子供乗せ自転車があると、子供と一緒にお出かけできる場所がグッと広がります。特に子供を乗せていてもラクに進む電動アシスト自転車は、子育て世代の心強い味方です。しかし、便利な子供乗せ自転車も、安全に乗るには注意するポイントがいくつかあります。
当記事では、子供乗せ自転車に乗るときの注意点やよくある事故、事故を防ぐ方法、乗せ降ろしのポイントをご紹介しています。
家を出発してから戻ってくるまで、ママパパも子供も笑顔でいるために、ぜひ参考にしてください。
目次
子供乗せ自転車に乗る際の注意点
子供乗せ自転車に乗る際の注意点は、次の4つです。
- ヘルメット・シートベルトを着ける
- 定期的に点検とメンテナンスをする
- 安全基準に対応している自転車か確認
- 乗せられる子供は未就学児まで
1つずつ、くわしく見ていきましょう。
ヘルメット・シートベルトを着ける
子供を自転車に乗せる際は、ヘルメット・シートベルトを必ず着けましょう。
ヘルメット・シートベルトには次の役割があります。
- ヘルメット:自転車がもし転倒したとき、子供の頭部を守る
- シートベルト:チャイルドシートに子供の体をしっかり固定する
子供のヘルメット着用は、道路交通法上の努力義務です。「13歳未満の幼児・児童には、保護者等がヘルメットを被らせるように努めなければならない」と定められています。
子供乗せ自転車は走行中だけでなく、停車中に転倒するケースもあります。転倒してしまったらお子さんの頭や顔にケガを負う可能性が高く、特に頭部へのダメージは命にかかわる恐れがあるのです。
事故の際にもっとも大切なのは頭を守ること。お子さんが嫌がったとしても、必ずヘルメットを被らせましょう。子供用のヘルメットは、サイズが合ったものを着用することがたいせつです。
▼子供用ヘルメットのおすすめをチェック!
ヘルメットを被っていてもシートベルトを着けていなければ、万が一転倒した時、子供が投げ出されてしまいます。シートベルトを着用するのはもちろん、ゆるみがなくしっかり固定できているかを確認しましょう。
シートベルトは事故のときだけでなく、チャイルドシートに快適に乗るためにも役立ちます。シートベルトを適切に着けることで、正しい姿勢を保つことができ、カーブやでこぼこした道を走るとき、体が大きくゆれるのをおさえられるからです。
定期的に点検とメンテナンスをする
自転車は乗っているうちに、ブレーキの部品やタイヤが劣化します。たいせつな子供を乗せて走るため、子供乗せ自転車は定期的な点検とメンテナンスをしましょう。
点検・メンテナンスするポイントは、次のとおりです。
- ブレーキ:前後輪ともしっかり効くかどうか
- タイヤ:空気圧は十分か? キズ・摩耗がないかどうか
保育園・幼稚園で毎日バタバタしていると、点検・メンテナンスは忘れがちに……
しかし、自転車を安全に乗るためには最低でも年1回お店に持っていき、点検・メンテナンスをしてもらいましょう。
安全基準に対応している自転車か確認
子供を乗せて走るなら、重視したいのが自転車そのものの安全性です。
安全基準を満たした自転車には、社団法人自転車協会が定めた基準をクリアした証の『BAAマーク』が貼られています。たいせつな子供を乗せて安全に走るためには、BAAマーク付きの自転車を選びましょう。
値段が安い自転車の中には、BAAマークが付いていないものもあるため注意が必要です。
なお、子供を2人乗せて走る場合は、通常の安全基準に加え、幼児二人を乗せても十分な強度の基準を満たしている「幼児2人同乗基準適合車」を選ぶ必要があります。フレームの縦パイプの前側に「BAAマーク」「幼児2人同乗基準適合車マーク」のシールが貼られているかどうか確認しておきましょう。
乗せられる子供は未就学児まで
自転車のチャイルドシートに乗せて走れるのは、未就学児までです。
以前は、6歳未満でしたが、現在は小学校入学前までに改定されました。小学校生を乗せるのは、道路交通法に違反することになるので注意しましょう。
実際に小学校入学前まで乗せられるのは、後ろ乗せタイプのみ。低年齢向けの前乗せタイプは3歳までがほとんどです。また、前乗せ・後ろ乗せどちらのタイプも、年齢だけでなく体重にも制限があります。
乗せられる子供の年齢・体重の目安はメーカーによって異なるため、今乗っているモデル、もしくは購入予定のモデルの対象年齢・体重を確認しておきましょう。
乗せられる子供の年齢・体重(目安)
- 前乗せ:1歳以上4歳未満(または体重15kg以下)
- 後ろ乗せ:1歳以上小学校就学の始期に達するまで*(または体重22kg以下)
*お住まいの地域によっては6歳未満まで
子供乗せ自転車に多い事故
細心の注意を払っていても、事故は起こってしまうものです。
子供乗せ自転車に多い事故は、次の3つ。
- 走行中に段差でバランスを崩して転倒
- 停車中に子供から目を離した隙に転倒
