ちゃんと眠れる自転車旅向けの寝袋 ~2泊3日「バイク&キャンプ」のレシピ#04
自転車旅が大好きなモデル兼トラベルライターの山下晃和(やましたあきかず)さんが、キャンプをしながらの自転車旅(バイク&キャンプといいます)の楽しみ方を伝える連載企画です。
ポイントは2泊3日。
この泊数を無理なく旅することができるようになれば、国内でも海外でも、長期間の旅でも問題なく楽しめるようになるという。とはいうものの、「どんな自転車が必要?」「必要なギアは?」「外で寝るの怖い(笑)」などなど、越えなきゃいけないハードルはいくつかあります。それらを初心者でもひとつずつクリアしていけるように、山下さんにはその旅のレシピを教えてもらう予定です。それではよろしくお願いします!
キャンプ以外、車中泊や災害時にも使える
前々回はマット、前回はテントと3種の寝具の2つまで紹介してきました。最後の今回は、スリーピングバッグについて書きます。日本語では、寝袋、ドイツ語ではシュラフサックと言いますが、私は英語表記のスリーピングバッグと呼ぶようにしています。理由は、テントもマットも英語だからです。
3種の寝具の呼び方を英語に統一しているというわけです。こちらは、いわゆる掛け布団と同じような存在ですが、小さいサイズにも関わらず非常に暖かいので、キャンプのときはもちろん家でも災害時でも役立ってきます。
ちょっと脱線しますが、以前、静岡県の浜松へのロケの帰り道。深夜、車で深夜移動していたのですが、ものすごい稲光で空が真っ白に光り、前が見えないほどの暴風雨にもなり、サービスエリアへ逃げ込みました。仕方ないのでそこで雨が止むまで仮眠したときに、たまたまスリーピングバッグを車の中に入れていて、快適に車中泊ができた経験があります。
スリーピングバッグにはファミリーキャンプ向けの封筒型とキャンプツーリング向けのマミー型があるので注意してください。サイズも形も全くといっていいほど違います。封筒型文字通り、封筒のような形で頭を覆う部分がありません。しかも車での移動でしか考えられていないので巨大です。
素材は、羽毛と化繊があります。かつては、羽毛と化繊の保温性の差が歴然でしたが、今は化繊の質も上がってきています。羽毛は小さくてコンパクトになりますが、値段が高い傾向があり、化繊は羽毛ほど小さくならずやや重たいですが、値段が安いです。
化繊は水洗いをしても保温性が落ちないのでメンテナンスがラクという点も見逃せません。羽毛も専用の洗剤できちんとケアすれば、洗うこともできるので、買うときにメンテナンスの仕方や保管の仕方は、ショップの店員さんに教わったほうがいいでしょう。
そのなかで、私がオススメするのは、モンベルのアルパインダウンハガー#3です。冬の高山でのキャンプは厳しいかもしれませんが、低地であれば冬でも使えます。夏場、もし蒸し暑かったら身体にかけるという使い方でもOK。
ストレッチが効いていて、寝る際も身体に負担をかけず、コンパクトになり、500g以下という軽さ。また、スリーピングバッグは、セットでコンプレッションバッグという圧縮できる袋も同時購入することをオススメします。
小さな布団圧縮袋みたいなものですが、これがあると潰してかなりサイズを小さくできます。グラナイトギア、イスカ、モンベルといった各メーカーから出ているので、探してみてください。
ここ最近UL(ウルトラライト)ハイカーや、バイクパッキング(MTBにバッグを付けてトレイルを旅するスタイル)などではタープ+スリーピングバッグ+マットや、ハンモック+スリーピングバッグというスタイルが流行っています。このスタイルならもっと軽量化ができますが、玄人向けです。また周りから寝ているところが見えてしまい、プライベート空間が失われるので、そういったことも気にしない人は合っているかもしれないですね。
これができる人は従来のテントスタイルよりも軽量化ができます。舗装路だけでなく、未舗装路を走り繋いだり、キャンプ場だけでなく、山の中腹などでもキャンプができるようになったりするので、より自由度は上がります。ただし、ハンモックの場合は、キャンプ場に引っかけられる木があることも前提になってきます。そして、風が強い日、さらに雨が強く降る日だと怖くて寝られないということもありえます。
3回にわたって、3種の寝具について説明してきました。とりあえずこの3つがあればキャンプツーリングはできます。ギアを揃えるなら、まずはここからスタートしてみましょう。
●バックナンバー「バイク&キャンプのレシピ」
第1回 まずは旅に出てみよう!
第2回 テント、寝袋、マット。まずは三種の寝具をそろえるべし!
第3回 自転車旅に最適なテントとは?