「はじめてロードバイクに乗る人でも “ローディー擬態” でベテラン感を出せる説」を検証してみた

あなたの周りに妙にベテラン感が出てる人、いませんか。実際に走りを見たわけでもないのに、何か速そうなオーラがある。そこはかとなく漂う強そうな雰囲気。
「人は見た目が9割」なんて言われたりもしますが、実際はどこまで見た目の印象に引きずられてしまうのか。今回FRAMEでは「はじめてロードバイクに乗るド素人」が、ベテランローディーに擬態したらどこまで通用するのかを検証してみました。
目次
「見た目」と「しぐさ」で経験値ゼロを隠しとおす!
その日はじめてロードバイクに乗る純然たる初心者でも、見た目がロード乗りそのもので、ふいに見せるしぐさが上級者っぽかったら、意外とベテランローディーとして認識されちゃうんじゃないの?
企画に行き詰まるFRAME編集部でふとあがった、このよくわからない仮説。
答えは誰にもわからないし、答えがわかったところで何も生み出さないよなぁ……
でもまぁ試してみたら何か起こるんじゃない?
ということで、この謎の仮説を検証すべく「ローディーに擬態したド素人」をとある走行会に潜入させてみることに。
走行会の間、グループメンバーに素人とバレなければ仮説立証というわけ!
チャレンジャーは「ロードバイクって何?」レベルのみくのしんさん
今回の無理やり企画を快く引き受けてくれたのは、Webライターのみくのしんさん。

彼のロードバイク歴は0年、0か月、0分。
「ロードバイクってなんですか?」レベルの正真正銘の初心者です。
そんな彼に「ロード乗りっぽい見た目」になってもらい、「上級者っぽいしぐさ」を伝授し、ベテランローディーに擬態してもらおうと思います。
まずはルックスから。ジャージとバイクでローディーに擬態
何事もまずは見た目から。
ロード乗りの正装、ピチピチジャージに着替えてもらいましょう。

おお、意外といいですね。レプリカジャージがお似合いです。
今回の撮影で使うロードバイクは、秋葉原にあるCycleTripさんでお借りします。

シティサイクルと異なる一番のポイントは、やっぱりドロップハンドル。操作方法をしっかり教えてもらいましょう。


今回の相棒は、GIANTのアルミロード「コンテンド SL1」。軽量アルミフレームに、メインコンポーネントはシマノ・105を搭載した万能モデルです。

ちなみに体型まではカバーしきれないのでひとまず置いておいて。

ただ、ベテランローディーでも結構いません? めちゃくちゃひきしまってるかと思いきや割とだらしない体型の方々。でもすっごい走れるっていう。
このあたりは「逆にリアル」を狙いつつ、まずは走行練習に移ります。スポーツサイクル特有の乗り心地を体感してもらいましょう。


「何これ、はっっっっっっっや!!!!!そんでめっちゃ軽ッッ! !!!小分けのお餅みたい!小分けのお餅みたい!!!!!!!」
言ってる意味はよくわかりませんが、彼にとって人生初となるロードバイク。オンロードスピード王者の走行感に興奮しているようです。


*)チェーンガードのないロードバイクなどでは、停車時にしばしばチェーンに足が触れて汚れてしまう

3つのベテランあるある
さて、走行感覚を覚えてもらったところで、次は「ベテランっぽいしぐさ」の伝授です。
編集部から3つのあるあるをピックアップしてみました。みなさんの周りにもこんなベテランさん、いますよね?
ベテランあるある① トップチューブで休みがち

トップチューブに腰かける形でバランスをとりながら休むアレです。
知らないとなかなかこういう形で休もうと思わないし、パッと見で「こなれ感」が出るので擬態効果は高いだろうと期待!
ベテランあるある② ストレッチがなんかすごい
特にレース志向だったりシリアス系ライダーだったりすると、ストレッチからしてレベチだったりしませんか。



こんな感じでウォームアップしてると、「本気度高ぇ~」って思いますよね。
ベテランあるある③ 停止時もなんかイカす
スタート待ちのとき、信号待ちのとき、ちょっとした休憩のとき。ベテランローディーはふとしたしぐさもなんだかカッコイイものです。


