体を動かすことが作曲に与える効果とは?歌手の水越ユカさんがツール・ド・東北2015に挑戦する理由【前編】

今年で3回目となる「ツール・ド・東北」。東日本大震災で被災した宮城県の沿岸を走り、復興が進む東北の今を感じることができるサイクリングイベントです。今年は9月13日に開催され、約3500人のライダーが東北の地を走ります。

コースは全5コースで、石巻市を発着点とする「気仙沼フォンド(211?)」、「南三陸フォンド(170?)」、「北上フォンド(100?)」、「女川・雄勝フォンド(60?)」に加えて、今回から気仙沼市をスタートし石巻を目指す「気仙沼ワンウェイフォンド(95?)」が新設されました。どのコースも三陸の沿岸地域を走るので、被災した地域の今を感じることができるように設計されています。

今回、シンガーソングライターの水越ユカさんは、このイベントにロードバイク未経験ながら参加することを決めました。水越さんは富山県射水市出身で、2009年に歌手デビュー。富山弁でうたった楽曲「あいのかぜ」がSNSなどで話題となり、これからに注目が集まるシンガーソングライターです。

なぜ彼女は「ツール・ド・東北2015」に参加しようと思ったのか、レース当日までにどんなトレーニングを行うのか…これからロードバイクにチャレンジしようと考えている方も気になるところではないでしょうか。

前編は水越ユカさんご自身について、スポーツ万能な彼女の日頃のトレーニング方法などを聞いてみました。

原点はふるさと富山。富山のよさをみんなに知ってもらいたい。

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?シンガーソングライターになりたいと思ったのは?

水越ユカさん(以下、水越):小さい頃から歌が好きで、歌手になると決めていて。そのまま大人になって、今があるという感じなんです(笑)。

もうこんなところにいたくないと思って富山から東京に飛び出してきたのですが、意外と東京の人たちが富山のことを知らなくて悔しい思いをしました。それからは、東京と富山を行ったり来たりしながら、富山弁だったりおいしいものだったり、富山ならではのものを広めるために頑張っています。

大人になって気づくふるさとのよさってありますよね。ふるさとの魅力を私の音楽に乗せて届けられたらと思っています。

?今年の4月に、ご出身の「いみず首都圏PR大使」に任命されたそうですね!

水越:そうなんです。首都圏PR大使なので、東京を中心に活動をしています。北陸新幹線が開通したので、もっと観光に来ていただけるようにPRしたり。今年は射水市が合併10周年なので、いろいろなイベントも開催されます。

富山でも地元のことを知らない方もいるので、東京で活動してみて感じた富山の魅力をお話する機会もあります。

?東京に出てきて、故郷の何が一番すごいと感じましたか?

水越:まず、ごはんですね(笑)。富山の魚は本当においしいです。しかも東京では考えられないぐらい安いんですよ(笑)日本酒も絶品です。子どもの頃は知らなかった楽しみ方ですね。

昔は、ここには海と山しかないって思っていたんですが、それってすごいことなんだと今となっては感じます。昨年、富山湾沿いが「世界で最も美しい湾クラブ」に加盟したので、ママチャリではなくて、ロードバイクで走ってみたいなと思っています。

富山弁の歌をうたったことで、ふるさととひとつになれた。

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ーアルバムを聴かせていただきましたが、富山弁で歌っていますよね。

水越:最初は東京向けに、富山弁を発信してみたらどうなるのかなと軽い気持ちでやってみたんです。普段使うものからおばあちゃんたちしか使わない方言まで盛り込みました。富山弁ってテレビでもなかなか聞く機会がないので、知るきっかけになったらいいなと思って。

おもしろいのは、地元の反響が大きかったこと。Twitterでも女子高生が「うけるー!」ってつぶやいてくれていました(笑)。いろいろなところでストリートライブをした時も、「富山の言葉ってかわいいね!」って言ってもらったり。これは、まだまだ可能性があるなと確信しました。

富山の人って人見知りで真面目な人が多いのですが、なんだかんだで富山のことが大好きなんです。それを表に出さないのですが(笑)。謙虚っていうか下手くそっていうか。でも、この歌を通してひとつになれたことがうれしかったです。

?とあるテレビ番組の「男性がきゅんとする女性の方言ランキング」で富山弁が2位だったそうですね。

水越:そうなんです。曲を出した直後だったので、2位にはびっくりしました!

