「もっとラクに走れるようになりたい」、「もっと速く走れるようになりたい」。スポーツバイクを楽しんでいる多くのサイクリストは、そんな思いを持っていることでしょう。これは、サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックを紹介する連載企画です。
坂道で苦しくなると、ついつい頭が下がって、ハンドルにしがみついてしまっていませんか? 良いフォームではないことは何となくわかりますよね。でも、実際に苦しい時にこんなフォームになりがちですよね。今回は、ヒルクライムを走るときに実践できるポイントをレクチャーします。
上半身は力を抜く、これ大切です。
最初から頭を下げて力みながら走り出す人はいないはずです。最初はリラックスして走れていても、呼吸が乱れ、脚が動かなくなると頭が下がってしまうのです。頭が下がると、呼吸するための気道を確保しにくくなって、ますます苦しくなってしまいます。
また、苦し紛れにハンドルを握りしめて手前へ引きつけてしまう人も多いですが、これも上半身の緊張を生んでしまい、スムーズなペダリングと呼吸を妨げてしまいます。
そこでワンポイントレクチャーです。ヒルクライムでは苦くなった時ほど、上半身の力を抜いて、頭を上げて前を向きましょう。苦しくなった時に冷静になって思い返して実践しましょう。
まずは、上半身の緊張をほどきます。思わず握りしめていた手の力を抜いてあげます。ハンドルのブラケットを優しく包む意識を持ちましょう。すると腕が自然とリラックスできます。
しっかり息を吐いて深呼吸する
フォームを改善できたら、呼吸法も意識しましょう。ヒトは酸素を取り込むことでカラダの筋肉を動かしています。特に運動強度が高い持久系の運動では、呼吸による酸素摂取を積極的に行いたいところです。
そこで、体内に酸素を取り込むためには、サドルの上で深呼吸をすることが大切です。深呼吸のポイントは吸うよりもしっかりと吐くことです。肺の中の二酸化炭素を排出することで、酸素を多く取り込めるようになります。吸い込むよりも、「ハッ、ハッ」と勢いよく、かつリズムよく吐くことを意識しましょう。
また、苦しい状況から心身ともにリセットする目的で、フォームを変化させることも効果的です。ハンドルの握り位置をハンドルの上部(トップ)に持ちかえると、上体がややアップライトになり呼吸もしやすくなります。ちなみに、ハンドルには軽く手を添える程度です。
ハンドルを握る手の力を緩めて、上半身をリラックス。呼吸はしっかり吐いて、リズムよく深呼吸をする! このことを頭の片隅に置いて、ヒルクライムの途中で苦しくなった時に取り組んでみてください。
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