日本でも絶大な人気を誇るロードバイクアパレル「ラファ(Rapha)」。左腕に一本帯のデザインやピンク色がアクセントに入ったアクセサリーなどで、スポーツ自転車に入門したてのサイクリストでも多くの人が「あのブランド!」とご存知なのではないだろうか。

今回は誰でも知っていそうなラファの、じつはあまり知られていない歴史やファクト、ラファをもっと好きになる情報をまるっとお届けしてみよう。

50〜60年代のレースシーンにインスパイアされたデザイン


先に白状しておくと、筆者はラファの本国イギリスでのアンバサダーをさせてもらっている。ラファとはたしか2009年、最初の商品だったクラシック ジャージの美しさにひと目惚れし、どんなブランドなのだろうと取材を申し込んで以来の付き合いで、スタッフとも友だちづきあいをしてきている。ラファを外側から、でもいちばん近い所から見てきているひとりとして、ご紹介していきたい。

ラファは2004年、現社長のサイモン・モットラム氏によって設立された。若い頃からロードレース、とくに自転車レースが最も美しかった1950〜60年代の大ファンで、その時代にインスパイアされたシンプルなサイクルジャージを構想。折しもスポーツウェア素材として見直されていたメリノウールを採用、黒地に白とピンクを効かせた「クラシック ジャージ」が誕生した。

Rapha ラファ 撮影風景

▲ラファのカタログ写真はしばしばアルプス、シシリア、ユタなど走ってみたくなる風景の中で撮影される。これは2013年にコルシカで行われたクラシック ジャージの撮影。ちなみに写真のモデルはダン・クレイヴン。


▲とくに初期はざらついた印象深いモノトーン写真を多用していたのが印象に残っている人も多いと思う。商品がよく見えない、そもそも写っていないことも多く、スポーツアパレルとしては異例のマーケティングで、この後にいくつもの大手スポーツウェアが真似ていた。


ラファというブランド名は、50〜60年代にツール・ド・フランス5勝など最高に輝いていたサイクリングヒーローのひとり、ジャック・アンクティルのいたチームのスポンサーだった食前酒「サン・ラファエル」の一部をとったとか。

ラファが激変させたサイクルアパレルの潮流


テカテカの化繊素材に原色と企業ロゴが散りばめられたレプリカジャージが主流だった00年代後半、歴史の香りをまとったこの新しくもクラシック(伝統的、永遠の定番という意味)なジャージの登場がサイクリング業界に与えた衝撃は非常に大きなものだったと思う。本国イギリスの路上ではシンプルで美しいラファを嬉しそうに着るサイクリストが激増したのはもちろん、メリノウールを使ったクラシック風ジャージを作るメーカーが続々現れた。

しかし、ラファが登場して変わったのはロードバイクウェアの潮流だけではない。それまでゆっくりと盛り上がりつつあったロードバイクが、ラファが登場したことでコアなロードレースファンでない人にも魅力的なものになり、英語圏から一気にその人気に火が付いたのだ。スチールバイクの再評価とブーム、ヴィンテージバイクで走るイタリアのスポーツイベント「エロイカ」人気などの流れとも同時期で、ロードバイクの楽しみ方にバラエティが増えてたくさんの人が自転車に目を向けた。

サイクリストの気持ちとスキルを高める仕掛け


ラファも、魅力的なウェアを提供するだけでなく、「世界でいちばん美しいこのスポーツをメジャーにする」というミッションを掲げ、積極的に自転車の楽しみ方を提案してきている。スポーツアパレルとしては当時は例がないほどたくさんの読み物や動画などのコンテンツを提供し、いつかは自分もそんなライドをしてみたいと思わせる。

そして、チームを作ってグラヴェルを含むコースに挑戦する「プレステージ」などのイベントを開催、それも新しい道や風土を知ることのできるエリアで開催するなど、これまでのサイクリングにはなかった要素を次々に盛り込んで「自分にもできるんだろうか?」「やってみたい」と誘ってくる。ヨーロッパやアメリカを中心に展開している自転車パッケージ旅行の「ラファ トラベル」も自転車の楽しみ方のステージを広げるその一環といえるだろう。

ラファ プレステージ ニセコ Rapha

▲2015年、北海道では初めて開かれた「ラファ プレステージ ニセコ」。羊蹄山を中心としたルートだった。今年は7月に十勝地方でまたプレステージが開かれる。


Rapha ラファ ランドネ ジャパン

▲ラファ トラベルが主催するサイクルツアー「ラファ ランドネ ジャパン」にはアメリカなど世界中のサイクリストが参加する。これは山梨県の柳沢峠からの下り。


女性サイクリストとしては、ラファが比較的早い時期から女性向けの商品に力を入れてきたこともとても評価している。2013年から毎年続いている女性のためのイベント「ウィメンズ100」は、世界中で同じ日に100kmなど自分の目標に挑戦し、その様子をインスタグラムなどで紹介しあって繋がろうというもの。まだまだ少数派な女性サイクリストにとって、世界中に同じ思いの仲間がたくさんいると気づくことはとても励みになるので、これは本当にすばらしい企画なのだ。

