サイクルスポーツジャーナリストで、さらに国内トップクラスの強豪ヒルクライマーでもある “ハシケン先生”が、自転車がさらに楽しくなるように、乗り方のテクニックや愛車のカスタマイズ術を紹介する連載企画です。前回より、つらくて苦手な人が多いヒルクライムを少しでも楽に、さらにはビックリするほど走りが変わるパーツ選びを紹介しています。

3種類のタイヤの構造をおさらい


前回に続いて、ヒルクライム向きの機材カスタマイズを紹介します。前回は、低予算で気軽に「走りの軽さ」を手に入れられるアイテムとして、インナーチューブの具体的なモデルをピックアップしました。
今回は、ヒルクライム向きのタイヤを紹介しましょう。インナーチューブと同じく費用対効果の高いアイテムです。と、その前に、現在のロードタイヤの3つの構造と特長を簡単に復習しましょう。

クリンチャータイヤ


タイヤの中のインナーチューブにエアーを充填させることでタイヤを膨らませるタイプ。タイヤ自体に大きな裂傷などがない限り、パンクをしてもインナーチューブを交換するだけですぐに走行可能なので、メンテナンス性に優れています。現在、主流のタイヤ構造ですが、市販品としてクリンチャータイヤが登場する1990年代以前は、チューブラーが一般的でした。

クリンチャータイヤ

※クリンチャータイヤの過去記事はこちら

チューブラータイヤ


インナーチューブをタイヤ自体で包むようにして縫い付けるため、真円に近いタイヤ構造が特徴です。そのため、路面からの振動をタイヤ全体で吸収しやすく、しなやかな乗り心地になりやすいです。また、リム側の構造がシンプルなため、ホイールとセットで考えた場合に軽さのメリットがあります。一方、デメリットとしては、パンクの際にはタイヤごと交換する必要があるため、コストがかかります。また、タイヤ交換には、タイヤとリムを接着するために、リムテープやリムセメントが必要です。

チューブラータイヤ
※チューブラータイヤの過去記事はこちら

チューブレスタイヤ


リムに直接タイヤを装着するタイプで、インナーチューブを持ちません。その分、走行抵抗が少なく、静粛性に優れる乗り心地の良さが魅力です。クリンチャータイヤのように、リム打ちパンクのリスクがないこともメリットです。なお、現状多くのメーカーが採用している「チューブレスレディ」とは、基本構造はチューブレスと同じながら、タイヤの中にパンク防止剤のシーラント(溶液)を注入し、気密性を高めることを前提としたタイヤを指します。

チューブレストクリンチャーの違い

※チューブレスタイヤの過去記事はこちら

ヒルクライムにオススメの軽量クリンチャータイヤ3選


さて、3つのタイヤ構造を理解したところで、今回は現在もっとも需要のあるクリンチャータイヤの中から、ヒルクライム向きのモデルを紹介します。インナーチューブ同様にホイールの外周部にあたるタイヤは、物質的な重量(軽さ)による踏み出しの軽さを感じられます。ただし、スペック重量だけに飛び付くのは賢くありません。どんなに軽くても、転がり抵抗が悪かったり、パンクリスクが高すぎるモデルでは本末転倒です。またヒルクライムといえど、路面を捉えるグリップ性能も欠かせません。その上で、ギリギリまで軽さを追求したモデルこそヒルクライム向きの高性能タイヤと言えるのです。

コンチネンタル スーパーソニック



ドイツの総合タイヤメーカーで、同社製品はタイヤの基本性能である転がり、グリップ力、耐パンク性能ともにハイレベル。軽量レーシングモデルのスーパーソニックは20Cで160~170g、23Cで175~185gという軽さを誇る。また、素材にナノカーボン粒子を混合した独自のブラックチリコンパウンドを採用し、高いグリップ力と耐摩耗性を両立している。ちなみに、個人的に10年近く愛用しているモデルでもあり、各地のヒルクライムレースで優勝をアシストしてくれた。

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ブリヂストン エクステンザ R1S



世界のタイヤメーカーであるブリヂストンが手がける、ロードレーシングシリーズの「エクステンザ」。ウェットコンディションでのグリップ力に定評があり、接地にねっちりとした安心感を生みつつも、軽快さのある走行感は最高峰のR1シリーズに共通する印象だ。中でも、R1Sは、23Cで145gとシリーズ最軽量を実現したヒルクライマー御用達モデルだ。タイヤ接地面をやや尖らせた独自の「ダブルクラウンアール」断面形状を採用し、接地抵抗を減らしている。また、高密度ケーシングで転がり抵抗を軽減している。

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パナレーサー GILLAR(ジラー)



パナレーサーの最新モデルにして最軽量モデル。トッププロも愛用する山岳向けのロングセラーモデル「RACE L EVO3」の後継モデルにあたり、重量は23Cで160gと超軽量だ。耐パンクベルトを導入しながらも、同サイズの「RACE L EVO 3」に対して20gの軽量化を実現している。さらに、新コンパウンドの「ZSGアドバンスドコンパウンド」を採用し、転がり抵抗を20%も軽減。転がりの良さからトレンドになりつつある、太めの25Cサイズも170gと超軽量だ。

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今回は3つのオススメの軽量タイヤを紹介しました。次回も引き続き、ヒルクライム向きのタイヤを紹介しつつ、現在のクリンチャータイヤを取り巻くタイヤ事情にも触れていきます。

●バックナンバー「教えてハシケン先生」
第1回 上りのペダリングのコツは空き缶つぶし?
第2回 “上りやすい”フォームで走ろう!
第3回 ペダリングはタイミングが重要
第4回 ダンシングは“踏まずに乗せる”がポイント!
第5回 キツい坂道を楽に走るための呼吸法
第6回 “休めるダンシング”で急な上り坂も怖くない!
第7回 ラクに上れる!シフトチェンジの基本テクニック
第8回 腰が痛いと思ったら・・・1分ストレッチで筋肉をほぐす
第9回 首・肩のコリは30秒ストレッチで解消
第10回 お尻の痛みを解消する3つの方法
第11回 ひざ痛を予防するフォームとセッティング
第12回 努力いらずで楽に走れる“ながらエクササイズ”
第13回 座って寝て早くなる体幹トレーニング
第14回 いつもの階段で“ペダリング筋”を鍛える
第15回 “ながらエクササイズ”を実戦で確認する!
第16回 上る前の下準備“ウォーミングアップ”4つのポイント
第17回 一番カンタンな軽量化。インナーチューブを交換しよう

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