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セラサンマルコのベストセラーサドル『アスピデ』をテスト! ショート×オープンが最適な人とは?

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こんにちは。自転車ブログ「つむりの悠々自適ライフ」管理人の神楽坂つむりです。

自転車を楽しく快適に乗るために重要な部品とは? 足回りを進化させてくれるホイールやペダリング効率に関わるペダル、根本的な走りに影響するフレームなど多くの要素がありますが、今回はその中でも大きなウエイトを占めるサドルにフォーカス。

サドルメーカーとして長い歴史をもつ『セラサンマルコ』の紹介と、ベストセラーサドルの「アスピデ」のインプレッションをお届けします。

世界的サドルメーカー『セラサンマルコ』

サドルメーカーを有名な順に並べていくと、間違いなく上位に位置するのが今回紹介するセラサンマルコです。かくいう私も初めてサドルを買い替えたのがセラサンマルコ。ロングライドや自転車旅で愛用していた時期がありました。

その創業は古く、サドルメーカーとして産声を上げたのは1935年。当時はサドルの専門メーカーがなく、自転車メーカーが鉄のベースに皮をのせていただけのものでした。創業者ルイジ・ジラルディが改良したサドルは評判を呼び、さらにオリジナルサドルを作成するようになると、需要は劇的に増えたといいます。

Image: Podium

スポーツ車専用モデルが作成されたのは1974年のこと。グランツールなどのトップレースでも、当時は一般自転車と大差のない平らなサドルが使われていましたが、セラサンマルコは人間の身体の形状や動きに沿ったエルゴノミック的な考えに基づいたサドルをリリースします。台座と表面のレザーの間にパッドを入れるという革新的なサドルです。

Image: Podium

1978年には伝説的モデルとして今でも語り継がれるコンコール・スーパー・コルサという市販モデルが発売されます。この頃からは世界の自転車サドル界をリードするようになり、その後もコンコール、ロールス、リーガルといった今に続く名作サドルが開発されていきます。

Image: Podium

トム・ボーネン、マリオ・チポッリーニ、アルベルト・コンタドール……。そのサドルにまたがったトップレーサーの名前を見ているだけでも目眩がしそうになります。

常にライダー目線で最新の研究結果を取り入れてサドルを進化させるセラサンマルコは、初の市販モデルが発売されてから50年近く経った今でも、世界のサドルメーカーを牽引し、世界中でライダーのサイクリングを支えています。

サドルは重要パーツ、だけど相性次第。ゆえに沼は深い

サドルの重要性は自転車に乗ったことがある人なら誰でも理解ができると思います。

自転車と身体が触れる場所はたったの三ヶ所、ハンドル、ペダル、そしてサドルです。どれも重要なのですが、個人的にもっとも走りに影響するのがサドルだと感じています。これが合っていないことには、どれだけ軽くてよく進む自転車に乗っても、快適とはいえません。

「合っていないことには」と表現したとおり、身体との相性があります。相性の意味ではハンドルもペダルも同様ですが、その重要度はサドルがトップクラスといっても過言ではありません。なぜならサドルは出発点だから。快適かつ効率的なペダリング、そしてリラックスしたポジションや乗車姿勢はサドルから始まるのです。逆にいえばサドルのチョイスとセッティングが上手くいけば、その後の調整は格段にラクになります。

これはつまり、乗車フィーリングにも直結し、レースだけではなく日常の移動や週末のサイクリング、ロングライドや自転車旅の快適性につながるのです。

とにかく「サドル選びは重要!」なわけですが、ここで必ず陥るのがいわゆる「サドル沼」。先述したように、サドルはその人との相性による部分が大きく、絶対的な指数や数値で製品を評価するのが難しい部品です。

快適に走るためにもっとも重要なパーツの一つなのに、何を選んだら正解なのかは相性による……何とも悩ましく感じますが、これが事実であり、それゆえに「サドル沼」という言葉が生まれているわけです。(日本国内に限らず世界中で共通認識されているワールドワイドな沼です)

老舗メーカーのソリューション

ですがそこは老舗中の老舗、セラサンマルコが答えを用意してくれています。

理想的なサドルを見つけるために考慮すべき要素である、

  1. 座骨や骨盤の形状
  2. 足の筋肉
  3. 柔軟性
  4. 乗車スタイル

これらの要素を組み合わせてサドルを選べるラインナップになっています。相性の合うサドルにたどりつくために、あらゆるボディタイプに対応する製品群は大きなアドバンテージといえるのではないでしょうか。

