あなたはどっち派? 高ケイデンス走法と高トルク走法ついて体の専門家が解説
ロードバイクでは、軽いギアを回すのがいいか、重いギアを踏むのがいいかという問題があります。ハイケイデンスが主流の現在、軽いギアがいいという風潮がある一方で、かえって疲れやすいとの声があるのも事実です。
今回は理学療法士によるフィッティングを行っているACTIVIKEのにっしーこと西谷さんに、軽いギアをケイデンスで回せる人と重たいギアをパワーで踏める人の違いについて解説してもらいました。
軽いギアと重たいギア、どっちがいいの?
まず、なみこさんとイマオさんに、ギアについて聞いてみました。
なみこさんは軽いギアをクルクル回すタイプ。そうでないとスタミナが切れてしまうそうです。「ガシガシ踏める人はかっこいいな~って思いますけど、どちらがいいのかもわからない」と言います。
イマオさんは逆に軽いギアだと疲れてしまうため、平坦はもちろん山でもなるべく重たいギアで踏むようにしているそう。「軽いのになんでこんなに疲れるの?」と疑問に思っています。
ハイケイデンスと言えば『弱虫ペダル』の小野田坂道くんを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。あんなに華奢なのにクルクル回せるのはなぜ?専門家から見た違いをにっしーさんに解説してもらいました。
筋肉の性質の違い
筋肉は速筋と遅筋という性質の異なる2種類の繊維から構成されており、どちらの比率が多いかで筋肉の性質が違ってきます。
- 速筋(白筋)
筋肉の繊維としては大きく、瞬間的な力を出すのが得意です。その反面、酸素を取り込む能力が低いので、持久力がなく疲れやすい傾向にあります。 - 遅筋(赤筋)
瞬発力は弱いものの、酸素を取り込む能力が高く疲れにくいことが特徴です。
自転車から離れて走る人で見てみると、短距離選手と長距離選手で筋肉の付き方が全然違うイメージがありますよね。実は速筋を鍛えると筋肉は太く、遅筋だと筋肉は細くなります。短距離選手の脚が太く、マラソン選手の脚が細いのはそのためです。
実はもうひとつ、速筋・遅筋両方の性質を兼ね備えている筋肉もあります。これらの筋肉の比率によって高ケイデンス派か高トルク派かになるわけです。
重いギアを踏むのは、1回の力がかなり必要になりますよね。なみこさんのようにクルクル回している方が楽なタイプは、それが出来ない分、少ない力でたくさん回す、つまり瞬発的な力を使わずに長く運動するという意味では遅筋の方が多いのかもしれません。
逆にイマオさんのように瞬発的な力があり、重いギアで一踏み一踏みしっかり力を入れた方が疲れにくいタイプは、速筋の方が多いと考えてよいでしょう。
速筋と遅筋の比率は、生まれ持ったものであり、トレーニングで比率自体を変えることは難しいと言われています。しかし、速筋だろうと遅筋だろうと、しかるべきトレーニングをすれば酸素を取り込む力は上げることができます。ロードバイクの持久系の運動には、中間の部分を鍛えることも大切になってきます。
女性の中にはダイエットでロードバイクを始めた方もいますよね?細くなりたい人は、遅筋を育てれば脚が細くなります。あまり瞬発的な動きというよりは、長い時間じっくり回すようにするのがおすすめです。
筋肉の性質まとめ
速筋(白筋) | 中間筋 | 遅筋(赤筋) | |
---|---|---|---|
太さ | 太い | 中程度 | 細い |
瞬発力 | あり | ややあり | なし |
持久力 | なし | ややあり | あり |
酸素を取り込む力 | 低い(疲れやすい) | 中程度 | 高い(疲れにくい) |
筋肉の比率を見極めることが大切
にっしーさんは、どちらかと言えば中間的なタイプ。最初はクルクルと回していましたがすぐに息切れしたり疲れたりするので、徐々に重いギアにしていって、慣れてくると軽く回せるようになったそうです。
軽いギアと重たいギアのどちらがいいかは、筋肉の性質により違ってきます。人によって比率は違うので、そこを見極めたうえでトレーニングすることが大切です。
動画では筋肉の性質の違いについて、詳しく解説しています。ぜひチェックしてみてください!
▶速筋・遅筋・中間筋の違いについてはこちらの記事も参考になります。
取材協力:ACTIVIKE
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WRITTEN BYFRAME編集部
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