サイクリストのみなさん、自転車保険には加入していますか。最近は自転車保険の加入を義務づける自治体が増えており、10月1日より神奈川県をはじめ、その他の多くの地域で義務化がスタートしています。
神奈川県が主催するプロジェクト「かながわゼロアクション」の発足式にて、ロードバイク始めたてのなみこさんが自転車保険の重要性について伺ってきました。
全国で自転車保険の義務化がすすむ理由
なぜ、自転車保険への加入をすすめる自治体が増えているのか。一言で言うと「被害者の保護と加害者の経済的負担軽減のため」です。加害者が高額な賠償によって自己破産となるケースも少なくありません。また、自分が怪我をした場合に入院や通院の保障があると安心ですよね。
自転車事故の賠償事例
自転車が関与する事故の総数は減少傾向にある*ものの、自転車事故による高額な賠償金を請求される事例はあとを絶ちません。実際に賠償金額が1億円近くまで及んだ例もあります。
- 「自転車の安全利用促進委員会」より
例1
賠償金額:9,520万円
裁判所:神戸地裁
日時:平成25年7月
事故の概要:坂道を下ってきた11歳の少年の自転車が歩行中の62歳女性と衝突し、歩行者の女性が意識不明となった。
例2
賠償金額:9,266万円
裁判所:東京地裁
日時:平成20年6月
事故の概要:自転車運転中の男子高校生が車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた24歳会社員男性と衝突し、会社員は言語機能の喪失等重大な障害が残った。
大前提として、事故を起こさないようにルール・マナーを守ることが最重要ですが、万一に備えて保険に加入しておくことも重要です。保険で賄えるのは経済的な面だけですが、事故をしてしまった後の人生が保険加入の有無で大きく変わることは間違いありません。
まだ自転車保険に入っていない方は、自分にあった保険を探しましょう。
自転車保険のQ&A
ロードバイクを買って3ヶ月の初心者なみこさんがau損保の山根さんに直撃質問! 自転車保険の気になるところをたくさん聞いてきました。
Q1. 自転車保険ってどんな保険?
各社によって自転車保険と呼ばれている保険はさまざまですが、一般的には、
- 自身の怪我を補償するもの
- 相手の怪我、物損を賠償するもの
の2つがついた保険をさします。au損保ではこれにロードサービスを含めたものを自転車保険とよんでいます。
Q2. ロードサービスってどういったサービスですか?
ロードサービスとは、自転車が事故や故障により自力で走行できなくなってしまった場合に、自転車を搬送するサービスをさします。
例えば、「ヒルクライム中に山道でパンクをして走行不能に。修理キットを忘れて直せない…。」「家から離れた場所で電動自転車のチェーンが外れて走行不能に。修理のやり方がわからない…。」といった場面で役に立ちます。
ロードサービスは24時間365日対応してくるものが多いですが、搬送する距離や年間利用回数など各社によって違いはあるので、注意しましょう。
Q3. 県や市区町村で義務化された場合に、最低限入らなくてはいけない保険は?
加害事故を起こした時に被害者側に補償できる保険(個人賠償責任補償)です。個人賠償責任補償は保険によって異なりますが、2億円以上の補償があれば高額な請求にも備えられます。
Q4. 対象になるのは居住者?勤務地も?自転車で通過する場合は?
自転車に乗る場所すべてが対象になります。そのため通勤に自転車を使う場合は、勤務先の自治体が自転車保険を義務づけているのであれば加入しなければなりません。サイクリングでただ通る場合でも対象となります。
Q5. すでに義務化されている地域、これから予定している地域は?
都道府県では、埼玉県、兵庫県、大阪府、京都府、奈良県、鹿児島県がすでに義務化されています。そのほかにも仙台市、金沢市、名古屋市は義務化されている地域です。
そして、2019年10月1日より神奈川県、長野県、静岡県、東京都豊島区で義務化されます。また、2020年の4月より東京都全域で義務化される予定です。
義務化・努力義務化されている自治体の詳細はこちらをご参考にしてください。
動画はこちら
もっと、自転車保険について知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
自転車保険を義務化する自治体が増えています。2019年10月からは神奈川県、長野県、静岡県などで義務化が決定しています。自転車事故... 自転車保険とは?その必要性や賢い選び方 - マサルでもわかる自転車保険 - マサルでもわかる自転車保険 – 知って、学んで、比較する 自転車保険のマニュアル |
かながわゼロアクションとは
神奈川県内での自転車事故0を目指す活動です。自転車の利用に関するルール・マナー等の情報を広く発信し、自転車事故根絶および自転車保険加入促進に向けた活動を行います。
神奈川県では、2019年10月1日より自転車保険の加入が義務となりましたが、2019年4月に実施されたau損保の調査によると、神奈川県の自転車保険の加入率は53.9%にとどまっており、周知が進んでいるとは言えない状況です。
県民の方に自転車のルールや保険について知っていただく場として「かながわゼロアクション」が始動しています。
FRAMEはかながわゼロアクションを応援します
FRAMEを運営する株式会社 自転車創業も参画メンバーとしてこのプロジェクトに参加しています。FRAMEの自転車保険に関するコンテンツが、自転車のルールやマナーを考え直すきっかけになることを祈っています。
イベント開催のお知らせ
2019年10月5日(土)にイトーヨーカドー川崎港町店にて自転車交通安全PRイベント第1弾が開催されます。楽しいコンテンツや豪華景品も準備されています。詳細はこちら
さいごに
安全運転を心がけることで事故の発生確率を減らすことはできますが、0%にすることはできません。すべての人が被害者または加害者になるリスクは常にある、ということを肝に命じておく必要があります。
自分が住んでいる地域では自転車保険が義務化されていなかったとしても、自転車で通る可能性がある場所で義務化されている場合は加入する必要があります。ただし、最近は自転車事故で高額な賠償金を請求される事例もあるため、義務化されているか否かに関わらず、自分や家族の未来を守るためにも自転車保険の加入をおすすめします。
取材協力:かながわゼロアクション
au損保