2023春の新作サイコン、どう選ぶ?『ガーミン・エッジ840/540』or『ブライトン・ライダー750SE』

この春、GPSサイクルコンピューターのニューモデルが立て続けに発表されました。

人気ブランドのガーミンから『エッジ840/540』の最新モデルが、そして同じく人気ブランドのブライトンから『ライダー750SE』がリリース。

「自分にはどれが向いている?」「どういう人にどのモデルがおすすめ?」という疑問に、さまざまな媒体で活動する自転車ライターの浅野真則がおこたえします。

両ブランドのミドルグレードを担う中核サイコン

この春発売の新作GPSサイクルコンピューター、ガーミン『エッジ840/540』とブライトン『ライダー750SE』。どちらも各ブランドで売れ筋の人気機種といえます。

まずはそれぞれの特徴をざっとおさらいしましょう。

ガーミン・エッジ840&540

ガーミンからは、グレード違いの840と540から同時にニューモデルが出た形です。

まずは全シリーズ中セカンドグレードにあたる『エッジ840』から。(今回紹介するうちのハイエンドモデルです)

エッジ840/840 ソーラー

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ガーミンのGPSサイクルコンピューター『エッジ』シリーズのうち、エッジ840は、最高峰の1040シリーズに次ぐセカンドグレードという位置づけです。

  • 操作方法はタッチスクリーンと物理ボタンの両方に対応。
  • ソーラー充電の対応・非対応で2種類のラインナップ。
  • 840ソーラーは本体のみ(マウント類、充電ケーブル、マニュアル含む)、840は心拍センサーなどが含まれたセットモデル(Bundle版)での販売のみ。
  • 自分の体力と現在のペースであと何km走れるか示す「リアルタイムスタミナ」、走るコースの最適なパワー配分を知らせる「パワーガイド」機能を搭載。
  • コネクトiQでウィジェットを追加することが可能。
バッテリー持続時間26時間(840)32時間(840ソーラー)
本体サイズ57.8×85.1×19.6 mm
画面サイズ2.6インチ
重量84.8g(840)88.9g(840ソーラー)
内蔵ストレージ32GB
税込価格・7万4800円(840・スピード、ケイデンス、心拍センサー付き)
・7万4800円(840ソーラー・本体のみ)

エッジ540/540 ソーラー

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エッジ540は、1040シリーズ、840シリーズに次ぐサードグレードという位置づけ。

  • 操作方法は物理ボタンのみ。
  • ソーラー充電の対応・非対応で2種類のラインナップ。
  • 540、540ソーラーともに本体のみ(マウント類、充電ケーブル、マニュアル含む)の購入が可能。540のみスピード、ケイデンス、心拍センサーを同梱したセット売り(Bundle版)あり。
  • 自分の体力と現在のペースであと何km走れるか示す「リアルタイムスタミナ」、走るコースの最適なパワー配分を知らせる「パワーガイド」機能を搭載。
  • コネクトiQでウィジェットを追加することが可能。
基本機能は上位モデル840とほぼ同等。540は物理ボタンのみ

バッテリー持続時間26時間(540)32時間(540ソーラー)
本体サイズ57.8×85.1×19.6 mm
画面サイズ2.6インチ
重量80.3g(840)84.9g(840ソーラー)
内蔵ストレージ16GB
税込価格・5万4800円(540・本体のみ)・6万9800円(540・スピード、ケイデンス、心拍センサー付き)
・6万9800円(540ソーラー・本体のみ)

ブライトン・ライダー750SE

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ブライトンのGPSサイクルコンピューター『ライダー』シリーズのうち、『ライダー750SE』は、S800、S500に次ぐサードグレードの位置づけです。

モデル末尾のSEはスペシャルエディションの意味で、先代モデル750のアップデート版にあたります。

  • 操作方法はタッチスクリーン+物理ボタン。
  • ブライトンのグループライド機能対応機種を持っているメンバーを画面上に表示可能。音声入力によるチャットもできる。
  • スマートフォンのブライトンアクティブアプリで、グーグル音声検索による行き先検索が可能。
  • SEへのアップデート地図が内蔵。インターネットがなくてもルート再検索が可能に。(ガーミンの一部機種では以前から対応していた機能)
バッテリー持続時間40時間
本体サイズ93×50.9×19.4 mm
画面サイズ2.8インチ
重量93g
内蔵ストレージ
税込価格3万5750円(マウント、充電ケーブル、マニュアルなど含む)

ここでいったんまとめ

エッジ840とエッジ540の違いはタッチスクリーン操作に対応するかどうかと内蔵メモリの容量の違いといえます。

ライダー750SEは、エッジ840同等の操作インターフェース(タッチスクリーン+物理ボタン)を搭載しているにもかかわらず、3万円台という圧倒的な安さが大きな特徴です。

何を選べばいい?   気になる項目別に独断でベストアンサーをプッシュ!

