ロングライドの魅力って? コツや準備をベテランロードバイク乗りが伝授

ロードバイクの楽しみ方はさまざまですが、中でもロードバイクならではのライドスタイルがロングライドです。

  • ロングライドの魅力ってなに?
  • ロングライドをしてみたいけれど準備はどうすれば?
  • ロードバイクは何を選んだらいいの?

ベテランのロードバイク乗りが、初心者にロングライドの醍醐味をたっぷりお伝えします。

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つむりさん、ロングライドの魅力を教えて!

Photo: 神楽坂つむり

こんにちは。自転車ブログ「つむりの悠々自適ライフ」管理人の神楽坂つむりです。

自転車が大好きで、中でもロングライドが大大大好き。

学生時代に初めてロードバイクで100kmを走ったことは今でも良い思い出。それから10年以上、何十回何百回とロングライドをしてきました。

日本のみならず、アメリカやヨーロッパを自転車で旅した経験のあるつむりさん。自転車ひとつでこんなに豊かな情景に出会える Photo: 神楽坂つむり

普段見ることがない景色に出会ったり、知らない土地を巡ったり、その土地にしかないグルメを食べたり。非日常を気軽に体験できるのがロングライドの魅力なんだよなぁ〜!

つむりさん、はじめまして! 中嶋友里です。普段はマラソンやトレイルランニングを楽しむランナーなのですが、この度スペシャライズドライダーに任命され、はじめてロードバイクにチャレンジします。ロードバイクで長距離、走ってみたい!

中嶋友里

ランニングタレント、モデルとして活動。ランニングでもウルトラディスタンスを好む。スペシャライズドライダーとしてこの秋からロードバイクに挑戦。

ロングライドのコツや準備するものを聞きたい……のですが、そもそもロングライドってどこからがロングなんでしょう?

ロングライドって何kmから? 誰でもできる?

スペシャライズド新宿で、ロングライドのノウハウをじっくり聞く

ロードバイクの「ロングライド」って定義があるんですか? 何kmからがロングライド?

具体的に「ロングライド=◯◯km以上」といった決まりはありません。ひとつの目安として距離を示すなら、100kmを目標とするのがおすすめです。

おそらくほとんどの方が100kmと聞くと、ものすごく長い、遠いと感じますよね。でも驚くことに、ロードバイクに慣れてくると100kmという数字が現実味を帯びてきます。

ロードバイクの中でもロングライドに適した車種がある。画像はスペシャライズドのルーベ

もちろん個人差や経験値で差は出てきます。私も自転車を始めた当初は「40kmでも長い!」と感じましたが、体力がついてきたり乗り方が分かってくると少しずつ距離を伸ばしていくことができました。

100kmを走りきったときにはものすごい達成感が得られたことを今でも覚えています。

達成感、わかります! だんだん距離を伸ばしていくのはランと同じですね。ロードバイクでのロングライドは、どれくらいの速度を意識したらよいのでしょうか?

長距離を走る際には「一定のペースをいかに維持できるか」がとても大事。マラソンやトレイルランニングをされるゆりさんなら馴染み深い話ですよね。

ロードバイクはとても軽くてよく進む自転車なので、がむしゃらに漕げば誰でも30km/h近い速度を出すことができますが……

時速30kmですか!? は、速い!

そう。だけどロングライドにおいて30km/hで走るのはNGです。最後まで体力が持ちません(笑)

初心者におすすめの速度は20km/h程度。これくらいの速度であれば、息も上がらずにリラックスして走ることができます。

「会話ができる程度のペース」はジョギングでもよくいわれますね。速さを出せてしまうロードバイクだと、ついつい張り切りすぎてしまいそう。リラックスして楽しむことがコツなんですね。

「ランの世界と似てるところも多いけれど、自転車ならではの話もあっておもしろい」とゆりさん

【準備】ロングライドに必要なもの&あると便利なもの

ロードバイクのほかに、ロングライドに必要なアイテムを教えてください。

通常のライドで必要なアイテム、たとえばヘルメットや前後ライト、アイウエアやグローブなどはもちろん、ロングライドならではのアイテムとなると、やはりパンク修理キットでしょう。

ロードバイクでのロングライドでは、自分の身体状態と同様に、自転車にも気をかけてあげないといけません。

自分とバイク。両方のケアが必要

なるほど、身体ひとつで走るランとは違いますね。

自転車トラブルの代表例が「パンク」です。ガラス片や突起物などを踏んでタイヤに穴が空き、空気が漏れ出してしまう現象です。

こうなってしまうと走れなくなりますので、修理が必要です。必要なアイテムは主に3つ。タイヤレバー、スペアチューブ、携帯ポンプ(空気入れ)です。いずれも自転車店であれば入手できるはずです。

