通勤通学からお買い物、幼稚園や保育園への送迎まで大活躍の電動アシスト自転車。楽ちんなのはバッテリーがあってこそですが、バッテリーにもやはり寿命があります。どれくらい持つのかはもちろん、交換するときはバッテリーだけでよいのか自転車ごと買い替えた方がよいのかについても気になりますね。
電動アシスト自転車のバッテリー寿命から長持ちさせるコツ、買い替える際の判断基準までまるっとご紹介します。
目次
電動アシスト自転車のバッテリーの寿命はどのくらい?
電動自転車のバッテリーは2種類
電動アシスト自転車のバッテリーはリチウムイオン電池が主流
電動アシスト自転車のバッテリーは、リチウムイオン電池とニッケル水素電池の2種類があり、現在は小型軽量で寿命の長いリチウムイオン電池が主流です。
リチウムイオン電池はスマホにも使われている電池。メモリー効果*の影響が少なく、使い切らない状態での継ぎ足し充電ができることもメリットです。急ぐときにはとりあえず使える量だけ充電することもできます。
*)メモリー効果とは、使い切らない状態で充電すると最大容量が小さくなってしまう現象。
バッテリーの寿命とは
電動アシスト自転車のバッテリーは使い続けるうちに劣化して、充電できる容量が減っていきます。バッテリーの寿命とは、充電しても電気容量が十分回復されない状態。購入時の約半分しか充電できなくなったときが寿命の目安です。
寿命は時間経過と充電回数で決まる
バッテリーの寿命は使用環境に大きく依存しますが、主に時間経過と充電回数で決まります。最新モデルでは3~4年、充電回数で700~900回*が目安です。使っていなくても時間が経てば劣化が進むため注意が必要です。
*)理想的な環境の場合
使用条件が同じなら、大容量タイプの方が充電回数が少なく済むので、寿命は長くなります。
バッテリーの寿命を延ばすコツ
バッテリーの寿命は充電回数だけでなく、使い方や保管の仕方によっても違ってきます。寿命を延ばすためには、できるだけ劣化する条件を避けることがポイントです。
空にしない
リチウムイオン電池は残量が極端に少なくなると電圧が急激に下がる過放電の状態になります。過放電はバッテリーを劣化させる原因のひとつ。寿命を延ばすには、残量を40~60%に維持することがポイントです。スマホの充電の要領と同じだと考えるとわかりやすいでしょう。
電動アシスト自転車を長期間使わないときは残量がある状態で保管し、バッテリーが空にならないよう定期的に充電することをおすすめします。
バッテリーの残量は、自転車本体の液晶画面やバッテリーの残量確認ボタンで確認できます。
乗り方を工夫する
バッテリーの消費を節約することも、寿命を延ばすことにつながります。電動アシスト自転車は、走行中にスイッチを切って乗ることも可能ですので、追い風の時や長い下り坂の時など、モーターのアシストが必要なければスイッチを切ってバッテリーを節約することができます。
また、変速機*のついている自転車は、変速機を活用することにより、バッテリーの消費を減らせます。
*)さまざまな走行状態に対応できるよう、ペダルの重さをコントロールする機能。数字が大きいほど重い。ギアとも呼ばれる。
電動アシスト自転車は走り出す時にもっとも負荷がかかり、バッテリーを大きく消費します。軽いギアで走り始め、スピードが出てきたら重いギアにチェンジすれば、バッテリーの減りを抑えることが可能です。
タイヤの空気を入れる
車がタイヤの空気圧が低いと燃費が悪くなるのと同じように、タイヤの空気が減っていると自転車の走りが重くなり、バッテリーが消耗します。また、タイヤの空気圧が低いとパンクの危険度が増すだけでなく、摩擦やひび割れも早まるため注意が必要です。空気圧を適切に保つことでバッテリーの消費が減り、パンクを防ぐことにもつながります。
置き場に注意!
