【徹底解説】ローラー台の種類と選び方|固定、3本ローラーの違いとおすすめ10台
こんにちは。自転車メカニックの石橋です。これから訪れる冬や梅雨のシーズン、または急な仕事が入ってしまい、予定を立てていたライドに行けなくなるというのはよくあることです。
そんな時には、自転車以外の別の趣味を楽しむ方法もありますが、一度ライドにスイッチが入ってしまうと、そこから切り替えができず、休日をダラダラ過ごしてしまう事もあるのではないでしょうか。実際に私もそのような状況に陥ります。
そんな時、私はしばしばローラー台を利用します。外にライドしに行くよりも距離や時間は稼げませんが、最低限のトレーニングにはなるからです。
今回は、そのローラー台を取り上げてみようと思います。これからローラー台を導入しようと考えている方へ、基本的なローラー台の種類や特徴を知ることで、購入の参考になればと思います。
目次
ローラー台とは何か
まずローラー台をご存じない方に簡単に説明しましょう。ローラー台は別名サイクルトレーナーとも言います。静止状態の自転車の、主にタイヤを樹脂製のローラーにあて回すことで実際に自転車を漕ぐ事ができる装置です。室内のトレーニングやレース前のウォームアップにも利用できます。
また樹脂ローラーの負荷を変更することで、幅広いシチュエーションを考えながらトレーニングが可能です。
ローラー台の仕様は主に3タイプ
ローラー台は、価格、性能、用途によって主に3タイプに分かれます。
- 3本ローラー式
- 固定ローラー式
- ダイレクトドライブ式
3本ローラー式の特徴
3本ローラー式とは、後輪だけでなく前輪もローラーに接触させトレーニングを行うタイプ。しかし、固定ローラーのように後輪を固定するのではなく、前輪部に1つ、後輪部に2つのローラーを配列し、その上でハンドル操作を行いバランスを取りながらペダルを回す使い方です。
上位機種なると負荷調整が効くものが増えてきますが、基本的には負荷調整が無いタイプが多いのが特徴。3本ローラー式もタイヤドライブ式のように「専用ホイール」を前後で持っておくと良いですね。
3本ローラー式のメリット
バイクが安定していない故に固定式と比べてより実走感に近い感覚で乗ることができます。バランス感覚がかなり要求されますが慣れればいちばん乗った気になる練習マシンで、ダンシングも可能です。
リアルなライドのように自転車を操れるので、フォームやポジションを改善するには非常に効果があります。
3本ローラー式のデメリット
公道を走るように常に集中していないとトレーナーから外れて転倒してしまう危険性もあります。3本ローラーはバランスを取るのに慣れが必要なため、初心者にはちょっと向かないかもしれません。
固定ローラーのような負荷調整はできないモデルが多く、タイヤとローラーが接触する際に出る騒音が比較的大きいというデメリットがあります。そのためマンションや集合住宅内では使用が難しい場合もあるでしょう。
おすすめの3本ローラー台
レースやイベント前のウォームアップには携帯性に優れたモデルがおすすめ。自転車に乗りやすくするためのステップが標準装備されているモデルもあります。
3本ローラーも同じく樹脂のローラーは屋外で走るよりもタイヤの減り具合が大きいので、ローラー台専用のタイヤを利用するのがおすすめです。
価格帯は3万円前後からはじまり、機能によっては10万以上するモデルも存在します。
「TACX アンタレス」
ハンドルがぶれても前輪が横に流れにくい「つづみ型ローラー」のため、3本ローラー初心者でも乗りやすいく安全です。収納時は全長80cmまでコンパクトに縮められます。
参考価格:税抜26,000円
3本ローラーの定番モデル「ELITE ARION」
ELITE(エリート)ARIONはロードバイクだけでなく、MTBでも使用できます。また、3本ローラーでありながらアプリに連動して自動で負荷が変化します。3本ローラーでZWIFTを楽しみたい方におすすめです。
参考価格:税別28,340円
コンパクトに折り畳みができる「ミノウラ モッズローラー」
