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DURA-ACEホイールのメリット・デメリットを徹底解説

デュラエース ホイール

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【2022年3月更新】おそらくスポーツ自転車に乗るほとんどの人がお世話になるであろうシマノ製品。

我らが誇る安心と信頼の日本メーカーで、トラブルが少なく耐久性の高いラインナップは、ママチャリからシリアスレースのガチロードやMTBバイクまで幅広くカバーしています(日本で作っているのは製品全体のごく一部ですが……)。

何を判断基準にするかにもよりますが、シマノは世界一の自転車コンポーネントメーカーと言って差し支え無いでしょう。

さて今回は、そんなシマノのトップカテゴリ、DURA-ACEのホイールについて、特徴や選択するにあたってのメリットデメリットを書いてみたいと思います。

※自転車部品の良し悪しを、「◯◯ブランドの製品は××だ!」と十把一絡げに評価するのは乱暴で、本来は製品一つ一つに対して評価するのが適切ですが、この記事ではDURA-ACEブランドの方向性と実績から、私が見聞きした範囲で製品一般に言えそうなことを述べています。

はじめに:DURA-ACEホイールの歴史と概要

今でこそ変速機やブレーキを担うコンポーネントのメーカーとして有名なシマノですが、会社が立ち上がった当初の製品は、当時イギリス製が大半であったフリーホイールでした。1921年のことです。

その後SHIMANOは戦後復興とともに自転車パーツメーカーとして成長していきました。1973年にはフラッグシップラインであるDURA-ACEのドライブトレインセットを発表し、同時にスポンサー供給も開始。プロロードレース界からのフィードバックを蓄積していきます。

このころはまだ、ロードレーサーのホイールは「ハブとスポークとリムを選んでショップで組むもの」、いわゆる手組みホイールを使うのが常識の時代でした。むしろそれ以外の選択肢はなかったと言っていいでしょう。

そのため上のDURA-ACEのラインナップの中にもホイールはなく、あるのは手組ホイール用の前後ハブのみです。

メーカーがハブもリムもスポークも設計して、前後一組のホイールとして売り出すいわゆる「完組みホイール」の登場は、ホイール界の雄Mavicが1996年に発売した”helium”が最初であると言われています。

このheliumに遅れること3年、1999年についにSHIMANOブランドの最初の完組みホイール、WH-7700が発売されます。このホイールにはまだ正式にはDURA-ACEブランドがつけられていません。当時の価格やグレードを考えたらDURA-ACEをつけても良さそうでしたが、初物ということもあって見送られたのでしょうか。

スポーク数が少ないことがこのホイールの特徴。完組ホイールはすべてのパーツを専用設計できるので全体的に軽く仕上げられるのですが、スポークの数を減らすことで軽量化に拍車をかけています。

ただし初物だけに意図の読めない設計も多く、巷では横剛性の低さや中途半端なリムハイト、Rolfに似たスポークパターンなどといった点への批判も多いホイールでした。

特に外周部の重量を軽くしようとスポークをリム側に引っ掛けてニップルをハブ側に配置していますが、リム部にニップルと同程度の重量があるワッシャが必要になり、結果外周部の重量減も達成できず全体として見ればニップル分重量増という仕上げも、今となっては伝説です。

●監修メカニックのひとこと●

WH-7700、当時使っていました。確かに横剛性不足などの批評もありましたが、私らのような一般レベルですと、適度な剛性感で乗り心地が良かったのを覚えています。

レース機材としての性能には、パワーを逃さない高い剛性が求められますが、一般レベルですとカラダに負荷が掛かり脚が負けてしまうこともあります。7700にはそれがありませんでした。

初のDURA-ACEグレード「WH-7800」

その後WH-7700-C、WH-7701など幾つかのバリエーションやマイナーチェンジがでますが、SHIMANOのホイールで正式にDURA-ACEグレードを冠したのはWH-7800が最初です。

WH-7800では、WH-7700のリム引っ掛け式のスポークをやめ、ハブの形を改良した上でハブ側にニップルを配置する構造が採用されました。WH-7700での失策はちゃんと活かされたようですね。

特徴的だったスポークパターンも極めてノーマルな放射系に。これはランス(※元自転車ロードレース選手)も愛し私も愛するMavicの大傑作であるキシリウムと同様のスポークパターンで、かかりの良さをはじめとする性能の良さは折り紙つき。そしてカーボン素材の隆盛を受け、DURA-ACEホイールの一つのマイルストーンであるWH-7801Cが誕生します。

