このハブ、本当に回転抵抗受けてる?!まるで永遠に回り続けるかのようなGOKISOのハブ。そして「軽さ=性能」という自転車界の常識をくつがえすGOKISOホイール。いま注目度MAXのGOKISOホイールをハブの構造から徹底解説。実際の試用で得られたリアルなコメントとともに紹介しよう。

ものづくりの結晶としてのGOKISOホイール


GOKISOの想い「本当に良いものをサイクリストへ」

GOKISO(ゴキソ)は超精密工作機械メーカーの株式会社近藤機械製作所から生まれた自転車製品ブランドだ。同社は、超精密金属切削加工、航空機ジェットエンジン用軸受の生産をも手がけている。

gokiso ハブ

▲GOKISOホイールの真髄であるハブのカット断面



GOKISOの名は、会社発祥の地である愛知県名古屋市の御器所町(ごきそちょう)に由来している。名古屋市営地下鉄・名城線を車輪に見立てると、スポークのような各線があって、中心部(ハブ部分)に御器所が存在するのはなんとも運命的。「ハブを作るならこの名しかないと思った」とは近藤社長談。

▲名古屋市営地下鉄の路線図。中心の御器所はまさにハブの位置。

画像出典:名古屋市交通局



近藤機械製作所は航空機部品の製造も手がけており、工場自体は航空宇宙品質管理規格JISQ9100認証を取得している。この工場でGOKISOの製品も生産され、部品ひとつひとつに行き届いた品質管理がなされているのである。

設計、生産、品質管理、すべてにこだわりぬき、ものづくりの本来あるべき形を現代に提案する。それがGOKISOの哲学だ。

▲航空機部品から金型・機械要素部品まで手掛ける。奥に見えるは自転車界の “山の神” 森本誠氏(CNC三次元測定機で製品を検査中の森本さん)

回るハブと重いホイール


具体的な製品はハブ、そしてホイールである。このハブが良く回ると評判が高く、軽く力を加えるだけでホイールがいつまでも回転し続けるような感覚に驚く


ここからはハブの誕生秘話と、重いと言われるGOKISOホイールの重量の意味にせまる。

GOKISOハブ誕生の裏話


社長の近藤氏がエンデューロに出場したときだった。自転車通勤では気付かなかった異音がする。設計エンジニアでもある氏は、すぐさま原因と思わしきハブに手を加えようと思い立つ。

自分でシャフトを作り直し、ハブボディを中ぐりしなおし、会社の在庫にあったベアリングをはめてみる。するとどうだろう、驚くほどなめらかなハブへと変身したのだ。知られざるGOKISO誕生の瞬間だ。

そこから会社の強みを最大に活かし、ジェットエンジン用ベアリングの構造を応用。

「人間のこぐ力」をいかに効率よく路面に伝えるかを終着点とし、必要な構造、強度、剛性、精度を最優先した。

重量はあくまでもその結果としてついてくる要素だったわけだ。

GOKISOホイールが重い理由


完成したハブ試作品1号はなんと前後900gもあった。軽さが正義であるはずの自転車業界においては規格外の重さだが、結果、通勤時間は5~7分も短縮されたという。近藤社長はこう語る。

「機械設計の極意は『最適化』です。自転車のハブも例外ではなく、重量はひとつの変数であり解ではない。自転車には万有引力しか働いていないのでしょうか?」

この思いをもとに、ハブ製作は事業化に向けて本格的に動き出す。最高水準の航空機品質管理システムのもと、専門の作業者と加工機を惜しみなく自転車部品に応用させた。連日深夜までテストが行われ、3号試作ですでに現在の基本形がほぼ完成したという。

2010年の世界デビュー、同年のサイクルモードで国内デビューを果たしたが、前後700gある重量と20万もするハブへの反応は薄かったという。

以後「ホイールとしての最適化」を求め、最適なスポーク本数、リム形状、リム素材など世界から最高の部品を集めてGOKISOホイールを完成させた。

ベンチマークでは従来のハブとは比べものにならない差があらわれ、ホイールの実車テストでは元全日本代表トライアスリートが自身の練習コースで最速タイムを連発。しかもヒルクライムで、だ。

