ロードバイク、ミニベロ双方を所有する私があえてミニベロをすすめるわけ
こんにちは、FRAME編集部です。
小径車とも呼ばれるミニベロは可愛いルックスで人気を集める自転車です。しかしロードバイクを所有してしまうと走行性能がどうしても劣ってしまうと考えがちなミニベロを新しく購入する人は少ないのではないでしょうか。
この記事では実際にロードバイクとTyrell(タイレル)のミニベロを所有する方がそれぞれ違いと、それでもあえてミニベロをおすすめする理由について書かれています。
この記事を読むと2台目や3台目の自転車としてミニベロが欲しくなってしまうかもしれません。
ロードバイクとミニベロの2台を所有している人って自分の周囲にけっこう多いんだけど、その方々が必ず受けるであろう質問が、
「なぜミニベロに乗るの?ロードバイクのほうが速いし、ラクに長距離を走れるんだからその1台で済むのでは?」
「わざわざタイヤの小さい自転車を併用する意味がよくわからない。ミニベロの存在意義ってなに?」
ではないだろうか。
べつに質問者は悪意があるとか、ミニベロが嫌いってことではなく、純粋な疑問として尋ねているのだ。
そのとき毎自分は「違うんですよ、それが!」と声を大にして答えている。
ただ、上手に伝えるのは意外に難しくて、ミニベロにしかない魅力、ミニベロならではの楽しみ方と利便性は確実に存在するけれど言葉で伝えるのに難儀する。
自分はミニベロに3年乗って、その後ロードバイクを加えて2台体制になっているのでミニベロ歴のほうが長い。
ちなみにミニベロ歴は6年、ロードバイク歴は3年。 よってミニベロへの愛着はロードバイク以上なんだけど、今日はロードバイクでは味わいにくいミニベロにしかない世界観についてお届けしたい。
気負わなくて良い気楽さ
「気負いってなによ?自転車に乗るのにそんなメンタルが必要なの?」という声が聞こえてきそうなのだが、必要なのだ。自転車における気負いとは、「さぁ、乗ったるぜ。オレは今から自転車でたくさん走るんだぜ」という気力と体力が充実された状態に持って行くまでに必要な精神力…じゃないかなと思ってる。
ロードバイクはその気負いがけっこう必要で、いいかんじに心身が充実していないと「昨日の仕事の疲れもあるし、まあ今日はいいか…」となって乗ることを諦めるか、三本ローラーでお茶を濁すことになる。
要はロードバイクって、玄関を出るまでに時間がかかる乗り物なんですよ。
大げさに言うと、ちょっとした決意が求められるんですね。
ロードバイクに乗る以上、まあまあの距離をけっこうなスピードで走るのが前提じゃないですか。
自分の場合、たとえば土曜の朝からロードバイクで走るって決めた場合、Googleカレンダーに翌朝はロードバイク乗る!と書いて、金曜の21時に自分に向けてアラートを出し、気持ちを高めていくことにしている。
「お前はロードバイクごときで何を気負っているのだ」と笑うかもしれないけど、自分にとってロードバイクはそんな乗り物。
よって、コンディションにちょっとでも違和感があると、「やめとこう」ってなりやすい。
たとえば「公道を走るF1」と呼ばれるフェラーリのF50とか、あるいはマセラティクアトロポルテを所有していたとして、5キロ先のヤマダ電機にそれで行こうとは思わないでしょう?
3キロ先のイオンでの買い物に使う気にはなれないでしょう?
