【2021年9月更新】自転車を漕いでいると突然やってくる「プシュー」という音、悲しくなりますよね。パンクはおそらく、自転車に乗っていると最も多く見舞われるトラブルのひとつです。
そんなパンクを修理するのは自転車修理の基礎とも言われるもので、やってみると意外と簡単なもの。今回は初心者でも分かるパンク修理の方法を、元自転車屋がお伝えします。
目次
パンクの原因と回避
鋭利な石やガラスを踏んでしまい、それがタイヤを貫通しチューブにまで刺さってしまうとパンクが発生してしまいます。そのため、常に路面の状況に注意して走行し、時には押して歩く判断をすることが重要です。
加えて、タイヤの空気圧が低いと段差や亀裂などでパンクしやすくなります。できれば毎回乗車前に空気圧をチェックするようにしましょう。
事前に買っておくべきもの
パンク修理に必要なものは、以下の6つです。
- タイヤレバー
ホイールからタイヤを外すレバーです。
- パッチ
パンクの穴をふさぐシールです。
今回のパッチは、イージーパッチというものを使用しています。これは、のりを使う必要がなく、貼るだけで良いので、初心者におすすめのパッチです。
- ポンプ
普通の空気入れで大丈夫ですが、普段から携帯しておくと便利です。
- いらないタオル(フォーク下に敷いて、キズを防ぐもの)
- 赤サインペン
穴が空いてる箇所に印をつけます。
- バケツや桶
水を入れて、空気漏れの穴を探すために使います。
その他、手のケガを防ぎ、汚れないようにするために、軍手があると便利です。
タイヤレバー、パッチ、ポンプは自転車屋さんでも手に入ります。タイヤレバーとイージーパッチは紹介したパナレーサーの物が入手しやすく、使いやすいのでおすすめです。
パンク修理の手順
[注釈追記]
当記事では、写真撮影の都合上パンク修理をアスファルトの上で行っていますが、ダンボール等を敷いた状態で行う方がベターです。これからパンク修理を行う予定の方はダンボールを敷いて試してみてくださいね。
1. ブレーキを解除する
ブレーキアーチが固定されたままでは、タイヤは外れません。そのため、先にブレーキを解除しておきます。
自転車の部品を触っていきますので、手の汚れが気になる場合は、あらかじめ軍手をはめておきましょう。
クロスバイクに付いていることが多いVブレーキの場合、ブレーキをかけたときに動くブレーキアーチを両側から押してあげると解除されます。
カンチブレーキの場合も同じように両側から押すと解除されます。
ロードバイクや一部のシティバイクに付いているキャリパーブレーキの場合、向かって左に付いているレバーを上に上げるとブレーキが解除されます。
2. ホイールを外す
いよいよホイールを外していきます。
前輪の場合には車軸の脇に付いているレバーを掴み、反対側まで倒します。その後、反対側のつまみを固定しながら、レバーを反時計周りに3~5回転すれば外すことができます。この時にねじを外すまで回す必要はなく、フォークから外れる程度で大丈夫なので、緩めすぎないようにしてください。
後輪の場合、少し難しいですが順番にやっていけば問題ありません。あらかじめ後輪を持ち上げ、前後のギアをインナートップ(歯数が一番少ないギア)に変えておきましょう。こうすることで、ホイールが外れやすくなります。
次に、前輪の時と同じく車軸の脇に付いているレバーを掴み、反対側まで倒します。このとき、レバーを回転させる必要はありません。その後、サドルを持ち上げると後輪がフレームから離れます。
まだ歯車(スプロケット)にチェーンが掛かっているはずですので、サドルを持ち上げながらホイールを左上に持ち上げるようにすると外すことができます。
慣れないうちは難しいので、何度も練習してコツを掴むのがいいと思います。