バッテリーは使わなくても自然放電により少しずつ減っていきます。自転車につけたままにしておくと自然放電の量が増えてしまうので、外して保管する方がおすすめです。また、リチウムイオン電池は暑さ・寒さにも弱く、直射日光に当たる場所に保管すると劣化が進んだり、冬季には能力が低下して残量が急に少なくなったりすることもあります。バッテリーだけの盗難を防ぐためにも、自転車から外して室内に保管するようにしましょう。
バッテリー寿命の見方
寿命が近づいたときのサイン
バッテリーは使っていくうちに徐々に劣化して、寿命に近づいていきます。1回の充電で走れる距離が減り、持ちが悪くなったら寿命が近いと考えて良いでしょう。
バッテリーが急になくなるときは、寿命もしくは故障の可能性があります。急に無くなるのが寒い日の場合は、バッテリーを室内で保管して様子を見てください。無理に温めるのは故障につながりますので厳禁です。それでも直らない場合は、自転車屋さんで見てもらいましょう。寿命や故障のときは、交換が必要になります。
自己診断機能
主要メーカーの電動アシスト自転車のバッテリーには、バッテリーの劣化具合がわかる自己診断機能があり、交換が必要かどうかの目安として使えます。
パナソニックの例を挙げると、バッテリーの残量表示ボタンを10秒間押し続けたとき、いくつランプが点灯するかによって、バッテリーの実容量がわかります。
ランプの点灯数 | 実容量(初期容量との比較) |
---|---|
5個 | 100~81% |
4個 | 80~61% |
3個 | 60~41% |
2個 | 40~21% |
1個 | 20~0% |
バッテリー診断できるお店も
主要メーカーのバッテリーは、バッテリー診断機を置いている店舗で劣化状況を診断してもらえます。充電のタイミングや今後の使い方についてのアドバイスも受けられるので安心です。
- ヤマハ バッテリー診断機設置店の検索
- ブリヂストン:販売店または修理サポート店にて確認・点検できます。
修理サポート店検索
バッテリーを交換?それとも自転車を買い換える?
自転車の寿命は8~10年!
使用状況にもよりますが、バッテリーの寿命が3~4年であるのに対し、電動アシスト自転車そのものの寿命は8~10年ほどだと言われています。寿命に2倍ほどの開きがあるため、1回めについては自転車のバッテリーのみの交換でよいでしょう。
2回め以降については
- 購入から何年経っているか
- 本体やバッテリー以外の消耗品の状況
によって判断しましょう。
バッテリー交換は自転車を買い換えるのに比べ、コストが安いことが最大のメリットです。容量の大きなバッテリーに交換すれば走行距離が伸び、同じ条件なら充電回数も減らせます。
ただし、購入から8年以上経過していたり、タイヤやブレーキ、ライトなどの部品交換が必要だったりする場合には、部品が手に入らなかったり、バッテリーとメンテナンスの費用でかえって高くついてしまったりすることも考えられます。
自転車そのものを買い換えれば、部品はすべて新しくなりますし、子供が生まれたり送迎が終わったりなど家族構成やライフスタイルの変化にも対応できます。
バッテリのみ交換するか自転車を買い換えるかは、それぞれのメリット、デメリットの両方を理解した上で決めることが大切です。
充電器にも寿命はある?
バッテリーを交換する際も、充電器はそのまま使えます。
バッテリーに問題がないのに充電できないときは、充電器の故障の可能性があります。他のバッテリーで充電できるかどうか、自転車店で確認してもらうことをおすすめします。
バッテリーを外して乗るのはあり?
