これは驚き!スペシャライズドが新型Diverge発表、リアに革新的サスペンション機構をもつグラベルロードが誕生!
ちょっと衝撃的すぎる。スペシャライズドのグラベルロード、Diverge(ディヴァージュ)からニューモデルが発表されました。
その名も「Diverge(ディヴァージュ)STR」。ひと目で衝撃を受けるのがシートポストとフレームの接合部分ではないでしょうか。スペシャライズド独自の振動吸収機構「Future Shock」が全く新しい形でリアに搭載されているのです。もちろんフロントのFuture Shockも前作に続き健在です。
21日に解禁となったばかりのニューバイクの真相を、神楽坂つむりさんと一緒に紐解いていきましょう。
目次
完全新作のグラベルロード「ディヴァージュSTR」
こんにちは。自転車ブログ「つむりの悠々自適ライフ」管理人の神楽坂つむりです。
とてもユニーク、革新的、そして魅惑的なグラベルバイクがリリースされました。スペシャライズドのディヴァージュSTR。
オンロードとオフロードをシームレスに楽しむグラベルシーンに対して、スペシャライズドが幾多の研究開発を重ねて出した答えとなる今作。詳細をチェックしていきましょう。
前後にFuture Shockを搭載
今作はディヴァージュSTRという名前がつけられていますが、同社のグラベルバイク・ディヴァージュの進化版です。
ディヴァージュはより過酷、よりタフな環境下でも優れたパフォーマンスを発揮するようにフレームやジオメトリが設計され、直進安定性が高く、また振動吸収性が高いのも特徴でした。同ブランドのエンデュランスレーシング・ルーベの開発で培った技術であるFuture Shock2.0が採用され、石畳を走るために開発されたそのサスペンション機能はグラベルライドにぴったりです。
今作の注目はやはり、前後に搭載されたFuture Shock、特にリアの機構でしょう。
Future Shock リア
- A: ホイールが段差に衝突すると、後輪が上方へ移動
- B:「フレームポスト」が呼応し、スプリングが後方へ動く
- C: トラベル方向は後輪の軌跡と逆方向で釣り合う
- D: ダンパーは、フレームポストの前後方向の動きを制御し、シッティングポジションでのスムーズな走行を実現
- E: ライダーは同じ位置に留まることが可能
「Future Shock」ショック!
ここで今一度Future Shockのおさらいを。Future Shockとはスペシャライズド独自の振動減衰機構で、前作ではフロント、つまりヘッドチューブ〜ステム内に施されていました。
マウンテンバイクやグラベルバイクといったオフロードをフィールドとして楽しむバイクにとって一番の敵が悪路。凸凹な路面状況でも快適に走られるように開発されました。
同社はフルサスペンションマウンテンバイクの開発を長年しているため、いわゆる「サスペンション」によるオフロード対策のノウハウや技術はピカイチ。ですがグラベルバイクに同じようなサスペンションを搭載すると、どうしても挙動が重くなりロードバイクのような軽快さが損なわれてしまいます。
DIVERGE STRのコンセプトエンジニアであるクリス・ダルージオはこのように語っています。
「振動から切り離さなければならない のはホイールではなく、ライダーだ」
「ロードバイクならではの、ダンシングでペダル を強く踏み込んだときにグイと前に出る感覚。そ して、両輪とも確実に接地させ、安心感を高める走り。その二つがグラベルではとても重要」
この命題に対する答えがマウンテンバイクのサスペンションシステムとは大きく異なる今作のディヴァージュSTRに採用されたテクノロジーでした。
リジッドフレームが持つ鋭い加速感や軽快なハンドリング性能はそのままに、ライダーを振動から切り離すことに成功したと言うのです。まだ実際に乗ったわけではないのでその真価については語ることができませんが、研究開発ヒストリーに触れてみると期待を膨らませずにはいられません。機会があれば乗ってみたい!
