ヒルクライムにオススメの軽量クリンチャータイヤ6選 ~教えてハシケン先生#18

サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックや愛車のカスタマイズ術を紹介する連載企画です。今回はつらくて苦手な人が多いヒルクライムを少しでも楽にするための軽量なクリンチャータイヤを6つ紹介します。

タイヤが軽いと走りも軽い!

タイヤが軽いと走りも軽い!
地面との唯一の接点でもあるタイヤは、自転車の走行性能に大きな影響を与えます。それだけにタイヤの性能をアップグレードするだけで、バイク全体の性能を高めることも可能です。タイヤに求められる主な性能には、「転がり抵抗の少なさ」、「グリップ性能」、「耐パンク性能」、「快適性」があります。ヒルクライム向きのタイヤには、これらに加えて「軽さ」が重要になってきます。重量が軽いと、踏み出しの軽さを実感しやすくなるからです。

3種類のタイヤの構造をおさらい

前回に続いて、ヒルクライム向きの機材カスタマイズを紹介します。前回は、低予算で気軽に「走りの軽さ」を手に入れられるアイテムとして、インナーチューブの具体的なモデルをピックアップしました。
今回は、ヒルクライム向きのタイヤを紹介しましょう。インナーチューブと同じく費用対効果の高いアイテムです。と、その前に、現在のロードタイヤの3つの構造と特長を簡単に復習しましょう。

クリンチャータイヤ

タイヤの中のインナーチューブにエアーを充填させることでタイヤを膨らませるタイプ。タイヤ自体に大きな裂傷などがない限り、パンクをしてもインナーチューブを交換するだけですぐに走行可能なので、メンテナンス性に優れています。現在、主流のタイヤ構造ですが、市販品としてクリンチャータイヤが登場する1990年代以前は、チューブラーが一般的でした。

クリンチャータイヤ

※クリンチャータイヤの詳細はこちら。

チューブラータイヤ

インナーチューブをタイヤ自体で包むようにして縫い付けるため、真円に近いタイヤ構造が特徴です。そのため、路面からの振動をタイヤ全体で吸収しやすく、しなやかな乗り心地になりやすいです。また、リム側の構造がシンプルなため、ホイールとセットで考えた場合に軽さのメリットがあります。一方、デメリットとしては、パンクの際にはタイヤごと交換する必要があるため、コストがかかります。また、タイヤ交換には、タイヤとリムを接着するために、リムテープやリムセメントが必要です。

チューブラータイヤ
※チューブラータイヤの詳細はこちら。

チューブレスタイヤ

リムに直接タイヤを装着するタイプで、インナーチューブを持ちません。その分、走行抵抗が少なく、静粛性に優れる乗り心地の良さが魅力です。クリンチャータイヤのように、リム打ちパンクのリスクがないこともメリットです。なお、現状多くのメーカーが採用している「チューブレスレディ」とは、基本構造はチューブレスと同じながら、タイヤの中にパンク防止剤のシーラント(溶液)を注入し、気密性を高めることを前提としたタイヤを指します。

チューブレストクリンチャーの違い

※チューブレスタイヤの詳細はこちら。

ヒルクライムにオススメの軽量クリンチャータイヤ6選

さて、3つのタイヤ構造を理解したところで、今回は現在もっとも需要のあるクリンチャータイヤの中から、ヒルクライム向きのモデルを紹介します。インナーチューブ同様にホイールの外周部にあたるタイヤは、物質的な重量(軽さ)による踏み出しの軽さを感じられます。ただし、スペック重量だけに飛び付くのは賢くありません。どんなに軽くても、転がり抵抗が悪かったり、パンクリスクが高すぎるモデルでは本末転倒です。またヒルクライムといえど、路面を捉えるグリップ性能も欠かせません。その上で、ギリギリまで軽さを追求したモデルこそヒルクライム向きの高性能タイヤと言えるのです。

コンチネンタル スーパーソニック

ドイツの総合タイヤメーカーで、同社製品はタイヤの基本性能である転がり、グリップ力、耐パンク性能ともにハイレベル。軽量レーシングモデルのスーパーソニックは20Cで160~170g、23Cで175~185gという軽さを誇る。また、素材にナノカーボン粒子を混合した独自のブラックチリコンパウンドを採用し、高いグリップ力と耐摩耗性を両立している。ちなみに、個人的に10年近く愛用しているモデルでもあり、各地のヒルクライムレースで優勝をアシストしてくれた。

コンチネンタル スーパーソニック

ブリヂストン エクステンザ R1S

世界のタイヤメーカーであるブリヂストンが手がける、ロードレーシングシリーズの「エクステンザ」。ウェットコンディションでのグリップ力に定評があり、接地にねっちりとした安心感を生みつつも、軽快さのある走行感は最高峰のR1シリーズに共通する印象だ。中でも、R1Sは、23Cで145gとシリーズ最軽量を実現したヒルクライマー御用達モデルだ。タイヤ接地面をやや尖らせた独自の「ダブルクラウンアール」断面形状を採用し、接地抵抗を減らしている。また、高密度ケーシングで転がり抵抗を軽減している。