「機能の差は分かったけれど、それでも結局何を選べばいいか判断するのが難しい!」という方のために、気になる項目別におすすめ機種を紹介します。

価格を基準に選ぶなら? →『ライダー750SE』

タッチスクリーンと物理ボタンの両方で操作できるGPSサイクルコンピューターが3万円台で購入できるというライダー750SEの価格は、かなり破格です。それだけでこのモデルを選ぶ理由になりえます。

お財布への優しさという点に関しては、ライダー750SEの圧勝と言っていいでしょう。

バッテリーのもち →『ライダー750SE』

GPSサイクルコンピューター単独で最長40時間という稼働時間は、2泊3日の泊まりがけのロングライドなどでも追加充電なしで使えるレベルです。

バッテリーの持ちが長くなるということは、充電頻度も少なくて済むということ。電子機器はバッテリーの持ちが命なので(バッテリーが切れたら走行ログも残せない!)、この項目でもカタログスペックで優れているライダー750SEに軍配を上げたいと思います。

ただ、ガーミンのソーラー充電対応モデルのカタログスペックは32時間。これでも必要十分な数字とはいえます。(さらにガーミンのソーラー充電モデルは、使用条件によってはカタログ数値よりかなり稼働時間を延ばせるというユーザーの報告も)

GPSの精度なら? →『エッジ840/540』

利用できる通信衛星は、いずれもGPSのみならずGLONASS、みちびきなど大差はありませんが、ガーミン・エッジ840/540は、GNSSマルチバンドという機能を搭載。

複数の通信衛星を利用できるだけでなく、2周波数帯の信号を受信することができ、高層ビルが建ち並ぶ都市部など電波状況が悪い場所でも正確な位置情報を記録しやすくなり、安定して連続的な移動軌跡を記録できます。GPSの精度ではガーミンに軍配を上げます。

本体サイズ・画面サイズ → お好みで

本体サイズはブライトンは縦長で幅が狭く、ガーミンは縦方向の長さは短く、やや幅広です。

画面サイズはブライトンは2.8インチ、ガーミンは2.6インチとブライトンの方が大きいですが、ブライトンの画面はスマホのように縦長です。

このあたりは好みで選んでいいでしょう。

スイッチなど本体の操作 → お好みで

エッジ840とライダー750SEはタッチスクリーンと物理ボタンの両方で操作でき、エッジ540は物理スイッチだけで操作します。

タッチスクリーンは画面のスクロールなどが直感的にしやすい反面、雨天時など画面や手がぬれているとき、スマホ対応でないフルフィンガーグローブ装着時などはうまく操作できません。

また、タッチスクリーン対応モデルは、非対応モデルと比べて重量がややかさみ、値段も高くなる傾向に。一方、物理ボタンは冬場でも雨天時でも確実に操作できる安心感がある反面、設定時に何度もボタンを押さなくてはならず、結構面倒に感じるケースも。

どちらがよいかは好みによるでしょう。

PCやスマートフォンアプリとの連動 → お好みで

ライドデータをWi-FiやBluetoothなどで転送できるのはガーミン・エッジ840/540もブライトン・ライダー750SEも同様。

ガーミンにはガーミンコネクト、ブライトンにはブライトンアクティブというアプリがあり、ライドデータをアプリ上に記録・表示できるほか、ストラバやトレーニングピークスなどの解析サービスにデータを転送できるので、複数のサイクルコンピューターを併用するような場合でもいずれも一元管理は可能です。

ナビゲーションの使用感 → 音声入力したいなら『ライダー750SE』

ナビゲーションを利用する際のルートマップを作成する場合は、RideWithGPSなどのサービスを利用することが多いと思いますが、その際にパソコンで作ったルートを送る手順などに大差はありません。

ライダー750SEはインターネット接続ができる環境だと音声入力で目的地を入力できるので、その点は魅力です。

しかも今回リリースされたSEでは、待望の内蔵地図機能がプラスされ、オフラインでもルートの再検索が使えるようになりました。ガーミンの一部機種には以前から搭載されていた機能ですが、これでブライトンを諦めていた人にはSEはかなり有力候補になるのでは。