自信が確信へと変わり、2012年でのサイクルモードでは現在に至る大反響を呼ぶこととなった。

実際に「下りで漕いでいないのに、漕いでいる人を抜いてしまった」という声も聞かれたという。

回り続けるハブの秘密


ここからはハブの構造に迫る。

GOKISOのハブ構造には、外側弾性体構造と内側弾性体構造の2種類がある。さらに左右に広いリアハブの二重軸構造にも特筆しておきたい。

外側弾性体構造


まず外側弾性体構造は、後述する「スーパークライマー」「クライマー S-Spec」に取り入れられているものだ。

ハブボディ外周上に配置されたフィンガー形状、これが弾性体構造として路面からの振動、衝撃などベアリングにかかる不要なストレスを吸収する構造となっている。この構造により、ベアリングは常に効率よく回転することができるのだ。

gokiso ハブ 構造 外側弾性

フィンガー部分も含め、すべて機械加工での削り出しによる一体化した弾性体衝撃吸収構造は、しなやかさを犠牲にすることなく軽量化、そして高剛性を実現。超高圧タイヤ、高剛性カーボンリムの普及により高速化するレースシーンで、ライダーの負担を大幅に軽減する。

内側弾性体構造


一方の内側弾性体構造は、GOKISOハブ登場時からの基本構造、航空機用ジェットエンジンの軸受け構造をヒントに、ベアリングを弾性体構造で保持した精密ハブである。

gokiso ハブ 内側弾性体衝撃吸収

ベアリングを保持する弾性体スリーブが、路面からの衝撃を吸収し、ベアリングへ伝わる衝撃荷重を緩和している。

2010年の発表以来、性能向上のための僅かな改善以外、基本構造は変わっていない。それはこのハブが、70年もの歴史がある精密機械専門技術のすべてを投入して生み出された結果に他ならない。

リアハブ二重軸構造


リアハブが担う仕事として、フロントハブとの最も大きな違いはペダリング時にかかる「駆動トルク」があること。路面からの衝撃や乗車荷重に加え、不規則なペダルからの力は、脚の強いライダーほど、また強くペダルを漕ぐほどハブシャフトを曲げる力となって伝わる。

そのためGOKISOハブは「ホイールの回転/衝撃荷重」「フリーボディの回転/駆動トルク」のそれぞれに着目し、効率的に荷重を受けられるよう可能な限り左右に広くベアリングを配置。これによって構造的にシャフトの変形が抑えられ、駆動トルクがホイールの回転に影響を与えないシステムとなっている。

gokiso ハブ リアハブ リアハブ二重軸構造

ピストハブをのぞく全てのGOKISOリアハブが、この二重軸構造を有している。

GOKISOのハブ


それでは下記、GOKISOハブのラインナップを見ていこう。MTBやピスト/トラック用もそろうが、今回はロードとミニベロ用にフォーカスをあてることとする。

ロード用ハブセット


■スーパークライマー


スーパークライマー

デザイン上の特徴ともなっているハブボディ外周上に削り出されたフィンのように見える形状、これが「外側弾性体構造」となっている。フローティング構造で、路面からの衝撃など不要な外部応力を弾性変形することにより吸収する。ハブボディとシャフトには高強度のチタン合金を採用。ベアリングは日本のメーカー・NTN製を使用している。

価格:659,000円(税抜)

カラー:チタン素地

■クライマー S-Spec


クライマー S-Spec

最上級モデル「スーパークライマー」と同様の構造を持つ。ハブボディ外周上に配置されたフィンガーが「外側弾性体構造」を有しており、路面からの振動、衝撃など不要なベアリングにかかるストレスを吸収する。