ブリヂストン エクステンザ R1S

パナレーサー GILLAR(ジラー)

パナレーサーの最新モデルにして最軽量モデル。トッププロも愛用する山岳向けのロングセラーモデル「RACE L EVO3」の後継モデルにあたり、重量は23Cで160gと超軽量だ。耐パンクベルトを導入しながらも、同サイズの「RACE L EVO 3」に対して20gの軽量化を実現している。さらに、新コンパウンドの「ZSGアドバンスドコンパウンド」を採用し、転がり抵抗を20%も軽減。転がりの良さからトレンドになりつつある、太めの25Cサイズも170gと超軽量だ。

パナレーサー GILLAR(ジラー)

ピレリ P ゼロ ヴェロ TT

イタリアの老舗タイヤメーカーとして、モータースポーツの世界で高い実績を持つピレリ。その自転車用タイヤのフラッグシップが「P ゼロ ヴェロ」シリーズだ。中でも、耐パンクベルトを排して、軽さを追求した「P ゼロ ヴェロ TT」は、ヒルクライム性能に特化したモデルで、重量は23Cで165gと超軽量だ。独自のコンパウンド「スマートネットシリカ」が転がりのよさとグリップ性能を高め、ハイレベルなコントロール性能を有している。また、最新のワイドリムとの相性がよい25C(180g)もランナップする。

ピレリ P ゼロ ヴェロ TT

ミシュラン POWER コンペティション

ロードバイクの世界におけるクリンチャータイヤの普及に貢献した、フランスの総合タイヤメーカー「ミシュラン」。同社のロードレーシングタイヤの最高峰「POWER」シリーズに属する「コンペティション」は、レース向けに開発されたモデル。新開発のレースコンパウンドを導入し、前作のPRO4シリーズと比べて転がり抵抗を10%軽減。同時に高いグリップ性能を発揮している。また、タイヤの骨格であるケーシングを3層構造とし、耐久性を向上。重量は23Cで190g、25Cで210gに仕上がっている。性能バランスに優れ、ヒルクライム意外にもオススメ。

ミシュラン POWER コンペティション

ハッチンソン フュージョン5 ギャラクティク イレブンストーム

1853年に創業のフランスの工業用ゴム製造メーカーであるハッチンソンが手がける高性能ロードタイヤ。トップモデルの「フュージョン5シリーズ」は、新開発のイレブンストームコンパウンドを採用し、「フュージョン5 イレブンストーム」としてアップデート。前作から、転がり、グリップ力、快適性といったタイヤ性能を全方位に向上させている。中でも、「フュージョン5 ギャラクティク イレブンストーム」は、23Cで180gの軽量性と転がり抵抗の軽減を追求したモデルだ。また、ポリアラミド製のライトスキン耐パンク素材を採用し、耐久性も確保している。

ハッチンソン フュージョン5 ギャラクティク イレブンストーム

軽量タイヤ選びのポイント

近年のクリンチャータイヤは各社から豊富なラインナップが展開され、軽さを追求したヒルクライム向きの軽量タイヤだけでも十指に余ります。重量は200gを下回り、中には150gを切るモデルも存在します。耐パンクベルトを排して軽さを追求しているモデルも多いです。
同じ構造の商品を比べたとき、軽い方はコンパウンドやトレッドが薄く作られている傾向にあることを忘れないようにしましょう。そのことを理解した上で、軽量タイヤを選べば後悔はしないでしょう。
やはり、ヒルクライムではタイヤの軽さは走りの軽さに直結します。ヒルクライムを楽に速く走れるようになる、費用対効果の高い軽量タイヤにカスタマイズしてみましょう。

●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消
第10回 お尻の痛みを解消する3つの方法
第11回 ひざ痛を予防するフォームとセッティング
第12回 努力いらずで楽に走れる“ながらエクササイズ”
第13回 座って寝て早くなる体幹トレーニング
第14回 いつもの階段で“ペダリング筋”を鍛える
第15回 “ながらエクササイズ”を実戦で確認する!
第16回 上る前の下準備“ウォーミングアップ”4つのポイント
第17回 一番カンタンな軽量化。インナーチューブを交換しよう

橋本 謙司

WRITTEN BY橋本 謙司

自転車を専門にするフリーランスのスポーツジャーナリスト。自転車専門誌の編集部時代から、ライディングスキルなどのノウハウ企画を数多く手がけ、プロ選手やコーチ、週末サイクリストなど幅広い層のサイクリストたちと交流を深めてきた。自身も強豪ヒルクライマーとして、国内外のヒルクライムやロードレースに積極的に参加。「ツールド八ヶ岳」のチャンピオンクラス優勝、国内最大のヒルクライムレース「Mt.富士ヒルクライム」の一般の部で総合優勝など、国内ヒルクライムレースで優勝・入賞多数。http://www.hashikenbase.com

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