こういうポーズも何気なく出来るといいかもしれない。本人はすでに乗り気のようです。


ただし落とし穴がひとつ。
そう、今日が初めての走行であるがゆえに、足元はフラットペダルなんです。


さすがに今日の今日でビンディングシステム*はハードルが高すぎて危険ですからね。
*)ペダルとシューズが一体化するシステムのこと。効率的なペダリングにつながるため、ベテラン勢はビンディング一択。
この爆弾を抱えながら、どこまでベテランローディーを貫き通せるのか。
いざゆかん、走行会へ。
「ローディー擬態」はどこまで通用する? チャレンジスタート!
今回走行会に潜入させてもらうのは、とある大学のロードバイクサークルです。走行会の撮影という建前で集まってもらいました。もちろん、みなさん普段から走りこんでいるガチ勢ばかり。
さっそくみくのしんも合流場所へ向かいます。


信ぴょう性をプラスするために、以下を人物背景として設定します。
- 昔は90kmの自転車通勤をしていた
- 今日は久しぶりのグループライド
さぁ、みくのしんは果たしてどこまでボロを出さずにいけるのでしょうか!!!







「よろしくお願いします!」
























「どうもどうも! 今日はよろしくお願いします!!」
迎えてくれたのはサークル幹事長の上條さん。大学生の上條さんは20歳、対するみくのしんは今年32歳。
貫禄がハンパない上條さんと、ベビーフェイスのみくのしんで、時空のゆがみ的なものを感じますが、それが良かったのか大学生の集団にも違和感なく溶け込めるという結果に。


さぁ、まずは自己紹介! ここから「ベテランローディー」の刷り込みを入れていきますよ。







「よろしくお願いします、みくのしんです! いやぁ、最近はぜんぜん走っていなくて、ついていけるか心配です(笑) 昔は往復90kmの自転車通勤とかしてたんですけどねー」
























「おぉ~! 毎日90kmですか? すごい!」
うん、つかみの反応は悪くないぞ! みくのしんの体型も「昔はガチガチに乗っていたけど、最近はめっきり」な感じがしてなんだかリアルだ。


「あれ、フラペですか?」
やばい! 早速つっこまれた。



「(フラペ……?)……あん。うん、あん。……その可能性あります。いや、そうと言っても過言ではないです! いや!おっしゃるとおりです! 実は今日の自転車、レンタルなんですね!!」
























「あぁ~、なるほど、そういう」
んんん~、ギリギリだったけどなんとか切り抜けた模様! フラペ=フラットペダルと理解し、うまいこと返した!
やる奴だぜ……
……と思ったら、さっそくこちらを見ている。


なんかもう目が助けてって言っています。


よし、ここは「ベテランっぽいしぐさ」でカバーだ!
皆に気づかれないよう、みくのしんだけに合図を送ります。あるある①「トップチューブ休憩」の発動です。





ん……?


やばいやばい。


なんか変。
休めてる感じが全くしないし、足がプルプルいっちゃってる。表情もめちゃくちゃに固い。
おかしいな、レベルとしては「もっとも易しい」だったはずなんだが……。
これでは早々にばれてしまいそうなので、次の指令にうつりましょう。
あるある②「かっこいいストレッチ」です。





まずいまずいまずいまずい、全然できていない。
全然できない。
幸い、誰にも見られていなかったようなので即やめてもらいます。もはやあるある③「停止時のイカしたポーズ」の余裕はなさそうです。
機材トークにラチェット音セッション、そして無言になっていくみくのしん
なんとスタート早々、手玉がほとんど残っていない状況に。みくのしんから「早く出発して終わらせてくれよ!」という心の声が聞こえてきそうです。
いつの間にか上條さんはサングラスをかけていました。


微妙な雰囲気が漂いつつも、自転車乗りたちの熱きトークが始まってしまいました。
ここからは、みくのしんが完全についていけなくなる様子をご覧いただきましょう。
























「いやぁ~、まぁ今日はゆるポタでね、無理なくいきましょうかね」





「上條さんの言うゆるポタだとな~(笑)」
出ました、かの有名な “ゆるポタ詐欺” です。
編集部註)ゆるポタ=ゆるいポタリング。「ポタリング」=「気楽なサイクリング」にさらに「ゆるい」を冠するラクちんライドを意味するが、初心者は想定以上の距離と速度で騙されることで有名。


ゆるポタって何よ。ていうか上條さんめちゃくちゃさわやかだなー!!!いい人そ〜〜〜!!!!こんなロードバイク大好き青年の目、直視できないって!!!!!
