※以下は公式リリースより抜粋
ダンピングを調節できるFuture Shockは、フロント20mm、リア30mmのトラベルを備え、路面振動を吸収してライダーに衝撃を与えません。荒れた路面での操作性や走破性に優れていると同時に、ペダリングパワーを逃さず伝えます。パワー伝達の面で見ればリジッドフレームであると言えるため、ペダルを踏み込んだ瞬間、前へ飛び出すような加速に驚くはず。軽快さや優れた反応性を備え、路面状況を的確に把握しながら体力を効率的に配分して快適に走れるようにするシステムです。
グラベルバイクとしての魅力
また、注目されがちなサスペンションシステム以外にもグラベルバイクとしての魅力が詰まっているので紹介しましょう。
ダウンチューブに設けられたフレームガードやストレージ、各種ダボ穴、浅いドロップ量のハンドルなど「グラベルライダーに必要なもの」が詰まった冒険をしたくなる一台に仕上がっています。
ストレージボックス SWATポッド
ダウンチューブのSWATストレージには、ライドに必要な ツールや補給食を入れられ、ジャージのポケットを揺さぶってライドを邪魔することはありません。
グラベルライドは過酷なシーンもあり、ボトル類も気づいたら汚れたりひどい時にはぶっ飛んだりするもの。内部ストレージは安全性や確実性と言う観点で、オフロードシーンでは特に有効だと言えます。
タイヤクリアランス
グラベルの走破性を決めるもの。フレーム性能でもサスペンションでもなく、最も重要なのはタイヤと路面の関係性です。私自身、グラベルバイクを何台か乗っていますが結局のところタイヤです。元も子もないように聞こえるかもしれませんが、事実です。
ディヴァージュSTRは700cのホイールで は47mm幅まで、650bでは2.1インチ幅までのタイヤに対応しています。スペック表には書かれませんが実際にはこれよりもう少し太いタイヤも履けるとのことです(左記のタイヤ装着時でも最低6mmのクリアランスを確保)。スペシャライズド史上最も走破性の高いグラベルバイクと言えます。
バイクパッキング的発想
Diverge STRには豊富なダボ穴が用意されています。トップチューブ、ダウンチューブ、フロントフォーク横に様々なラックやゲージ、バッグを装着することが可能です。高い走破性を保ちながらキャンプツーリングに出かけることだって出来てしまいます。快適な走りは体力の温存に繋がるので、より遠くまで冒険するのにもピッタリと言えるでしょうか。
注意点もあります。直線と曲線で構成されたフレームは前三角上部、トップチューブ後方にまでシートステーが貫いているためにフレームバッグの種類によっては上手く取り付けられません。また、あまりに重いサドルバッグを装着してしまうとシートポストのしなりが失われてしまい本来の性能を発揮できなくなる恐れがあり、このあたりは注意が必要となるでしょう。
完成車は2グレード、フレームセットでS-Worksを展開
国内展開は以下のとおりです。
※以下すべて公式リリースより
- DIVERGE STR EXPERT
- DIVERGE STR PRO
- S-WORKS DIVERGE STR FRAMESET
DIVERGE STR EXPERT
Diverge STR ExpertはFACT 11rカーボンのフレームセットに、前後のFuture Shockサスペンションを搭載しています。グループセットにはすばやく効率的なシフティングで定評のあるSRAM Rival eTap AXS Eagleを選択。10-50tのカセットを組み合わせ、あらゆる地形を⾛破できるようにしました。
Roval Terra CホイールとTracer Pro 42mmタイヤがこのバイクの⾜元をサポート。Adventure Gearアルミ合⾦バー、S-Worksカーボンシートポスト、Power Expertサドルが各部のタッチポイントを⽀え、Diverge STRの⾛りを最⼤限に⾼めます。
価格:990,000円 (税込)
DIVERGE STR PRO
Diverge STR ProはFACT 11rカーボンのフレームセットに、前後のFuture Shockサスペンションを搭載しています。グループセットにはすばやく効率的なシフティングで定評のあるSRAM Force eTap AXS Eagleを選択。10-50tのカセットを組み合わせ、あらゆる地形を⾛破できるようにしました。
Roval Terra CLホイールとTracer Pro 42mmタイヤがこのバイクの⾜元をサポート。Terraカーボンバー、SWorksカーボンシートポスト、Power Proサドルが各部のタッチポイントを⽀え、Diverge STRの⾛りを最⼤限に⾼めます。
価格:1,210,000 円(税込)
S-WORKS DIVERGE STR FRAMESET
S-Works Diverge STRはFACT 11rカーボンのフレームセットに、前後のFuture Shockサスペンションを搭載しています。
価格:825,000円(税込)
グラベルバイクに新しい衝撃を
ディヴァージュSTRは速さだけではない、快適性にフォーカスした次世代のグラベルバイクと言えるかもしれません。ライダーを路面振動から切り離すFuture Shockサスペンションを前後に搭載、47cまでのタイヤクリアランスとSWATストレージ、軽量で機敏な反応性を誇る1,050gのFACT 11R リジッドカーボンフレーム、バイクではなくライダーを 路面の振動から切り離すテクノロジー……。
グラベルバイクは市場が広がり車種もたくさん増えてきました。良い意味で悪い意味でも一旦落ち着いたタイミングかなと思いきや、ディヴァージュSTRは革新そのものと言えます。ぜひ一度機会があれば実車に触れてその真価を確かめたい!と思わせてくれる一台です。
>> スペシャライズドをもっと知る
All photos (C) Specialized Bicycle Components.
LINK: SPECIALIZED
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WRITTEN BY神楽坂つむり
ブログ「つむりの悠々自適ライフ」の管理人 大学時代に自転車と出会い、暇があれば各地をツーリングする日々。 最近では海外旅にも挑戦中。機材ネタや旅のノウハウ、旅レポートを執筆中。 http://tsumuri5.com/