- 歩行者や車と衝突
1つずつ、くわしく見ていきましょう。
走行中に段差でバランスを崩して転倒
事故の中でも多いのが、段差を乗り越えようとしたときにバランスを崩して転倒するケースです。
自転車の運転は、自分では安全運転を心がけていても、外的要因によりバランスを崩して事故につながることもあります。
特に、歩道の車両乗入れ部分などで、5cm以上の段差があるところは注意しましょう。
停車中に子供から目を離した隙に転倒
停止中の事故では、先に乗せた子供から目を離したり、自転車から離れる間に転倒したりするケースが多く見られます。
スタンドで自転車が支えられているとはいえ、重量が20kg~30kgある自転車が一度バランスを崩すと一瞬で倒れてしまいます。
また、ママパパが注意していても、チャイルドシートに乗った子どもが動いて自転車がバランスを崩すこともあるのです。
チャイルドシートに子どもを乗せたら、子どもから目を離さないようにしましょう。
ときどき、子どもを自転車に乗せた状態のままコンビニなどのお店で買い物をしているママパパを見かけます。シートベルトを外して子どもを降ろすのは面倒ですが、自転車から離れている間に転倒するケースは多いのです。
たとえ時間が短くても、自転車に子供を乗せた状態で離れないようにしましょう。
歩行者や車と衝突
自転車に子供を乗せると重量が増え、コントロールしづらくなります。さらに重いとブレーキをかけても止まるまで時間がかかるので、歩行者や車などに衝突する事故も起きやすいのです。
自転車は車と同じで、ブレーキをかけてもすぐには止まれません。「止まりたくても、すぐには止まれない」ということを念頭に置いて自転車に乗りましょう。
乗ってるママ・パパに聞いた!ヒヤリ・ハット体験
自転車事故に遭った後のデータはあっても、遭う前のことは出て来にくいものです。実際に子供乗せ自転車を利用している・していたママ・パパに、危ない思いをした経験を聞いてみました。
後ろ乗せタイプの電動アシスト自転車で、幼稚園に娘を送迎していました。特に怖かったのが、ハンドルロックを外して漕ぎ出す時です。ハンドルをとられるのでいつもヒヤヒヤしていました。
娘は元気がありすぎて、チャイルドシートで動いてしまうこともしばしば。その度にバランスを崩しそうになったのを思い出します。
幼稚園に着いた時、バランスを崩してしまい、娘を乗せたまま転倒してしまったこともあります。そんなときは周囲のママやパパが助けてくれました。お互いに助けたり、助けられたり。転倒したとき、怖さと申し訳なさで泣き出してしまうママ友もいましたね。
2学年違いの長女、長男の送り迎えに子供乗せ電動アシスト自転車を使っています。朝送るのは父親である私の担当。我が家の近所はガードレールどころか白線すら引いてない道も多く、鏡のない十字路で、死角からのクルマ、自転車、人にぶつかりそうになることもしょっちゅうです。
いつもは息子を前、娘を後ろに乗せていますが、大きくなってきた息子を抱っこして前席に乗せるときに、一瞬ふらついて自転車ごと倒れそうになったことも。たまに前後席チェンジのリクエストがあり、娘を前席に乗せて漕いでいると、男性の私でもふらつきそうになります。
ふたりの娘は3学年差なので、下の子が1歳になってから、電動アシスト自転車で3人乗りを始めました。幼稚園までは電動アシスト自転車で10分ほどですが、娘たちが寝てしまうことも多く、よくぐらついていました。
3人乗りをしているとき、2度、転倒した経験があります。一度は曲がる時、もう一度は雪の後で路面が凍っている時です。このときは本当にヒヤッとしました。
身長が150cmの私にとって、3人乗りの自転車はとにかく重くて…… ひとり乗せただけでも駐輪場からバックで出して切り返すのは、いつもひっくり返りそうになるギリギリ。世のママ達は鍛えられるなと感心していました。
そのうち子供を2人乗せた状態では駐輪場を出すことも難しくなり、駐輪場を出てから子供を乗せたりしていましたが、結局、自転車での送迎をあきらめました。だから3人乗りのママ達はすごいなっていつも思っています。
保育園の送迎に子供乗せ電動アシスト自転車を使っていました。少しだけ車体が傾いたときは、グラついたのをなんとか戻すことができましたが、もうちょっと角度がついていたら絶対に倒れていたと思います。おっとっとレベルまで傾いたら戻すのは絶対無理だと思いますね。
特に危ないと思うのは、段差を乗り越えるとき。普通の自転車でも甘い角度で段差に乗り上げるのは危険ですが、重さのある子供乗せ電動アシスト自転車はなお危ないと実感しています。
息子は小学生になりましたが、周囲のママ友は、子供乗せ電動アシスト自転車を今もフル活用しています。前後のチャイルドシートが荷物入れになるので、そのままでも買い物に便利なんです。
実はつい3日前にブレーキがバチーンって切れて、とても危ない思いをしたばかり。これからは、自転車屋さんで定期的にみてもらおうと思います。
