チューブラータイヤおすすめ10選!決戦用に愛される「しなやか&なめらか」性能
「しなやかかつなめらかで、乗り心地が非常に良い」その性能から、レースを視野にいれたシリアスライダーに根強い人気があるチューブラータイヤ。初めての完成車についていたクリンチャーとは違うタイヤを求めてたどり着く人もいるだろう。チューブラータイヤの構造やクリンチャーとの違い、メリット・デメリットをあわせて、おすすめアイテムまで紹介していこう。
目次
チューブラータイヤとは?
チューブラーとは、ゴム製のインナーチューブを袋状のケーシング(またはカーカス)と呼ばれる素材で縫い包み、接地面のトレッド部にコンパウンド(ゴム)を貼ったタイヤのことである。簡単に言えば、チューブをコンパウンドで包んで一体化した構造だ。タイヤとチューブが別体で、ホイールのリムにビードを噛ますクリンチャーと異なり、リムセメントと呼ばれる接着剤や専用の両面テープでホイールと接合する。
タイヤの最も古い形であり、創成期の自転車はみなチューブラーだった。現在ではロードレース、トラックレースなどの競技用から、クリンチャーを卒業した一般のライダーまで愛用者が多い。後述するメリット/デメリットから好き嫌いは分かれるが、実業団のロードレーサーの9割以上が決戦用タイヤとしてチューブラーを使用しているそうだ。
チューブラーのメリット&デメリット
チューブラータイヤへの交換を考えている人にとって一番気になるのが、クリンチャーでは得られないメリットだろう。もちろんチューブラーならではのデメリットもあるので、実際の用途と照らし合わせて考えてみてほしい。
メリット:軽量さとなめらかな乗り心地
メリットは軽量であること。リムとタイヤで構成される(リム、リムテープ、チューブ、タイヤ)そのシンプルさが重量にも直結している。さらにはタイヤ自体が真円に近く、乗り味がしなやかで高速性能を維持できることも挙げられるだろう。
またリムのタイヤ接触部に角がないので、クリンチャーのような「リム打ちパンク」のリスクが少ない。その他の要因で起こるパンクも少なく、タイヤ補修剤のシーラントを併用することで耐パンク性能は格段にアップする。
たとえパンクしても、クリンチャーと異なりゆっくりと空気が抜けていく「スローパンク」となるので、急場はしのげるだろう。その点に関してはチューブレスタイヤと同様のメリットと言える。
さらにチューブラーならではのメリットを挙げるとするなら、タイヤがリムから外れないこと。例えばクリンチャーの場合、走行中にパンクして、しかもそれが下りだとしたら、タイヤが外れる危険性もある。すみやかに停車しないと危険だが、チューブラーなら多少強引に乗ってしまうことも可能というわけだ。(もちろん慎重に乗らないとリムを痛めることにはなる)
デメリット:慣れるまでのパンク対応の大変さ
デメリットはパンク時の対応だ。基本的にパンクするとタイヤそのものを交換しなくてはならないため、リムセメントで接合している場合は大変に苦労する。しかし現在は両面テープで接合することが多いので、その心配は減少した。
とは言え、クリンチャーと比べると手間がかかる点、交換用のタイヤを携行するのがかさばる点、また一度パンクしたタイヤは修繕が難しく使い捨てとなるのが惜しい点だ。ホイールも専用品を買わねばならないので、初期コスト的には負担が大きい。
チューブラーの寿命
乗り方にもよるが、3000kmから5000kmが交換の目安になっている。トレッドにヒビが入ったり、カーカスの縫い目がほつれてきたら即交換。特に後者は、走行中にほつれが急激に進んでタイヤが破裂する可能性がある。早急な交換をおすすめする。
また、リムセメントやテープのメンテナンスも必要だ。セメントは硬化して時間を経ると接着力が弱くなる。テープも同様に粘着力が弱くなる。するとコーナーリングや下りの際にタイヤが剥がれて大惨事を起こすこともある。面倒な話だが半年に一回はそれらのチェック、もしくは貼り直しを行なうことが必要だ。
チューブラータイヤの交換方法
チューブラータイヤの交換方法を、ステップごとに解説していく。
- 空気を抜いてリムセメント・リムテープを剥がす
まずパンクしたタイヤの取り外しだが、空気を完全に抜いた後にリムセメントもしくはテープを剥がすことから始まる。専用のタイヤレバーや先の尖った耳かきのようなものをリムとタイヤの間に差して、セメントやテープを剥がす起点を作る。このとき、道具でリムを傷つけないよう気をつけよう。また接着する際は、交換のこのステップを想定して、剥がし始めとなる隙間をあらかじめ作っておくと便利だ。 - タイヤを剥がし、リム表面をきれいにする
