元自転車屋が教える!自宅でできる、軽快に走るための自転車チェーンの注油方法
【2021年10月更新】元自転車屋が教えるメンテナンスシリーズ、第3回目は「チェーン」です。過去のメンテナンス記事はこちらです。
長らくチェーンに注油していないと、「キコキコキコ……」という音と共にペダルが重くなるのを感じませんか?
チェーンは脚力を自転車に伝えるパーツのひとつ。サビやこびりついた汚れは、その動きを邪魔してしまうのですす。
そんなチェーンゆえにメンテナンスは大事。しかしメンテナンスに必要な道具は、なんと全て100円均一にあるもので可能なんです。
今回は、100円均一で購入できる道具を使って、自宅でできるメンテナンスの方法について紹介します。
目次
用意するもの
用意していただくものは以下の6つ、どれも100円均一で手に入るものです。
- 機械油
- ディグリーザー
- ウェス
- 歯ブラシ
- 段ボール
- 軍手
機械油(チェーンルブ)
このオイルで、チェーン表面をコーティングし、サビを防ぎます。オイルは自転車用の物がベストですが、粘度が高いものであれば他の機械用油でも代用可能です。機械油は100均やホームセンターなどで手に入ります。
オイルについては下でも詳しく解説しています。
ディグリーザー用オイル
チェーン表面のサビや汚れを落とし、表面をきれいにするオイルです。100円均一では「サビ防止スプレー」という名前のスプレー缶で売っています。自転車用が望ましいですが、汎用品でも構いません。
ウェス
汚れを拭き取る布で、使い古しのタオルやTシャツで代用することもできます。布であれば、どのような物でも構いません。
歯ブラシ
スプレーで落ちない、しつこい汚れを落とすためのものです。これも使い古しのもので構いません。
段ボール
チェーンへの注油の際に、自転車を逆さにするのですが、地面とこすれて傷がつかないようにするための保護用段ボールです。
軍手
手のケガと、汚れを防ぐために使用します。機械油はしつこく、爪のすき間に入り込んだりして、石鹸でもなかなか落ちません。軍手をはめて作業するのがおすすめです。
オイルの種類
さて、さっそくチェーンへ注油したいところですが、その前に説明したいことが、オイルの種類です。先ほど、「用意するもの」の項目で「機械油(チェーンルブ)」と「ディグリーザー」のふたつを用意していただきました。
チェーンへの注油は
- 揮発性の高い油で古い油やサビを落とす(ディグリーザー用オイル)
- 粘度が高い油でパーツ表面をカバーし、サビの発生を防ぐ(機械油・チェーンルブ)
という、ふたつのステップで行います。
「ディグリーザー用オイル」は汚れを落とすのは得意ですが、粘度が低いので、表面からすぐに落ちてしまいサビを防ぐことができません。「機械油(チェーンルブ)」は粘度が高く、表面を保護するのは得意ですが、サビや古いオイルを落とすことは苦手で、使い方を間違えると、逆にチェーンの動きを悪くする原因にもなります。
このように、オイルにも得意、不得意があり、それを補い合うために2種類のオイルを使うのです。
また、チェーンルブの中にも様々なタイプのものがあります。それぞれ特徴があるので、雨の日にも乗りたい、オフロードで乗りたいなど、サイクリングのスタイルによって決めることをおすすめします。
自転車用のオイル(チェーンルブ)について詳しく解説した記事はコチラ!
チェーンへの油の注し方
※基本的に、普段のメンテナンスではチェーン以外に油を差す必要はありません。ブレーキの音鳴りなど、何か気になる症状があったら、ショップへ持ち込むことをおすすめします。
さて、それではオイルを差していきましょう。汚れとケガを防止するため、軍手をはめて作業開始です。
1.自転車を逆さにする
まずは自転車を逆さにしてしまいます。用意していただいた段ボールを地面に敷いて、その上にハンドルとサドルで三点倒立するようなイメージで置けば、きれいに自立するはずです。
2.チェーン表面に「ディグリーザー用オイル」を塗る
自転車を逆さにしたら、「ディグリーザー用オイル」でチェーン表面のサビや古いオイルを落としてしまいます。ペダルを持ちながら、空回りする方向(タイヤがまわらない方向)に回し、スプレーを吹きかけてあげれば、チェーン全体に効率的にオイルを散布することができます。
この時、チェーン以外の箇所にオイルがかからないよう、注意してくださいね。全体にオイルが行き渡ったら、油を馴染ませるため5分ほど待ちます。
3.「ウェス」で汚れを拭き取る
次は「ウェス」の出番です。ウェスはあらかじめ、20センチ四方に切り分けておきます。
ウェス(使い古しのタオルでも可能です)を手に取り、ウェスで包むようにチェーン表面を軽く握ります、その状態でチェーンを空回りさせれば、汚れが落ちていきます。
この手順で落ちなかった汚れは、もう一度「ディグリーザー用オイル」をつけ、歯ブラシでこすってあげれば取れるはずです。この手順が終わったら、「ディグリーザー用オイル」が乾くのを待つため、5分ほど待ちます。
4.「機械油」をチェーンに塗る
この時点でチェーンはきれいになっていますが、サビを防ぐため、チェーン表面を保護する機械油を塗っていきます。チェーンは、薄い板状のパーツに丸い円柱形のパーツ(コマ)が挟まれ、それが連なってできています。チェーンオイルを上手く差すコツは、ペダルを速く回転させながら全体にサーッとかけるのではなく、チェーンの1コマ、1コマにゆっくり差していくことです。ゆっくり差すことでチェーンのコマの中にオイルがしっかり浸透し、ギア変速の向上につながります。
オイルの塗りすぎは汚れの原因になるので禁物、注油は数的垂らす程度で十分です。注油が済んだら、ギアを切り替えながらペダルを回し、ギア表面とチェーンにオイルを馴染ませます。
5.最後のひと手間、表面の拭き取り
ここまでの作業を終えたら、使用していないウェスを手にとり、チェーンの表面を軽く拭いてあげましょう。オイルがつきすぎていると、表面にホコリやゴミが溜まり、動きが悪くなる原因になります。この作業を終えたら、注油は完了です。
また雨天での走行後は、チェーンオイルが雨で流れている可能性が高いので、車体の水分を拭き取ってからできるだけ早くオイルを差しましょう。放っておくと思った以上に早く錆が浮いてくるので注意が必要です。
終わりに
ここまでの作業を終えた自転車に乗ってみてください。ペダルが軽くなっているのに気づくはずです。次の注油までの期間は使用状況によってまちまちですが、オイルが落ちやすい雨の日に乗った後やペダルが重くなったと感じたその時に、注油を行ってください。
今回の作業も慣れれば簡単に出来るはず。メンテナンスされた自転車で軽快に走りましょう。
けんたさんが簡単にできる注油方法を紹介します!
また、自転車チェーンの掃除方法についてはこちらの記事をご覧ください。
自転車チェーンを交換したい場合はこちらの記事も参考にしてみてください。
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WRITTEN BYスズキ ガク
1986年生まれのライター・編集ディレクター・元自転車屋の店員/ 大学を卒業後、自転車日本一周と、ユーラシア大陸輪行旅行を行う。 編集ディレクターとしての担当媒体は「未来住まい方会議 by YADOKARI」