmac SL8 Pro – SRAM Force eTap AXS
価格 | ¥1,045,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58 |
カラー | 1色展開 |
Tarmac SL8 Expert
価格 | ¥825,000 (税込) |
サイズ | 44、49、52、54、56、58 |
カラー | 3色展開 |
最新で究極のオールラウンダーバイク爆誕
「空力性能 x 軽量性 x ライドクオリティー = 速さ」という方程式で開発された新型ターマックSL8。
距離40kmの走行で16.6秒を短縮、スペシャライズド史上もっとも空力性能に優れたロードバイクであり、ワールドツアー出場バイク中最軽量であるフレーム重量「685g」のロードバイクであり、重量剛性比が33%、スムーズさが6%向上し過去最高のハンドリング性能、快適性、反応性を誇るロードバイクである新型ターマックSL8。
名も知らない新興メーカーが語ると疑ってしまいそうですが、スペシャライズドが自信満々で語るのであれば期待せずにはいられません。膨大な時間とコスト、長年の研究と開発によって生まれた新型ターマック。今後のオールラウンダーロードバイクの新たなベンチマークになること間違いありません。
フルカテゴリーをラインナップしながらアップデートし続けるスペシャライズド。これからの情報にも期待です!
All photos (C) Specialized
LINK: Specialized
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WRITTEN BY神楽坂つむり
ブログ「つむりの悠々自適ライフ」の管理人 大学時代に自転車と出会い、暇があれば各地をツーリングする日々。 最近では海外旅にも挑戦中。機材ネタや旅のノウハウ、旅レポートを執筆中。 http://tsumuri5.com/