電動アシスト自転車を購入する時に気をつけるべき9ポイント

電動アシスト自転車という発明

世界で初めて市販の電動アシスト自転車を作ったのはヤマハ発動機で1993年のこと。パワー・アシスト・システムの頭文字を取ってPASと名付けられた。

現在、ヤマハ、ブリヂストン、パナソニックの3大メーカーで市場の約8割を占めるが、2005年に約25万台だった販売台数は2014年に約48万台と約2倍の市場規模に達していて、今後ますます増えそうな勢いである。

2015年の平均単価は94,800円(税抜/チャイルドシート非装着車)と安くないが、通勤・通学の足や幼稚園への送迎などで検討されている方も多いだろう。発進時のふらつきが大幅に減るし、坂道を楽々と登るので頼もしい相棒になるはずだ。

これから買う方へ:試乗できるお店で買おう


電動アシスト自転車を買う際は、なるべく試乗できるお店で買ってほしい。

試乗車を置いてあるお店は企業体力があって良心的だし、お店の都合で物を売らない。納得の上で購入してもらい長く付き合うつもりだから変なことはしないわけだ。

高い買い物なので、お店をいくつか回って決めた方が結果的に満足できるはず。

通販はNG!3大メーカーの自転車を買うべし

通販で安い電動アシスト自転車を売る会社もあるが、安物買いの銭失いとは、まさにこのこと。黙って3大メーカーのヤマハ、ブリヂストン、パナソニックの自転車を買うべし。電動に限らず自転車はメンテナンスが欠かせないから、気軽に相談できそうなお店を探していただきたい。

試乗はパワーモードで比較しよう

メーカーによってアシストの味付けは全く違う。

乗り比べてみると分かるが、試乗する際はパワーモード(強)で比較しよう。エコモード等はバッテリーを節約するのが目的だから、それほどアシスト力が要らない時に使えばいい。

「いざという時にどれだけアシストしてくれるの?」という観点で試乗したい。

バッテリーの大きさなどは主な用途を伝えて店から提案してもらえばよろしい。その上で好みに合った1台を決めてほしい。

スポーツタイプでも太いタイヤは乗り心地がよい

最近は多段変速のスポーツバイクモデルも増えてきた。スポーツタイヤといえば細いタイヤだが、アシストであれば太いタイヤで摩擦が大きくても気にならないのもいい所だ。

太いタイヤは乗り心地がいいので選ぶ時に意識してほしい。最近は20インチくらいの太いタイヤを履いたママチャリタイプが人気だ。

東京都内の話になってしまうが、輸入自転車も扱う電動アシスト自転車専門店が多店舗展開しているのでチェックしてほしい。多少値は張るが、海外の素晴らしい電動アシスト自転車も日本仕様にリメイクされて一見するだけでも価値がある。

納車を待っている方へ:大きな力で漕がない

電動アシスト自転車を注文されて納車されるのを待っている方は、これから書くことを覚えておいてほしい。

アシスト力はペダルを踏んだ力の大きさに比例して発生するので、最初から大きな力で漕がないこと。

例えば片足をペダルに乗せて振り子のように漕ぎ出すケンケン乗りをすると前輪が大きく持ち上がって転倒することがある。

メーカーによっては1回転目のアシスト力をマイルドに設定して、2回転目からガツンと利くようにしてあるモデルもあるが、電動アシスト自転車は必ずサドルにまたがってから漕ぎ始めよう。これからは登り坂が待ち遠しくなるに違いない。

電動アシスト自転車に乗っている方へ


すでに乗られている方の疑問点は以下の3つに集約されるように思う。

  1. バッテリーに関すること
  2. 変速機に関すること
  3. メンテナンスに関すること

バッテリーを長持ちさせるコツ

まずバッテリー、これが最も多い。何度も電気を充放電できるバッテリーはスマホにも入っているが、何年も使っていると使用できる時間が短くなることを経験した人も多いだろう。同じように電動アシスト自転車のバッテリーも使っているうちに使用できる時間が短くなるので、早ければ3年程度で交換することになる。

長持ちさせるコツは

  1. 高温の場所では使わずに充電もしないこと
  2. バッテリー残量がたくさんある状態では充電しないこと
  3. 、何カ月も乗らない時は自転車から外して涼しい所に保管し、放電し切らないよう時々は確認して半分程度まで充電すること

