自身の足で移動し、遠方に行くことはサイクリングの醍醐味。しかし、時間が限られている場合や天候が悪い場合など、1日の移動距離が限られる場合があります。そのような時に役立つのが「輪行」という移動方法です。
輪行を知ることで、状況に合わせて最適な移動を選ぶことができ、サイクリングをより楽しむことができます。今回はユーラシア大陸を輪行し、8ヶ月間旅して来た筆者が、はじめての方にも分かる輪行の方法をお伝えします。
目次
「輪行」とは?
あまり耳慣れない言葉、輪行とはなんなのでしょう?
輪行とは、「電車・バス・飛行機など、公共交通機関に自転車を持ち込んで運ぶこと」です。もちろんそのままでは運ぶことができないので、タイヤを外し、輪行用の箱やバッグに自転車を包んで運びます。
輪行のメリットは、移動にかかる体力の温存や、移動時間の短縮になること。例えば、休みは1日しかないけれど、50km離れた場所に日帰りでサイクリングしたいという場合。行きの50kmを輪行して、帰りの50kmを自転車で走ることで、日帰りで遠距離までサイクリングすることができます。
国内の場合、高速バス各社は、輪行袋に入れた状態でも自転車の持ち込みは断られる場合が多いので、鉄道を利用することが多くなるでしょう。
輪行袋ってなに?なぜ使わないといけないの?
輪行袋とは、自転車を包むための布製のカバーのこと。現在、自転車を公共交通機関に乗せる場合には、専用の袋に入れて、自転車の周りをカバーする必要があります。
これは他の乗客の荷物や衣服を汚さないため、また乗り物の内装を傷つけたり汚さないために義務づけられているものです。輪行袋がない場合、大きなゴミ袋などでも代用可能ですが、断られることがほとんどなので、輪行をするときは専用の袋を用意しましょう。
縦型?横型?輪行袋の種類とは
輪行袋には大きく分けて2種類の形があります。
縦型:フレームを縦に入れるタイプ
横型:フレームを横に入れるタイプ
両タイプとも前後輪を外して入れることに変わりはないのですが、それぞれ以下のような特徴があります。
縦型
占有スペースが小さめなので乗り物内で迷惑になりづらいが、リアディレイラーを保護する別パーツが必要。縦に長くなるため、身長が低い人には扱いづらい。
横型
占有スペースは大きめだが、自転車が安定するため置きやすい。収納時の高さが低いので階段でひっかかりづらい。開口部が大きくなるため、縦型より出し入れがしやすい。
以上のような特徴から、どちらも一長一短と言えます。使用する状況に合わせて使用するタイプを選んでください。
なお、横型には前輪のみを外すものがあり、サイズが規定より大きくなってしまうものがあるため、持ち込みを断られる場合があります。そのため、購入を検討されている方は、縦型の方がベターです。
おすすめの輪行袋メーカー
オーストリッチ(OSTRICH)
日本製の輪行袋と言えば、「オーストリッチ(OSTRICH)」です。昭和45年に東京都墨田区で創業し、品質の高い製品を安定して供給しています。重さは200g〜1kg、値段は5,500〜15,000円ほど。少しデザイン製には欠けますが、布地や縫製もしっかりとしていて評判の良いメーカーです。
タイオガ(TIOGA)
日本国内の自転車の総合パーツメーカーTIOGAはタイヤ、グリップ、サドルなどほぼ全ての自転車パーツを手がけています。輪行袋も販売しており、3,600〜5,000円前後の手頃な価格のものが手に入ります。
Road Pod?¥3,800+税
価格の違いは布地の厚さや、パーツを仕分ける仕切り板の有無など。布地が薄い場合は重量が軽いのですが、その分耐久性が低く、サイズも小さく折り畳め、布地が厚い輪行袋はその逆の特徴を持ちます。
ヘビーユースならば厚手の生地で、急なトラブルに対処するためならば持ち運びやすい薄手で軽量のものを用意しておくなど、用途に合わせ輪行袋を用意しましょう。
輪行に必須の輪行用グッズ
輪行には、輪行袋以外に必要なものがあります。
エンド金具
ホイールのハブ部分を外した箇所に挟み込むパーツです。フレームやフォークのゆがみを防止します。
出典:Amazon OSTRICH(オーストリッチ) エンド金具 フロント用 ロード・MTB兼用 ¥936
ホイール固定ベルト
外した前後ホイールをフレームに固定し、輪行中の傷や故障を防止します。
出典:Amazon OSTRICH(オーストリッチ) 中締ベルト 軽量型 3本組 ¥693
自転車用六角レンチ
輪行袋によってはハンドルを横向きにする必要があるので、固定ネジをゆるめるために使用します。
出典:Amazon TOPEAK(トピーク) Mini 9 TOL12600 ¥1,979
あったらいいものは
チェーンカバー
チェーンをカバーし、輪行袋内の汚れを防止します。
出典:Amazon オーストリッチ(OSTRICH)チェーンカバー【輪行用アクセサリー】 ¥1,799
スプロケットカバー
後輪に付いているギアセット(スプロケット)をカバーし、他のパーツへの傷やオイル汚れを防止します。
出典:Amazon OSTRICH(オーストリッチ) フリーカバー ロード用 ¥1,899
いずれもフレームへの傷や故障を防止するものなので、自転車屋さんで購入しておきましょう。
輪行の大まかな手順
それでは、具体的な輪行の手順を説明します。
・タイヤを外したスペースにエンド金具を固定する。
・チェーンカバーとスプロケットカバーをかけ、前後タイヤをベルトでフレームに固定する。
・必要であれば固定用ネジをゆるめ、ハンドルの角度を変えて、輪行袋にしまう。
以上が大まかな手順です。
やり方はこの動画で紹介されているので、見ながら実際に練習してみましょう。
また、実際に作業する場合は、人通りの比較的少ない場所で、人の迷惑にならない場所で行いましょう。
終わりに
小さく折り畳んで、輪行袋に入れたとしても、自転車は物理的にかさばるため、公共交通機関の中で輪行者は肩身が狭いものです。実際に行う時は周りに迷惑がかからないように気をつけながら行いましょう。
慣れれば飛行機に自転車を積んで、海外でサイクリングを楽しむこともできますし、少ない休みでも遠方に向かうことができます。
ぜひ「輪行」を活用して自転車生活を楽しんでくださいね。