プロチーム採用のARGON18(アルゴン18) 2017年のラインナップをメカニックが解説
こんにちはサイクルメカニックの石橋です。ARGON18というロードバイクブランドはご存知ですか?
ロードレースのカナダ代表としてオリンピックに出場したジャーベス・リューが1989年に立ち上げたブランドがARGON18(アルゴン・エイティーン)です。
当初はジャーベス・リュー自身のバイクショップでオリジナルバイクとして開発をスタートさせたものでした。その存在が幅広く認知されたのが1999年、北米最大のバイクショーであるインターバイクへの出展です。先進的なプロダクトは北米全域の注目を集めました。
そして、当時発展途上であったカーボンマテリアルにいち早く着目し、2001年には最初のカーボンフレームであるヘリウムを発表しています。
ARGON18の優れた性能はレースでも発揮され、2006年にはトライアスロンで3つの世界タイトルを獲得。さらにロードレースにおいても積極的な活動を進め、2017年からはカザフスタンを本拠地とするプロチームの「アスタナ」がARGON18のフレームを使用し、ツール・ド・フランスをはじめとしたヨーロッパのレースに参戦します。
目次
剛性、軽さ、快適性の最適化をもたらすフレーム
ARGON18のコンセプトとして第一に挙げられるのが最適化されたバランス(OPTIMAL BALANCE)です。それぞれが相反するフレームの剛性(硬さ)と軽さ、そして快適性を巧みにコントロールすることです。
レース向けモデルであっても快適かつ安定性の高いバイクを作りあげることで、ライダーに多大なる恩恵をもたらせます。これらはラインナップごとに異なり、それぞれで必要とされる要素に合わせて最適化されています。
OPTIMAL BALANCEを具現化するために採用されるのが、ARGON18独自のテクノロジーである「3D System」です。他社のバイクでは見られない特徴的な3Dヘッドチューブに直接スペーサーを取り付けることで、剛性を失わずにポジションを3パターンに変更することが可能です。
これはライダーのレベルに応じての変更はもちろんのこと、レース、ロングライド、ヒルクライムにおいても1台のバイクで対応できることを意味しています。
また剛性コントロールにおいても、フレームのトップチューブとシートステーのラインをコンフォートゾーン(柔らかめ)に、ダウンチューブとチェーンステーのラインをパワーゾーン(硬め)のパートに分けるHDS(ホリゾンタル・デュアル・システム)で役割分担を明確化しています。また、ペダリングパワーを維持しながら、優れた振動吸収性も両立させています。(※振動吸収性が高すぎるとペダルに伝わる力が逃げてしまうことがある)
フレームのジオメトリーにおいても独自のAFS(アルゴン・フィット・システム)を採用。フレームサイズを問わず最適なハンドリング性能や乗り味を生み出すために、長年にわたる経験を元に生み出されました。
さらに多くのロードバイクよりもBB位置を下げ、ライダーの体重を含めて低重心化することで優れた安定性を実現しています。これらのフレームに用いられるカーボンは、それぞれのフレームに最適なものを、コントロールして製造されたARGON18独自のものです。
革新的な理論を具現化したARGON18のプロダクトは、プロライダーはもちろんのこと、ホビーユーザーにも最高の満足度を提供できると言えます。
ARGON18 2017年モデル
では、ARGON18のランナップの一部を見ていきましょう。
1.GALLIUM PRO(ガリウム プロ)
GALLIUM PRO(ガリウム プロ)はARGON18史上最軽量フレームです。フレーム素材に7050ナノテックカーボンを採用した、リアルロードレーシングフレームです。また冒頭でもお伝えした通り、今年からプロサイクリングチーム「アスタナ」が使用するフレームでもあります。
GALLIUM PROはその万能性能の高さから、発売以来ヒクライム、スプリント等のステージを問わず世界中で活躍してきました。
開発には近年の歴代カナダチャンピオン スヴェン・タフトや、オリンピックカナダ代表選手ザック・ベルなど、多くの優れたライダーが携わっています。