前輪を外した場合、フォークの先が傷つかないよう、いらないタオルを下に敷いておきましょう。
後輪の場合、そのまま置くとパーツが壊れてしまう恐れがあるので逆さにすることをおすすめします。その際、ハンドルに付いているスマホホルダーなどは外しておき、接地する部分が傷つかないようにタオルを敷いておくとよいでしょう。
3. タイヤの空気を抜く
次に、タイヤの空気を抜きます。パンクしてしまい空気は抜けている状態かと思いますが、空気が抜けきっていないと作業が大変になるため、空気は全部抜いてしまいましょう。
MTBで使われている米式バルブの場合は、キャップを取り、バルブ頭頂部の真ん中にある出っ張りを押せば空気が抜けます。ロードバイクや、クロスバイクに使われることの多い仏式バルブの場合は、キャップを取り、バルブ頭頂部のネジをゆるめて、頭頂部を押せば空気が抜けるはずです。
タイヤを押して、空気が抜けていることを確認できたら、次のステップに向かってください。
4. タイヤをホイールから外す
このステップで、ホイールからタイヤを外します。この時、外すのはタイヤの片側だけです。
タイヤレバーをホイールとタイヤの間に挟み込み、力を入れてスポーク側まで倒します。挟み込むときには、手の腹を使ってタイヤをめくりあげるようにするのがコツ。この時、力を入れすぎるとタイヤレバーが折れてしまうため、気をつけてください。
また、タイヤの中のチューブにレバーを引っ掛けてしまうと、新たな穴が空いてしまう恐れがあるので、気をつけてください。
1本目に成功したら、2本目を挟み込みましょう。挟み込む位置の目安はスポークの間隔が2~3本分離れたところです。近すぎると外すのに時間がかかりますし、遠すぎると外しづらくなってしまいます。
2本目を挟み込んだら、1本目のレバーをホイールの外周に沿って滑らせていきましょう。
すると気持ちよくタイヤが外れていくはずです。外周を一周させ、タイヤの片側がすべて外れたら次のステップに進みます。
5. チューブをホイールから外す
タイヤの片側が外れたら、中からチューブを引き出します。仏式バルブの場合、バルブの根元に付いているネジを外すのを忘れないようにしてください。ネジが付いたままだと、チューブを完全に外す事ができません。
タイヤとチューブを完全に分離できたら次のステップに向かいます。
家でパンク修理できる場合ならまだしも、出先でパンクしてしまった場合は大変です。普段からチューブを携帯し、パンクしてしまったらチューブの交換だけ行い、帰ってから修理する、という方法をおすすめします。その場合は、チューブを外したら元に戻す作業へ移りましょう。
6. タイヤに異物がないかチェック
異物を踏んでパンクした場合、タイヤにまだそれが刺さっている可能性があります。タイヤの外側はもちろん、内側もチェックしておきましょう。特に内側は指を入れて一周させ、本当に異物がないか確認する必要があります。その際、とがったものだと指をケガする可能性があるので必ずグローブや軍手を装着しましょう。
7. 空気が漏れている場所を探す
次は、空気漏れをしている場所を探しましょう。取り出したチューブにポンプで空気を入れて膨らませます。膨らませたらポンプを取り外し、バルブのネジを締めます。
その後バケツに水を入れて、空気を入れたチューブを水に浸します。空気漏れを起こしている穴はごく小さなものが多いため、水に浸して気泡が出ている場所を確認するためです。
チューブを水の中にくぐらせて1周させると、小さな気泡が出ている箇所が見つかるはずです。気泡が出ている場所を見つけたら、赤ペンで印を付けてあげましょう。
空気漏れの穴は1カ所とは限らないため、チューブ全体を丹念にチェックしてあげてください。
あれ、穴が見当たらない?