表示項目の多彩さ、カスタムの自由度 →『エッジ840/540』

スピードやケイデンス、走行距離、パワーなど表示できる項目に関しては大差ありません。

ガーミンは主要な走行データに関する項目以外に、今のペースで巡航可能な距離を知らせるリアルタイムスタミナ機能、適切なペース配分を知らせてくれるパワーガイド機能、目標レースに向けての調整方法を知らせてくれるおすすめワークアウト機能など、多彩な機能を搭載しています。

また、ガーミンのペダル型パワーメーター(ラリーシリーズなど)を組み合わせた際にサイクリングダイナミクスという機能が利用できます。これはペダリング中にクランクが何度から何度の範囲でパワーを発生させているか、どの角度でピークパワーが発生しているかなどを表すパワーフェーズという機能と、ペダルを上から見たときに中心からどのぐらいの位置にトルクがかかっているかを示すプラットフォームオフセットという機能からなり、ペダリングの際にペダルを踏み始めるタイミングが遅れていないかなどを判断するのに利用できます。

さらに、コネクトIQというアプリを利用することで、サイクルコンピューター内にウィジェットを入れて表示項目を増やすことも可能です。

こうした高度な機能やカスタマイズの自由度の高さは、圧倒的にガーミン優位です。

ただし、これらの機能が必要かどうかはまた別の話で、多機能すぎて使いこなせない(使わない)という場合はライダー750SEで十分、という考え方もできますね。

【結論】こういう人にはこのモデルがおすすめ!

最後に今回紹介した3モデルについて、ざっくりおすすめのユーザーを紹介して結論とします。

ハイエンド志向、何も考えず「イイモノ」が欲しいならガーミン・エッジ840

▼ソーラーモデル

  • 高くてもいいモノがほしい
  • タッチスクリーンは外せない
  • ソーラーモデルに魅力を感じる
  • リアルタイムスタミナ機能、パワーガイド機能、おすすめワークアウト機能など高度な機能をフル活用したい(=機能は多い方がいい)
  • コネクトIQでカスタムしたい

▼センサー類付属のお得なバンドル版も(ソーラー非対応)

多機能をフル活用したい&物理ボタン派はガーミン・エッジ540

  • エッジ840同等の機能をもつサイクルコンピューターを少しでも安く手に入れたい
  • タッチスクリーンは必要ない
  • ソーラーモデルに魅力を感じる

▼ソーラーモデル

▼センサー類付属のお得なバンドル版も(ソーラー非対応)

価格最優先&リルート機能が魅力ならブライトン・ライダー750SE

  • コストパフォーマンスに優れたサイクルコンピューターを探している
  • タッチスクリーンは外せない
  • ナビの音声検索を使いたい
  • 同じサイクルコンピューターを利用するライダー同士でまとまって走ったりグループチャットをしたい
  • ガーミンの最新機種までの多機能さは求めない(走行ログが取れて、ナビが利用できれば十分)

もし今すでにガーミンもしくはブライトンを使っている人は、違うブランドの機種には乗り換えず、素直に後継機種を選ぶというのもひとつの方法です。同じブランドであれば、操作方法、画面表示、設定画面の階層などもほとんど同じですから、使い方で戸惑うことが少ないからです。

ブランドを乗り換えてしまうとボタンの位置や操作方法が微妙に異なるため、慣れるまでに時間がかかる可能性があります(とっさにラップを切り損ねた!とかなりがちです)。

ちなみにガーミン・エッジ500シリーズのユーザーがエッジ840を選ぶのは、今までの物理ボタンに加え、タッチパネルという操作方法が増えるので、混乱もそれほどないはず。ありだと思います。

もし購入前に店頭でデモ機に触れることができるなら、実際に触って使用感を比べてみるのもおすすめです。

この記事を参考にしつつ、あなたにとってベストなGPSサイクルコンピューターを選んでください!

LINK: ガーミンジャパン / フカヤ

Y’s Road オンライン アウトレットコーナー

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WRITTEN BY浅野真則

自転車専門誌・WEBメディアで活動する自転車ライター。レース志向のガチ勢で、インプレやトレーニング系の記事だけでなく、カメラを担いで自ら被写体になりながら走り、原稿も書く“自作自演”の実走取材も得意。乗りたいバイクが青くないと新品でもわざわざ青く塗り直すほどの青好きで、もみあげの長い風貌から“青ゴルゴ”と呼ばれている。

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