ロードバイクらしい疾走感を味わえるタイヤですねー。
昨年発表された「Continental Grand Prix 5000(コンチネンタル・グランプリ5000、以下GP5000)」は、長く定番とされてきた「Continental Grand Prix 4000 Season II(コンチネンタル・グランプリ4000・シーズンII、以下GP4000)」を改良・発展させた新しいタイヤです。GP4000の名前は聞いたことがある、今使っているという人は結講多いのではないかと思います。私自身、走行性能に優れたGP4000はお気に入りのタイヤで、長く使ってきました。
もともと定評あるタイヤを改良してできたGP5000、良いタイヤであることは想像に難くありません。でも、本当に優れているのかは実際に使ってみなければわかりませんね。というわけで、今回はFRAME編集部でGP5000を購入し、しばらく使ってみました。案の定、気持ちよく走れる、優秀なタイヤでしたよ!
目次
GP5000とは
- 製品名:Continental Grand Prix 5000 (クリンチャー版・700×25C)
- 要するに…何?:かなり高性能なロードバイク用タイヤ
- 価格:約6,400円(1本あたり、記事執筆時点、参考:Amazon)
- 良いところ:疾走感があるところ。また、平坦と下りが前モデルより楽になっているところ。
- 悪いところ:価格がお高めなところ
- おすすめ?:超おすすめ。特に平坦が好きな人にはかなり!
使ってみて良かったのは以下の3点です。
振動吸収性能がアップ!乗り味がマイルドに
前モデルであるGP4000に比べて乗り味がかなりマイルドになっていて、結果、少し疲れにくくなったように感じました。GP4000は硬いうえに振動をよく拾うタイヤで、お世辞にも乗り味がいいとは言えませんでした。そのため、この乗り味の変化はかなり劇的。
この変化は、GP5000で採用された「Active Comfort(アクティブ・コンフォート)」という新型の振動吸収層がもたらしたもののようです。パッケージにある図ではトレッド面と耐パンク層のさらに下にあるレイヤー(層)としてこのActive Comfortが描かれています。
振動の一部がカットされる感じ
GP5000には確かに改善が施され乗り味は良くなっていますが、それは柔らかいという意味ではありません。乗り味そのものはむしろ硬い部類に入ります。GP4000より不快な振動が減ったというのが正確なところ。
ロードバイクが走る舗装路には大なり小なり凹凸があり、大きなのとしては言えば段差や荒れ、小さなものとしてはアスファルト舗装を構成する砂利が生み出す細かな凹凸などがあります。GP5000では後者のみが、すなわち微細な凹凸が生み出す振動だけが吸収されるように感じるのです。
そんなので差が出るの?と思われそうですが、全然ちがいますよ。目視で確認できる段差や荒れを丁寧に避けていけば、あまり振動を感じないのですから! 経験上、振動があれば身体が揺さぶられ、それが疲労につながります(ロングライドだとわりと深刻)。GP5000ではそうした振動が減っためか、ライド後の疲労感も減ったように感じたのではないかと思います。
よく転がる、疾走感がある
タイヤの性能を調査している海外サイトのランキングでは、GP5000の転がり抵抗は2位(クリンチャータイヤ49種中)。チューブラー・チューブレスを含めても5位であり、その転がり抵抗の低さは折り紙付きと言っていいでしょう。
転がり抵抗とは何か? 自転車用タイヤメーカーのSchwalbeは次のように説明しています。
転がり抵抗とは、タイヤが転がるときに失われるエネルギーのことである。
ざっくり言えば、いかに楽に高速で走れるかに影響する、重要な数値だということです。
転がり抵抗の低さを反映してか、実走での感触も「よく転がる」、これに尽きます。気持ちよく高速に乗り、そのスピードを維持することができますね。路面上を転がる際の抵抗が少ない=ロードバイクならではのスピード感を損なわない。疾走感がしっかりとあるんです。自転車マンガ『のりりん』ではロードバイクの魅力を「ロスが少ない、上質な感じ」と表現していますが、GP5000の良さもそれに類するものです。
前述のActive Comfortによる振動吸収との相乗効果も見逃せません。よく転がるタイヤを使えば高速域に達しやすくなりますが、一方で速度が出れば出るほど低速では微少だった振動・衝撃も大きくなります。しかし、GP5000はそれもある程度カットしてくれるのです。平坦での高速巡航のしやすさは抜きんでていると思います。
下りの安定感がアップ
地味ながら良かったのは、下りでの安定感が増していたこと。トレッド(タイヤに刻まれた溝)を改良し、グリップ(路面を捉えて滑ったり倒れたりしない力)をGP4000から向上させたというのがコンチネンタルの言い分ですが、ダウンヒルを繰り返してみると、重心が低くなって安定感が増したような印象のほうが強かったです。どうあれ、自転車においてもっとも危険度が高い下りの性能が上がっているのは歓迎すべき点だと思います。
平坦と下りで優れた性能を感じられるオールラウンダー
ヒルクライム特化の軽量タイヤほどではありませんが、GP5000は上りの性能も悪くありません。硬質でしっかりと地面を蹴りながら進んで行くので、山でも十分に使っていけます。ぶっちゃけ困ったらGP5000を選んでおけばいいくらいは言いたい、完成度の高いタイヤです。性質上、以下のような人に特におすすめです。
- 平坦中心のライドをよくするという人
- 平坦も山も入っているコースをよく走るという人
- 今GP4000を使っていて、そこまで不満もないという人
個人的にGP5000を投入してみたいと思うのは、平坦ブルベですね。時間制限があり、走行距離も長く疲労が気になる都合上、ある程度良いタイヤを使いたいですから。200~300kmのブルベとはかなり相性がいいと思います。
欠点としては、実売価格が在庫の売り切りが進められていて性能が近いGP4000より高い、という点が挙げられます。1本あたりで約2,000円の差があります(参考:Amazon)。しかし、過去のFRAMEの記事にも書かれているようにタイヤはケチるところではありません。GP5000の寿命は公称4,859kmであり、月に1,000km走っても5カ月弱持つ計算。1年使える人も多いでしょう。長い目で見て性能に優れたGP5000にしてみる、というのはアリな選択ではないでしょうか?
参考:レビューの条件
GP4000で3,000kmほど走行した状態からGP5000に換装し、何回かにわけて計250km、獲得標高1,500mほど走行しました。当初はより多くヒルクライムをする予定でしたが、大きな差が見られなかったため、途中から平坦中心に走る方針に切り替えています。
レビュワーの性別・年齢・体格は以下になります。
- 性別:男性
- 年齢:30代
- 身長:170cm
- 体重:64kg
- 普段しているライド:走行距離100〜200km程度のロングライド、獲得標高1,000〜2,000m程度のヒルクライム
記事は平均的な体格の成人男性による所感をまとめたものであり、より痩せ型の方や体格のいい方については妥当しない可能性があります。適宜割り引いてご参考ください。