息子の送迎や買い物に子供乗せ電動アシスト自転車を利用しています。荷物が多い時や漕ぎ出す時、急いでいる時はバランスを崩しやすいですね。
特に怖い思いをしたのが、息子を乗せたまま転倒してしまったとき。この時は停車した場所の地面が少しだけ斜めだったようで不安定でした。息子はヘルメットとシートベルトをしっかりしていたので無傷でしたが、万が一の事を考えたらゾッとしましたね。それからは息子を乗せた状態では離れないようにしています。
お休みの日に夫が息子を自転車に乗せて外出したとき、段差を甘い角度で乗り越えようとして、そのまま倒れてしまったことがあります。幸い、ヘルメットとシートベルトをしていたので息子にケガはありませんでしたが、夫は受け身を上手く取れずに腕をケガしてしまいました。
その日は暑かったので半袖だったこともあり、かなり広くすり傷ができてしまって…… 走行中だけでもカーディガンやパーカーなどの長袖を着ていれば、小さい傷で済んだかもしれません。ママは毎日のように乗るので、当たり前に気をつけられると思いますが、たまに乗るパパにも注意点を伝えておくべきだと感じました。
子供乗せ自転車の事故を防ぐポイント
子供乗せ自転車の事故を防ぐポイントは、次の3つです。
- 停まっているときは両足をつく
- 段差の乗り越えを避ける
- 滑りやすい場所は避ける
それぞれ、くわしく見ていきましょう。
停まっているときは両足をつく
自転車を止めたときや、信号待ちで止まっているときは、両足をつきましょう。もしバランスを崩したとしても、両足が地面についていることで耐えられるからです。
サドルの高さが自分にピッタリ合っていないと、両足全体が地面につきません。バランスを崩しても両足のかかとでしっかり耐えられるよう、サドルは自分にピッタリの高さに調節しましょう。
段差の乗り越えを避ける
歩道と車道の間には、歩行者の安全を確保するために段差が設けられています*。しかし自転車に乗っているなら、段差はなるべく避けたいもの。段差を乗り越えるとき、地面から大きな衝撃を受けるため、転倒しやすくなるからです。
どうしても段差を乗り越える必要がある場合は、なるべく直角に近い角度で段差を越えるようにしましょう。
甘い角度で段差を越えようとすると、タイヤを取られてバランスを崩しやすいからです。
滑りやすい場所は避ける
つるつるしたタイルの上や鉄板、マンホールなど、タイヤが滑りやすい場所も、なるべく通らないようにしましょう。
特に、雨が降った後の道は要注意。マンホールや排水溝の蓋はいずれも鉄でできているため、雨で濡れると極端にタイヤが滑りやすくなってしまうからです。
どうしても避けられない場合はブレーキをかけず、できるだけ自転車を倒さずに直進しましょう。
▼自転車の雨の日対策をチェック!
子供を安全に乗せ降ろしするには
子供を安全に乗せ降ろしするポイントは、次の3つです。
- 平らな地面の安全な場所で乗せる
- ヘルメットを被らせてから自転車に乗せる
- 2人乗せの場合は、後ろから乗せて前から降ろす
平らな地面の安全な場所で乗せる
自転車のバランスを保つため、平らな安定した場所で乗せ降ろししましょう。
その際、ハンドルをロックし、まっすぐ固定してから停めるのがポイント。ハンドルをロックし忘れていると、ハンドルがクルッと動いてバランスが崩れてしまうからです。
人や車の往来が激しい道は、落ち着いてヘルメットやシートベルトを着用できません。交通量が少なく、ゆっくり準備できる場所を選びましょう。
ヘルメットを被らせてから自転車に乗せる
子供にヘルメットを被らせるタイミングは、チャイルドシートに乗せる前です。なぜなら子供を乗せた直後にバランスを崩して転倒する恐れがあるから。ヘルメットを被せておけば万が一のとき、頭部を守れるからです。
バタバタしていると、自転車に乗せてからヘルメットを被せがちになりますが、たいせつな子供にケガをさせないため、乗せる前にヘルメットを被せましょう。
2人乗せの場合は、後ろから乗せて前から降ろす
前後に2人乗せる場合、次のポイントを守りましょう。
- 乗せるとき:後ろの子供から乗せる
- 降ろすとき:前の子供から乗せる
乗せるときは、バランスを崩しやすい後ろが先で、前が後です。逆に、降ろすときは前を先に、後ろはあとから降ろすようにします。
たとえば兄弟で乗せる場合、前席に弟、後席に兄を乗せることになるため、乗せるときは兄から、降ろすときは弟からになります。
まとめ
自転車に子供を乗せて安全に運転するためには、「乗る前」「乗せ降ろし」「走行中」それぞれで注意するポイントがあります。
時間がなくてバタバタしていると、分かってはいるもののおろそかになってしまいがち。
しかし、ケガや事故が起きてしまってからでは遅いのです。ご紹介した子供乗せ自転車の注意点をしっかりおさえてくださいね。