低床設計かつ乗降台付きなので、3本ローラー初心者でも安心して乗ることができます。本体は軽量、折りたたみ式で持ち運びやすく、試合前のウォームアップにもおすすめ。
参考価格:税別35,200円
固定ローラー式の特徴
固定ローラーというのは、文字通り、ホイールへ取り付けられているクイックリリースレバーを利用してバイクを固定させるローラー台です。
3本ローラーが車輪を固定せず、自分でバランスを取る必要があるのに対して、後輪がガッチリと固定されているの為、転倒の心配も無く、初心者でも安心して乗ることが可能です。ただし、後輪が固定されているため実走行の感覚とはまた違ったものとなります。
固定ローラー式のメリット
負荷をかけられるためパワートレーニングを集中して行えるのが大きなメリットの一つです。じっくりと筋肉を育て上げ、ヒルクライムやスプリントに対応できるような身体を作り上げることが可能です。
製品によっては車体を左右に振ることも可能なモデルもあり、ダンシングなどの練習が可能なモデルもあります。
固定ローラー式のデメリット
野外で走行した時よりもタイヤの減りは激しくなってしまいます。タイヤが強くローラーへ押し当てられているため摩擦による摩耗が大きくなってしまうからです。
対応策としては、ローラー台専用のタイヤを用意するか、負荷を軽くするなどの方法をとる必要があるでしょう。
固定ローラーのタイプ
タイヤドライブ式
一番なじみがあるのがタイヤドライブ式のローラー台でしょう。後輪のクイックシャフトにローラー台を固定し、タイヤを樹脂のローラーに接触させて動かすタイプです。ローラー台の中でも一番ラインナップが多いタイプになります。
樹脂のローラーは屋外で走るよりもタイヤの減り具合が大きいので、ローラー台専用のタイヤを利用するのがおすすめです。
そのタイヤドライブ式の中でも2つの種類に分けられます。
マグネット式
いわゆる磁石を利用して負荷を調整するタイプ。2つの円盤状の磁石を近づけたり、遠ざけたりする際の磁力を使って負荷に変化をつける仕組み。それによって負荷調整の幅が広くなることがメリットです。
フルード式
バイクトレーナー内にオイル室を設け、そのオイル粘性によって負荷を調整します。油圧によって負荷調整をすることで、マグネット式よりも滑らかな負荷変化、調整が可能でよりリアルな「道路感触」を得ることができます。
リムドライブ式
タイヤドライブと同じ固定方法ですが、負荷をかける場所がホイール横のリム部分になります。タイヤが凸凹なMTBでもリムさえあれば使用することができます。
メリット: 初心者でも安心して使える。本やテレビ、スマホなど「ながら練習」が可能なのはタイヤドライブと同じ。タイヤの摩耗がない。
デメリット: リム滑りするので実走感はタイヤドライブより弱い。タイヤドライブより音が大きめ。リムが消耗する。
参考価格:税込34,000円
高価だが可能性が広がるダイレクトドライブ式
「TACX FLUX SMART」
参考価格:税抜113,000円
ダイレクトドライブ式とは、リアホイールを必要とせず、カセットスプロケットをローラー台に移植し、リアエンドを固定するシステムです。根本的にタイヤがローラーに接触しないので、タイヤの減りを心配する必要がありません。
ダイレクトドライブ式はスマートフォンで操作が可能など、機能性が高いものに加え、価格帯は10万円以上するモデルが多い傾向です。どちらかというと本格的にローラー台を使いたい方やより性能の高いものを求める方におすすめです。
ダイレクトドライブ式の実走レビュー動画はこちら
固定ローラーの他にあったほうが良いもの
専用タイヤを含め、タイヤドライブ式導入するときに一緒にキットに入れた方が良い組み合わせがあります。
- トレーナー専用タイヤ
- リアホイール(クリンチャータイプ)
- カセットスプロケット
- トレーニングマット
この4点をバイクトレーナー用として別途用意しておくのをおすすめしています。
クリンチャータイヤの場合トレーナー専用タイヤを脱着する手間が掛かるのと、チューブラーの場合はそもそも専用タイヤに交換できないためです。
