プロライダーには当たり前のパワーメーターだが、近年ではトレーニング重視のシリアスライダーにもなじみ深いものとなってきた。
走りの質やクセがわかり、「効率の良いペダリング」を追求できるパワーメーターだが、実際に得られる数値とは何なのか。その機能やメリットはもとより、導入にあたり一番気になる値段相場まで、余すところなく紹介していこう。

パワーメーターとは?



パワーメーターとは、自転車を漕ぐ際にペダルに踏み込んだ力を測定する計器のこと。出力の単位をW(ワット)として数値化し、客観的に自分の走りを知るものだ。パワーを計ることで走力がリアルタイムにわかって、ライド後のデータからコンディションや疲労度など「走りの質」を解析することができる。

4つのメイン機能


パワーメーターの機能としては主に下記が挙げられる。

  • ペダルを回したときの力を計測
  • ペダリングの力の方向や強度を視覚的に表示
  • どれほどの踏力がペダルに伝わっているか効率測定
  • ログによりPCやスマホなどでライドを記録・解析

GIANT「POWER PRO」純正のアプリ画面。視覚化されることで客観的に自分の走りを知ることができる

▲GIANT「POWER PRO」純正のアプリ画面。視覚化されることで客観的に自分の走りを知ることができる


具体的にはクランクやペダル、あるいはハブにセンサー(歪みゲージ)を組み込み、ペダリングにより金属が歪んだり伸びたりすると電子信号を発信する。その電子信号をトルク値に換算して、ペダルの回転数(ケイデンス)を掛け合わせたパワー値を専用デバイスやサイクルコンピューターなどに通信するようになっている。

走りの質とクセを知る


こうした「走りの質」が視覚化できるとともに、自分の走りのクセも見つけ出すことができる。
例えば左右のペダリングトルクの違い、トルクの掛かりどころの違いなど。自分でも気づかなかったクセを見つけ出すことで、より無駄のない効率の良いペダリングに近づくというわけだ。

心拍計じゃダメ?パワーメーターならではのメリット


いわゆる心拍計とはどう違う?

▲いわゆる心拍計とはどう違う?


従来、自転車トレーニングおいてのツールは心拍計が大勢を占めてきた。しかし、心拍数は体調や睡眠、ケイデンスなどの内的条件、および気温、湿度、坂、風などの外的条件による影響が大きい。さらに心拍の表示にラグがあり、平均化されて計器に表示されるという欠点がある。
その点、パワーメーターはこうした条件にかかわらず出力を瞬時に正確に数値化することで、心拍計に代わるツールとなりつつある。

心拍計とは測る数値も、測定のベクトルも違う

▲心拍計とパワーメーターでは、測る数値も、測定のベクトルも違う
画像出典:intertec



ペース配分の目安にもなる



▲自分の出力を数値化できれば、ペース配分もより容易に


プロレースの現場では、特にヒルクライム時のペーシング(ペース配分)で使用されることが多い。簡単に述べると、山岳でアタックをかけて脚が売り切れになるよりも、一定のペースを守って走るほうがゴールに近いということだ。その指標となるのがパワーメーターでのFTP(Function Threshold Power)である。

FTPとは、1時間走り続けて極限までペダルを回し終えた出力のこと。パワーメーターを使ったトレーニングの際には、最初にこの値を測定する。その目的は、コースやシチュエーションに合わせてパワーを配分すること。まずは自分の出力を把握して、効率よくペーシングすることが大事だ。FTPが高ければ分配できる出力も大きくなるので、より速く走れるようになる。


パワーメーターの3つの種類


パワーメーターの種類は、大きく分けて3つ。クランク・ペダル・ハブと、取り付け位置によって異なる。

クランク取り付けタイプは一番ポピュラー。左右クランクで歪みを計測するもの、あるいはパイオニア製のように片側クランクのみで計測できるものがある。ただしクランク長を替える場合は、改めて買い替えしなければならない。シマノ製のようなクランク一体型も同様だ。

パワーメーター Stages Power LR Dura-Ace R9100 Dual Sided Power Meter

▲Stagesの左右クランク両サイドで計測可能なモデル



ペダルタイプはGARMIN製が代表的。ペダル軸にセンサーが組み込まれており、ペダリング時の歪みで計測する。ライダーのパワーが最初に伝達するところなので誤差が少ないだろう。取り付けも簡単で、クランクを替えても自分で対処できる。しかし、クリート方式がルック・ケオしか対応していないのが惜しい。


