DAHON、Tern 2017年モデル新製品展示会レポート
今回は折りたたみ自転車メーカーDAHONとTernの2017年新製品展示会に行ってきました。その模様をご紹介します。
目次
DAHON2017ラインナップ
折りたたみ自転車の発展に一番貢献したブランドがDAHONであることに異論を唱える人は少ないと思います。特に3ステップでコンパクトに折りたためるシステムは、非常にシンプルかつ簡単でたくさんの折り畳み自転車メーカーが採用しています。今もなおDAHONは折りたたみ自転車を引っ張る存在です。
フラッグシップにふさわしい風格
Mu Elite (参考価格:290,000円)
MuシリーズはDAHONの顔ともいうべき存在です。特にMu Elite はドロップハンドル仕様でロードバイクと同じような前傾を取るためDAHONのランナップ中一番の走破性を誇ります。
ギア周りは中級ロードバイクにも採用され、非常にパフォーマンスの高いシマノ105をメインで組まれています。走れる折り畳み自転車という事で、ホイールは20インチでも451サイズを採用。451とは、2種類ある20インチ規格のひとつでタイヤの内径が451mmという意味。もう一つは406というサイズなので、一回り大きいことがわかると思います。この451を採用することで20インチながらスピード感を得ることができるのです。10.0kg。
DAHON最軽量モデル
Mu SLX (参考価格:税別192,000円)
DAHONのラインナップで一番の軽量バイクです。同じMuシリーズでもEliteと違いフレームは軽量化重視の専用設計で、随所に車体を軽くするための軽量パーツを採用。そのためフロントギアは装着されていません。ホイールもスポークをぎりぎりまで減らし、折りたたみ時のコンパクトさを考えた406サイズとなっています。
軽量かつコンパクトなため、輪行をするにも最適な1台です。8.6kg。
往年の人気フレームが復活
Helios (参考価格:税別109,000円)
以前からDAHONに乗っている方はご存知かもしれませんが、往年の人気フレームHELIOSが今回シングルスピードとして復活しました。ゆっくりと気ままにサイクリングを楽しんだり、近所の買い物など、トラブルの少ないシングルスピードは長く付き合える1台になるでしょう。
後にギアを取り付けたいと感じたら、パーツをそろえれば多段化も可能で、非常に幅広いポテンシャルをもったバイクです。写真は限定カラー。9.6kg
クラシックな佇まいのロングセラーモデル
Boadwalk D7 (参考価格:税別60,000円)
こちらもDAHONの歴史には欠かすことのできないロングセラーモデル、Boadwalk D7です。一番の特徴は、クロモリ(スチール)フレームだという事。細めのフレームにレザー風のサドルがクラシックな佇まいです。全6色のカラーバリエーションも魅力のひとつ。12.4kg。
コンパクト重視の実用的モデル
Curve D7 (参考価格:税別68,000円)
20インチをメインにラインナップするDAHONの中では少数派の16インチホイールです。走破性は20インチに劣るも、何よりもコンパクトになり、自家用車のトランクに入れるのも容易です。車で出掛けた際にちょっとサイクリングするにも非常にピッタリの1台ですし、前後に泥除けも標準装備されているので急な雨にも対応できる実用的な1台です。11.6kg。
Tern2017ラインナップ
Ternは2011年、DAHONの創業者の息子によって設立されたブランド。ミニベロメーカーと思われがちですが、DAHONの折り畳み技術やコンパクトさを尊重しつつ、街乗り用としていかに快適な自転車を作れるかを常に考えているブランドです。
今回は、Ternが日本のデザインチームKitt designとのコラボレーションで生み出されたモデルをメインにご紹介します。
上質感を表現した大人の街乗りスタイル
Gleam (参考価格:税別158,000円)
ブラックとシルバーでシンプルかつ大人な雰囲気をもつクロモリ(スチール)フレームGleam(グリーム)。一見シングルスピードにようなデザインですが、ロードバイクコンポーネントのTIAGRAを使用。前2枚、後ろ10枚の合計20段変速です。タイヤはロードやクロスバイクによく使用される700ホイールではなく一回り小さい650Cを採用。スピードだけでなく街乗りに重要な安定感をバランスよく保つためでしょう。
特筆すべき点として、シートポストの根元には、クロモリの溶接跡を滑らかに見せるためにフィンの様な加工を施しています。デザインチームとのコラボレーションだけあり、このような手間がかかる加工をあえて行うことで上質感を表現しています。
身長に最適化されたサイズ構成
Rivet (参考価格:税別69,000円)
Rivet(リベット)はコストパフォーマンスに優れた1台です。幅の狭いドロップハンドルは常に変化する交通状況に機敏に反応すると同時にクラシックさも際立たせます。ギアは街乗りには最小限かつ十分な8段変速。通常はGleamと同じ650Cホイールですが、身長170センチ以上に対応する54サイズのみ700Cとなり、身長に合わせて最適な仕様となっています。
フロントギアは1枚の為チェーンの脱落が心配されます。それに対応したチェーンキャッチャーが標準装備。段差でチェーンが暴れて外れることを防ぎます。フレームカラーは全4色。
選べるカラーバリエーション
Clutch (参考価格:税別51,000)
TernとKitt design がコラボレーションした中で一番ベーシックなモデルがClutch。フレーム素材はアルミ、フロントフォークはスチールでしなりを生かした振動吸収性と強度があります。Rivet同様54サイズは700Cホイールが標準仕様で、ベーシックでありながらもラインナップ中一番のカラーバリエーションです。
Surge (参考価格:税別89,000円)
Surge(サージュ)はミニベロでありながら街乗りはもちろん、451規格を採用したことでロングライドなど多方面で活躍ができるバイクです。ハンドルからサドルまで水平に薄く伸びるホリゾンタルフレームがスポーティさを強調しています。
ギアはシマノの中でもスタンダードなコンポーネントであるClaris。前2段、後ろ8段の合計16段です。手元で変速とブレーキを一貫して行えるSTIレバーが本格的ロードバイクに乗った感覚へ導いてくれそうです。
まとめ
以上がDAHONとTernの2017年モデル展示会のレポートです。DAHONとTern、はじめはどちらも折りたたみ自転車を作っているメーカーのひとつだと思っていましたが、それは全くの勘違いでした。
DAHONは折り畳み自転車のパイオニア的存在であるがゆえ、常に革新的な技術、システムを追い求めています。Ternの理念は街乗りに一番ベストな自転車は何かを常に追求することであり、ミニベロや折り畳み、クロスバイクなどのジャンルにとらわれない柔軟な考え方を持っています。Kitt design とのコラボレーションでもわかるように乗り心地だけではなく、いかにカッコよく、おしゃれに乗ることが非常に重要であると教えてくれるブランドです。
両ブランドのこれからの発展や立ち位置が非常に楽しみになりました。
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WRITTEN BYVIKING the MAINTENANCE
都内のプロショップに10年間在籍後、2015年VIKING the MAINTENANCE を設立。東京・西新宿を拠点にスポーク自転車の組付け、カスタマイズ、メンテナンスを軸に展開中。年2回富士山麓でサイクルイベントも企画中。 http://www.viking-the-maintenance.com/