などだ。

つまり飾っておかず定期的に乗り、かなり電池が減ってから充電するという使い方をすればかなり長期間使い続けられる。昔に比べてバッテリーの性能は向上したが、まだ高価なので少しでも長持ちさせたい。交換時には3万円程度の出費を覚悟されたい。

変速機(ギアチェンジ)は必要

「電動アシスト自転車にも変速機が必要なのか」という質問もあって驚くが、変速機はあった方がいい。

アシストが利くから重いギアが踏める側面はあるものの、速度が上がっても同じ回転数で漕ぐために変速機は必要だ。ママチャリタイプは内装変速機が付いているケースが多い。変速レバーがあるのに、後輪側のギアが1枚しかない場合は後輪軸の中にギアが複数仕込まれている。

内装変速機では、ペダルを漕いでいる時にレバーを動かすより止めてから動かした方が切り替えやすい。

止まった状態でも変速できるのとメンテナンスフリーが内装変速機の強みだ。後輪側に段々小さくなるギアの束が見えていて、チェーンの掛かるギアが変わるのが外装変速機付きの自転車だ。こちらはペダルを漕ぎながらでないと変速しない。シンプルで信頼性も高いが、時々メンテナンスの必要性がある。

メンテナンスはプロに任せよう

セルフメンテナンスに自信がなければ、有料になるがプロにお願いしよう。せっかくだからプロの仕事を見て覚えるとよい。

また、車体が汚れた際は水をかけない方がいい。雨の日に走っても平気だが、ホースなどで水圧を掛けると水が内部の基板に回って不具合を起こすことがあるから要注意。

また、バッテリーを積んでいるので普通のママチャリより車重がある分、タイヤの空気圧は高い状態で維持したい。できれば一週間に一度は空気を入れよう。空気入れはママチャリタイプなら同じなので家にある物で入れられる。空気を入れるくらいは自分でも出来るし、それだって立派なメンテナンスだ。

アシストしてくれるモーターユニットはメンテナンスフリーだから注油は不要。チェーン専用オイルがあれば時々注油すれば走りが軽くなる。ブレーキが鳴き出したら早めにお店に持っていこう。専用グリスを入れてくれる。

その他、分からないことがある場合も含め一年に一度はプロにお金を払って点検してもらえば安心して乗れるし、長持ちするので結局は安上がりだ。

電動アシスト自転車のこれから


電動アシスト自転車の市場規模が大きくなり、ノウハウも貯まってきた近年は海外から参入するメーカーも増えて、ますます魅力的な分野になりつつある。ただ、現行の踏力1に対してアシスト力2まで、時速10kmでフルアシスト、時速24kmでアシスト0にという日本のレギュレーションは世界標準ではない。

第一、時速24kmの根拠だって原付の制限速度が時速30kmだから8掛けして出した適当な数字だ。ヨーロッパでは後発企業ボッシュの勢いが止まる所を知らない。またもやガラパゴス化するのか? そんな危機感を覚えるのは私だけではない。時期を決めてワット数制限の世界標準に揃えるべきだろう。

違法輸入の自転車に注意

また、お隣の中国では電動アシストではなく、スロットルを捻ると漕がなくても走る電動自転車が年間3,000万台も製造され、その内7万台ほどが違法に輸入されているというデータもある。

一応、ペダルは付いているが普段は使わず、電池が切れた時や警官が見ている時だけペダルを漕げるようになっている。日本国内では電動スクーターという扱いになるのでナンバープレートと免許が必要だが、違法に輸入された自転車にナンバープレートが付いているはずもない。見つかれば売る方、買う方双方に罰則があるので気をつけたい。

コアな自転車乗り達には、電動アシストなんて邪道だという意見が根強いがどうでもよい。新しい価値観が現れると拒絶反応が出るのは世の常だからだ。電動アシスト自転車なら乗りたいと思う人が増えてくれるとスポーツバイクに興味を持つ人も増える。まずは身近なシェアサイクルに試乗してみませんか?

内海潤

WRITTEN BY内海潤

NPO法人 自転車活用推進研究会 事務局長 東京サイクルデザイン専門学校の非常勤講師として次世代の自転車人を育てる一方、イベントや講演会などを通じて自転車の楽しさや正しい活用を訴える活動を続けている。テレビへの出演多数。共著書に「これが男の痩せ方だ!」がある。別名「日本で一番自転車乗りの権利を考えている*事務局長」(*FRAME編集部見解)

他の記事も読む

関連記事