今回紹介するのは、メンテナンスの中でも比較的簡単なバーテープ交換。自分の手に触れる重要な部品であり、ロードバイクの印象を左右する部分です。自分で交換できるようになれば、その他のメンテナンスへのハードルもグッと下がるはずです。
バーテープ交換はみなさんが思っているよりよっぽど簡単です。大雑把に言えば……
交換時期になったら道具を用意して剥がして巻いて止める。
たったこれだけ!
もちろん要所要所でコツはありますが、一度覚えてしまえば10分程度で終わる至極単純な作業です。何も恐れることはありません、レッツトライ!
動画はこちら!
STEP0:交換時期を見極める!
まずはバーテープの交換時期を見極めましょう。極端な話、自分が変えたいと思った時がまさに替え時なのですが、以下のような場合は問答無用で交換しましょう。
- バーテープの表面が擦れてボロボロ(不衛生だし見た目も悪い)
- 端がほどけている(回転部に巻き込まれると大変危険)
- バーテープの間からハンドルが見えている(クッション、グリップ性能が著しく落ちる)
- 今のバーテープに飽きた(自転車に乗るモチベーションが下がる←これが一番危険!)
気持ちよく自転車に乗り続けるためにも、バーテープはこまめに交換しましょう。
STEP1:道具を用意する
さて、交換すると決めたからには、何はともあれとりあえず道具を揃えます。用意するものはたったの3つ。
バーテープ
まずはこれがないと始まらない。最近のバーテープは色も素材も実に様々ですが、とりあえず最初にオススメなのはコルク素材の無地テープ。よく伸び縮みするコルクは巻く際の力加減が調整しやすいです。
無地をおすすめするのは、ちょっとシワが寄ったり巻く間隔が均一でなかったりしても目立たないからです。上に挙げたBBBのバーテープはそういった意味で初心者に安心して薦められるバーテープだと思います。
バーテープ交換に慣れてきたら、グリップ性に優れるリザードスキンズやfi’zi:kなんかもオススメです。
fi’zi:kはイタリアのセラロイアルという会社のハイエンドモデルで、ツール・ド・フランスで走っているような一流のプロ選手にも愛用されているので確かな信頼性があります。スーパーライトモデルで軽量化にこだわりたい!という方におすすめです。
また、アイリブの和柄バーテープは、他の人とはちょっと違う自分を演出するのにぴったりな、和風でかわいらしいデザインのバーテープです。和柄が好き!って人にはもってこいですね。
▼この他にもバーテープをご紹介!
ビニールテープ
バーテープの端を留めるのに使います。特に専用品があるわけでもないので、コンビニで100円以下で売っているフツーのもので良いです。色はお好みでよいですが、明るい色だと汚れが目立つので、断然黒がオススメです。
はさみ
はさみ。
たったこれだけ!!!!(2回目)
STEP2:剥がす
とりあえず今巻かれているバーテープを剥がします。バーテープが巻かれていない場合や、ハンドル自体を新しくした場合は次の「巻く!!」をご参照ください。
ハサミを使っても良いですが、危ない上に自転車に傷をつける可能性もあるので素手で行きましょう。
まずはハンドル上部、ステムに近いところのビニールテープから剥がしていきます。
そのままほどいていくとブレーキのゴムカバーに差し掛かりますが……
カパッとカバーをひっくり返してここを突破しましょう。写真はSHIMANOの6700系アルテグラですが、どのレバーでもこの作業は変わりません(古いカンパニョーロだと親指シフトレバーに引っかかってゴムカバーが破けやすいので、慎重にひっくり返しましょう)。
レバーを過ぎて下ハンのテープも解いて、バーエンドキャップが外れたら古いバーテープの除去は完了です。
この時点でハンドル表面に両面テープなどのゴミが多く残っていた場合は、パーツクリーナー等を使って除去しておきましょう。
STEP3:巻く
さて、いよいよ全工程の中で一番ハードルの高い「巻き」です。一度巻き出すとテープで固定するまで手が離せなくなるので、ハサミやテープを手の届く範囲に置いてから作業を開始してください。
バーテープの巻き方にはたすき掛けなどいくつかの流派があり、それぞれで巻き始め、巻き方、ブレーキレバー周辺の処理、止め方が異なり長所短所があります。
本稿では私が採用している巻き方を紹介していますが、興味がある方は別の方法も調べてみると面白いかもしれません!