丁寧に探しても穴が見つからない、なんてこともあります。シティサイクルによく用いられているバルブ(英式バルブ)から空気が漏れている音がする場合には「虫ゴム」という部品が劣化しているかもしれません。
ナットを外し、中のバルブを引き抜くと以下のような状態になります。
もしゴムが裂けていたり、無くなっていたりした場合には新しいゴムに交換しましょう。
8. パッチを貼って、穴を塞ぐ
全ての空気漏れの穴が見つかったら、チューブの空気を抜いて、穴付近の水分を拭きとります。この時、拭く物にはオイルが付いていないきれいなものを使ってください。チューブ表面にオイルがついてしまった場合、パッチがはがれやすくなります。
次に、穴付近にヤスリがけをします。これはパッチをはがれにくくするために必要な作業です。ヤスリがけをする範囲は穴を中心に3センチほどで大丈夫です。紙ヤスリはパッチを購入すれば付いてきます。
ヤスリがけが終わったら、パッチを貼ります。
この時、パッチの接着面にはなるべく指が触れないようにしましょう。指の油分が接着面に付くことで、パッチがはがれやすくなります。パッチを表面に貼ったら、タイヤレバーなどでパッチを上からこすりつけ、チューブとパッチをしっかり密着させてあげましょう。
パッチを貼り終えたら、念のためもう一度チューブに空気を入れ、10分ほど放置します。時間を置いてチューブがしぼんでいなければ、穴はしっかり塞がっているはずです。
9. チューブとタイヤを元に戻す
穴を塞いだチューブから空気を抜き、タイヤの中に格納していきます。最初にホイールに空いているバルブ穴にバルブを差し込んでおくと作業がしやすいです。格納の際はチューブがねじれないように注意しましょう。
チューブを格納したら、タイヤをホイールにはめ込んでいきます。作業中、タイヤとホイールの間にチューブが挟まれないよう注意してください。
この時は、バルブの箇所からはめ込んでいくのがおすすめです。バルブ箇所をはめ込むときはタイヤとホイールの間にチューブが挟まれてしまうことが多いので、この箇所をはめ込んだ後にバルブを押し込んで動くかどうかを確認し、挟まれていないかをチェックしてあげましょう。
はめ込み最後に残ってしまう箇所は、なかなかスムーズにはめ込めない箇所です。力いっぱい押し込んでください。
全部はまったら、タイヤをめくりあげ、タイヤの硬い部分にチューブが挟まっていないことを確認します。しっかりと一周しましょう。大丈夫だったら、バルブの固定ネジを付け(米式バルブにはネジがありませんので必要ありません)、空気を入れれば、パンクの修理は完了です。
次は、ホイールをフレームに戻しましょう。
10. ホイールをフレームに戻す
外した時と逆の手順で、ホイールを元に戻します。この時に車軸のレバーの方向を間違えないように注意。レバーは元々付いていた側に向けてください。
ホイールを付けたら、正面からホイールを見て、ブレーキの間隔が左右均等になっているか(正中線が出ているか)をチェックします。ヘッドチューブから見て、タイヤがまっすぐになっていればOKです。
正中線を出した後は、レバー反対側のつまみを持ちながら、レバーを時計回りに回し、車軸のネジを締めます。締め付けはレバーを上に上げて固定します。この時の固さの目安として、手のひらの親指側のふくらみに当てながらレバーを上げ、少し痛い程度がちょうどいい締め付け具合です。
レバーは前輪の場合上向きに、後輪の場合は前方斜め上方向に固定するとレバーが外れにくくなります。間違って下向きに固定してしまうと、タイヤが外れやすくなるため、ご注意を。
レバーはしっかり上まで押し上げ、その後、ホイールを掴んで左右にゆするなどして、きちんと固定されているかどうかをチェックします。
ブレーキを元に戻して、バルブの固定ネジを締め付け、バルブキャップをつければ完成です。
まとめ
パンク修理の作業は、はじめての方でも30分程度、慣れれば10分程度でこなせます。慣れれば、水を使わず、手の感覚で空気漏れの穴を突き止めることもできます。また、応用すればタイヤの交換も可能です。
やればやるほど慣れてくると思いますので、次にパンクした時は、ご自身で修理してみてはいかがでしょうか?
次回はこの技術を応用してタイヤの交換を行いたいと思います。
タイヤ交換についてはこちらの記事をどうぞ!
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