ロードバイク用の携帯ツールやパンク修理キットが販売されているので用意しておくとよい Photo: 神楽坂つむり

アイテムを揃えたら、自分でパンク修理ができるように練習しておくことも大事です。最近では動画投稿サイトやショップブログ、各種メディアでもハウツーを学べるので、一度は必ずパンクを想定して事前練習されることを強くおすすめします。

いざ出先でパンクした時にぶっつけ本番だとミスすることも……これは経験談ですが……。

はじめてのロングライド持ち物リスト

  • ヘルメット
  • フロントライト
  • リアライト(もしくは反射板)
  • ベル
  • ボトル
  • 現金
  • スマホ
  • パンク修理キット

上記アイテムは必須ですね。パンク修理も練習しておきます! 必須ではないけれど、「あると便利なもの」のおすすめはありますか?

いわゆるガジェットアイテムはやはり便利ですね。サイクルコンピューター、スマートウォッチ、スマホアプリ(地図、天気)に電子マネー。

とくに走った距離や走行速度、時刻や標高と言った走行データをリアルタイムで確認できるサイクルコンピューターは、ロングライドをする際にはとても便利なアイテムです。

各社からさまざまなタイプが出ているサイクルコンピューター。機能や性能、拡張性などライドスタイルにあわせて選びたい Photo: 神楽坂つむり

【コツ】ロングライドの距離と時間の目安

ロングライドを始める準備はこれでバッチリです! さて、どこをどのくらい走ろうかな。

一番最初は、3時間を目安にするのがおすすめです。そして1時間に1回は休憩を入れましょう。

先ほどおすすめの速度を「20km/h」としましたが、この速度で走ると1時間で15kmほど進むイメージです。単純に1時間で20kmにならない理由は、信号待ちや交通渋滞、休憩を考慮する必要があるから。

3時間を目安にすると、初心者の方でも距離にして40kmほどは走れるはずですよ。

3時間という目安があるとわかりやすくていいですね! 時間配分やペース配分のコツはありますか?

「うさぎと亀」という童話がありますが、イメージとしては「亀」です。ロングライドを走り切るためにはうさぎのように急ぎ足で走るのではなく、亀のようにゆったりとマイペースが鉄則です。

速度を出してしまうと、とっさの場面でブレーキが間に合わなかったり、カーブや交差点で状況判断が間に合わずに落車してしまうリスクも高まります。まずは無理のない速度で、マイペースに走ることをおすすめします。

一定のペースを保つために変速機を活用しよう

マイペースで、気楽に楽しめばOK!ということですね。ロードバイクといえばギアチェンジ(変速)ですよね、ロングライドにおけるコツはありますか?

目のつけどころがいいですね〜。そこは「変速機の役割」を理解すると分かりやすいです。

変速機の役割……ペダルの重さを変えること?

そう。もっというと、変速機の役割はズバリ「ペースを一定に保つ」ことなんです。たとえば変速機の付いていないシティサイクルでの坂道を想像してみてください。ペダルが急に重くなってとても大変ですよね。それなのに下りはいきなりペダルが軽くなってクルクル回ってしまう。

自転車ってそういうものって思っていました!

変速機がついているスポーツバイクは、ペダルの重さや軽さを調整することができます。

平坦な道をラクに漕ぎ続けるペダリング」、この軽さをイメージしておくといいですよ。上り坂でも、信号停車からの漕ぎ出し(ゼロ発信)時でも、同じようにラクに回せるように意識してこまめに変速をするのがポイントです。

まずは慣れるまで、たくさん操作して感覚を掴んでみてください。

【ケア】身体の痛みは? 食事はどうする?

長い距離を走るとなると、身体のどこかしらに影響が出そうです……。どうしたらいいですか?

私も最初は身体のいろんなところが痛かったです。どんなスポーツでもそうですが、最初はどこかしら身体が悲鳴をあげると思います。ただ、そのうち「慣れる」ともお伝えしておきます(笑)

そもそもフィジカル的な問題として筋肉不足や体幹不足もありますので、これはもう鍛えるしかありません。筋肉はすべてを解決します!

◆ Point ◆

ライド中もこまめにストレッチ!

同じ姿勢でいる時間が長いロードバイクでは、首や肩が凝る、腰やヒザが痛い、などはよく聞く悩みです。おすすめの対処法としてはこまめなストレッチ。

信号待ちの際に腕を高く伸ばす、休憩のタイミングで必ず屈伸をする、首を回す、といった具合に、「身体が痛くなる前」に意識してストレッチを挟んでおきましょう。これだけで痛みを軽減することができますし、何より簡単なのでおすすめです。

ロングライドの食事で気をつけるポイントはありますか?