隙間が空いたら、タイヤを手で剥がしていく。ここで大事なのは力まかせにせず、じわじわとセメントやテープを一緒に剥がしていくこと。無事にタイヤを外したあとは、リムにセメントやテープのカスが残っている。新しいタイヤを接着する際の異物になるのできれいに除去しよう。さらにリム表面を脱脂剤でクリーニングするのも大事だ。 - 新しいタイヤを取り付ける
次は新しいタイヤの取り付けだ。新品のタイヤは非常に硬いので、事前に伸ばしておくのがポイント。そしてリムにセメントを塗って乾かす。両面テープはシール下面をリムに貼り、タイヤ側のシールを数センチほど剥がしてリムの外に出しておくと後の作業がはかどる。
その後タイヤをリムに装着するときは、リム(ホイール)を立てた状態にし、バルブ穴を上にポジションセットしよう。スタートはバルブ穴のところから、あとは左右両方の手でそれぞれ下へ向かって引っ張りながらリムにはめていく。このとき両方の手を使うことが大事。 - センター出し
タイヤを取り付けたら「センタリング」を行う。はめ込んだだけのタイヤは正しい位置に納まらないことが多く、クリンチャーのようにバルブがまっすぐ決まらない。そこで軽く空気を入れたタイヤを揉むようにしながら中心軸を微調整していく。 - 乾燥のため時間を置く
タイヤを装着したら終了……というわけにはいかないのがチューブラーの手間がかかるところ。速乾性のセメントもあるが、一般的な乾燥時間は24時間。ちなみにセメントは完全には乾ききらない。粘着力の強いゴムのようなものになる。 - テープの場合、剥離紙を剥がして時間を置く
リムテープの場合、センター出しが済んだら、もう一方のタイヤ側のシールを隙間から引っ張るように剥がしていく。このときも一気に剥がさずゆっくり、引っ張りすぎないように注意しよう。完全に接着を確認したら、取り付け作業は完了……とも言えない。やはり24時間、接合が馴染むまでそのまま放置することが推奨されている。しかし、出先でのエマージェンシーの場合は、セメントよりもテープのほうが手軽に作業ができるだろう。
上記3以降の手順(テープ使用)がこの動画で確認できるので、イメージをつかんでほしい。
※動画はミュートになっている
◇Point◇
ステップ3の「タイヤをのばす」工程において、昔よく行われていた「タイヤを足で踏んづけておいて、筋力測定器のようにタイヤを両手で掴んで思い切り引っ張る」という方法はNGだ。タイヤを痛める。
固いながらも頑張ってリムにはめ(接着剤を付けずに)、一度空気をパンパンに入れてひと晩なじませることをおすすめする。こうすることでタイヤが本来の大きさになる。スペアタイヤも事前になじませておくと良いだろう。
おすすめ10選
初めてのチューブラータイヤにおすすめできる商品をピックアップした。
ミシュラン プロ4チューブラーSC
コットン・ケーシングとラテックス・チューブの伝統的な組み合わせに、ナイロンブレーカーを搭載して耐パンク性を向上。ケーシングの変形量を最適化し、新開発のトレッドパターンとコンパウンドにより、従来品に比べて転がり抵抗を5%低減している。
- 価格:11,100円(700×23C/税込)
- 12,300円(700×25C/税込)
- カラー:ブラック
- 重量:280g(23C)、295g(25C)
シュワルベ プロワン HT
ワンスタートリプルコンパウンドとコットン+ポリエステルケーシングで転がり抵抗を低減、 カットに強い高技術繊維を利用した「Vガード」で並外れた耐パンク性を確保。気密性の高いブチルチューブを採用した、ハイエンドチューブラータイヤだ。
- 価格:14,800円(税込)
- サイズ:700×22C、25C
- カラー:ブラック
- 重量:240g(22C)、290g(25C)
パナレーサー RACE A EVO4
パナレーサー製チューブラー初の「オールコンタクトトレッド形状」を採用、接地面をわずかに尖らせることでレーシングタイヤとしての性能を追求している。内蔵するチューブは、ラテックスよりもエア保持性が良く、衝撃吸収性能や路面追従性に優れた高機能軽量な「R’AIR」チューブ。ケーシングはチューブラーの設計に合わせて専用コードを使用している。
- 価格:10,780円(税込)
- サイズ:700×25C、27C
