車道走行中に路肩の車のドアが急に開きそうな動作を見せたら、あなたならどうする?

FRAMEでは自転車に乗っている時に遭遇する場面を例に、実際にどんな行動が良いのか考える連載を行っていく。

前回の逆走のシチュエーションに引き続き今回は第二弾として今回は以下のシチュエーションについて考えてみたい。

この状況で何を考えて、何を考え・何をすべきかNPO法人自転車活用推進研究会の内海潤さんに執筆を依頼した。

内海さんの回答に移る前に、FRAME読者の回答を見ていこう。

車道中央へ膨らむ前の安全確認が大事

止まる方がかえって危険だという意見

車両との距離に心がけるという意見

あなたはどう考えるだろうか。それでは内海さんの回答を聞いてみよう。

路上駐車は必要悪ではない

路上に駐車しているクルマは自転車の天敵だ。いつ、いかなる動きをするか常に身構えて対処しなくてはならない。自転車で車道を走る際に用心する対象のひとつである。

荷捌きのため駐車をするトラックは経済活動にとって必要悪であって、やむを得ないという見方もあるが賛同しない。路上外駐車場を整備して台車で運ぶ方向で進めたい。自転車専用レーンやナビラインを整備しても路上駐車が常在するようだと危険だからだ。

宅配便のトラックを止める場所がなければ荷物が届かないと危惧する声もあるが心配ない。彼らが最も恐れるのは駐車トラブルだ。手間取っている時間は戦力ダウンになるため極力避けたいと考えている。

つい先日も代理出頭が明るみに出たから容易に想像できる。彼らは安心できる駐車場さえ確保できれば、荷物を玄関まで台車で運ぶ手間は惜しまない。その方が結果的に効率良く配達できるからだ。

ドアは、いつ開くか分からない


前方を走っていたクルマが路肩に止まったら、次の動作としてドアが開くのではと想像することができる。厄介なのは前後の脈絡なく開いた時だ。私の友人から聞いた話だが、彼は休憩に入ったタクシー運転手が仮眠した後にトイレへ行こうとして、後方確認を怠り急にドアを開けたところへ自転車で飛び込んで宙を舞った。

衝突の衝撃でタクシーのドアはボディから外れて落ち、彼は頭から地面に叩きつけられて頸椎を2本骨折した。ヘルメットをしていたおかげで幸い命に別条はなかったが、いまだに時々手が痺れるという。

教習所ではドアを開ける際に、まず10cmほど開けて後方確認してから全開にするよう教えているが面倒がって怠る人が後を絶たない。これに対処するには、自転車側が危険を察知して回避行動を取るしかない。

ドアの長さは1mほどあるが、乗り降りする際は全開にしないので最低1m離れて走れば回避できる

あまり大きく右に膨むと後方から来るクルマと接触してしまうので、駐車車両を追い越す際はバックミラーで後方を確認しつつ走るか、駐車車両の後ろで一旦停止して待ち、車列が切れたら発進する。この際も駐車車両から離れて走るようにしたい。

危険回避は情報収集から


あらかじめ1mほど離れて駐車車両を追い越すと決めていても、いざ直面すると対処が間に合わない場合もある。ドアは開かないだろう、発車しないだろうといった思い込みをする「〜だろう」運転を避け、開くかもしれない、発車するかもしれないと考える「〜かもしれない」運転を心掛けてほしい

その上で、様々な情報を収集し、予測を立てて危険に備えることが大切だ。前述のような走行していたクルマが路肩に駐車するケースは分かりやすいが、それ以外にも大きな荷物を抱えた人がクルマに近づいていたり、ハザードを点けていたクルマが消したりしたらドアの開く前兆だ。

ドライバー心理を察知して先回りすることで慌てず対処することができる。

路上駐車させない取り組みは始まったばかり

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昨年末に成立した自転車活用推進法の第八条に路外駐車場の整備と時間制限駐車区間の指定見直しについて書いてある。実は、法案の時点では時間制限駐車区間(いわゆるパーチケ)は削減して、代わりに路外駐車場を整備するべしと踏み込んだ表現になっていたのだが、成立間際になって法制局あたりが無難に丸めたようだ。

これは私の推測だが、警察官僚の顔色を見たのだろう。当の警察は2011年10月25日の課長通達で時間制限駐車区間を削減すると宣言したにもかかわらず、その後一向に減る気配がない。当該区間で収益を上げる交通安全協会には警察OBが多く在籍しており、現役官僚たちも先輩方の懐には手を突っ込みにくいのだろう。

よって路上駐車は官製迷惑と言えなくもないが、これまでの経緯もあるから、すぐに一掃できるとは思わない。以前に自活研で路上駐車の台数と近隣コインパーキングの空き状況を調査したところ、十分に収容できることが分かった。

少しの時間だからとか、みんなやっているじゃないかと言って道路に駐車する人が将来的に減ったり、あるいは駐車車両と自転車が共存しやすい工夫が施されたりすれば、少しは自転車が車道を安全に走れるようになる。

自活法の成立を機に様々な改善が期待できよう。それまでは自分の身を自分で守るべく、情報収集と危険察知で事故を回避してほしい。

FRAME編集部より

いかがでしたか? 内海さんの回答は情報収集と危険察知を怠らず、かつ1mドアとの距離を開けて走るべきというものでした。

またFRAMEのTwitterで回答を募集したツイートでは、大きく2つに意見が分かれていました。そもそもドアの開閉を事前察知することに努めるという意見と、実際にドアが空いた時にいかに事故を回避するかという視点からの意見が多かったです。

こうした問いをきっかけに、あなたも安全に自転車に乗ることについて改めて考えてみてくださいね。

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WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」「移動貧困社会からの脱却」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

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