価格:269,000円

カラー:マットワインレッド、マットブラック

■ワイドフランジ


ワイドフランジ

フロントに4個、リアに7個のベアリングを仕組んでいるベーシックモデル。耐荷重性を向上させるため、1個のベアリングにかかる負担を減らし、回転性能を極限まで高める工夫だ。もちろん使われているベアリングは超精密ベアリング。もうひとつの特徴は「振動吸収構造」で、ベアリングがはまっている部分が弾性構造を成しており、路面からの振動を吸収するため、ベアリングにかかる負担が大幅に減っている。

価格:219,000円(税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

小径車用


GOKISOのハブは小径車との相性がいい。車輪が小さいほど、一回転あたりで進む距離は少ない。走るためには回転数が増えるので、よく回るハブのメリットを受けやすいからだ。そうしたことから、GOKISOでは小径車用ハブにも注力している。

■ナローフランジ


ナローフランジ

価格:219,000円(税抜)

   229,000円(モールトン用ショートシャフト仕様/税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

■モールトン用クライマー


モールトン用クライマー

価格:269,000円(税抜)

カラー:マットワインレッド、マットブラック

■モールトン用スーパークライマー


モールトン用クライマー

価格:659,000円(税抜)

カラー:チタン素地

■OLD74mm小径車用


価格:89,000円(税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

■ブロンプトン対応(フロントのみ)


価格:89,000円(税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

■カプレオ対応(リアのみ)


GOKISO フリー ハブ カプレオ

価格:153,000円(税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

その他


■ディスクブレーキ用


ディスクブレーキ用

GOKISOハブの回転性能はそのままに、ディスクブレーキ仕様としたハブ。MTB、シクロクロス、ディスクブレーキロードのすべてに対応する。内部の弾性体衝撃吸収構造が路面からの突き上げを吸収し、ベアリングを常に滑らかに回転させる機構は、ラフな路面こそ性能を発揮する。

価格:231,000円(税抜)

カラー:ワインレッド、マットブラック

GOKISOホイール


gokiso ホイール サイクルドリームフェスタ2018

▲サイクルドリームフェスタ2018のGOKISOブース



ハブ単体でなく、ホイールとしての評価も気になるところだろう。ここからはGOKISOのホイールセットの性能に迫る。

本セクション末尾では、実際にGOKISOホイールを試したユーザーの声も紹介するので是非確認してほしい。

GOKISO GD2 ホイールセット


リムのタイヤ保持部分の形状を見直し、フック形状を高精度機械加工することによりホイールの真円にこだわったGD2(ジーディースクエア)は、転がり抵抗、パンクリスクの軽減、走行中のタイヤの変形を抑え、より転がり、より快適な走行をもたらす。すべてクリンチャーモデルだ。


従来型のカーボンリムはタイヤとの隙間ができ、衝撃などの荷重を受けたときにこの隙間が潰れ、余計にタイヤが潰れている。GD2はリムの形状を最適化し、タイヤと密着するようになっているので隙間がなく、タイヤ空気圧相応の硬さが得られる。

GOKISO GD2 rim

また、ホイールの転がりを最大限に効率化させる逆転の発想により、カーボンの積層を増やし、充分な剛性を確保したことに加えワイド化している。さらに転がり抵抗、駆動抵抗を抑え、推進力の維持が可能となった。従来のホイールの長く狭い接地面積に比べ、GD2は短く広いのが特徴だ。

GOKISO ホイール GD2

そしてワイドリムは細いリムよりも幅広くタイヤを保持することができるので、タイヤのよじれに対して強く、コーナーリング中などタイヤに横方向の力が加わる場合でも、タイヤはよじれることなく、タイヤの脱落も防ぐことができる。

gokiso ホイール gd2 よじれ

■スーパークライマー


GOKISO DG2 スーパークライマー

▲リムハイト50mm



価格:969,000円(税抜)

リムハイト:24、38、50mm

カラー:チタン無地

■クライマー S-Spec


GOKISO クライマー S-sprc GD2

▲リムハイト50mm(カラー:マットブラック)



価格:445,000円(税抜)

リムハイト:24、38、50mm

カラー:マットワインレッド、マットブラック、マットオレンジ(限定)