さらにライダーの身体を分析するツールも提供しており、専門ショップなどで身体を計測してもらい、専門的なアドバイスを受けながら理想のサドルを探すこともできます。

解析ツール「idmatch」を使った計測のようす Image: Podium

世界的サドルメーカーとして長年研究が続けられ、世界中のライダーからフィードバックを受けてきたからこそ、膨大なデータが蓄積されメソッドが確立されているのです。

ベストセラーシリーズ『アスピデ』とは

コンコール、リーガル、ロールスといった伝説的なサドルをリリースし続けるセラサンマルコですが、時代の流れとともにそのラインナップも進化してきました。そして現代にマッチするよう企画開発されたのがアスピデシリーズです。

左がレーシング、右がダイナミック

軽量性、快適性、見た目、価格、そして座り心地。それらを高い次元で確立しているベストセラーシリーズです。このすべての要素を満たすサドルというのは、案外少ないものです。

そしてベストセラーであるがゆえに、ラインナップがとくに多い点も特徴でしょう。相性問題があるため絶対とは言い切れないのがサドル沼ですが、それでも「最適解にきっと出合える出会える!」といっても過言ではありません。

>> ベストセラーのアスピデシリーズを一覧で!

トレンドのショートモデル。強度高めのライドには◎

今回はアスピデシリーズの中から2製品をチョイス。2021年に現代のニーズに応えるためにリリースされたショートノーズモデルです。

いずれもトレンドのショートモデルですが、まずはショートモデルの特徴を知っておきましょう。

ショートモデルのメリット

  • 軽量(同モデルの通常モデルと比べて10~30g程度軽くなる傾向にあります)
  • サドルの前に荷重をかける姿勢「前乗り」がしやすい
  • 強度高めでペダリングをしやすい(トルクをかけやすい)
  • UCIルール内においてもサドルを前方にセッティングできる
  • ダンシング⇆シッティングの切り替え時にレーパンなどやズボンがサドル先端にひっかりにくい
「前乗り」はTT(タイムトライアル)をイメージするとわかりやすい。体重をかけたペダリングで大きなパワーを出せるようになる(画像はイメージ)

ショートモデルのデメリット

  • 前乗りでない場合はポテンシャルを発揮しにくい
  • ポタリングや低強度ライドでは不要かも?
  • 見た目が物足りない(個人的な見解です)

実際にショートモデルを半年ほど使ってみたことがあり、その中で得た感想です。(アスピデの評価ではなくショートモデルへの所感)

つまりショートモデルをおすすめできるのは、そのメリットを存分に享受できる人。前乗りが必要でしっかりと強度を上げてペダリングをしたい人向けといえるでしょう。

私も強度を上げて六甲山をガンガンヒルクライムするときにはとても魅力を感じました。通常モデルに比べて力が入れやすく、またペダリングもスムーズになりました。

逆に、デメリットに当てはまるような低速域でのポタリングやゆったりクルージング感覚でのロングライドには適さないとも感じました。私のライフワークである「マイペースな自転車旅」では残念ながらマッチしなさそうです。

いっぽうで、週末にそこそこの強度で100km走りぬく!とか、今日はヒルクライム!というようなシーンでは積極的に使用したいとも思います。選択肢として持っておくのもアリ。

アスピデレーシング・ダイナミックをインプレッション

今回テストしたのは「アスピデショート レーシング」「アスピデショート ダイナミック」の2つ。いずれもナロータイプです。(座面幅の違いにより幅139mmのナローモデルと、幅155mmのワイドモデルが用意されていますが、これは体型に合わせればOK)

ショートモデルなので、通常のモデルに比べて27m短くなっています。(通常モデルは全長278mm、ショートモデルは全長250m)

見た目からしてコンパクトで、長めのサドルに慣れている私にとってはとても短く新鮮に映ります。

ショートノーズで際立つオープンタイプのメリット

オープンとはつまりサドル中央部に穴が開いているタイプです。オープンタイプのメリットはデリケートな部分の圧迫を少なくすることができるという点。

じつは私は普段からずっと穴なしモデルを使っており、正直なところオープンタイプの必要性は感じていません。私自身が身長173cmで体重が55kgと比較的軽量なライダー、かつ骨盤を立ててお尻を浮かせる(ペダルに体重を乗せてサドルはお尻を乗せるだけ)ペダリングを好むために、あまりメリットを享受できないのです。