「聞いてくださいよ、(正面のメンバーを指して)こいつ新歓の走行会のときに、50km/hとか出してくるんですよ」







「いやいやいや~、あれは一瞬だけですよ~」







「え〜〜!?!?!?!? 新歓でそれはなかなかですね~!!」


速すぎだろ。車かよ。
























「まぁ、今日はみくのしんさんに煽られないようにしないとね(笑)」


わっはっは~


はっは~……





もう、おしっこして帰りて。
待ち構える機材トークの罠
さらに自転車乗りたちの会話は続きます。
























「今日のバイクはなんですか、GIANTの……TCR?」



「えっと……」
























「あ、CONTENDですねー」
「アルミですか」
「へえ~、リムブレーキだから今より結構安く買えたやつですね~」
「これだと当時で15万とかですかね」
上條さん、めっちゃ話してくる。みくのしんが何も答えなくても上條さんめちゃくちゃ話してくる。


ベテランロード乗りを演出すべく、必死に機材トークに参加しようとみくのしんは頑張ります。







「そうそうこれね、ヒャクゴなんですよね」
しまった。
シマノの中堅コンポーネント「105」(イチマルゴ)呼びを教えていなかった。
ヒャクゴじゃないんだ、それは。むしろ105読めない問題は初心者あるあるなんだ。






ん……?
一瞬、上條さんの表情が陰った気がする。さすがに気付いたか……!?
























「いやいや十分じゃないっすか」


おっとぉ、意外にも流してもらえた!


話はさらにメンバー同士の機材の話に。だんだんその場しのぎではついていけなくなります。
























「そのホイール、ディスクじゃないよね。リムのところ黒くない? プラズマ(電解酸化処理)加工?」







「そうなんですよ、雨の日もとまりやすいっていう」
























「へぇ、おもしろいね。何gぐらい? 800とか?」







「そんなにしないですね、(前後で)1500gぐらい」
























「あ、そうなんだ。ゾンダが1600弱とかだっけ? そっか、いいね」
バルブ……ディープリム……GP5000……ピーゼロ……。
みくのしんにしてみたら謎ワード連発で異星人同士での会話に聞こえていることでしょう。このあたりを境に、みくのしんから言葉が発せられることはなくなりました。


























「いやぁー、なんかすみません。マニア気質なメンバーが多くてつい盛り上がっちゃいまして」
「新歓なんかではマニアックな面は出さないようにするんですけど、結局めちゃくちゃ話しこんで全然わかってもらえないっていうね(笑)」





「あるある(笑)」





いや今よ。今この状況がそうよ。
恐怖のラチェット音セッション
撮影部隊から全くライドのGOが出なくてウズウズしてきてしまうメンバーたち。


























「ちょっとさぁ、それ、ラチェット音*きかせてよ」
*)リアホイールが空転したときになる音
おもむろに後輪を持ち上げ、手でペダルを思いっきり回し始めるメンバー。そして響きわたるラチェット音。
シャーーーーーー!!





「うわぁ~~、うるさいな~それ~~笑」







「普段はもっとうるさいんですよ、今日湿度高いから……」
(ちょうど撮影部隊が離れたときの出来ごとだったので、みくのしんの後日談からイラストに起こしてみました ↓)


シャーーーーーーッッ!!!!
























「いやだから、うるさいな~~~笑」







「そしたらコレなんかは静かかもしれないですね」
(別メンバーのバイク)
シャーーーーーー!





「おお~~、いい~!」





え、なに? これは何なの? 何に対するどういう感情なの!??


