■ワイドフランジ


GOKISO ホイール GD2 ワイドフランジワインレッド 

▲リムハイト50mm(カラー:ワインレッド)



価格:395,000円(税抜)

リムハイト:24、38、50mm

カラー:ワインレッド、マットブラック

■ロード用ディスクブレーキ


GOKISO ディスクブレーキ 

価格:409,000円(税抜)

リムハイト:24、38、50mm

カラー:ワインレッド、マットブラック

*)ホイールもMTB用ピスト/トラック用の展開があるが、今回は割愛

GOKISO チューブラーホイールセット


同社のエンジニアが材質や構造、形状などハブの可能性をゼロから追求。回転のスムーズさに極限までこだわり、数々の画期的なアイデアを惜しみなく投入した結果、耐荷重100kg、最高速303km/hに耐えうる回転性能を得ることに成功。

また、ショックアブソーバー機構により驚くべく滑らかな理想の走りを実現している。そうした特別なハブを搭載したのがGOKISOホイールセットである。MTB用*以外すべてチューブラー。

*)本記事では割愛

■スーパークライマー


価格:849,000円円(税抜)

リムハイト:50mm

カラー:チタン素地

■クライマー S-Spec


価格:385,000円(税抜)

リムハイト:50mm

カラー:マットワインレッド、マットブラック

■ワイドフランジ


価格:335,000円(税抜)

リムハイト:50mm

カラーワインレッド、マットブラック

■ロード用ディスクブレーキ


価格:349,000円(税抜)

リムハイト:50mm

カラー:ワインレッド、マットブラック

ユーザーの声:GOKISO独特の「前に進む感覚」


GOKISOの50mmディープリムホイール(クライマーではない普通のGOKISOハブをインストール)を試乗できる機会がありました。

普段は練習用ホイールにアルテグラ、決戦用にカーボンチューブラー(某ショップオリジナル)の50mmディープリムホイールを使用しています。カーボンチューブラーで重量は前後1500g程度なのですが、GOKISOのホイールを持ってみた第一印象は「重い!」でした。アルテグラ以上に重い感覚でした。(GOKISOのカーボンディープリムは1800gを超えているので当たり前と言えば当たり前なんですが……)

GOKISOはレースの会場などでもメーカーブースがあり、ハブを回すコーナーではハブ単体でいじることができます。ホイールとして回した感覚は、クルクル回るというよりは、抵抗が少なくヌメッと回るという感覚でした。また、後輪に関してはフリーハブのラチェットの遊びが極端に少ないのも特徴の一つだと思いました。

実際に自分のバイクに実装し走ってみると、漕ぎだしに重い感覚はあるものの思った以上にスムーズに進む感覚で、特に30km/hから40km/hにかけて、GOKISO独特とも言える「前に進む感覚」がありました。

平地での40km/hでの定速走行は、明らかに自分の使っているディープリムより進む感覚で、さすがGOKISOといった感じ。ホイール自体の重さもあるので巡航スピードを維持するのが思った以上に楽でした。

また、ダンシング時もピュンピュン進む感覚ではないものの、のっぺりとした感覚ではない乗り心地でした。

(HN.ぬま さん)

カラーオーダーなどオプション


オプションでカラーオーダーにも対応している。受注できないカラーもあるが、希望色が30,000円から。クライマーハブを除く光沢仕上げは20,000円。ステッカーオプションカラーは9,000円でオーダーできる(すべて税抜)。

まとめると


日本の町工場から世界へと発信する、優れた匠の技が光るGOKISOの製品。自らの技術力を信じ、その結果、自転車業界の常識をくつがえしたホイールの重みにはドラマを感じさせる。着実に成果をあげる姿に今後も目が離せない。

ちなみに冒頭でも少しだけ紹介した「山の神」森本誠氏も同社社員である。


究極の回転部と呼ばれるGOKISOのハブ。一度乗れば、その性能にびっくりするだろう。国内メジャーレース会場などで出展されているので、その「びっくり」を体感してみよう。

All Photos(C)KONDO MACHINE CORPORATION.

監修:Viking the Maintenance石橋

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