バイクトレーナー専用リアホイールとして1本用意しておくと非常に便利です。屋外走行ではないので、精度もクオリティも必要ありません。ホイールもスプロケットも良いものではなく「対応できる最低限」で十分です。
おすすめの固定ローラー台
固定ローラー式の価格帯は比較的手の届きやすい2万円台からが多く、初心者にも購入しやすいタイプだと思います。
負荷の調整もハンドル部分にマウントするダイヤルやレバーを回すだけで非常にアナログなつくりとなっています。
上位モデルにはスマートフォンと接続して操作したり、モニターにつないでバーチャルライドが可能なタイプも存在します。スマートローラー・スマートトレーナーと呼ばれ価格は10万円以上しますが、近年人気が高まっているモデルです。
初心者でも手の届きやすい価格が魅力な「ミノウラ LiveRide LR341」
タイヤドライブ式(マグネット)の固定ローラー台。平地走行の再現性より、坂道でのフィーリングが重視されている。付属の金具を使えば24インチの小径車にも使用可能だ。自宅でヒルクライム練習をしたい方におすすめの固定ローラー台。
参考価格:税抜20,043円(Amazon価格2021/02時点)
8段階の負荷調整が可能な「ELITE NOVO FORCE」
タイヤドライブ式(マグネット)の固定ローラー台で、8段階の負荷調整が可能。低ケイデンスでも高い負荷をかけられるので、本格的なパワートレーニングも行える。初期費用を抑えてZWIFTを始めたい方、本格的なトレーニングをしたい方におすすめの一台。
参考価格:税別20,910円
7段階の負荷調整が可能な「TACX BLUE TWIST」
ウォーミングアップからトレーニングまで多くのプロレーサーの支持を集める「TACX」のタイヤドライブ式(マグネット)の固定ローラー。カンチェラーラもレース前のウォーミングアップで使用し、性能は申し分ない。また、TACXのトレーナーは静粛性が高いため、夜間でも周りに迷惑をかけることなくトレーニングできる。
参考価格:税抜15,818円(Amazon価格2021/02時点)
ローラー台の進化形、スマートトレーナーとは
ローラー台を形状に分けて3タイプご紹介してきましたが、それぞれの上級モデルにはスマートトレーナー対応というモデルがあります。
スマートトレーナーとはスマートフォンやタブレットをBluetooth等の無線通信でローラー台とペアリングし操作ができる機能を持ったローラー台のことです。さらに、モニターやPCとつなげることで、その映像のコースを疑似走行でき、勾配がローラー台と連動し、アップダウンなどのコース状況に対して、自動で負荷の調整をしてくれます。
より高度な走りの解析が可能
トレーナーの回転状態からスピード、距離、ケイデンス、パワーを自動で算出し、無線でアプリに伝えます。この複雑な計算式によって屋外走行に限りなく近い数字をたたき出してくれます。
普段、ケイデンスやパワーメーターを持ってない人でも、スマートトレーナーを利用するだけで、しっかりと数字で自分のライド内容が確認できるわけです。
そのスマートトレーナーは特別な形状ではなく、タイヤドライブ式、3本ローラー式、ダイレクトドライブ式それぞれにランナップがあります。Bluetooth、ANT+ 対応と書かれているものを選べばOKです。
おすすめのスマートトレーナー
TACX(タックス)スマートトレーナー FLUX S SMART
FLUX S Smartは、振動や騒音を最小限に抑えた設計のダイレクトドライブ式トレーナー。高精度なパワーメーターが内蔵され、計測誤差は±3%以内。人気のZWIFTをはじめ、様々なトレーニングアプリにも対応しています。
参考価格:税込94,600円
WAHOO KICKR
WAHOO KICKRは大きく重量のあるフライホイールにより、路面の走行感を忠実に再現しています。パワー計測精度は±2%、最大出力2,200ワットまで対応。頑丈なスチール構造のため、ワット数を上げても安定感は失われることはなく、トレーニングに集中できます。
参考価格:税別167,805円
