ほぼ毎日がトライアスロン-スペシャライズド・ジャパン代表 望月秀記さんの競技生活(前編)
サイクリストなら誰でも一度は聞いたことがある自転車メーカー「スペシャライズド」。競技用の本格的なものから、ファンライド用のライトなものまで様々な自転車をリリースしている。読者の方の中にはスペシャライズドのファンだという方も多いだろう。
今回は神奈川県本厚木にある同社のザ・スペシャライズド・ラウンジに伺い、スペシャライズド・ジャパン代表の望月秀記さんにお話を伺った。
ほぼ毎日がトライアスロン、驚きの生活
望月さんの朝は早い。平日は4時半に起床、朝6時半には出社して、40~50kmを2時間かけて自転車で走る。昼休みの日課はランニングで、8kmほどランニングした後に、デスクでかきこむように食事をとる。
夜はジムでウェイトトレーニングとスイムに励むと聞く。ほぼ毎日トライアスロンをしているような状態だ。
望月さんは、9歳の頃から競泳の選手として活動していた筋金入りのアスリートで、高校時代にはインターハイにも出場している。
社会人になってからはスポーツから離れる期間もあったが、現在は年に3度トライアスロンの大会に出場し、自転車レースやマラソン大会にも参加しているそうだ。
デスクワークで一日6時間座りっぱなしは僕だけではなく、多くの読者の方から見ても、望月さんの生活はストイックだと感じるものだろう。
望月秀記さん(以下、望月)「僕の生活は、嫁から見るとたぶん狂ってると思われているでしょうね(笑)社内には競技に参加する社員もいますが、『社長にはついていけません』と苦笑いする者もいます。でも僕は自分のことをストイックだと思ったことはないんです」
競技に参加する社員も多い同社の中で、今回ご紹介していただいたのは、同社の財務部長を務める小松亮さん。小松さんも2008年からトライアスロンを始め、スイム 3.8km・バイク180km・ラン42.195kmのアイアンマンレースにも参加している。
望月「小松はすごいんですよ、『ちょっと走ってきます』と言って30kmくらい走ってきちゃうんです。でもレースに出ると、80歳を超えた方が僕たちより良いタイムを出したりするんです。それを考えると、とても自分がストイックだとは思っていられません」
競技は万に通じる
つい先日もツール・ド・おきなわを完走した望月さん。レースには4,500人が参加し、それは激闘という言葉がふさわしい、全長140km、高低差2,500mを超える5時間のレースだったと聞く。
望月「ツール・ド・おきなわの参加者は、参加するまでの一年間をかけて、レースに参加しているんです。日々のトレーニングや体調管理をするには、時間もお金、食べ物も全てコントロールする必要があります。一年間ずっと体をマネジメントして、本番に臨む。そんな猛者ばかりが参加するんですよ」
スタートしてからは、給水ポイントは3回しかないツール・ド・おきなわ。炎天下の長いレースの中、水の取り方やペースの取り方をコントロールすることが必要だったと望月さんは言う。
望月「他のレースと同じく、ツール・ド・おきなわでも集団で走ってローテーションをしていくんですよ。その中で『お前先行けよ』とか『じゃあ先に走るから少ししたら交代ね』というやり取りがある。それはビジネスにも通じるんですよね。会社もチームワークで動くものじゃないですか」
集団の中で走るローテーションはビジネスに通じる。これはレースだけでなく、仕事や家庭などあらゆるチームワークに通じるそうだ。
望月「ローテーションだけじゃなくて、他にも日常に活かせることが多いんです。例えば、走るモチベーション。スタート直後はテンション高く走れるけれど、途中で『あーつかれた』とか『でもやろう!』とかモチベーションに波があるんですよね。仕事でもそうじゃないですか。やる気のある時もそうじゃない時もある。それをマネジメントしていくことは仕事にも活かせます」
レースで走るまでの『セルフマネジメント』、集団で走ることで培われる『チーム運営』や『コミュニケーションスキル』、レース中に培われるモチベーションの『マネジメント』。確かにこれらは全て仕事にも活かされる能力だ。しかし望月さんの狙いはもっと先にあるという。
より高いレイヤーを目指して
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WRITTEN BYスズキ ガク
1986年生まれのライター・編集ディレクター・元自転車屋の店員/ 大学を卒業後、自転車日本一周と、ユーラシア大陸輪行旅行を行う。 編集ディレクターとしての担当媒体は「未来住まい方会議 by YADOKARI」