これさえ揃えばチェーンは洗える! ”ひとりで100㎞”走るためのメンテナンス講座 #03
初心者ライダーがひとりで100㎞ライドに出かけて問題なく帰ってくるためのサポート企画の第3弾をお届けします。走り方ではなく、しっかり準備し、ライド先で想定しうるトラブルに落ち着いて対処できるようになるためのメンテナンス企画。連載を続けて読んでもらえれば、ライド中のトラブルに対応/回避するために必要なメンテナンスの知識が身につくと思います。無事に100㎞ライドを終えたころには脱・初心者です!
室内でもできる、水を使わずに徹底的に洗う方法
徹底的なチェーン洗浄は300km~400kmの走行を目安に行いましょう。走行距離がわからなくても、
- チェーンが真っ黒に汚れている
- 潤滑が悪くなっている
- イベントやレース、ビッグライドの前日
こんなときは徹底洗浄のタイミングです。とはいえ、チェーンは徐々に汚れていき、それにつれて抵抗も少しずつ増していくので、潤滑が悪い状態って分かりにくいんですね。ただ、連載の第1回目で説明した空気圧で変わる乗り心地やグリップの感じとり方同様に、走っていて「このオイルは摩擦抵抗が少ない」「油膜が汚れてきたな」といったチェーンの状態を知覚するのは、スポーツバイクに乗る上で大事な感性なのです。まめに洗浄して綺麗な状態の軽いペダリングを覚えることが、この感性を鋭敏にする近道かと思います。
いずれ紹介する機会もあるかと思いますが、僕は普段ワコーズのフィルタークリーナーという強力な洗浄剤と中性洗剤、ホースの水、エアコンプレッサーを使ってガンガン洗車しています。
複数台まとめて洗車することが多いので、こうするのが速いのですが、準備にはそれなりに手間がかかります。「うちはマンションだからバシャバシャ水が使えないよ」という方もいるでしょうし、強力なクリーナーを使い、愛車に水をかける方法はビギナー向けではないですから、今回は室内でできる徹底洗浄を紹介しましょう。
ちょうどワイフのロードバイクのチェーンが真っ黒だったのでこいつをきれいにします。
サイクルアパレルブランド、ラファのサイクルクラブ東京で働くワイフのバイクには、気づくと僕のバイクよりも良いパーツが付いていたりします。なのですが、「貸してくれ」と頼んでも即座に却下されてしまいます。洗車でポイントを稼いで、最新のGPSナビを共用にするのが今回の個人的な狙いどころです。
どんなに良い自転車も、こんなチェーンの状態では台無しです。出発直後の信号待ちでふくらはぎににチェーンの痕が付いてしまっては気分も晴れないでしょう。
今回使うケミカルはこの2つ!
ではここから、室内でのチェーン徹底洗浄に使うアイテムを紹介します。
洗浄用のケミカルはこの2つ。どちらも嫌な匂いがせず室内で使えるクリーナーです。ワコーズCHA-Cチェーンクリーナーは、洗浄力こそそこまで強くないのですが、揮発せずチェーン内部にとどまることでゆっくり確実に油汚れを中和させます。特殊な界面活性剤を使っており、水で流せるのが特徴です。
エバーズ 自転車丸洗いクリーナーは泡タイプの洗浄剤です。手元にあったのでこいつを使いますが、ワコーズからもフォーミングマルチクリーナーという同じような製品が出ています。双方ともノンシリコンノンワックスで、ブレーキを含めた自転車全体に使うことができますから、一本持っていると重宝します。今回はチェーンクリーナーで中和させた汚れを、水を使わずに洗い流すのが主な役割です。
この2つのケミカルは、ゴムや樹脂、塗装面への攻撃性が弱く、大雑把に噴射して使えるのも室内でビギナーが使うのに適している点です。
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ブラシは数種類あると便利
チェーンクリーナーにはスポーツバイクのチェーン用に開発された豚毛のブラシが付属しています(右端)。同時にディレーラーやチェーンリング、スプロケットもキレイにしたいので、ブラシをいくつか用意しました。
百均で買った爪ブラシやお風呂場用のコーナーブラシ、油性の刷毛などです。このようにパーツの隙間に合えば本来の用途はなんでもいいのですが、金属ブラシには注意。コーティングに傷を付けるので使わないでください。自転車メンテナンス専用のものも数多く売られていますので、セットでそろえておくと良いかと思います。細かいところには歯ブラシも使いやすいですよ。
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チェーン洗浄に必須のアイテム
BBB チェーングリップ BTL-50はリアホイールを外した状態でチェーンテンションを保つための道具です。チェーンキーパーなどと呼ばれて各社から色々なタイプが出ていますが、チェーンの徹底洗浄にコイツは欠かせません。愛車のリアエンド幅に合ったものを用意してください。ディスクブレーキでスルーアスクルを採用したモデルに乗っている人は、スルーアスクルに対応したものが必要です。
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他には簡易的なモノでかまいませんが、スタンドも必要です。たとえばミノウラのディスプレイスタンドDS-30BLTやDS-532 600Lのような、後輪を浮かせられるタイプを用意してください。あとはウェスとゴム手袋があればOKです。ウェスってなに? って人はこちらの記事を参照してくださいね。
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泡タイプのクリーナーは汚れと結びつくとぼたぼたとタレてくるので、段ボールや新聞紙などでしっかり床を養生しておきましょう。新聞の下はレジャーシートでも良いでしょうし、コスパの良い自転車メンテナンス用品をそろえるアストロプロダクツから、自転車メンテナンス用のマットも販売されています。
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全部そろえるのは大変でしょうが、特殊なブラシ以外は持っていた方が良いアイテムばかりです。スポーツバイクを買ったばかりの人は、ショッピング・ハイの勢いを利用して買ってしまいましょう。後悔はしないと思いますよ!
さて、次回は実践編。スポーツバイクに乗る限りずっと使えるスキルですから、ものにしてくださいね。
●バックナンバー
ちゃんと空気入れてますか? ~“ひとりで100㎞”走るためのメンテ講座#01
部屋でできるチェーン洗浄 ~“ひとりで100㎞”走るためのメンテナンス講座#02