電動アシスト自転車は万が一、途中でバッテリー切れになった時でも、車のガス欠やスマホのバッテリー切れと違って、そのまま普通の自転車として走ることができます。
バッテリーが寿命を迎えたら、普通の自転車として使うことも可能。重さのあるバッテリーを外せば、その分、軽くなります。
ただし、バッテリーを外してもモーターがついているため普通の自転車よりも重量があり、漕ぐときも重く感じる点については理解しておきましょう。
バッテリーを買い換えるときのポイント
バッテリー交換 3つの方法
バッテリーの交換は、交換するバッテリーの種類により3つの方法にわけられます。
- 全く同じものに交換
バッテリーのみを交換するときは、現在使っているものの型番を調べ、全く同じものを購入すれば間違いありません。 - 代替えバッテリーに交換
同じものが手に入らない場合は、代わりに使えるバッテリーを探してみましょう。同じメーカーで適合するものを選ぶことをおすすめします。 - 容量の大きなバッテリーに交換
適合すれば、容量の大きなものに交換することもできます。
自転車やバッテリーの型番は、本体や付属の説明書などに記載されており、型番がわかれば、メーカーのホームページにて代替えバッテリー、容量の大きなバッテリーを調べられます。
- Panasonic バッテリー互換表
※自転車・バッテリー・充電器の品番で検索できます。 - ヤマハ PAS バッテリー・充電器適合表
- ブリヂストン 交換バッテリーの確認方法
バッテリー本体、取扱説明書、車体から確認する方法がわかります。
ブリヂストン バッテリーと充電器の互換表
容量は大きいほどいい?
同じ条件ならバッテリーの容量が大きいほど充電回数を減らせます。では、容量は大きければ大きいほどよいのでしょうか。
電動アシスト自転車ユーザーの7割以上は、通勤通学や子供の送迎に毎日15分以内、1日の走行距離は3km以内だと言われており、1週間の走行距離は30km以内です。
坂が多かったり前後に子供を乗せたりなどバッテリーを消耗する使い方をしない限り、充電頻度は12.0Ahで2週間に1回、8.0Ahで1週間に1回程度になります。
容量の大きいバッテリーは寿命が長い分、価格も高くなります。充電時間が長く、重量も重くなるため取り回しが大変になりがちです。
一般的な使い方であれば、12.0Ahあれば十分。
- 走行距離が長い
- 坂が多い、急な坂がある
- 子供を乗せる
- 荷物が多い
- 寒い地域に住んでいる
などの場合には、大容量のバッテリーを選ぶことをおすすめします。
バッテリーはどこで買える?
電動アシスト自転車のバッテリーは、自転車販売店またはメーカーのオンラインショップ、ネット通販ショップなどから購入できます。
メーカーのオンラインショップ
ネット通販ショップ
バッテリーの処分方法
電動アシスト自転車のバッテリーには、リサイクルできる材料が多く含まれており、リサイクル回収の対象となります。一般ゴミとして捨てることはできないので注意しましょう。
自転車店に持ち込む
使用済みのバッテリーは、購入したお店またはバッテリー回収を行っている自転車販売店に持ち込めば、無料で引き取ってくれます。バッテリーを回収してくれる販売店は、「一般社団法人 JBRC」のホームページで検索可能です。
PASバッテリー回収サービスを利用する
『ワイズギア』の公式オンラインショップでヤマハの電動アシスト自転車『PAS』のバッテリーを購入すると、不要になったバッテリーを無料で回収してもらえます。
新しいバッテリーが梱包されていた箱に使用済みバッテリーを入れ、回収業者に渡すだけでOK。回収日時も指定できるので便利です。
※購入時の申込みが必要です。
※利用できない地域があります。
有償の回収サービスを利用する
自転車店が遠かったり、持ち込むのが面倒だったりする場合は、有償の回収サービスを利用する方法もあります。
送られてきた伝票に必要事項を記入して送り返すだけでよく、新しいバッテリーを購入した場合はもちろん、回収サービスのみの利用も可能です。
電動アシスト自転車用バッテリー回収・引取サービス(Panasonic/ブリヂストン)
廃棄バッテリー回収サービス(パナソニック・ヤマハ・ブリヂストン・ミヤタ・サンヨー・サンスター)
まとめ
使い続けるうちに持ちが悪くなったバッテリーも、交換すれば電動アシスト自転車本来の性能がよみがえります。自転車は大切に使えば、長く楽しめるものです。保管場所や充電方法、走り方に気をつけて、電動アシスト自転車のある暮らしを楽しみましょう!
監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