夕日に映える来島海峡大橋
どもども。いまだ総走行距離1,000kmにすら達していないロードバイク初心者、けいろー(@Y_Yoshimune)と申します(ブログ「ぐるりみち。」)。
この前の記事でもちょろっと触れましたが、僕がスポーツ自転車と出会ったのは大学生時代のことです。
自転車サークルの体験入部で初めて乗ったのですが、一介の学生には手が届きようもない貴族の趣味――それが、当時のスポーツバイクに対する印象でした。あれから約8年が経ち、購入を決断した理由のひとつとして、「ある場所」を走った思い出の存在があります。
建設当時は世界最長の斜長橋だった多々羅大橋
それが、「しまなみ海道」。普段はあまり運動をしないような人でも、1日かければなんとかレンタサイクルで走破できる距離だと聞き、ノリと勢いでもって挑戦。走りきった達成感は他の何物にも代えがたく、また道中の景色のすばらしさも相まって、すっかりその魅力に取りつかれてしまったのでした。
自転車乗りさんにとっては鉄板かつ、すでにあちこちでその魅力が語られているスポットではありますが、今回はそんな「しまなみ海道」について。
初めてのレンタサイクル旅でしまなみデビュー
しまなみ海道の全マップ。
正式名称は「西瀬戸自動車道」、公募によって決まった「瀬戸内しまなみ海道」を略して呼ばれるしまなみ海道は、広島県尾道市と愛媛県今治市を結ぶ道路です。
瀬戸内海に浮かぶ6つの島々を経て、主に8つの橋を渡り、四国と本州を行き来できる全長約70kmの道行き。ルートの大部分で「自転車歩行者専用道路」が併設されているという特徴があり、自転車で快適に走れることから、サイクリストには人気の聖地となっています。
……という話を実は当時の自分は知らず、現地を訪れて「チャリで瀬戸内海を渡れるの!?」と初めてその存在を知って驚いたのでした。そもそも過去に四国を訪れたこともなく、本州との連絡手段も「瀬戸大橋と鳴門海峡と……船もあるのかな?」程度の認識しかなかったので。
尾道の町並み。
きっかけは、一人旅の最中に尾道を訪れたこと。「坂の街」として有名な尾道の街をひた歩き、千光寺公園まで登って楽しんだりなんだりしていたなかで、「しまなみ海道」の存在を知ったのです。
最初に目に入ったのは、ガイドマップの表記。そのときは「四国まで渡れるのかーすごいなー」くらいの感想しか持たなかったのですが、早朝のお散歩中だった地元のおじいちゃんと立ち話をしていたところ詳しく教えてくれて、俄然興味を持ったのでした。
見るからに健康体、「普段から運動してます!」という体格ではあったものの、それなりに高齢らしいおじいちゃん。そんな彼が生き生きと「イベントのときは大盛り上がりじゃぞ!」と話しているのを見たら……そりゃあ気にならないわけがないでしょう! 楽しそう!!
そのときは青春18きっぷで九州を目指していた途中だったため、なんとなく記憶にとどめる程度でスルーしてしまったのだけれど。――どうにもしまなみ海道が気にかかってしまい、大学卒業前に尾道を再訪。今治を目指して、レンタサイクル旅を敢行することにしたのでした。
初心者でも大丈夫?実際に走ってみた感想
しまなみ海道の自転車通行サイン。
全長約70kmのしまなみ海道は、聞くところによれば「それなりに体力がある男性ならば1日で走破できる」とのこと。僕自身、体育は苦手な根っからの文系男子ではありますが、「まあ気合いでなんとかなるべ」などと、最初は軽いノリで挑戦したような記憶があります。
……まあ実際、“なんとか”なったからこそ、その後も繰り返し訪れることになるわけで。
今治を目指してしまなみ海道を走るときには、スタートはいつもだいたいお昼前。夜行バスで早朝の尾道に降り立ち、午前中はぶらぶらと街歩きを楽しむ。さすがに正午スタートだと時間的に厳しいので、10:00〜11:00のあいだには自転車を借りて走りはじめるようにしています。
自転車はそのまま船に載せられる。
尾道港の公営ターミナルでレンタサイクルを借りたら、渡船で向島へ。自転車の貸出料金は、1日1,000円+保証料1,000円です。同じターミナルに自転車を返せば保証料は返却されますが、今回のように今治まで走り、そちらの返却場所へ乗り捨てる場合は返ってこないので、要注意。
公営のレンタサイクルは複数の種類の自転車を選ぶことができ、ママチャリからスポーツバイクまで多種多彩。街乗りでしたらママチャリでも問題ありませんが、長距離を走る場合はクロスバイクがおすすめです。カゴもついており、ある程度の荷物なら載せて走ることができるので。
因島大橋。
瀬戸内海を横目に走る爽快感は、季節を問わずしまなみ海道の魅力と言えるかと! おすすめは夏〜秋にかけてだと言われていますが、天気さえよければ冬でも問題なし。自分は過去、12月と3月に走っていますが、あまり寒さは感じられずむしろ走りやすかったように思います。
そして、しまなみ海道の醍醐味と言えば、島と島とを結ぶ「橋」の存在。かなり高い位置にあるため、そこまで登るだけでも達成感はひとしお。橋を渡りきったあとは、下り坂を気持ちよく駆け抜けることができます。ひゃっほぅ!
橋の自転車道内。
ただし、今治を目指す場合には複数の橋を渡る必要があるため、そのたびに登り坂と戦うことになるわけで……。自転車に乗り慣れていない人はこの坂で体力を消耗しがちなので、気をつけましょう。僕も初めて走ったときは、最後の来島海峡大橋にたどり着いたときには全身がビッキビキ。ぜぇぜぇ言いながらペダルをこぎこぎ、もう嫌になるほど辛かった記憶ががががが。
それでも、普段は自転車なんて乗りもしない当時の自分ですら、走りやすいと感じる道路であったことは間違いありません。と同時に、最後は疲労度MAXで「もう走らない……」と思いつつも、やっぱり再訪してしまう魅力もある。道中の景色はすばらしいの一言だし、走り終えて得られる達成感は最高なんですよね。
伯方・大島大橋。
しまなみを走るとロードバイクが欲しくなる!?
そんな「しまなみ海道」が好きで、自転車で駆け抜ける楽しさを知ってしまったからこそ、ついにはロードバイクを自分で買うにまで至ってしまった……と。そうした一面は間違いなくありますし、ゆくゆくは自分の自転車でしまなみ海道を走ってみたいとも思うようになりました。
「サイクリストの聖地」と呼ばれ、自転車好きが全国から足を運ぶ、しまなみ海道。
その一方では、普段から自転車に乗っている人のみならず、観光で立ち寄るスポットとしてもおすすめできると思います。それこそ当時の自分のように、「ちょっと興味がある」くらいの人が自転車の魅力を知るには、ぴったりのサイクリングロードなのではないでしょうか。