WAHOO KICKRについて詳しくはこちら
ELITE(エリート) フィットネスバイク SUITO
静粛性、精度と自動負荷が大幅に強化され、フルスペックでありながら価格を抑えたモデルです。105グレードのカセットスプロケット(11-28T)が付属します。エリート純正の高機能トレーニングアプリ「my-E-Training」やサードパーティ製の「ZWIFT」を使ったトレーニングが可能。
参考価格:税抜86,182 円(Amazon価格2021/02時点)
10万円以下で買えるダイレクトドライブ式スマートトレーナー Xplova NOZA S
総じて高価なのがネックだったダイレクトドライブ式スマートトレーナーに価格破壊が。
国内正規代理店で購入できるものでは最安値となります。
静音性も優れ集合住宅での使用にも問題ありません。
ダイレクトドライブ式の購入を悩んでいるのならまず第一候補として検討して間違いないモデルです。
参考価格:税抜98,000円(Amazon価格2021/02時点)
Xplova NOZAについて詳しくはこちら
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オンラインサイクリングゲームでもっと楽しもう
このスマートトレーナーを使用し仮想空間上でサイクリングやトレーニングを提唱しているのがZWIFTをはじめとした体験型オンラインサイクリングゲームです。
ローラー台のトレーニングはどうしても単調になりがちで、飽きが出てくる場合も多いです。その点スマートトレーナーを使いZWIFTなどを楽しむことで、様々な風景の中でライドができ、さらにはオンラインでつながったたくさんのユーザーと一緒に走ることができます。
ZWIFTではオンラインでのレースやグループライドも開催しているので、毎回新鮮な気持ちでローラー台を回せるわけです。
スマートトレーナーはこれからのローラー台のスタンダードになることは間違いないでしょう。
ローラー台の他にあると便利なもの
扇風機
扇風機はバイクの前や横に設置すると体温や発汗の上昇を軽減し、屋外で走るときのような風を感じさせてくれます。
姿見(鏡など)
鏡などの姿見は自分のライディングポジションを確認することができます。特に3本ローラーで使うと走り方の改善につながります。
トレーナーを置くマット
バイクトレーナーから出る振動を抑える働きがあるので、マンション内で利用するときに下の階の住民にできるだけ迷惑を掛けないために導入しても良いですね。環境によって複数枚敷くという人もいるようです。
水分と補給食
簡単な補給食も準備しておくと良いでしょう。バイクトレーナーの利用は平均で1時間から2時間程度が一般的です。
少々短い様に感じますが、屋外のライドによくある余計なアプローチライドなどが無く、かなり内容の濃い2時間になるため、水分補給も多く空腹感を感じてしまう時もあるのです。
最後に
今回はローラー台の基本的な部分をご紹介してきました。
それぞれ形式によりタイヤドライブ、3本ローラー、ダイレクトドライブに大きく分けられているのを理解いただけたと思います。さらにスマートトレーナーに対応できるローラー台は、ローラー台トレーニングにありがちな、単調さや飽きを吹き飛ばしてくれる魅力が満載です。
個人的にも予算オーバーしてもスマートトレーナーの導入をおすすめします。屋外でもオンラインでもたくさんのサイクリストと交流できることは素晴らしい事だと思います。
是非、購入の参考にしてみてください!
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WRITTEN BYVIKING the MAINTENANCE
都内のプロショップに10年間在籍後、2015年VIKING the MAINTENANCE を設立。東京・西新宿を拠点にスポーク自転車の組付け、カスタマイズ、メンテナンスを軸に展開中。年2回富士山麓でサイクルイベントも企画中。 http://www.viking-the-maintenance.com/