このホイールは自分も所持しているので贔屓目に見てしまいますが、何よりもコスパが素晴らしかった。2006~7年当時の実勢価格でキシリウムのアルミホイール最上級と同じくらい、10万円半ばでカーボンホイールが買えるというのが衝撃的でした。

当時カーボンホイールはプロチームですらおいそれと購入できる値段ではなく、WH-7801Cの登場で経済的に楽になったチームは多かったのではないでしょうか。

しかも安いのに仕上げはとても丁寧で、スポーク穴の周囲には割れない様エポキシが塗布されるなどとてもこの価格帯とは思えないものでした。

この辺りの仕上げの丁寧さというのは現在のDURA-ACEホイールまで引き継がれており、SHIMANOの良さを語る上で欠かせない要素の一つです。

そして、WH-7850では大きく仕様が変わりました。スポークパターンこそWH-7801Cと同じですが、ニップルをリム側にするオーソドックスな配置に。これまで使われてきた10速専用のアルミ製フリーボディから、9速も10速も装着できるチタン製のフリーボディに変更され、取り付け方法もロックナット式から歴代のシマノフリーハブで採用されてきたボルト止め式に戻されました。

その後もマイナー/ビッグチェンジを繰り返し、WH-7700に端を発したSHIMANOホイールは、2021年に登場したR9200シリーズのWH-R9200(WH-R9270:ディスクブレーキモデル)が最新型となりました。

カーボンリムのノウハウも蓄積し、リムハイトのバリエーションなど選択肢も充実してきました。現行のR9200シリーズでは、60mm、50mm、36mmの3種類がラインナップされています。また、ディスクブレーキモデルではチューブラー対応とチューブレス対応の2モデルがあります。

性能の高さは、2015年のツール・ド・フランスに出場した17チーム中実に6チームがDURA-ACEホイールを使用していた事実からもうかがえます。2013年、2015年のツールを制したクリス・フルームも、DURA-ACEホイールを使用していました。

最新型は?

前述の通り、現在の最新型は2021年に登場したR9200シリーズのWH-R9200/WH-R9270です。

旧モデルとの違いを見ておきましょう。

リムハイトの変更

リムハイトのラインナップが変更され、60mm、50mm、36mm(リア)の3種類となりました。これまではローハイトのモデルとしてリア24mmのものが発売されていたが、刷新によって全体的にリムハイトが高くなりました

重量が増えるかも、と少し残念に思われる方もいるかもしれませんが、R9200系では以下で述べるようにリムハイトのかさ上げを補うほどの軽量化が行われています。

12速への対応

R9200系へのモデルチェンジで、DURA-ACEはついに12速化を果たしました。もちろん新モデルも12速に対応。一方で、11速をはじめとした従来のカセットを使用することはできなくなりました。既存のコンポに合わせて使いたいところですが、R9200系へアップグレードした際にはぜひこのホイールを体感したいですね。

軽量化

これまでも十分軽かったDURA-ACEホイールが、モデルチェンジによってさらに軽量になりました。中でもディスクブレーキ・チューブラー・リムハイト36mmのモデルは前後ペアで1,254gと、脅威の1,300g切り。軽量化を目指すライダーにとっても満足のスペックです。

新型DURA-ACEを篠さんが体験した記事はコチラ!

選ぶ際の注意点

DURA-ACEのホイールはディスクブレーキ対応のモデルであるWH-R9170、リムブレーキ対応のモデルであるWH-R9100に分類されます。その中でもWH-R9170にはチューブレス・チューブラーの2スペックがラインナップされています。

ディスクブレーキの場合にはチューブラーとチューブレスを選べますが、リムブレーキはチューブラー一択となる点に注意が必要です。

また、12速専用ホイールであることも注意しておきましょう。11速以下のコンポーネントは使用できないため、コンポーネントもDURA-ACEへアップグレードする必要があります。

ディスクブレーキ・チューブレス

WH-R9270-C60-TL

  • 重量:1,609g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9270-C50-TL

  • 重量:1,461g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9270-C36-TL

  • 重量:1,350g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

ディスクブレーキ・チューブラー

WH-R9270-C60-TU

  • 重量:1,437g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9270-C50-TU

  • 重量:1,333g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9270-C36-TU

  • 重量:1,254g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

リムブレーキ・チューブラー

WH-R9200-C60

  • 重量:1,449g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9200-C50

  • 重量:1,309g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

WH-R9200-C36

  • 重量:1,286g(前後ペア)
  • 参考価格:233,530円(前後ペア・税込)

36mmのモデルはミドルハイトながら軽量で、アップダウンが多い道を走りたいという方や、峠を速く走りたいヒルクライマーにおすすめ。反対に50mmや60mmのモデルは、「平地を中心に走りたい」という方にピッタリではないでしょうか。