エネルギーになるものをしっかりと食べることが重要です。お米、パン、パスタなどの炭水化物が基本ですね。ただ、長年の経験からも、食事内容はそこまでシビアに考えずにシンプルにしっかりと食べることを意識すれば大丈夫だと思います。消化の悪い食べ物や、胃の負担が大きいものはおすすめできませんが……。

走行中は思った以上に水分を失いますので、いつもよりコップ1〜2杯分、多く水分を飲んでおくことも大切。とくに夏場は脱水症状のリスクが高まりますので、水分補給は忘れずに!

運動の前のケアと基本的な考え方は同じですね! ロングライドのあとに食べた方が良いものは?

疲れた身体、筋肉を回復させるためにタンパク質が大切です。分かりやすくいうと「肉」。ほかにも豆腐やチーズ、卵、魚なども挙げられます。

みなさんロングライドの前の食事を気にされますが、じつはあとの食事も超重要なんです。翌日の疲労度がぜんぜん違いますから。たくさん走ったご褒美と思って、思いっきり食べてください!(食べ過ぎには注意)

最近ではコンビニでも気軽に鶏肉やゆで卵、ハンバーグなどが売られているので、手っ取り早くタンパク質を摂取できる

ロングライドに最適なロードバイク『エンデュランスロード』

スペシャライズドの最新エンデュランスロード『ルーベ SL8』

スペシャライズドライダーとしてロードバイクに初挑戦するのですが、それがまさにエンデュランスロードバイクだと聞いています。えっと……、エンデュランスって何ですか?

エンデュランスロードというのは、まさに今回のテーマである「ロングライド」にぴったりなロードバイクのこと。じつはロードバイクって種類がたくさんあるんです。

軽量さをつきつめたロードバイク(左上)や、砂利道やオフロード走行を意識したグラベルロードバイク(左下)、単独での高速走行性能を求めたトライアスロンバイク(右)など
Image: Specialized

エンデュランスバイクはその中でも、ラクに長距離を走るための工夫が施されたロードバイクで、初心者の人にとっても扱いやすく大変人気のあるジャンルです。

なるほど、ロングディスタンス好きな私にもピッタリですね! 具体的にはどこがどう違うんですか?

最大の特徴はアップライトなポジションです。ロードバイクの一般的なイメージである「前傾姿勢」がゆるく、比較的リラックスした姿勢で乗車できるように設計されています。

エンデュランスジオメトリを先駆けて開発したスペシャライズド。バイクフィッティングに造詣が深く、数千人分のデータを用いて改良を重ねている
Image: Specialized

乗車した際の姿勢がラクになるように、ハンドル位置が高めに設計されていたり、サドルからハンドルの距離が近く、リラックスしたポジションが取れるといった特徴があります。

これらの特徴のおかげで、長時間乗っていても首や腰が痛くなりにくかったり、視界が広く安全に走行できたり、身体全体が疲れにくいなどのメリットがあります。

初心者の人におすすめできる要素が盛りだくさんですね。

エンデュランスロードバイクはこんな人におすすめ!

リラックスした姿勢で走りたい人

長距離をラクに走りたい人

速さよりも快適性を重視する人

ポタリングやサイクリングなどマイペースで自転車を楽しみたい人

スペシャライズドのエンデュランスロードバイク『ルーベ』の魅力

ここからはスペシャライズドのエンデュランスロード『Roubaix(ルーベ)』を深掘りしていきましょう!

じつはエンデュランスロードだけで見ても、各ブランドにより特徴はさまざまなのですが、このルーベは当初レースで勝つために開発されたバイクです。

フランスで「パリ〜ルーベ」という有名なレースがありますが、ひどく荒れた路面を走る過酷なもの。このパリ〜ルーベに勝つために誕生したのがルーベなのです。

Image: Specialized

「勝つ」ための要素として掲げられたコンセプトが「Smoother is faster」。つまり快適であれば速い、ということ。

この快適性をもたらすルーベの特徴が以下の3つ。どれもほかのブランドには見られない、スペシャライズド独自の機構です。

①フューチャーショック

スペシャライズドのルーベを唯一無二の存在たらしめているのが、このフューチャーショックテクノロジーです。

簡単にいえばハンドル周りについたサスペンション機構で、クッションのように地面からの衝撃を軽減してくれる効果があります。

ステムとフロントフォークの間に約20mm動く小さなサスペンションが組み込まれている

でこぼこの路面を走ったときには明らかに効果を感じられます。ロングライドで少しでも疲れや痛みを抑えたい人にとっては、とても魅力的なシステム。

②アフターショックテクノロジー

フロントのフューチャーショックと同じく見逃せないのがサドル、シートポスト周りの工夫です。

シートポスト、つまりサドルを支えている棒ですが、これがしなることでお尻や腰周りへの負担を軽減してくれます。このあたりの痛みを抱えているサイクリストは非常に多く、それは長距離を走れば走るほど顕著になるので、これもフロントのフューチャーショック同様にとても魅力的なテクノロジーです。