- カラー:ブラック
- 重量:280g(25C)、290g(27C)
コンチネンタル COMPETITION
ドイツのコーバッハ工場で熟練のクラフトマンが、1本1本丁寧に手作りするハイクオリティチューブラー。ベクトランブレーカー、3層構造のポリアミドケーシングにASCコンパウンドを使用し、複合的に耐パンク性能を高め、ライダーのパワーを確実に路面に伝える特性を持っている。
- 価格:16,940円(税込)
- サイズ:26”×22mm、28”×19mm、22mm、25mm
- カラー:ブラック
- 重量:250g(26)、230g(28”×19mm)、260g(22mm)、280g(25mm)
ヴィットリア CORSA
世界で認められているコットンチューブラー。その速さや柔軟性、信頼性は膨大なレース経験により証明されており、細部に渡って進化してきたものだ。スピード、グリップ力、耐久性、耐パンク性能を最大限引き出すために4種類のコンパウンドを使用。コアスパンKケーシングを採用し、サイドウォールのプロテクションを強化している。
- 価格:16,720円(税込)
- サイズ:28”×23mm、28”×25mm、28”×28mm
- カラー:ブラック
- 重量:275g(23mm)、290g(25mm)、360g(28mm)
PIRELLI(ピレリ) P ZERO VELO TUB
より高いグリップ力と、優れた転がり抵抗を追求したチューブラータイヤ。より柔らかな専用コンパウンドを使用し、路面追従性を高めた。3週間に及ぶグランツールレースでも使用され、性能はお墨付きだ。
- 価格:16,500円(税込)
- サイズ:700×25C、28C
- カラー:ブラック
- 重量:275g(25mm)、305g(28mm)
SOYO アップストリーム
国産ハンドメイドによるシームレスタイヤ。アラミドブレーカー採用で耐久性も大幅にアップ。低い転がり抵抗による軽い漕ぎ出し、滑らかな加速感とハイスピード走行を実現している。さらに安定したハンドリングが快適な走りを約束。
- 価格:9,025円(税込)
- サイズ:700×22C
- カラー:ブラック
- 重量:240g
ハッチンソン PRO TOUR
プロサイクリスト向けのハンドメイドによるチューブラー。登場して4年、ツール・ド・フランスで数多くの勝利を獲得してきた。25mmの断面を持ち、ポリコットン製ケーシングとコンパウンドを接着する独自の工程により、転がり抵抗、グリップ力、耐パンク性能を向上させている。
- 価格:15,751円(税抜)
- サイズ:700×25C
- カラー:ブラック
- 重量:260g
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チャレンジ パリ−ルーベ
コンディションの悪い道を安全に走るために、27mmの幅を持たせているタフなチューブラー。CHALLENGE TIRE(チャレンジタイヤ)は、職人たちの手作業によって製造されるハンドメイドタイヤを現代も提供している。
- 価格:12,320円(税込)
- サイズ:28”×27mm
- カラー:ブラック×ホワイト
- 重量:330g
TUFO HI-COMPOSITE CARBON
耐パンク層と高複合カーボントレッドコンパウンドにより、薄さと高耐久性を可能にしたモデル。理想的なショック吸収と耐パンク性能を維持しながら、転がり抵抗を減少させている。トレッド直下にある保護ラバー層は、透けて見えるようになるとタイヤの摩耗やパンクのリスクが高まることを示す。
- 価格:6,890円(税抜)
- サイズ:700×23C
- カラー:ブラック
- 重量:260g
まとめると
チューブラーに敷居の高さを感じていた人もいるだろう。確かにある程度、自転車についての見識やキャリアを重ねておかないと「難しい」と思うかも知れない。しかし構造や仕組みを理解すれば、そのシンプルさに惹かれる人も多いはずだ。ホイールを新調しようと思っているならば、チューブラー仕様に鞍替えすることを考慮するのもよいこと。クリンチャーでパンクを数多く体験している人ならばなおさらだ。決してチューブラーが「パンクしない」と言っているわけではない。ただ「パンクしづらい」のは事実だ。それを鑑みて悩むのも、自転車乗りの楽しみである。
監修:
サイクルアシスト オオバ 大場忠徳
Viking the Maintenance石橋