-水越さんおすすめのかわいい富山弁を教えてください。

水越:よく使うのは、「なんな〜ん」ですね。「いえいえ、いいですよー」って否定する感じなんです(笑)。「なんなんいいよー」とか。東京でもたまに出てしまいますね。

あとは「が」とか「け」を語尾につけます。「これちがうよー」が「これちごうがー」になります。地元の高校生が使っているのを聞くとかわいいなと思います。

?おばあちゃんたちしか使わない方言というのは、例えばどういうものですか?

水越:「気の毒な」ですね。「ありがとう」という意味です。「私のためにそこまでしていただいて気の毒です」という感じで使います。落語家の立川志の輔さんが射水市のご出身なのですが、志の輔さんが一番好きな富山弁は「気の毒な」だとおっしゃっていました。

?富山の県民性を表している感じがしますね。

水越:そうですね、言葉って出ますね。

曲をつくるのに、大切なこと。音楽とスポーツの関係とは?

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(水越さんが乗っているのは、GIANTが女性向けに展開している「Liv」のAVAIL 3)

?話は変わりますがジョギングやマラソンが趣味だそうですね。昔から走るのが得意だったんですか?

水越:中学校時代は陸上部でした。バスケやテニスみたいに1年生は球拾い、というのがイヤで。陸上には「1年女子の部」というのがあって「これだ!」と思ったんです(笑)。特に足が速かったわけでもないのですが。

最初は楽そうに見えた100mを選んだのですが、隣の県に一番速い人がいて、「これでは一番になれない」と気づいてしまったんです。それから、ハードル、200m、400m、そして最後は駅伝までいろいろ経験しました。一番にはなれなかったけれど、いつの間にか、走ることが好きになっていましたね。

今でもよく走っています。どちらかというと気分転換ですね。走るとリラックスできるんです。

曲を作っていて行き詰まった時は走ります。走って体を動かすと頭の中もすっきりして、また新たに浮かんでくるんです。

ー水越さんの音楽にはランニングが欠かせない要素なんですね。

水越:そうですね。スポーツで自分を励まして曲を作って。できた曲を聴きながら走ると「これはちがうな」とか「あ、いいな」とか気がつくんですね。

フルマラソンでは4時間で完走!日々のトレーニングの秘訣とは?

?東京マラソンにチャリティーランナーとして出場して、2014年には4時間01分39秒で完走されたとか。参加した女性芸能人5位はすごい記録ですね。実際に自転車に乗ってみて、マラソンでやっていることは役に立ちそうですか?

水越:やはり走ることはスポーツの基礎だと思います。自転車はまったく違う筋肉を使うし、まだまだこれから長距離の練習をしていくので、自分の体がどうなるのかわからないところもあります。

でも、体幹トレーニングは今まで通り続けています。この間少しだけ自転車に乗った時、「体幹を意識して」と言われましたが、すぐ体で納得できて。こつこつ続けていることで、体の使い方が少しはできるようになっているんだなと感じました。

?体幹トレーニングはどのように行っているんですか?

水越:トレーニングジムに通ってはいないんですが、家でスクワットしたり、四つん這いで足をあげたりとか、起きたらまずは腹筋するとか。眠たくて起きられないと思ったら腹筋しますね(笑)。

あとは、寝る前やテレビを見ながら筋トレをしたり、歯磨きしながらつま先立ちもします。エレベーターは使わずに、階段を使ったり。

普段のちょっとした心がけでかなり変わってきます。たくさんやる必要はなくて、少しずつ毎日やることが大切だと思います。


マラソンも自転車も長距離を走るには、ちょっとした日頃の努力がカギです。水越さんのように楽しみながら継続してトレーニングしていくとよさそうです。

後編(明日、7/30公開予定)では、「ツール・ド・東北2015」に初参加する水越さんの練習方法、意気込みなどを伺いました。ご期待ください。
公開しました→東北を走ることで“今”を感じ、歌にして伝えたい?歌手の水越ユカさんがツール・ド・東北2015に挑戦する理由【後編】

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WRITTEN BY寺田愛

ライター集団400(フォーハンドレッド)の共同代表兼ライター。女性誌編集、Webディレクターを経て、現在はエシカルなライフスタイルを模索中。

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