▼忍者巻き!?確かに刀の柄っぽい!
巻く方向について
バーテープの巻く方向は上の図のように、下ハン部分(赤)は内側に、上ハン部分(青)は手前側に向かって巻くことが多いです。
これにもちゃんと理由があって、ライド中に力いっぱいハンドルを握った時に、バーテープがより強く締まるようになっています。これを逆に巻くと力を入れた途端にバーテープが緩み、ハンドルが滑って落車…なんてことも起こりかねませんので注意しましょう。
さて、それではいよいよ巻いていきます。
バーテープの巻き方
下準備として、画像のようにバーテープの端から中指1本分程度を切り離しておいてください。これを仮に部品Aとします。
まずはハンドルバーの下端から巻き始めます。巻き始める前に両面テープの保護テープは全て剥がしちゃってください。写真のようにバーテープの幅半分くらいのところにハンドルバーの下端を押し付けます。
良い例
しっかりと下端が覆われているのが良い例です。
悪い例
クルッと一周巻いてください。この時、ハンドルバーの下端が覗く様に巻いてしまうとバーエンドキャップをはめるときに大変困ります。左の例のように、360°ハンドルバーの下端が覆われるようにバーテープを巻いてください。
良い例に沿ってさくさく巻いていきます。バーテープの1/3程度を重ねて巻くようにしましょう。
ハンドルの曲がりがきつくなって、外径と内径の長さが異なるところは、外径側が等間隔になるように巻いていきます。内径側を等間隔に巻くと、外径側からハンドルバーが露出するのでよろしくありません。
さて、ここまで来るとブレーキレバーが邪魔で今までどおり巻けませんので、変則的な巻き方をします。ここで必要になるのが部品Aです。
このように、部品Aをブレーキレバーとハンドルの接合部に沿うように配置します。
そしてその上からもう一巻きして……
もう一巻きしたら、ハンドルの内側から上側に巻き上げて、そのままハンドルの外側に向かって巻き続けます。
2~3回巻いたら、ブレーキレバーのゴムカバーを元に戻しましょう。
するとこのように、巻いてる最中ですが完成形がおおよそ見えてきます。
さっき使った部品Aが無いと、赤枠で囲った部分をバーテープが覆わず、バンドルバーが露出してしまいます。面積としては小さいですが完成度に大きく影響するので、ぜひとも綺麗に仕上げられるよう何度か微調整することをおすすめします。
あとは先ほどと同じ要領で、外径側の間隔が揃うように巻いていき、拳一つ分の握り幅ができれば巻き工程は終了です。
STEP4:留める!!!!!
ここまできたら後は留めるだけ!ですが地味にここでバーテープ巻き技量の差がでます。しっかりマスターして、愛車のバーテープを綺麗に仕上げましょう。
まずは、巻幅を決めたバーテープの赤線部に切れ込みを入れます。これはあくまで目印なので、見て分かる程度のごく小さい切れ込みでいいです。あまり深く切れ込みを入れるとそこから裂けてくるので注意!
切れ込みを入れたらさらにそこからもう一周巻き、こんどはさっきと逆側の赤線部に切れ込みを入れます。
切れ込みを入れた後一周分ほどくと、2つの切れ込みが写真のように斜めに結べると思います。この点線にそって、余剰なバーテープをハサミで切り落としてしまいます。
こうすることで、切り口がハンドルバーと垂直になり、見た目にも美しく上端を処理することができます。
あとは上端面をくるくるとビニールテープで留めて……
下端部をバーエンドキャップで留めれば完成!
※もちろん、左右両方とも巻くことを忘れないで下さいね。
最後に
いかがだったでしょうか。バーテープ巻きは一見ハードルが高そうに見えますが、ハサミで切らないかぎり何度でもやり直しが利きますし、万が一失敗してもバーテープの代金だけで済むので、初めてのメンテナンスにはもってこいだと思います。
お店に頼むと工賃だけで1,000円以上取られるバーテープ巻き。一度自分でチャレンジしてみては?