クランプが従来の位置から下がり、シートポストはさらにしなるように Image: Specialized

ハンドルまわりのフューチャーショックと、サドルまわりのアフターショックテクノロジーによって、他社の同クラスのエンディランスロードバイクと比べて衝撃を53%もやわらげるといわれているんですよ。

③エンデュランスジオメトリ

ジオメトリとはフレームの設計のこと。ジオメトリでそのバイクの性質や特徴をおおよそ掴むことができます。

ルーベのジオメトリは快適に乗るために設計されていることが良くわかります。ショートリーチのハンドルに、低重心のBB、高めのスタックハイトなどライダーの疲労を軽減する具体的な解決策が盛り込まれています。

どれもが快適に速く走るための解決策 Image: Specialized

リラックスした姿勢で乗車しやすいので、身体の柔軟性に自信がない人や、まだロードバイクに乗り慣れていない人、これから自転車を始めたいという人にもおすすめです。そういう意味でも、ルーベは非常に懐の広いバイクといえるでしょう。

太いタイヤもロングライド向け!

ルーベのタイヤクリアランスは最大で38Cです。この太めのタイヤのおかげで、乗り心地は良くなり、グリップ性能も良くなって滑りにくくなる、パンクもしにくくなるんです。このどれもがロングライドにぴったり!

中でも一番のメリットはやはり乗り心地の向上。タイヤが太い=空気量が多くなり、それはそのままクッション性の良さに繋がります。その結果として振動が軽減されますし、バイクのコントロールも安定して疲れにくくなります。腰が痛い、首が痛い、肩が痛い、そんなお悩みの解決もしてくれます。

乗り心地を大きく左右するタイヤ

何より一台のロードバイクでこなせる役割が増えるというのは嬉しい限り! 舗装路メインのライドには28Cタイヤをセットしたホイールを使用し、未舗装路をメインのライドには38Cタイヤをセットしたホイールを使用して、一台でさまざまなライドを楽しむ……なんてこともルーベは許容してくれます。

「楽に」「遠くまで」走ることができるこれらのテクノロジー満載の新型ルーベは、ロングライドや快適にサイクリングをしたいサイクリストにぜひ体験していただきたいところです。

ルーベで初ロングライド! いきなり50km走れちゃった!?

ゆりさんがさっそくスペシャライズドのルーベSL8に乗ってロングライドにチャレンジです! 湖沿いで走りやすいつくば霞ヶ浦りんりんロードに場所をうつし、初ロングライドの目安「3時間」に挑戦しました。

結果はなんと、まさかの50kmオーバー!

ロードバイクに乗ること自体がほぼ初めてのゆりさん。走行感に慣れず最初はおっかなびっくりの走りで、スピードもかなりスローペースだったのが、後半は目を見張るほどのペースアップ! 1時間半の地点で折り返してもらいましたが、帰りは30分もタイムが縮まる結果になりました。

最初は前傾姿勢やハンドル操作自体にとまどいましたが、後半は完全にゾーンに入っちゃいましたね(笑)。3時間弱でこんなに距離を伸ばせるのはロードバイクならではですね、すごくおもしろい! ルーベのフューチャーショックもちゃんと体感できましたし、おかげで身体も全然疲れてない。もっともっと遠くにいけそう!

▼FRAME編集部のおかだくんもルーベSL8に乗って10時間耐久チャレンジ!

ロングライドはロードバイクならではの楽しみ方! 誰でも気軽にレッツトライ

実際に3時間走ってみて、こんなに距離を伸ばせるなんで驚きでした! まだまだ体力には余裕がありますし、もっともっと長い距離に挑戦してみたいです!

最初はちょっとそこまでだったサイクリングも、回数を重ねているとだんだん距離が伸びていきます。スペシャライズドのルーベのように、ロングライドに最適なバイクに乗っていれば、なおさら楽しく感じられるはず。

ひとつの大きな目標である100kmも必ず見えてきますし、ルーベなら思った以上に早く到達してしまうかもしれませんね! 楽しみです。


※ゆりさんの使用バイク:スペシャライズド・ルーベ SL8(EXPERT SRAM RIVAL ETAP AXS)

Image: Specialized

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WRITTEN BY神楽坂つむり

ブログ「つむりの悠々自適ライフ」の管理人 大学時代に自転車と出会い、暇があれば各地をツーリングする日々。 最近では海外旅にも挑戦中。機材ネタや旅のノウハウ、旅レポートを執筆中。 http://tsumuri5.com/

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