デュラエースの魅力

上記のような歴史を持つDURA-ACEホイールですが、他メーカーのホイールと比べて良い所を挙げてみます。

コスパがいい

日本車然り、電機メーカー然り、日本のメーカは安く高品質なものを開発するのが得意。SHIMANOも例外ではありません。

一例として、SHIMANOと双璧をなすイタリアの自転車部品メーカ、CampagnoloのフラッグシップホイールBORA ULTRA 50は小売価格で40万円近くしますが、ほぼ同じグレードであるSHIMANOのDURA-ACE WH9270-C60-TLは23万円程度です。

どちらも高いことには変わりませんが、相対的に見ればDURA-ACEホイールのコスパの良さがお分かりいただけるかと思います。

もちろん、性能が劣らないのはプロレースでの輝かしい実績が証明している通りです。

耐久性が高い

これも日本製品らしい特徴ですが、DURA-ACEのホイールは外国製ホイールに比べるとトラブルが少なく、長持ちする印象があります。実際自分のWH-7801Cも、使い始めて6~7年経過した時点でも特にヘタったりサビたりもせず快調に使用できました。

(出典:SHIMANO公式サイト

また、こちらの図はSHIMANOがHPで公開しているホイール部品の展開図です。これを見ると、すべての部品に番号が振られており、欠損/故障したパーツを簡単に発注できることがわかります。これが海外メーカーのホイールだと、よほど代理店がしっかりしていない限りは補修部品の納期が長かったりいろいろうまくいかないことが多いです……。

万が一トラブルがあった時も、リペアパーツを非常に細かく注文できる上に国内配送ですぐ届くので、長く付き合うには非常に良いホイールです。

残念なところ

コスパよし!品質良し!といいとこだらけのDURA-ACEホイールですが、その日本製品らしさゆえに物足りないところも……。

一貫した設計理念/デザインアイデンティティが無い

自転車は趣味の道具なので、ブランドバリューやアイコニックなギミックの存在というのは重要な要素ですが、いかんせん歴史が浅いせいか、DURA-ACEホイールには一貫した設計理念が無くモデルチェンジごとにホイールの特徴が変わります。

そのため当たり外れも大きく、前モデルの性能に惚れ込んでいても、次のモデルで同等の満足が得られないことがあります。良く言えばしがらみに囚われず常に新しい設計をしているとも言えますが……。

自動車メーカーにも言えますが日本の企業は「伝統を重んじた一貫したブランディング」というのが苦手なように思います。

これが海外勢のホイールだと、Mavicのキシリウムは基本設計を変えずに、素材や細かな軽量化だけで10年以上ラインナップに乗り続けていますし、CampagnoloのG3スポークも長いこと変更されずに継続されています。

そのため、見る人が見ればシルエットだけでも「あ!キシリウムだ!」「カンパニョーロだ!」とわかります。その点、SHIMANOはロゴを見ないと玄人でも判別は難しい。

「走ればいいんじゃ!」という方には関係ないですが、パーツのストーリー性にもこだわる方はもしかしたらあと一歩と感じてしまうかもしれませんね。

世代が変わると取り残される

一番の難点はこれだと思います。前項とも共通しますが、DURA-ACEのホイールは世代間の互換性が非常に悪いです。

例えばWH-7900からWH-9000に世代交代する際には、SHIMANOのドライブトレインの変速が10速から11速に変わりました。WH-7900を所持している人はスプロケットだけ11速に変えて、今後も使い続けたいところですが、なんと、WH-7900以前のホイールは11速への対応は不可ときた。

つまり、メーカーは「11速使いたい人は新しいホイール買ってね?」と言っているわけです。SHIMANOのホイールは11速を使えないのに、海外メーカーの10速ホイールはフリーボディの交換で11速に対応できるというちぐはぐな現象が起きました。ここら辺の不親切さは残念ですね。

最新のWH-R9200も例外ではなく、12速に対応したのを機にホイールも12速専用となりました。DURA-ACEのホイールには(今のところ)最新のコンポしか使えないということで、まさに「世代が変わると取り残される」ということが感じられますね。

最後に

いろいろ書きましたが、製品単体で見るとDURA-ACEホイールほど魅力的な選択肢もそう多くありません

走りに対する費用対効果が最も大きい部品はホイールとも言われています。ホイールを新調して一つ上の走りを手に入れてみては?


1st edition by しんたろ

監修:サイクルアシスト オオバ 大場忠徳

All photos (C) SHIMANO INC.

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