「こっちは?」
シャーーーーーーッ……







「おおお~!」
「静か! 高級感あるー」





セッションなの? ジャズか何かなの?
みくのしんはもう、かろうじて口角をあげるだけの人になってしまいました。


もう出発させてあげましょう! 要となる走りではどこまでくらいつけるのでしょうか!?
いよいよ出発、どこまでくらいつけるのか?
ここでようやくスタートです。
初ライドのみくのしん、どこまでついていけるのでしょうか。


出発!






おや?


んん?


早い、早いね。ちぎられるの早い。




まったく状況が理解できていない様子の上條さん。
この時点でどのくらい疑っているかはわかりませんが、最後尾につく彼としては前に出るわけにもいかず、ひたすらみくのしんを気遣ってくれています。





「だ、大丈夫ですか?」




「うおおおおおおお!!!!!」





(先頭メンバーに伝えたほうがいいかな)




「ぜぇぜぇ……、いきましょう!!!」





「お!?」
みくのしんの謎発言「いきましょう」を「追い上げましょう」と理解してスプリントをかける上條さん。


走行の結果は「開始15秒でちぎられる」でした。
さすがに今日の今日で走りまでは演出できなかったですね。




同行(アカンパニー)*使ったのかと思った。それくらい速い。マジで追いつけない。
*)HUNTER×HUNTERに出てくるスペルカードのひとつ。プレイヤーを一瞬にして別の場所に飛ばすことができる。
ネタばらし! 上條さんは気づいていたのか!?
ここでみなさんを止めてネタばらし。



「ハァ、ハァ……、ッ、すみません、実は僕、今日初めてロードバイク乗ったんですッ」


「ええっ!? なんすか、どういうことっすか?」
━━ (編集部)実は、今日の本当の撮影主旨は「はじめてロードバイクに乗る人でも『ローディー擬態』でベテラン感を出せる説」の検証だったんです。





「え、通勤90kmっていうのは……?」



「90kmどころか、今日まで一回もロードバイク乗ったことないんですよ、僕」


「えぇ~、まじっすか!?」
どうやら意外にも擬態は成功していたようです。


━━ 全然おかしいと思わなかったですか?
























「いや全然気づかない!(笑)」







「こんなぶよぶよ体型でも?」
























「逆に心臓強そうな雰囲気あるんですよ。良い足してるし、平地は速いんだろうなって」


























「雰囲気と『90km通勤』が妙に説得力あって。そこでもうベテランだと思い込んじゃったのかもしれないですね」
━━ フラペでしたけど。
























「確かに最初すぐ気になりました、なぜフラペ?って。だけど、逆に『フラペでも何でもついていけまっせ感』が出てて」
━━ 「105(ヒャクゴ)」呼びとか。
























「いや、105は僕も一番はじめはわかんなかったですから。機材は詳しくない人なんだろうなって、それだけですよ」
━━ 頭にアイウェアさしてるけどメガネやん、とか。
























「あ、ほんとだ。気付かなかった」
上條さんがホンワカなだけ説も出てきました。ヒャクゴ呼びのときの表情の曇りは気のせいだったようです。
━━ ド素人でも見た目がそれっぽかったら気づかないものですかね?
























「いや全然気づかない!」
「走り出してようやく『踏める人なはずなのにおかしいな?』と思った程度ですよ!」
結論、それっぽい見た目&前情報があれば意外とバレない
見た目で一度刷り込んでしまえば、たいていのことは「逆に〇〇」「あえての××」に変換されてしまうのかもしれません。
アレに近いですね、タイポグリセミア現象。
本当は文字が並べ替えられているのに、パッと見で文章として認識してしまうアレです。


みくのしんはロードバイクに興味津々!
しかし、今回の撮影で一番しんどかったのはみくのしんです。
未知の世界で「知っているフリ」はかなりハードル高い。お疲れ様でした!









いやぁ〜! 中々ドキドキする撮影でしたけど、上條さんがマジでいい人だったのと、ロードバイクも純粋に楽しかったんで、普通に趣味としてアリだなって思いました!
みなさんが話す内容にもめちゃくちゃ興味あるのに、演技しなきゃいけないから聞けなかったのが悔しい! 今度はちゃんと教えてもらいたいって思いましたね。
僕も後輪回して「いい音だなー」っていうの、やれるようになりたいです。




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