▲GARMIN Vector 3

ハブタイプは、ホイールのハブ軸にセンサーを組み込んだもの。チェーンがスプロケにかかって動くときにハブの歪みを測定する。POWERTAP製が有名で、最初から同ハブで組まれたホイールもある。しかし、それ以外の市販ホイールへの取り付けは初心者には難しく、素直にプロショップに依頼したほうが良いだろう。



▲パワータップの定番ハブ『G3』とDTスイスのテクノロジーを融合させた最新ハブモデル

パワーメーター導入のQ&A


基本的にロードバイクならば、一部を除いて使用可能だ。一部とはセンサーがフレームと干渉してしまうような場合。そうならないように、自分のロードバイクとの適合性は、購入する際の必須確認ポイントといえる。
あとはデータを表示させるデバイス。ANT+やBluetoothに対応のサイクルコンピューターやパイオニアのペダリングモニターなど専用品が必須だ。

購入したらすぐ使える?


買ったらすぐ使えるか?その質問への答えは「YES」と「NO」がある。
機材が揃っていれば問題ないが、例えばパイオニアの場合、使用するクランクをメーカーに送り、機器を取り付けてもらうシステムとなっている。依頼から納品までは2〜3週間だ。
また手間はかからないが、乗る前にはセンサーとサイクルコンピューターやデバイスのペアリング(同期)もしなければならない。

組み付けは自分でできる?


クランクやペダルの付け替えを自分でできる人ならば可能。できない場合はショップに依頼するのが賢明だ。何と言ってもパワーメーターは精密機械。ちょっとした取り付けミスで破損、あるいは精度が狂う可能性がある。腕に自信がない人はプロのメンテナンスに任せよう。パイオニア製は前述した通り、一度メーカー送りになる。

またメーカーによっては、きちんとメーカー主催の講習会を受講したショップでないと取り扱うことができないパワーメーターもある
購入に当たっては、取り扱い実績のあるショップでの購入をおすすめする。

充電は?


センサーの電源オン/オフは、パイオニア製では専用デバイスで行なえる。その他はペダルの回転でオン/オフが行なうようになっている。
電源は充電式が多く、シマノ製の場合はおよそ2時間半で満充電され、300時間の使用が可能。GIANTの「POWER PRO」の場合は1回の満充電で150時間(およそ2400km)とされている。バッテリー残量は、本体のLEDインジケーターや専用デバイスで示される。サイクルコンピューターやデバイスの充電も忘れずにしておきたい。

パワーメーターの値段相場、総額20万あれば満足する買い物に



▲昔はウン十万が当たり前だったパワーメーター。だんだん身近な存在になってきた。


ひと昔前は数十万円したパワーメーターだが、最近はコストダウンを果たしている。安いものではPOWERTAPの前輪ハブ用が25,000円。後輪用でも63,800円である。クランク式では100,000円~150,000円ほどの価格帯がメイン。ペダル式ではGARMINが79,000円から手に入る。これにプラスして、サイクルコンピューターや専用デバイスが30,000円~50,000円ほどかかると思ってよい。総額で20万円あれば良い買い物ができるだろう。

おすすめパワーメーター




それでは実際に、パワーメーターをそれぞれの特徴とあわせて紹介していこう。

パイオニア SGY-PM910Z


SGY-PM910Z パイオニア パワーメーター pioneer

画像出典:Pioneer ※クランクは付属しない


パワーメーターに革新をもたらしたモデル。ペダリングの「力の大きさ」と「力の方向」を高精度に計測し、ベクトルを視覚的に確認できる世界初のモニターが大きな特長だ。また、スプリント区間の走行データを自動で1秒に2回の高密度検出・記録するスプリント検出機能、トレーニングアシスト機能などを装備。専用デバイス「SGX-CA500」は100種以上のデータをリアルタイムに表示する(29,800円/税抜)。何と言ってもペダリングを可視化できるのが楽しく、トレーニングが捗るだろう。

「SGY-PM910Z」×「SGX-CA500」のパフォーマンスがよくわかるこちらの動画も是非確認しておいてほしい。


価格:129,600円(税抜)
対応クランク:シマノFC-R9100、FC-9000、FC-R8000、FC-6800、カンパニョーロPOTENZA11

LINK:ペダリングモニターセンサー SGY-PM910Z|Pioneer

ガーミン Vector 3




【国内正規代理店商品】GARMIN ガーミン Vector 3


左右独立計測が可能なペダル型パワーメーター。ペダルポッドを内蔵して手軽に取り付けが可能で、バイク間での付け替えも容易だ。また、シッティング/ダンシングを検出して、それぞれの時間とパワー値を測定。ポジションによる差異を確認することもできる。PCOという機能ではペダル面に対するトルクの分布を表示。これによりクリートの適切なポジションを得られる。同社製のEdgeデバイスやPC&モバイルサイト「ガーミンコネクト」などと連携してデータの分析が可能だ。Edgeユーザーなら、なおさら欲しい一品である。しかし、前述したように対応クリートがルック・ケオのみ。

