新しい自転車を購入するときや、タイヤを付けかえる際、気をつけたいのがタイヤのサイズです。タイヤの側面に幅や外径などが表示されていますが、規格によって表示が異なり、サイズ表示を見ただけでは分かりにくいものです。
しかし、表示のポイントさえ押さえておけば、誰でも簡単に確認することができます。ここでは、自転車乗りなら知っておきたいタイヤサイズの表示の見方と、サイズ別の自転車の種類についてご紹介します。
目次
【ポイント1】「3つの表示方法」と「2つの規格」を覚えよう
2つの規格
一般に普及している自転車のタイヤは、ビード部の形状の違いによって
- イギリス・フランスのWO(Wired On)
- アメリカのHE(Hocked Edge)
の2つの規格に分類されます。この2つの規格は、リムのはめ合わせ方が異なるため、互換性は全くありません。
タイヤサイズの表示3つ
タイヤサイズは全ての自転車で「タイヤの外径×タイヤ幅」で表示されています。
表記方法は2規格合わせて3つあり、
- インチ分数表示
- フランスミリメートル表示
- インチ小数点表示
に分かれます。
この3つの表記方法を覚えることが、自転車のタイヤサイズを正しく理解する第1歩になります。
WO規格の表記の見方
WO規格には2つの表記があります。
イギリスがインチ(タイヤの外径)×インチ分数(タイヤ幅)表示で、具体例を挙げると「26×1 5/8」のようになります。
フランスはミリメートル(タイヤの外径)×ミリメートル(タイヤ幅)に、リムのサイズを示すA・B・Cの添え字が付く表示で、「650×45C」のような形になります。
フランスミリメートル表示はレースから生まれた表記で、650Bのようにタイヤ外径のみを表示することもあります。
HE規格の表記の見方
HE規格は、インチ(タイヤの外径)×インチ小数点(タイヤ幅)表示で、「26×1.6」のように表示されます。タイヤ幅の表示に小数点表示があるのはHEだけですから、規格を間違えないようによく覚えておきましょう。
【ポイント2】ETRTO表示でタイヤサイズの互換性を確認する
タイヤサイズ表示の隣には、ハイフンで区切られた数字がついています。これは、規格ごとに表記が異なるタイヤとリムとの適合性を、分かりやすい統一基準で示した「ETRTO」というタイヤサイズ表示です。
ハイフンで区切られた数値は、タイヤ幅とビード径をあらわします。
上記でご紹介した3種の表示方法とは違い、外径ではなく、ビード径となっています。外径値だと、タイヤとリムのはめ合わせ具合やタイヤの太さなどに誤差が生じる可能性がありますが、ビード径は正確な数値であるため、タイヤサイズの互換性の確認に便利です。
この利便性から、競技用自転車を除く一般流通の自転車には、WO・HE表示に加えてETRTO が併記されるようになりました。
例えば、インチ分数表示の「26×1 5/8 47-571」と、ミリメートル表記の「650×45C 47-571」は、併記のETRTOの数値「47-571」が同じであることから、同一サイズであることが一目瞭然です。
買いかえや付けかえなどでタイヤの互換性を知りたいときには、ETRTO表示は強い味方となります。
【ポイント3】自転車別タイヤサイズ表示とタイヤの選び方
WO・HEの2つの規格には、それぞれ主要なカテゴリーがあり、自転車の種類で分類できます。
大人用ママチャリ
インチ分数表示のイギリスWO規格が使われているカテゴリーは、大人用ママチャリです。
普及率が高く、車種も多いママチャリは、基本的にWO規格の26インチと27インチのタイヤサイズを選ぶと良いでしょう。
ただし、中には前輪と後輪のサイズが異なるモデルや、特殊なタイヤを必要とするものもあります。身近な自転車ですが、個人で判断が難しい場合は販売店などに相談しましょう。
ロードバイク・クロスバイク
ミリメートル表示のフランスWO規格が使われているのは、ロードバイクやクロスバイクになります。
ロードバイクは、自転車のフレーム設計が700×20C?25C対応となっています。幅の広いタイヤサイズを選ぶときは、フレームと車輪の隙間の確認することがポイントです。
女性用の小型フレームの主流は700Cですが、最近では650C仕様のものも見られます。ETRTOのビード径をよく見て、適正のあるタイヤサイズを選びましょう。
クロスバイクは、WO・HEの規格が混在しており、不適合のミスが最も起こりやすいカテゴリーです。選ぶ際は必ずETRTOを基準にして確認し、ミスを防ぐようにしてください。
マウンテンバイク・子供用自転車
また、HE規格はマウンテンバイクや子供用自転車などに主に採用されており、タイヤが太いことが特徴です。
マウンテンバイクの主流はHE規格ですが、最近ではWO規格が参入したことで商品開発が加速し、これまでにないサイズが出たり、サイズ変更が行われたりしています。
大きな変化が起きているカテゴリーと言えるでしょう。注意点は、HE規格だけの表記であったタイヤ幅の小数点表記が、WO規格でも一部採用されている点です。
表示だけでは適応性の判断が難しいため、タイヤサイズの確認はETRTOのビード径でしっかりと行うことが大切です。
これらの分類を越えた自転車も現れてはいるものの、各規格を代表するカテゴリーが存在しています。タイヤサイズ表記を見るだけで、どんな自転車に適したタイヤなのか、大まかな見当をつけることができます。
おわりに
自転車の歴史の中で生まれてきた規格やタイヤサイズ表示は、規格や表記の混在による分かりにくさの一方で、タイヤの変化を伝える記録でもあります。規格による表示の見方のポイントを踏まえた上で、必ずETRTOも確認し、自分のモデルにぴったりのタイヤを手に入れましょう。
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