世界を股にかけるラファ サイクリング クラブ


そして2015年からは、ラファは「ラファ サイクリング クラブ(以降RCC)」という会員制のサイクリングクラブをスタートさせている。これはそれまでロンドンにのみあったラファのサイクリングクラブを世界中に広げたもので、現在は世界23都市にクラブハウスがある。

日本では東京と大阪にクラブハウスがあり、ここはほぼ全商品が揃うショップであると同時に、クラブライドの出発点となったり、メンバー向けのバイクレンタルができる場所であり、食事をしながらレース中継のビューイングができる憩いの場ともなっている。RCCメンバーなら、旅先にクラブハウスがあれば顔を出し、バイクを借りてローカルなメンバーのライドに混ぜてもらうことが可能だ。

Rapha ラファ RCC

▲富士ヒル、ニセコクラシック、JBCFレースなどに向けて登りの集中トレーニングをするRCC クライミングキャンプ。


Rapha RCC エクスカージョン 九州

▲今年GWに開催された、RCCメンバーの小旅行「RCC エクスカージョン 九州」では由布岳周辺の絶景をライド。


さらにRCCは世界中のメンバー同士がアプリや掲示板で交流できるので、ローカルなメンバーにルート情報を問い合わせたり、プロショップを紹介してもらったりということも実際に起きている。

今季のおすすめアイテム


現在ではラファの商品展開は非常に幅広く、ライドのタイプ別にいくつものコレクションになっている。その中から、雨や湿気が悩ましいこの時期におすすめのアイテムを厳選してご紹介しよう。

カーゴ ビブショーツ


Rapha ラファ カーゴ ビブショーツ
ブルベやアドベンチャーライドのために生まれたビブショーツの脇にストレッチ素材製のメッシュポケットがついたもの。ショーツに軽い耐水素材を採用しているので多少の雨にも強く、ポケットは鍵やスマホなどの小物にも便利なので、通勤ライドにも便利で汎用性が高い大ヒットアイテム。

価格:32,000円(関税込)
CARGO BIB SHORTS (カーゴ ビブショーツ)|Rapha

スープレス ライトウェイト レイン ジレ


rapha ラファ スープレス ライトウェイト レイン ジレ
独自開発という防水素材は、水を通さないのにとても薄手でしなやか、しかもストレッチなので着心地もいい。夏場は降られてしまっても体幹さえしっかり守れれば消耗を防げることは多いので出番は多そう。

価格:23,000円(関税込)
※男性版はプロチーム ライトウェイト レイン ジレ。
SOUPLESSE LIGHTWEIGHT RAIN GILET (スープレス ライトウェイト レイン ジレ)|Rapha

バックパック レインカバー


Rapha ラファ バックパック レインカバー
ラファのバックパック類にはすべて付属している耐水性レインカバー。路上で目立つ蛍光色と反射素材で雨の日や夜間も安全に。

価格:3,500円(関税込)
BACKPACK RAIN COVER(バックパックレインカバー)|Rapha

クリテ フライウェイト ジャージ


Rapha ラファ クリテ フライウェイト ジャージ
汗だくになってもべとつかない、特殊な多孔性の素材を採用しているフライウェイト ジャージの、油膜のギラつきのようなモチーフのデザインが施されたクリテ バージョン。ネオンのきらめく夏の夜の都心にも似合いそう。

価格:17,000円(関税込)
CRIT FLYWEIGHT JERSEY(クリテ フライウェイトジャージ)|Rapha

クラシック サドル


Rapha ラファ クラシック サドル
圧倒的な人気を誇るビブショーツを作ってきた経験を活かし、その自社ビブショーツと合わせて使うために開発された新登場のサドル。クラシック ビブショーツ IIと合わせて使うこのクラシック サドルの白はあまりにも美しい。

価格:30,000円(関税込)
CLASSIC SADDLE – 130MM(クラシックサドル)|Rapha

より充実した人生を求める人のためのブランド


もうしばらく前のことになるけれど、サイモンとライドで一緒になった時に、自分はラファと出会わなかったら、今頃ここまでロードバイクには乗っていなかったかもしれないと言ったことがある。それを聞いたサイモンは、並走しながら一呼吸置いて、「いやぁ…それは、最高の褒め言葉だなぁ」とタレ目をさらに垂れさせてくれた。これはお世辞でもなんでもなく本心で、ラファがなければモン・ヴァントゥに登ってみたいとも思わなかっただろうし、RCCで知り合った多くの友人にも出会えなかったと思うと、少し怖いほどでもある。
Rapha モン・ヴァントゥ アセント

▲筆者が参加した、ラファ トラベルによる女性オンリーの「モン・ヴァントゥ アセント」での登頂記念写真。世界中に友だちができるのも自転車の魅力!


多くの動画を作ってきたラファだけれど、今月、じつは初めてのブランドコミュニケーションムービーをラファは発表した。まずは観ていただきたい。自転車乗りならそのメッセージは「あるある!」と伝わってくるのではないだろうか。


自転車乗りであることで得られる喜び、救済、出会い、人生の味わいなど……もちろん人によって少しずつ要素は違うだろうけれど、自転車に乗っていてよかった、もっと乗りたい!というところは重なるのではないだろうか。

単なるスポーツ用品、スポーツウェアブランドという次元を超えて、ラファはより充実した人生を求める人のためのブランドとしてステージを一段上がろうとしているようにも思える。

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