軽く、速いことはもちろん、乗りやすいというARGON18のコンセプトを更に研ぎ澄まし、ライダーのレベルを問わず、最大限パフォーマンスを発揮できるのがGALLIUM PRO(ガリウム プロ)です。
フレームセット参考価格:税別364,000円(アスタナ)、税別344,000円(スタンダード)
カラー:ブラック×レッド 1カラー
サイズ:XXS(415)、XS(455)、S(490)、M(530)、L(565) C-T
重量:フレーム 790g、フロントフォーク 350g、シートポスト 180g
※画像は一部国内仕様と異なります
2.NITROGEN (ナイトロジェン)
空気抵抗を極限まで抑えたエアロロードバイクがNITROGEN (ナイトロジェン)です。前後反転可能な専用エアロシートポストとエアロロードバイクに多く見られるコンポーネントメーカーのブレーキではないオリジナル設計したブレーキシステムを採用しています。
フレームセット参考価格:税別328,000円
カラー:ブラック×レッド、ブラック×ホワイト 2カラー
サイズ:XS(433)、S(487)、M(515)、L(567) C-T
重量:フレーム 990g、フロントフォーク 380g
※画像は一部国内仕様と異なります
3.GALLIUM(ガリウム)
ARGON18の提唱する「オプティマル・バランス・コンセプト」を高次元で実現したのが、GALLIUM(ガリウム)です。高剛性カーボンの「HM6100」を採用し、各部の設計や積層を突き詰めることで重量を抑え、ハイレスポンスなフレームに仕上げています。
シマノ・アルテグラ、105の両完成車もラインナップされているため本格的にレース参戦を始めるなら最初の1台にも良いと思います。
アルテグラ完成車 参考価格:税別388,000円
105完成車 参考価格:税別351,000円
フレームセット 参考価格:252,000円
カラー:ブラック×ホワイト 1カラー
サイズ:XXS(415)、XS(450)、S(490)、M(535)、L(560) C-T
重量:フレーム 965g、フロントフォーク 350g、シートポスト 235g
※画像は一部国内仕様と異なります
4.KRYPTON(クリプトン)
ARGON18の数あるラインナップの中でベストセラーモデルが「KRYPTON」です。快適で万能な走行性能が特徴で、状況を問わず、乗り手のパフォーマンスを最大限引き出します。
これはレスポンスが悪いということではなく、レースに使用可能な剛性(硬さ)を備えながら高い振動吸収性をも両立しているということを意味しています。
ロングライドからレースまで対応するバイクをお探しなら、KRYPTON(クリプトン)は良い相棒となるでしょう。
アルテグラ完成車 参考価格:税別322,000円
105完成車 参考価格:税別289,000円
フレームセット 参考価格:税別183,000円
カラー:ブラック×ホワイト、ホワイト×ブラック 1カラー
サイズ:XXS(420)、XS(455)、S(500)、M(540)、L(560) C-T
重量:フレーム 1190g、フロントフォーク 420g、シートポスト 275g
※画像は一部国内仕様と異なります
最後に
いかがでしたでしょうか。ARGON18は一見地味なブランドに写りがちですが、レース専用モデルだけではなく、ユーザーのレベルの合わせた乗り方が可能な自転車です。
それにはラインナップごとに異なったフレームの剛性を維持(OPTIMAL BALANCE)しながら、ベストなポジション、乗り方が調整できる3D Systemが大きく貢献しています。
レース、ロングライド、ヒルクライムにおいて1台のバイクで対応できるAGRON18。なかなか魅力的なブランドではないでしょうか。
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WRITTEN BYVIKING the MAINTENANCE
都内のプロショップに10年間在籍後、2015年VIKING the MAINTENANCE を設立。東京・西新宿を拠点にスポーク自転車の組付け、カスタマイズ、メンテナンスを軸に展開中。年2回富士山麓でサイクルイベントも企画中。 http://www.viking-the-maintenance.com/