ただし、ことショートノーズモデルとなるとそのメリットは際立ちます

オープンタイプは前乗り時や前傾姿勢でのデリケートゾーンへの圧迫が軽減される

ショートノーズモデルのメリットが発揮される高強度のライド時は、普段より前乗りになっていたのですが、圧迫感がほとんど感じられませんでした。穴なしモデルなら多少なりともデリケートゾーンへの圧迫がありますが、それが明らかに軽減されているのがわかりました。

なるほどショートモデルならではの乗り方に合わせるために、オープンになっているのだな、と納得した瞬間です。

レーシングとダイナミックの違いは?

今回はモデル違いを試してみました。レーシングモデルとダイナミックモデルはいずれもコストパフォーマンスが高く、買って損はないと思いましたが、微妙な違いがあります。

価格は1万円ほど異なりますが、高いから良いというものでもなく、合っている方を選ぶのが正解です。

レーシングモデル

サドル左下に「RACING」の文字
レールXsilite(エクシーライト)軽量。AiSi304ステンレス鋼の中空レール(外径 7 mm – 内径 5 mm)で 軽量性、耐久性、耐候性に優れる。
パッドビオフォームペダリング時の骨盤の動きに従う可変的な厚みを持つ低密度のフォーム。快適性、軽量性、耐久性、そして理想的なサポート力を持つ。
重量185g(ナローモデル)
価格23,100円(税込)
レールは軽量なエクシーライトを使用

ダイナミックモデル

レールマンガネーゼ耐久性が高い。ハイテク中空クロモリーレール(外径 7ミリ – 内径 4ミリ)+ 外部塗装ですぐれた軽量性と耐久性がある。
パッドプルフォームさまざまな厚みがある低密度のフォームで、長距離でもクッション性を失わずペダリング中の骨盤の動きを支え、快適にサポート。
重量215g(ナローモデル)
価格13,200円(税込)
耐久性の高いマンガネーゼレールを使用

ここはやはり乗車スタイルに合わせるのが一番でしょう。

ゆったりマイペースにはダイナミック、軽快に高強度で走りたいならレーシングを

ゆったりマイペースで走りたい人にはダイナミックモデルがおすすめです。特にパッドの違いが大きく、プルフォームパッドは低反発枕のようにじんわりと沈み込んでお尻を支えてくれます。一日中乗車していてもお尻が痛くなりにくく、快適にサイクリングをすることができます。

逆に少しでも軽快にやや高強度で走る際にはレーシングモデルが最適です。決してパッドが薄いわけでもなく、しっかりとロングライドにも耐えてくれますが、ダイナミックモデルに比べると沈み込み量はやや少なく、強度高めのペダリング時にこそ快適にお尻を支えてくれる印象です。

またダイナミックに比べて重量も30g軽く作られているのも嬉しいポイント。自転車の中でもっとも高い場所に位置するサドルは、その重量によってバイクの挙動に与える影響が大きいことから、少しでも快適に軽快に乗りたい人にとっては魅力的な軽さになるでしょう。

さらにいずれのモデルも以下の特徴があると感じました。

低反発クッションがほどよい! ほんの少しだけ沈んでから戻るような感覚で、ペダリングの邪魔をせずに、お尻を支えてくれて快適。

・深い前傾姿勢でペダリングをしても圧迫を感じずに走ることができる。

程良いしなりがあり、ロングライドでも疲れを感じにくい。

・レース幅が7mmのラウンド形状でどんなシートポストにも装着がしやすい。

アスピデでサドル沼から脱出!

冒頭に説明したとおり、セラサンマルコは世界的サドルメーカーです。実際にセラサンマルコのサドルを使ってみると、ただ単にネームバリューがあるだけではなく、膨大な時間と手間をかけて開発されていることが良く分かります。

今回紹介したのはアスピデシリーズのごく一部ではありますが、魅力は十分に感じることができました。ショートモデルだけでもラインナップも数多く出ており、最新の需要に応えているのもさすが老舗メーカーです。

サドルには沼があります。ですが、アスピデのようなベストセラーには選ばれる理由があり、沼脱出の一助になることは間違いありません。気になる人はぜひ一度試してみることをおすすめします。

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Photos © 神楽坂つむり

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