初心者向けのペダリング講座第2弾! 前回は専門家の方に基本のペダリングについて教えてもらいました。今回は練習方法の解説です。
3本ローラーを使えば正しいペダリングができるようになるだけでなく、体幹が鍛えられて引き締まったボディと美脚が手に入ります。とは言え、乗るにはコツが必要。初心者にはハードルが高いのも事実です。転倒の恐怖から敬遠している方も多いでしょう。初心者でも必ず乗れる方法を解説していますので、ぜひ参考にしてください!
目次
3本ローラーとは
3本ローラーは、前輪部に1つ、後輪部に2つ、合計3つのローラーの上でバランスを取りながらペダルを回すタイプのサイクルトレーナーです。バイクを固定していないので、より実走に近い感覚で自転車に乗ることができます。
3本ローラーのメリット
ペダリングスキルを効率的に学べる
ローラーの上で自転車に乗るため、3本ローラーはバランスが取れていないとフラフラします。そのため特に初心者の方は「怖い」というイメージが強いと思いますが、実はペダリングスキルを学ぶには最高のツールです。
外でペダリングの練習をしようとすると、風が吹いたり起伏があったりと一定の条件を保つことができません。またペダリングのスキルを練習するには、集中が必要になります。一定の条件で集中してやるには、室内でサイクルトレーナーを使って練習するのがもっとも効率的。中でも特におすすめなのが3本ローラーです。
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サイクルトレーナーというと固定式のタイプやスマートトレーナーを思い浮かべる方が多いでしょう。3本ローラーはツール・ド・フランスや競輪場などでプロ選手がウォーミングアップに使う道具というイメージがありますが、そういった人達だけが使うものではありません。
固定ローラーやスマートローラーはフィジカル、どちらかというと体力をつけるのに向いています。これに対し3本ローラーはスキル、基本ペダリングのような自転車に乗るうえでの技術を体得するのには最高の道具です。
サイクルトレーナーの種類と特徴
- フィジカルを鍛えたいときは固定・スマートローラー
- スキルを鍛えるなら3本ローラー
ペダリングスキルの究極の基本はまっすぐ走ること。ふらついて蛇行していると速く走ることはできないからです。ヒルクライムでタイムがなかなか伸びない、ヒルクライムが苦手だという方に多いのが、蛇行運転しているケース。3本ローラーを使ってペダリングのスキルを学ぶことでよりサイクリングが楽しめるようになり、嫌いなのぼりが逆に好きになる可能性も出てきます。
ダイエット効果が高い
3本ローラーを使うとペダリングスキルが身につくだけでなく、体幹が鍛えられます。体幹とは胴回りの筋肉のこと。体幹を鍛えると基礎代謝がアップして、痩せやすい体になります。腹筋や背筋が鍛えられて姿勢がよくなることもメリット。クールビューティーなサイクリストを目指す女性には特におすすめの方法です。
本当にみんな乗れるの?
ペダリングスキルの向上とダイエットの両面でメリットの多い3本ローラー。でも、そもそも乗れなければメリットは得られませんよね。
実は正しいやり方でやれば、3本ローラーに乗るのはとっても簡単。サイクルイベントなどで3本ローラーの試乗をやっていることがありますが、専門家のサポートがあれば、初めての方でも3分もあれば乗れてしまいます。外で自転車に乗れる方は、やり方を間違えなければ、基本的には3本ローラーにも乗れるわけです。
セッティング方法
3本ローラーに安全に乗るには、セッティングと設置する場所がポイントになります。
壁際に設置する
3本ローラーは組立済みでお手元に届くものもあれば、組み立てが必要なモデルもあります。組み立てが終わったらなるべく部屋の壁際に近いところ、壁で体を支えられる位置に3本ローラーを設置してください。
ローラー位置の調節
3本ローラーはドラムの位置を調節できるようになっているので、前後のローラーの間隔をホイールベースと呼ばれる前輪の中心から後輪の中心までの幅に合わせます。広げ過ぎたり狭め過ぎたりすると、乗りにくくなってしまうため注意が必要です。後輪を2本のドラムの間に置いたときに前輪の中心とドラムの中心が一緒になる幅にセットしましょう。
ギアの調節
ギアの位置をあらかじめセットしておきます。アウターと呼ばれる前側は一番外のギア、後ろのギアはモデルによっても変わってきますが、カセットスプロケットの真ん中あたりに持ってくるのが乗り出しやすいギアになります。
「最初は怖いからなるべく軽いギアで乗りたい」と思うかもしれませんが、軽すぎるとフラフラしてしまいます。ある程度、漕ぎ心地のある重いギアで回したほうが、安定して乗れます。ギアをセットしたら、ローラーに自転車をのせましょう。
詳しくは動画(5:50)をご覧ください
3本ローラーに初挑戦!
