自転車の魅力・楽しさをもっと女性に伝えたい!スペシャライズド・ジャパンのウィメンズチームインタビュー
サイクルロードレースをはじめ自転車競技で存在感を放つ自転車メーカー「スペシャライズド」。FRAME読者の中にはスペシャライズドに乗っている方も多いはず。
そのスペシャライズドが近年力を入れている女性向けの自転車マーケットについて、ウィメンズビジネス小林紗希子さんと村田桃代さんにお話を伺った。
目次
妥協せず、一歩先をいくのが魅力‐スペシャライズド・ウィメンズモデル
スペシャライズドは1974年に米国カリフォルニア州でマイク・シンヤードが創業した、スポーツ自転車総合ブランド。
小林紗希子さん(以下、小林)「スペシャライズドは妥協しないというのが強み。自分たちの限界を決めずに一歩先にいくことが魅力です。 ウィメンズのバイクにもしっかりと開発プロセスをいれて取り組んでいます」
女性向けモデルの誕生は今から13年前。自社初の女性用ロードバイク『ALLEZ DOLCE』と『ALLEZ VITA』を発売したところからはじまる。男女の身体構造の違いをふまえ、何千人もの女性の身体計測データを検証し、女性スタッフがより女性にフィットするフレームやエキップメントの開発を一から行っている。徐々にラインナップを拡げ、女性ライダーの拡大を目指すという目標のもとウィメンズビジネスチームが全世界で立ち上がった。
日本では5名のメンバーがウィメンズチームとして活動している。スペシャライズド入社前から自転車に精通していたメンバーや、入社後にスポーツバイクをはじめたメンバーなどさまざまで、これからはじめようとしている女性目線でのマーケティング活動に力を入れている。
イベント企画から運営まで女性メンバーがサポート
ウィメンズチームの活動は、自転車店向けの女性のお客様に特化した接客指導やイベントの企画運営、女性用のカタログ制作など女性との接点を網羅するため多岐にわたる。
自転車は高い買い物ではあるが、女性向けの試乗車を扱っているお店は少ないのが現状。購入前に試せるような機会として、女性向けのイベントもウィメンズチームが全面的にサポート。これから自転車をはじめたい女性にとってはとても安心できる。
世界的に最も女性ライダーのシェアが高いカナダでは、ロードバイクと肩を並べるほどマウンテンバイクが女性に人気だという。週末に女性がマウンテンバイクを車に乗せて走りにいくこともあるというのだから、ライダーにとって恵まれた自然豊かな環境があることがうかがえる。
世界で同一商品を展開するため、商品の魅力を日本向けの環境にアレンジして提案することもウィメンズチームのミッション。
村田桃代さん(以下、村田)「女性向けのカタログを今年作成しました。日本で撮影をしたものです。カナダやアメリカでは日焼けも気にしないでガンガン乗る方が多い。日本のカタログは日本人向けにアレンジして、かわいらしいアパレルや、色がかわいいバイクを準備してカタログにしました。」
利用するシーンを提案することで従来のカタログと差別化したブックレットはぜひ一度手にとってみてほしい。
自転車が楽しい乗りものでありスポーツだと感じてほしい
村田 「何か運動をはじめてみたいけどランニングはきつそう・・・と思っている方や、 昔は何かスポーツをしていたけどケガをしてそんなにハードには動けない方もいらっしゃいます。わたしたちがお伝えしたいのは、自転車は一生付き合っていけるということ。ランニングもカロリーを消費しますし運動効果も高いですが、 初心者が1時間ランニングをするのはハードルが高いと思います。私たちのイベントでも1時間自転車に乗っていただくと10kmちょっとですがあっという間ですし、みなさん『わぁ!乗れた』『もっと乗りたい』と言ってくれる方も多いです。」
イベントに参加される方もはじめてで10km自転車に乗ると聞くと、距離の長さに不安を抱くこともあるようだが、乗ってみると思ったよりも楽にクリアできることを感じてもらえるとのこと。
村田「気軽に挑戦できるし、例えばランニングと比べたら体への負担も少ないので、長く乗って続けていただける、生涯通して続けていただけるスポーツです。運動効果もランニングと同じくらいとても高い、というのをお伝えしたい」
そして、自転車ライドだけでなく、ゴールまでたどり着いた後のご褒美もあるのがスペシャライズドのイベントの特徴。
小林「ただ自転車に乗るだけよりも何かご褒美的なものがあったほうが、良い思い出になりやすいです。いつも実施しているイベントでは美味しいものをつけようと考えていて、みんなでおしゃれにランチをするなど、必ずイベントに入れるようにしています」
ライドすることによる運動効果だけでなく、遠くまで行くことができることも自転車の魅力のひとつとしてイベントを通して伝えている。
弱虫ペダルをみて自転車に乗りたくなったという女性は多い
イベントでは弱虫ペダルの話題がよくでるとのこと。漫画やアニメの影響力は絶大で、田所さんの乗っているTARMAC(ターマック)を指名買いしにくる女性も接客されたことも。
コンタドールなどプロレーサーきっかけで興味をもつ方や、ツール・ド・フランスに興味をもってフランスまで観に行ったけどロードバイクには一度も乗ったことがないという方など自転車に興味をもつきっかけはさまざま。
小林「見て知っているけど自分が乗るところまでつながっていない。そういう部分を強化していくのも私たちの目標のひとつ」
自転車に興味をもってもらった女性がまわりの自転車好きの男性に話を聞いてみるケースもよくあるようだ。そんなとき、ライドの楽しさや魅力についてサイクリストのみなさんに語って、実際に乗る機会につなげてほしいとのこと。
女性に興味をもってもらうには、ジェントルマンライダーが不可欠
速く走りたいというのが男性サイクリストのサガ。もし初心者の女性と一緒に走ることになったら女性にあわせた配慮を。
小林 「わたしはゴルフもやるのですが、ゴルフだと初心者がはじめてまわったときに、経験者の男性からいろいろ教えてもらいながら一緒のペースでまわっていくことで女性ゴルファーが増えたと思います。」
ジェントルマンなライダーが女性ライダーを増やすカギを握りそうだ。
村田「ライド途中の休憩では、ヘルメットを外してバイクにかけ、汗を拭いてシャカシャカみたいなものを羽織ってコンビニに入るような、周りに配慮されている方は印象がいいですね」
ジェントルマンな行動は女性と一緒にライドするときに限らない。サイクルウェアでコンビニによるときも、ジャージの上にウィンドブレーカーなど1枚羽織って買い物をするなど、ライダーへの印象ひとつで自転車に興味をもつきっかけにつながる。
小林「クロスバイクで隣の駅まで行く途中にチェーンが外れたことがあって、チェーンの掛け方がそのとき分からず、ちょっと奥まったところで悪戦苦闘していたら、ひとりのライダーが助けてくれたんですよね。そういう女性をみかけたらぜひ助けてほしい」
ライダーひとりひとりの意識が自転車への興味につながると感じた。