自転車からワクワクをひろげよう

  1. ホーム
  2. ハウツー
  3. バイバイ立ちゴケ! 走行スキルを高める“スタンス”とは?~自転車の処方箋#07

バイバイ立ちゴケ! 走行スキルを高める“スタンス”とは?~自転車の処方箋#07

あわせて読みたい!
こちらの記事もチェック!

「自転車の処方箋」は、サイクリストの悩みに元プロロードレーサーが、スパっと回答する連載企画です。千葉県のYOSHIさんからの「ロードバイクに乗っていて、低速になるとバランスを崩す」「信号待ち直前で立ちゴケしやすい」という悩みをいただきました。
ロードバイクはスピードが乗っているときは安定した乗り物ですが、低速になると急に不安定になります。ベテランライダーでも立ちゴケしますし、低速でのバイクの扱い方が苦手な人も……。
管さん、低速でのバイクの扱い方なんて、あるんでしょうか? 

バイクコントロールの基本姿勢「スタンス」とは?

「サイクリングロードの鉄柵などを目の前に、低速になると途端にバイクの挙動が不安定になってしまう……」
「細い路地でUターンをしなければいけない時にどうしてもフラついてしまう……」

こんな時に役立つテクニックがスタンス(両脚荷重)のクランクワークです。クランク(ペダル)をボトムブラケット(以下BB)を軸に地面に水平に構えるテクニックです。

バイク上の重心バランスのコントロールの基本となるスタンスは、さまざまなテクニックの基になるのでぜひ身につけてほしいですね!
でもこのスタンス、新しいことの様に思えて実はママチャリ(一般軽快車)に乗っている時に実は多くの方が経験していることなのです。「緩い下り坂道をハンドルを握って自転車の上に立ったまま風を切って下ったこと」はありませんか?

その技術(姿勢)こそ、スタンスそのものなのです!

このスタンスから派生する主なテクニックは・・・
「コーナーリング」「ブレーキング」「ダンシング」「スタンディング」「ダウンヒル」「段差越え」「障害物回避」などがあります。

「なんだ、スタンスって。もっと身になるテクニックを教えてくれ」と、ここまで読んでイマイチやる気にならなかった人も、これだけのテクニックの基になると思えば、挑戦しがいもありますよね!

ポイントは後ろ足。スタンスの基本姿勢を学ぼう

「自転車はペダルを漕ぐ乗り物」。この感覚によって常に前にペダルを回そうという意識がつい先行してしまいます。しかしスタンスの基本姿勢はペダルを水平にして前後の均衡を保つことがポイントです。
この前へ前へのと進むペダリングを意識的に止めるためには、踏み込んでいる逆の足でバックを踏む(逆回転に荷重する)のがロジック。しかしここでは、もっと単純にスタンスの基本姿勢をとることができる方法があります。

それは「後ろ足(逆足)のカカトを下げる」ことです。

▲前にも後ろにも荷重がかからないニュートラルポジション

▲クランクが水平なのにペダルが前に傾いているので、これは前重心になる

すごく簡単ですね! 後ろのカカトを意識的に下げると、前足に力がかからないようになります。この自然に両足に荷重した姿勢こそが、正しいスタンスのフォームなのです。

スタンスの姿勢のままバイクの上にスタンディングしてみよう

両脚荷重の状態でペダルの上にスタンディングする(立ってみる)と自然と身体は前後のバランスがとれた重心位置を探そうとします。そこで見つけられるのがニュートラルの姿勢です。ハンドル位置が低い程ニュートラルの重心位置は胸が低くなり、腰が引けて重心をヘソで探るイメージに近くなってきます。

前重心でも後ろ重心でも安定した姿勢ではあるのですが、どちらも安定を保つために偏った筋肉に負担をかけてしまうため、自然とニュートラルな位置へ戻っていきます。


この状態でどうすればバランスの安定に繋がるのか…。この姿勢を作ったまま考えてみましょう。

シッティングでの乗車姿勢ではバイクとの接点は以下の3点です。 

①ハンドル
②ペダル=クランク
③サドル

シッティングのポジションでは最も高いサドルの部分に荷重されているのは想像しやすいと思います。つまりシッティングではサドルが荷重のバランスをつかさどるポイントになります。

しかし、バイクの上にスタンスの姿勢でスタンディング(立ってみる)と…支点となるのは以下の2点になります。

①ハンドル
②ペダル=クランク


そして、スタンディングから、ニュートラルの荷重バランスをとろうとすると、重心がペダル=クランクに移ってきて安定してきます。地面に重心が近い、つまり重心が低い方が安定することは理解できると思います。

ここでさらに理解を深めるために、バイクの「振り幅の角度」をイメージしてみましょう。


地面を中心にタイヤを接点としてバイク全体が左右に振れた場合、最も振り幅が小さい接点がペダル=クランクとなり、最も振り幅が大きい接点がサドルとなります。

つまり低重心の安定感を得られるのは前者。振れ幅の小さいペダルに荷重したスタンスの姿勢であることが分かります。

この低重心の安定性の高さについては、「竹馬」を連想してみましょう。バランス感覚が高い人ほど高い竹馬に乗ることができます。しかしだれでも最初は安定のとりやすい低い竹馬から始めますよね。おなじようにバイクも重心を低くしたほうが安定するのです。


自転車は直進安定性が高く、走行し始めると安定する乗り物です。しかし低速になると急にバランスが悪くなります。これも竹馬と同じですよね。

つまりバイクライディングにおいてクランクでスタンスの安定フォームをとるというのは、「最も安定するバランスの支点に身を預ける」ということなのです。

そして安定したスタンスを簡単にフォーミングできるのが「後ろ足のカカトを下げる」という動作です。

次回はスタンスを活用したテクニックを紐解いていきたいと思います。

●バックナンバー
第1回:上手い下りの走り方
第2回:楽しく上るための回転数と心拍数の関係
第3回:予習が上りを楽にする
第4回:緩い上りは“もも裏”で効率的に上る
第5回:平均勾配7.8%の激坂の走り方
第6回:斜度に合わせてシッティングとダンシングを使い分ける

B!

あわせて読みたい!

関連記事を読む

広告を表示できません。

最新記事を読む 同じカテゴリーの記事を読む
モバイルバージョンを終了