3本ローラーは乗る時、乗り出す時にそれぞれ2つずつポイントがあります。
乗る時のポイント
1.フラットペダルがおすすめ
3本ローラーに乗るときは、ビンディングペダルではなくフラットペダルといわれるタイプとスニーカーの組み合わせがおすすめです。
バランスを崩して倒れそうになったときに足がパッと地面につきやすくなるということもありますし、実はビンディングペダルじゃない方がペダリングのスキルが身につけやすくなります。
2.ハンドルの位置
乗る時はまずステップに足をのせ、自転車を持ちます。次に壁に手を添えてしっかりと両足をのせてください。今回は壁のかわりにバーを使っています。
外で乗るときと同じようにブラケットを持ってしまうと、バイクがふらついて倒れそうになったときに焦ってブレーキをかけてしまいがちです。手はなるべくならハンドルの上側を持つ方がパンドルがフラフラせず安定して乗ることができます。
乗り出す時のポイント
1.目線
目線は外を乗っているときのように前方を見るよりも自分の前輪のタイヤの先を見て、どれくらいバイクがフラフラしているかというのを意識する方がいいです。まずは「まっすぐ走る」ということが大切ですので、自分がまっすぐ走っているかどうか、前輪を見て確認しましよう。
2.最初はバーや壁に手を添えて
目線とペダルとハンドルの位置を合わせたら、最初はバーや壁に手を添えてゆっくり漕ぎ出します。かかとが下がらないように、足の裏で水を掻くように回すことが大事です。まずは自分のペースでゆっくりゆっくり、安定して乗れるように回していきましょう。ケイデンス(回転数)でいうと80回転くらいが目安です。ケイデンスはサイクルコンピュータで測れます。
最初は怖いので、ついつい手が力んでしまいがちです。ハンドルをグーで握るのではなく、パーで押さえるようにすると、肩から力を抜くことができます。
安定して回せるようになったら、徐々に右手を前にスライドしていきましょう。ハンドルと同じくらいの位置で慣れてきたら、ちょっとバーから一瞬手を離します。この時、ペダリングにも集中してください。
こんな感じで真っ直ぐ走れるようになったら、ちょっとずつ壁やバーから手を離してみて、ハンドルに持っていきます。怖かったら壁に手を添えて構いません。いきなりハンドルを握って乗り出すのではなく、ステップを踏むことで簡単に乗れるようになります。特に女性は体がしなやかなので上達も早いです。無理せず自分のペースで進めていきましょう。
安定して乗るためのコツ
- 足の裏で水を掻くように「回す」
- 肩から力を抜く
- 目線は前輪の先を見る
降りる時も実はコツがあります。まずはしっかりとバーを持ち、ステップに左足をつきます。その時にバイクを傾ければ足がつきやすくなります。
詳しくは動画(8:35)をご覧ください
3本ローラーがライディングスキル向上に役立つ理由
3本ローラーは、乗っている人(ライダー)の動きをそのまま動きに反映します。いわばその人の癖を映し出す鏡。音と左右の振れでご自身のくせを教えてくれるのが、3本ローラーの良いところです。
音
例えばペダリングの「踏む」と「回す」の違い。きれいに回せている人はシャーという感じで一定のタイヤの音がするのに対し、ペダルを踏んでいる人は強く踏んだところだけシャッシャッシャッシャッと大きな音がでたり、出る音にリズムが付いたりします。3本ローラーで音が出るのは踏んでしまっている証拠です。意識して水を掻くように回せば、またきれいに音に波がないように回すことができます。
左右の振れ
3本ローラーに乗っていてフラフラするのは、肩から腕にかけて力んでいる証拠。外で乗っている時も道路で車の量が多いときなど、同じように力んでいると考えられます。フラフラしていると危ないですよね。フラフラをなくすためには、なるべく上半身をリラックスして乗ることが重要。力みがなくなればまっすぐ乗れるようになります。
ひとりでは心配だと言う方は、先輩の方に付添をお願いしたり、友達同士で動画を撮りながらペダリングの様子を映してもらい、お互いに指摘しあって高めていくというのも良いでしょう。最初は無理せず壁に手を触れた状態で、前に姿鏡などを置いて見ながらやるのもよいと思います。
正しいペダリングでサイクリングを満喫!
3本ローラーを使えば、自分が正しいペダリングができているかどうかの答え合わせが可能です。上手になってくるとど真ん中で乗れますし大きな音もしません。1日10~20分乗るだけで、十分ペダリングスキルを学ぶことができます。
3本ローラーでまっすぐ走れるのは、体の筋肉の内側にあるインナーマッスルといわれる体幹が身についている証拠。立ちごけしてしまうのは体幹が弱い可能性もあるので、体幹を鍛えればより安全に走れるようになります。
そもそもサイクリングをするのは走っていて楽しいからですよね。楽しく安全に走るには、やはり練習が必要です。サイクルトレーナーを使って家でコツコツ練習するとサイクリングが何倍も楽しくなります。正しいペダリングを習得して、サイクリングを満喫しちゃいましょう!
取材協力:株式会社フカヤ、ルブリカント アラカワベース