価格:128,000円(税抜)

LINK:Vector™ 3|GARMIN

シマノ FC-R9100-P


FC-R9100-P HOLLOWTECH II クランクセット (パワーメーター一体型、2x11スピード)

画像出典:SHIMANO


デュラエース(R9100系)のクランクにパワーメーターを組み込んだ一体型。見た目にもスマートで精悍なイメージを放つ。測定できるのはパワー、パワー左右バランス、ペダルスムーズネス、ケイデンス、トルクエフェクティブネス。ペダルスムーズネスはペダリング効率を表し、トルクエフェクティブネスはパワーがどれほどトルク伝達されているか示すものだ。電源はシャフトに充電式リチウムイオンバッテリーを内蔵。専用デバイスはないが、ANT+やBluetooth LEに対応するサイクルコンピューターと同期可能である。

価格:133,768円~150,845円(税抜)

LINK:FC-R9100-P HOLLOWTECH II クランクセット|SHIMANO

Stages Power meter 105 5800


Stages パワーメーター 105 5800 BLACK

画像出典:intertec


本モデル対応クランクは105 5800 BLACK。SHIMANOで言えばほかにDura-Ace、Ultegra、XTRのクランク対応モデルを用意。さらにcampagnolo、SRAM、CANNONDALE、FSA対応モデルも展開され、ラインナップの豊富さはStagesの特徴といえる。
左クランクアームのみのセッティングで取り付けは簡単。小型で軽量、干渉の心配も少ない。
複雑な機能はないものの、シンプルでとっつきやすいので、とにかくパワーメーターを使ってみたい人にはおすすめできる。2018年からLR両側モデルも登場。

価格:69,984円(税込)

LINK:Stages|Intertec

POWERTAP GS




■パワータップ/サイクルオプス■ PowerTap GS リアハブ ストレートプルスポーク仕様 (DT Swiss 240S) 24H/シマノ 【品番 30045】

ストレートプルスポーク方式、スターラチェットシステムの「DT Swiss 240S」にパワーメーターを組み込んだハブ型パワーメーター。内側にセンサーなど計測部品を納め、精度も高く衝撃にも強い。フロント用とリア用があり、あらかじめ搭載された完組ホイールも豊富に用意。また、同社からはペダル型とチェーンリング型のパワーメーターもリリースされている。いずれもパワーメーターのリーディングブランドらしい作りで、どの製品も比較的廉価なのが魅力だ。

価格:25,000円(フロント/税込)
   63,800円(リア/税込)

LINK:パワータップ GS|キルシュベルク

GIANT POWER PRO


アルテグラクランクに組み込まれ、完成車として販売される

▲アルテグラクランクに組み込まれ、完成車として販売される
画像出典:GIANT


2019年モデルから完成車に導入された新たなパワーメーター。取得できる情報は、パワー、ペダルバランス、フォースアングル、ケイデンスなどで、専用デバイス「GIANT NEOS TRACK」の他、ANT+対応サイクルコンピューターによりデータを表示する。搭載モデルは8車あり、特に「TCR ADVANCED 1 SE」は30万円を下回る破格の価格設定である。パワーメーターを身近なものにする戦略的スペシャルモデルとして注目。

価格:280,000円(税抜)
コンポーネント:シマノ・アルテグラ
サイズ:425、445、470、500mm
カラー:カーボン

LINK:POWER PRO|GIANT

GIANTのPOWER PROをもっと知りたいならこちらから
→「【2019年最新】パワーメーター搭載完成車で28万!?GIANT POWER PRO徹底解剖

まとめると


おすすめで紹介したGIANTの「POWER PRO」に見られるよう、パワーメーターによるトレーニングはプロをはじめとする一部のサイクリスト以外の一般ライダーにも浸透しつつあるものだ。走りをダイレクトに数値化することでモチベーションにも繫がる。トレーニングやレースの他、たとえばロングライドでもペースを考えた走りや、余計な力を使わず効率の良いヒルクライムに最適なツールだ。低価格化した現在、パワーメーターは高嶺の花ではなくなった。あなたのマシンにも、いまこそパワーメーターの投入を考えてみてはいかがだろうか?

Top photo © intertec

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