そういうスーパーマシンに乗る以上、高速道路を走ったり、箱根のターンパイクに行きたくなるなるもんです。(持っていないし乗ったこともないから想像ですが・・・)
※箱根、自転車で走っても楽しいですよ
ロードバイクってスーパーマシンなのだ。でもスーパーであることと、あらゆるシーンで万能であるは同義ではない。
「ロードバイクを操る以上、チンタラ走ることは許されないっ・・・」って勝手に心が固まってしまうのよね。ロードバイクは自由な乗り物ではないのである。
ところが、ミニベロは気負わねばならないレベルが圧倒的に低い。体感ではロードバイクが100としたら、ミニベロは5。段違いに気楽にサドルにまたがることができる。google カレンダーに予定を書き込むこともしない。
「おや、午後に4時間時間が空いたな」となったら、何も考えずにパッとタイレル(Tyrell)のCSI を担いで玄関を出てしまう。
目的地も何も決めずに走りだす。ペダルを漕ぎ始めてから、「さて、どこに行こうかな?とりあえず北に向かってみるか」的なウルトラライトなノリで気ままに走り、2時間ほどたって腹が減ったらコンビニの駐車場でカップ麺をすすり1時間走って甘いモノが欲しくなったらスターバックスに立ち寄り、さらに1時間走って帰宅する。
※自分は時間が少しできると川越の小江戸まで行くってのをよくする
そして「素晴らしい時間を過ごしたな!有意義な午後であった!」と満足する。
ミニベロはなんて自由な乗り物なんだろうと思う。ロードバイクではこの乗り方は断じてしない。
しかしここで疑問が一つ。
「BOMA の Refale (ロードバイク)も、タイレルのCSI (ミニベロ)もジオメトリが似ているではないか。コンポーネントもどちらもロードバイク用ではないか。ハンドルも同じドロップハンドル。違うのはタイヤとホイールサイズだけ。なのにどうしてミニベロのほうが気負いレベルがそんなに低くなるのだ?タイヤが小さいだけが理由ではあるまい」
と思う人がいるかも。
これ、自分でもそう思う。ただタイヤが小さいだけで気負わなくなるなんて、おかしい。
そこでもうちょっと掘り下げて、さらにミニベロならではの気楽さを考えてみる。
小回りの効きが街乗りに最適
ミニベロの特徴は小回りが利くこと。悪く言えば安定性に欠けるんだけど、メリットでもあって、町中をスイスイ泳ぐように走るのが得意。
自分はまだ走ったことのない道を探索しつつ、新ルートを探すのが好き。それをするにはミニベロがもってこいで、思いつくままに左右へハンドルを切ってちょこまかと走れる。
ロードバイクはそれが不得手で、ミニベロでするような道草をする気になれない。ロードバイクはひたすらまっすぐに、定められたルートを最短時間で走るほうが向いている。
ちなみに自分が自転車通勤するときはロードバイクではなくあえてミニベロを使う。
片道26キロでどれくらい到着時間に差があるかを検証してみたんだけど、結果は、
ロードバイク:1時間30分
ミニベロ :1時間40分
だった。
スピードでいえばロードバイクに分がある。
タイレルのCSIのほうが10分余計にかかるのになぜCSIで通勤するかというと、都内のこまかなカーブ&頻繁にやってくる信号でのストップ&ゴーの環境ではミニベロのほうがむしろ安心して走れる気がするからなのだ。
巡航速度が景色を愛でるのに最適
「ミニベロはポタリングに向いている」って話をよく聞くけど、これってきっと巡行スピードが景色を愛でるのにちょうどいいから、だと思うの。
ロードバイクって気負って乗るのでどうしても「頑張って漕がねば」、「少しでも速く走らねば」って気持ちになってしまいがち。※べつにそんな義務もないのに、人はなぜかロードバイクに乗るとシャカリキになってしまう……不思議なもんです。
職場の仲間(3人)とロードバイクで霞ケ浦を一周してきたときなんて、霞ケ浦の景色には目もくれず、トレインを組んでひたすら先頭交代しながら100キロ走り切ってしまった。
スピードを競わないマイペースなツーリングのはずなのに、いつのまにかそうなってしまう、それがロードバイク。※まあ、霞ケ浦はほとんど景色が変わらないので、飽きてしまったせいもあるけど。
※無心に漕いだ@霞ヶ浦
ミニベロの巡航速度はざっと時速23~25キロくらい。ロードバイクは時速28~30キロであることを考えると、時速5キロほど遅い。※信号のない平たん路の話です
ロードバイクのスピード感だと、スピード的に緊張感があるし、どうしても目線が真正面を向いてしまう。結果的に周囲の景色をあまり見れない。
ミニベロなら首を左右に振って景色を楽しむ余裕が持てる。
ひとつ確実に言えることは、同じ距離を走るならミニベロのほうが「道中をたっぷり味わい尽して楽しんだ」感を味わえるよ。
このように、ロードバイクとミニベロは似ているようで全く違う乗り物。ロードバイクしか持っていない人で「普段使い用にチョイノリバイクが欲しいな~」って方にはミニベロを激しくオススメしたい。
ぜったいに後悔しないはずです。
・転載元記事
「ロードバイクを持っているのになぜミニベロを買うの?」という問いにミニベロ歴6年のオッサンが真剣に回答する
(サイクルガジェット ロードバイクが100倍楽しくなるブログ)
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WRITTEN BYFRAME編集部
FRAME編集部はロードバイク、MTB、ミニベロ、トライアスリートなど、全員が自転車乗りのメンバーで構成されています。メンテナンスなど役立つ情報から、サイクリングのおすすめのスポット情報、ロードレースの観戦まで、自転車をもっと楽しくするライフスタイル情報をお届けします。 https://jitensha-hoken.jp/blog/